自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

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【第十二話:封印された扉──潜む陰謀と揺れる仲間たち】

シーン2:不審な研究員──エリナの疑念

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 救出した研究員を連れて、将臣たちはキャンプ地へ戻った。焚き火の前で疲れ切った様子の研究員が水を飲み、少しずつ落ち着きを取り戻している。博士が心配そうに「大丈夫か、何があった?」と尋ねると、研究員は震えた声で語り始めた。
「昨夜、巡回中に不審な物音がして、確認しに行ったんです。そしたら、いきなり後ろから殴られて……気づいたら、あの洞穴に閉じ込められていました」と顔を青ざめさせながら説明する。
 ロイドが「盗掘者か?」と確認すると、研究員は「はい。顔は見えなかったけど、複数人の声が聞こえました。どうやら、遺跡の内部に何か重要なものがあると考えているようでした」と答えた。
「なるほど。やっぱり遺跡を狙っている連中がいるのか」と銀次が低く唸り、岡村が「でも、研究員を狙った理由は何だろう? 普通なら護衛を襲うはずだ」と疑問を口にする。
 博士が「確かに妙だ。研究員をさらう意味がない……。何か情報を聞き出そうとしていたのか?」と首をかしげると、基一が「もしかして、封印の解除方法を知っていると思われたのでは?」と推測する。
 将臣が「でも、あの時研究員をさらう必要があったのか?」とさらに問いかけると、エリナが「その点が気になるのよね。襲われた場所って、ちょうど警備の手薄なところだったし」と冷静に分析する。
「つまり、内部の誰かがその情報を盗掘者に流した可能性が高いってことか」とロイドがまとめると、博士が「だが、我々の中に裏切り者がいるというのか?」と眉をひそめた。
 エリナが「実は、昨夜、不審な動きをしている別の研究員を見かけたんです」と打ち明けると、博士は驚きの表情を浮かべる。「それは本当か? 誰だ、その者は?」
「はっきりとは見えませんでした。でも、森の奥に向かっていたのは確かです」とエリナが説明すると、将臣が「それって、さっき救出した研究員とは別人だよね?」と確認する。
「ええ、間違いなく別人です」とエリナが言い切ると、博士は「まさか……。一体何が起きているんだ」と困惑する。
 その時、再びキャンプの外れから物音が聞こえた。銀次が「またか?」と身構え、ロイドが「一応確認してくる」と動き出す。将臣も続いてついて行こうとすると、博士が「私も行こう」と言うが、岡村が「博士はここで待機してください」と制止する。
 ロイドと将臣、エリナが音のした方向へ進むと、そこにはまたしても見慣れない影があった。草むらに隠れ、こちらの様子をうかがっているようだ。
「おい、出てこい!」とロイドが声をかけると、影は慌てて逃げ出す。「待て!」と将臣が追いかけるが、素早く茂みに消えてしまう。エリナが「こっち側に回り込む!」と別ルートを探し、ロイドも別方向から包囲を試みた。
 だが、逃げ足の速さに加え、森の地形が複雑で、あっという間に見失ってしまう。将臣が「くそ、また逃げられた」と悔しそうに拳を握りしめると、エリナが「でも確信したわ。あの動き、明らかに慣れている」と断言する。
 ロイドが「つまり、ただの研究員じゃねぇってことか」と冷静に考察すると、エリナが「おそらく、盗掘者側のスパイが紛れ込んでいるのかも」と推測する。
 将臣が「でも、どうやって証拠を掴めばいいんだ?」と困惑すると、ロイドが「次は見張りの人数を増やして、怪しい動きをしたら一網打尽にする。それで行こう」と提案した。
 キャンプ地に戻ると、博士が「どうだった?」と聞いてくる。ロイドが「また逃げられました。でも、明らかに怪しい人物が内部にいる可能性が高いです」と報告すると、博士は深刻そうに頷いた。
「まずは、不審な動きをしている者が誰かを特定しなければならない。警備を強化して、今夜は重点的に監視を行うべきだ」と博士が指示すると、岡村が「わかりました。僕たちが交代で見張ります」と引き受けた。
 基一が「それと、万が一スパイが封印解除に干渉しようとしても、こちらで制御できるように準備を整えておきましょう」と提案すると、博士が「その通りだ。レイン、結界の再強化を頼む」と命じた。
 エリナが「それにしても、不安が拭えないわね。内部に敵がいるなんて」とつぶやくと、将臣が「でも、きっと大丈夫だよ。みんながいるから、何があっても乗り越えられる」と励まし、エリナも少しだけ表情を和らげた。
 その夜、キャンプ地にはいつも以上に緊張が走っていた。各所に見張りを配置し、少しの物音でも敏感に反応できるよう準備を整えている。
「来るなら来いよ」と銀次がぼやき、ロイドも「こっちも準備万端だぜ」と手入れした剣を握りしめた。
 月明かりの下で、静寂の中にも緊迫感が漂う。敵が現れるのはいつか。内部の裏切り者が何を狙っているのか。冒険者たちは息を潜め、夜の帳が降りるのを待ち続けた。シーン2[終]
 ☆

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