自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

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【第八話:帰還──“エルフリア”で揺れる日常】

シーン5:古代文字の再調査と新たなヒント

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 夜が深まり、宿の居酒屋スペースでは、すっかり酔っ払った冒険者たちが陽気な歌を歌っている。女将が「もういい加減にしな!」と叱り飛ばすが、彼らは全く気にしていない様子だ。そんな賑やかな空間の片隅で、岡村、孝征、基一、裕翔、銀次が集まり、先ほど回収した古代文字の金属片をテーブルに広げていた。
「まさか、あの化け物の核の一部がこんな形で残っているとはな」と岡村が感心したように眺める。基一が慎重にその金属片を観察し、メモ帳に刻まれた模様をスケッチしている。
「この紋様、やっぱり見覚えがあるな……古代遺跡で一度見かけたことがある」と基一がつぶやくと、銀次が「おいおい、マジかよ。じゃあ、あの化け物って古代の何かが原因だったってことか?」と身を乗り出す。
「多分ね。だけど、普通なら魔力が枯渇して崩壊するはずだ。これだけ鮮明に残っているのは異常だ」と基一が困惑を隠せない表情を浮かべる。
 裕翔が「もしかして、あの洞窟そのものが何らかの儀式に使われた場所だったのかもしれない」と推測すると、孝征が「でもさ、村人たちはあそこを昔からただの洞窟だって言ってたよな。誰かが意図的にあの場所を利用したってことか?」と首をかしげた。
 銀次が腕を組んで「ってことは、誰かがわざわざあんな危険な場所を儀式用に改造したってことか。趣味悪ぃな」と吐き捨てる。
「開拓地のじいさんが言ってた“魂を歪める儀式”って気になるよな」と孝征がつぶやき、裕翔は「そうだな。今回の化け物も、人や獣を融合したような形だった。何かしらの禁術かもしれない」と首を振る。
 基一は「僕の知り合いに、古代語や呪術の研究をしている学者がいる。少し距離はあるが、訪ねてみる価値はあるかもしれない」と提案。
「エルフリアを拠点に動くなら、そういった専門家のもとへみんなで行くか? それとも分担して調査したほうがいいのかな」と銀次が意見を求める。
 岡村は「よくわかんないけど、俺は行くならついてくよ。せっかく見つけた手がかりだし、変な儀式がまだどこかで続いてたら困るし」とやる気を見せる。
「でも、無闇に突っ込むのは危険だ。もっと情報を集めてから行動しよう」と裕翔が慎重に進言すると、基一も「確かに、相手がわからない以上は迂闊に動かない方がいい」と賛同する。
「そうだな。俺たち、今回は運が良かったが、次はどうなるかわからん」と銀次が渋い顔をする。そんな中、岡村が「でも、俺たちならきっと何とかできるよ」と微笑む。
「やれやれ、楽天家だな」と孝征が苦笑するが、その表情はどこか安心している。彼らの会話を少し離れた場所から聞いていた将臣は、その雰囲気に少し安堵を感じつつも、自分の力不足を改めて痛感していた。
「俺も、もっとしっかりしないと……」とつぶやくと、エリナが近づいてきて「悩んでるの?」と優しく声をかけた。
「いや、ただ、これからどう動くべきか考えてたんだ」と将臣が答えると、エリナは「私も一緒に行くわ。少しでも力になりたいから」と迷いなく言う。
 将臣は驚きながら「え、でもエリナは……」と戸惑うが、エリナは「将臣が変わったように、私も変わりたいの。あの時、あなたを支えられなかった自分が悔しくて……だから、今度こそ一緒に戦いたい」と瞳を輝かせた。
「そっか……わかった。一緒に来てくれるなら、心強いよ」と将臣が微笑むと、エリナも「ありがとう」と頷く。
 その時、ロイドがやってきて「俺も行くぜ。ほっとけるわけねぇし」と豪快に言い放ち、銀次が「お前、また怪我するんじゃねぇだろうな」とからかう。
「ふん、心配すんなって。俺だって無茶しないさ」とロイドが笑い飛ばす。将臣はその姿を見て、自分も負けられないと気持ちを引き締めた。
「じゃあ、明日は一度、学者に連絡を取ってみよう。その上でどう動くか決める」と基一がまとめ、全員が納得する。
 宿の片隅で交わされるそんな議論を、女将が聞きつけ「どうせまた危険なことするんだろうけど、あんたたちがいないと宿が寂しいんだよ」と少し拗ねたように言う。
「女将さん、俺たち、必ず戻ってきます」と岡村が宣言すると、女将は「あんたらのそういうところ、嫌いじゃないよ」と小さく笑って、夜の賑わいに戻っていった。
 こうして、まだ具体的な計画はまとまらないものの、“パッとしない”彼らが新たに調査すべき対象が生まれたことだけは確か。宿の賑やかな空気の中、彼らは心の奥で次なる冒険を模索する──。シーン5[終]
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