自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

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【第六話:闇を抱く化け物──決死の戦いと溢れる想い】

シーン4:仲間の助け合いと一瞬の好機

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 洞窟の出口に向けて歩を進める一行は、細い通路を慎重に歩きながら、時折振り返って確認する。瘴気が消えたとはいえ、異様な空気感がまだ漂っているため、油断はできなかった。
「外に出られるって分かっても、やっぱり気が抜けねぇな」と朗雄が呟き、銀次が「まあな、さっきの化け物みたいなのがまた現れたら、一巻の終わりだ」と同意した。
 将臣は心の中で「もう、これ以上仲間を危険に晒すわけにはいかない」と決意を新たにしていたが、先ほどの戦いで自分の魔力が暴走しかけた記憶がまだ脳裏に焼き付いている。何かのきっかけでまた暴発したらどうしよう。そんな不安が胸に広がり、手が微かに震えた。
「将臣、無理すんなよ」と岡村が気づき、そっと声をかけた。「さっきの戦い、本当にすごかった。お前がいなかったら、俺たち全滅してたかもしれないんだ。だから、もっと自分を信じてもいいんじゃないか?」
「岡村……ありがとう。俺、少しは変われてるのかな」と将臣がつぶやくと、裕翔が後ろから「変わってるさ。あの時のお前なら、あんなリスクのある方法を選ばなかった。守りたいって気持ちがあったからこそ、成し遂げられたんだ」と冷静に評価した。
「守りたい……か」と将臣が口にする。その言葉の意味を、以前の自分なら本当の意味で理解していなかっただろう。仲間と共に過ごし、共に戦い抜いたことで初めて、その重さと大切さを実感している。
 狭い通路を進むと、突然先頭に立っていた基一が「待て、何かいる」と手を挙げた。全員が緊張を走らせ、音を立てないように身を潜める。しばらく耳を澄ますと、かすかに金属を引きずるような音が洞窟の奥から聞こえてきた。
「化け物か?」と孝征がささやき、基一が「いや、人の足音にも聞こえるが……」と答える。その時、裕翔が「待て、あの歩調……まさか」と目を細めた。
 しばらくすると、薄暗がりからよろよろと歩いてきたのは、ロイドだった。額に包帯を巻き、腕をかばいながら歩いている。「ロイドさん!? 無理して出てきたのか?」と岡村が駆け寄ると、ロイドはふらつきながらも「お前ら……無事だったか」と微笑んだ。
「無茶するなって言っただろ!」と朗雄が怒鳴りつつも、心の中では安堵している。ロイドが肩で息をしながら「村に戻ったけど……どうしてもお前らが心配でさ。足が勝手にこっちに向いちまった」と苦笑する。
「無茶しやがって……けど、来てくれてありがとな」と銀次が言うと、ロイドは「俺がいなくても、お前らがしっかりやり遂げてくれるって分かってた。でも……どうしても、自分の目で確かめたかったんだ」と本音を漏らした。
 将臣がその言葉を聞き、胸が熱くなる。過去にこだわってばかりだった自分を、ロイドはちゃんと見てくれていたのだと、ようやく気づいた。
「ロイドさん、俺……変われたかな?」と将臣が勇気を出して聞くと、ロイドは満足そうに笑って「変わったさ。少なくとも、昔のような焦りは感じなかった。仲間を守ろうとしていた。それが、何よりの証拠だ」と答えた。
 その言葉に、将臣は目を潤ませたが、必死にこらえた。「ありがとう……俺、もっと強くなる。みんなを守れるように。」
 朗雄が「よし、感動の再会はこれくらいにして、さっさと外に出ようぜ」と促し、全員が笑みを浮かべた。ロイドを支えながら、出口へと進む。
 ようやく洞窟の出口が見え、夕日が差し込んでいるのがわかった。黄金色の光が差し込むその先に、新たな未来が待っているような気がして、全員の表情が少しだけ和らいだ。
「俺たち、やったんだな」と岡村が言うと、矢野が「そうだな。正直、無理かと思ったけど……なんとかなった」と心底ほっとした顔を見せた。
「帰ったら、美味い飯を食おうぜ。女将さんが待ってる」と孝征が笑うと、将臣が「そうだな……俺も、堂々と報告できる気がする」と微笑んだ。
 洞窟から抜け出すと、涼しい風が頬を撫で、辺りは静寂に包まれていた。村が遠くに見え、柔らかな夕焼けが広がっている。
「無事でよかった」と基一が呟き、銀次が「帰ったら、しっかり報告と休養だ。俺たちも体力が限界だからな」と言った。
 将臣は仲間たちを見渡し、もう二度と一人で抱え込まないと決意した。どんな困難が待ち受けていようとも、仲間と共に戦う強さを手に入れた。それが今の自分にとって、何よりの誇りだった。
「さあ、帰ろう。エルフリアが待ってる」と将臣が言うと、全員が「おう!」と声を揃えた。新しい一歩を踏み出し、仲間と共に村へ戻る。その背中には、確かな成長と共に芽生えた自信が宿っていた。シーン4[終]
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