自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

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【第一話:ようこそ“エルフリア”へ】

シーン4:岡村の野望

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 夜になり、エルフリアの食堂には活気が戻っていた。木のテーブルを囲み、冒険者たちが思い思いに酒を飲み、笑い声が絶えない。天井に吊るされた古びたランプが揺れ、温かな光が室内を包んでいる。
 その日の食堂は、特に賑やかだった。数日前、巨大なイノシシを討伐してきたという冒険者が、豪快に獲物の肉を振る舞っているからだ。丸焼きにされた肉はジューシーで香ばしく、岡村もその一切れをかじりながら幸せそうに笑っていた。
「うまい! これ、本当にうまいなあ!」と感嘆の声を上げると、隣に座っていた瀬川 朗雄がビールジョッキをぐいっとあおりながら笑った。
「おい岡村、お前はなんでこんなとこに来たんだ?」朗雄が少し酒気を帯びた声で問いかける。
 岡村は、肉を口に頬張りながら少し考えた。冒険者としての道を歩み始めて数年。様々な町を訪れてきたが、どれも決定打に欠けていた。何かを成し遂げたい、けれどその「何か」が見つからないもどかしさ。そんな思いを抱えて旅をしていたのだ。
「俺さ、世界中を旅して、でっかいことを成し遂げたいんだ。でも、何をしたいのかまだ分からなくてさ。だから、ここを拠点に冒険したら、何か見つかるんじゃないかって思ったんだ。」
 岡村の言葉に、食堂の喧騒が一瞬だけ静まった。彼の正直な気持ちが、その場にいた誰かの心に引っかかったのかもしれない。
「でっかいことねえ……」朗雄は苦笑し、裕翔は眉をひそめる。
「お前、ただの夢追い人じゃねえか」と朗雄が笑うが、その声にはどこか羨望が含まれていた。
「そうかもな。でも、夢ってそう簡単に手に入るもんじゃないし、だからこそ追いかける価値があるんだと思うんだよ。」岡村はそう言って、自分のジョッキを一気に飲み干した。
「ふん、現実はそんなに甘くねえぞ」と、朗雄が吐き捨てるように言うが、その口調には不思議な親近感があった。
「まあ、夢を語るのは自由さ。実際にそれを叶えるかどうかは、本人次第ってことだな」と、銀次がほがらかに言い、周囲も「そうだそうだ」と笑い始めた。
「でも、こいつのその無鉄砲さは嫌いじゃないな」と、飯島 基一が頷きながらフォークを手に肉を突き刺す。「若い頃、俺も似たようなことを考えてたからな。」
「岡村くんはポジティブだし、やりたいことを見つける力があると思うよ」と、矢野 勇也が優しくフォローする。
「いやあ、ありがとな!」と岡村は笑い、その笑顔には確かな自信が垣間見えた。
 だが、朗雄はじっと岡村を見つめていた。自分の信念を貫き、一直線に生きてきた彼には、岡村の無謀とも言える夢追いの姿勢が、どこか歯がゆく映る。
「夢を語るのはいいが、実際に何かを成し遂げるには力がいるんだ。その覚悟はあんのか?」と朗雄が真剣な眼差しで問いかける。
 岡村は一瞬言葉を失うが、すぐにその視線を受け止めた。
「もちろんだよ。まだ何を成し遂げるか分からないけど、俺、やるべきことはちゃんとやるタイプだから。どんな困難でも立ち向かっていくさ。」
 その力強い声に、朗雄は少しだけ微笑んだ。「……まあ、やれるもんならやってみろって話だな。」そう呟いて、ジョッキを掲げる。
「じゃあ、岡村の夢に乾杯だ!」と銀次が声を張り上げ、皆がジョッキを高く掲げた。
「乾杯!」
 食堂にはまた笑い声が戻り、岡村も一緒に笑い合った。こうして夢を語った夜、彼は少しだけ自分に自信が持てた気がした。エルフリアという場所が、自分を受け入れてくれると感じたからだ。
 ベッドに戻り、くたびれた体を横たえながら、岡村は小さくつぶやく。
「ここなら、きっと……何かが始まるはずだ。」
 胸に湧き上がる期待感と共に、彼は深い眠りに落ちていった。シーン4[終]
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