自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

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【第二十二話:エルフリアへの帰還──再び始まる日常と変化】

シーン1:帰り道での小さなトラブル

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 エルフリアへの道中、冒険者たちはゆっくりと歩みを進めていた。山道を抜け、森の中を通り、日が高くなる頃には平原が広がっていた。将臣が「ようやく帰り道も半分くらいか?」と汗を拭いながら言うと、エリナが「そうね。でも、油断は禁物よ」と少し警戒した表情を見せた。
 ロイドが弓を背負い直しながら「この辺り、魔物がよく出るって噂だしな。気を引き締めていこう」と言うと、朗雄が「何かあっても、今の俺たちなら大丈夫だろ」と自信ありげに言った。
 その時、草むらからガサガサと音がし、将臣が「おっ、来たか?」と身構える。現れたのは、一匹のウリボウだった。将臣が「なんだ、ただの猪か」と安堵し、ロイドが「危なっかしい顔してるけど、ただの子供だな」と笑う。
「もしかして親が近くにいるのかもしれないわね」とエリナが警戒すると、その直後、茂みからさらに大きな影が現れた。雄々しい体躯を持った成獣のイノシシだ。将臣が「でけぇ!」と叫ぶと、銀次が「やべぇ、突っ込んでくるぞ!」と警告した。
 イノシシは威嚇のためか、鼻を鳴らして地面を掘り返している。将臣が「ここは俺に任せとけ!」と前に出たが、エリナが「ちょっと待って! 火を使ったら森が燃えるわ!」と止めた。
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ!」と焦る将臣に、ロイドが「落ち着け、あのイノシシ、子供を守るために威嚇してるだけだ」と観察眼を働かせた。
「確かに、子供を連れて逃げる隙を探しているみたいだ」と基一が冷静に分析し、岡村が「下手に刺激しないで、ゆっくり後退しよう」と指示した。将臣が「俺が無駄に威嚇しちまったか」と反省すると、エリナが「だから言ったでしょ」とため息をついた。
 一歩ずつ後退していくと、イノシシはやがて警戒を解き、子供を連れて森の奥へと戻っていった。将臣が「ふぅ、なんとか無事か」と胸を撫で下ろし、ロイドが「無駄に戦う必要はないってことだな」と笑った。
「将臣、次はもっと状況を見てから動こうね」とエリナが優しく注意し、将臣が「分かってるって」と少し恥ずかしそうに応えた。銀次が「お前が一番先走るから、周りがヒヤヒヤしてんだよ」と茶化すと、将臣が「うるせぇ!」と拗ねる。
 孝征が「でも、こうして少しずつでも冷静に対処できるようになってきたんじゃないですか?」とフォローし、岡村が「まあ、将臣が前に出てくれるから、俺たちも安心できる部分はあるけどな」と肩を叩いた。
「俺がもっと強くなって、みんなを守れるようにする。そうすりゃ、こんな小さなトラブルで慌てることもないだろ」と将臣が言うと、エリナが「その心構えはいいわね」と微笑んだ。
 しばらく歩き続けると、また道端に咲く野花を見つけたエリナが「懐かしいわね。この花、エルフリアの近くでもよく見かけたわ」と話しかける。ロイドが「確か、女将さんが宿の花瓶に生けてたやつだ」と思い出し、朗雄が「もうすぐ帰れるってことか」としみじみと呟いた。
「やっぱり帰る場所があるっていいよな」と将臣が言うと、ロイドが「俺たちの根城だからな。女将さんが待ってるし、他の連中にも土産話ができる」と笑う。
 銀次が「帰ったら、宿代溜まってるんじゃねぇの?」と冗談めかして言うと、エリナが「確かに……ちゃんと払えるかしら?」と少し不安そうに言った。
「その時はまた依頼を受ければいいだろ」と岡村がさらりと言うと、基一が「でも、また遺跡探索みたいな無茶な依頼は勘弁です」と真顔で言い、全員が笑い声を上げた。
 こうして、無事に小さなトラブルを乗り越えた仲間たちは、少しずつエルフリアへの距離を縮めていく。森を抜け、町が近づくにつれて足取りも軽くなり、旅の疲れを吹き飛ばすように笑い合いながら進んだ。
「次は宿で腹いっぱい食って、思いっきり寝るぞ!」と将臣が高らかに宣言し、エリナが「本当に食いしん坊なんだから」と笑う。ロイドが「まあ、それが将臣らしくていいけどな」と冗談を言いながら歩き続けた。
 久々に味わう平和な時間と、仲間たちと笑い合えるこの瞬間が、彼らにとって最高の報酬だった。夜空が近づき、星が輝き始める中、冒険者たちは無事の帰還を胸に誇りながら、一歩一歩エルフリアへと進んでいった。シーン1[終]
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