自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

文字の大きさ
60 / 146
【第十二話:封印された扉──潜む陰謀と揺れる仲間たち】

シーン4:仮解除の試みとトラブル

しおりを挟む
 裏切り者である研究員が自白し、盗掘者が遺跡の封印を狙っていることが判明したが、問題はまだ解決していなかった。ラドクリフ博士は研究員の話を聞き終えた後、深いため息をつきながら静かに語りかけた。
「家族が人質に取られているなら、なおさら封印を解除してはならない。彼らの狙いが何であれ、術式を解放すれば、この地そのものが危険にさらされる」
 研究員は顔を伏せたまま「すみません……自分が弱かったせいで」と震える声で謝罪を繰り返す。エリナが「事情はわかったけど、もっと早く話してくれたら対策できたのに」とため息をつくと、将臣が「でも、盗掘者が背後にいる以上、今はどう対処するかを考えた方がいい」とフォローした。
 博士が「一つ提案がある」と言って全員の視線を集めた。「封印の一部だけを仮解除し、内部の魔力をわずかに解放して様子を見よう。それなら、完全解除のリスクを避けつつ、扉の奥に何が潜んでいるかも確認できるかもしれない」
 ロイドが「つまり、爆発しないように少しだけ開けるってことか? そんな器用なことできるのか?」と疑問を投げかけると、博士は「可能性としては五分五分だ。ただ、扉全体の魔力流動をコントロールできれば、わずかに隙間を開けることはできる」と自信を見せた。
 基一が「そのためには金属片の角度や力加減が重要ですね」と指摘すると、博士は「そうだ。私が魔力流動を制御し、君たちは外部からの干渉がないよう見張りを頼む」と言った。
 銀次が「よし、万が一盗掘者が邪魔しにきても、俺たちがぶっ飛ばしてやる」と拳を握り、岡村も「博士が集中できる環境を作りましょう」と決意を固めた。
 そして、夕方になり、再び遺跡の扉前へと向かった。博士が慎重に金属片を円盤にはめ込み、魔力を少しずつ流し込む。将臣が隣で魔力の流れを見張り、基一が反応を数値化している。
「共鳴が始まった……しかし、反応が安定しない」と博士が眉をひそめた。ロイドが「無理に進めるなよ」と警告すると、博士は「大丈夫だ、少しずつ調整する」と言って集中を続ける。
 その時、遠くから「博士!」とレインが駆け寄ってきた。「見張りの一人が襲われました! 盗掘者が現れたようです!」と焦りながら報告する。
「くそ、やっぱり動きやがったか」と銀次が舌打ちし、岡村が「みんな、博士を守りながら迎え撃つぞ!」と叫んだ。ロイドが剣を抜き、エリナも盾を構える。
 茂みの奥から数人の盗掘者が姿を現し、手には武器を構えている。「てめぇらが封印を開けようとしてるんだな! そっちが手こずってるなら、俺たちがやってやる!」とリーダー格の男がニヤリと笑った。
「ふざけるな! 封印は俺たちが守る!」と将臣が怒りを込めて叫ぶと、男は「おもしれぇ、だったら力づくで排除してやる」と斧を振りかざして突進してきた。
 ロイドが剣を構え、一閃で男の武器を弾き飛ばす。「こっちは本職の冒険者だぜ。なめんなよ」と冷ややかに言い放つと、他の盗掘者たちが怯んだ。
 だが、リーダー格の男は「チッ、強ぇな……。だが、俺たちにはまだ奥の手がある!」と叫ぶと、背後からさらに増援が現れた。銀次が「数が多すぎる……」と苦笑しながらもナイフを握り直す。
 その時、封印の扉が低くうなる音を立てた。「待て、共鳴が暴走している!」と博士が叫ぶが、盗掘者の一人が扉に触れた途端、衝撃波が発生し、彼は吹き飛ばされて岩壁に激突した。
「触るなと言っただろう!」と博士が怒鳴るが、盗掘者たちは「くそっ、何なんだこの扉は!」と混乱している。将臣が「このままじゃ暴発するかも!」と叫ぶと、基一が「博士、魔力を遮断してください!」と指示を飛ばした。
 博士が急いで魔力流入を停止し、共鳴の収束を図る。「まだだ、もう少しで制御できる……」と集中していると、ロイドが背後から忍び寄る敵を一刀両断にして制圧した。
「みんな、もう少し持ちこたえてくれ!」と博士が叫び、岡村が「了解!」と返事をしながら、エリナと共に盗掘者たちを抑え続けた。
 やがて、扉の共鳴が次第に落ち着き、博士が「よし……なんとか抑え込んだ」と息をついた。盗掘者たちは混乱しながらも「撤退だ!」と叫び、森の奥へと逃げ去っていった。
「無茶しやがって……」とロイドが剣を収め、将臣が「でも、なんとか守れたみたいだね」と安堵する。博士が「まったく、無謀なことを……もし私たちが制御していなかったら、全員吹き飛んでいただろう」と疲れた顔で呟いた。
 銀次が「まぁ、とりあえずは一件落着か」と肩をすくめ、エリナが「でも、まだ問題は山積みよ」と警戒を緩めない。
 博士が「遺跡の扉が反応しやすくなっている。これからも警戒が必要だ」と言い、岡村たちは改めて気を引き締めた。
 こうして、仮解除の試みと盗掘者との戦いはひとまず終わったが、封印の真相はまだ明らかになっていない。不穏な空気が漂う中、再びキャンプ地へと戻る一行。その背後で、封印の扉は微かに鈍い光を放っていた。シーン4[終]
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...