自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

文字の大きさ
126 / 146
【第二十五話:葛藤と打ち明け話──仲間の本音が交差する夜】

シーン5:チームの再確認と明日の方向

しおりを挟む
 夜が更け、エルフリアの宿の一室では、岡村を中心に全員が集まっていた。部屋の中央に置かれたテーブルには、地図や装備リストが広げられており、ランプの温かな光が揺れている。岡村が「さて、みんなそれぞれの考えを聞いたけど、結局どうするか、今夜中に決めたい」と話し始めた。
 将臣が「まぁ、話し合った結果、俺たちは専属にはならねぇってことで意見が一致したけどな」と胸を張ると、ロイドが「でも、領主にはどう伝えるかが問題だ。断り方を間違えると、後々厄介になる」と慎重に言った。
 エリナが「でも、協力関係を提案すれば、領主も無理に引き留めたりしないんじゃないかしら」と意見を述べると、基一が「確かに、彼も無理強いするつもりはなさそうでしたね。私たちがエルフリアを拠点にしている限り、協力できる場面は多いですし」と分析した。
 銀次が「じゃあさ、いざという時には助けるって約束しておけば、専属じゃなくてもいいってことだよな」と少し楽観的に言うと、孝征が「それなら、こっちの自由も確保できますし、領主も納得してくれるかもしれません」とうなずいた。
 岡村が「問題は、山岳地帯の護衛をどう進めるかだ。デュークたちとは一応共闘の話がまとまってるけど、現地での指揮はどうする?」と問いかけると、ロイドが「それはデュークがやるべきだろう。あいつがリーダーとして経験豊富だし、俺たちはあくまでサポートに回るべきだ」と即答した。
 将臣が「おいおい、あいつの指揮に従うってのは気が引けるが、確かに仕切りはうまいしな」と不満げに言いながらも納得している様子だ。
「じゃあ、戦闘中の役割分担も決めておこう。俺と将臣は前線で、火力と物理攻撃を担当する。ロイドは飛行魔物対策で、エリナと基一は支援。銀次と孝征が罠や補給管理を担当する」と岡村が手際よく割り振り、全員がそれぞれの役割を確認する。
 朗雄が「俺は怪我が完治してないから、後方支援に回るが、それでも必要な時は前に出る」と言うと、将臣が「無理すんなよ。腕がやばくなったらすぐ引っ込め」と釘を刺した。
「まぁ、俺はサポートがメインだが、デュークたちが前線に出るなら、それに合わせて行動すればいい」と朗雄が冷静に考えている。
「デュークたちの方針としては、採掘班の護衛を優先するらしい。だから、偵察と戦闘班は俺たちが中心に動くべきだ」とロイドが補足すると、エリナが「それなら、飛行魔物を引きつける役が必要ね。私が風魔法で誘導して、ロイドが弓で落とす形にしましょう」と提案する。
「それ、いいな。俺は火で地上の魔物を一掃する役だ」と将臣が気合を入れ、銀次が「罠をうまく使って、できるだけ戦闘を減らす工夫もしとくぜ」と笑った。
 岡村が「それじゃ、これで行こう。あとは現地での状況に応じて柔軟に対応する」と決め、全員が納得した。
「領主には、明日正式に話をつけよう。協力はするが、専属にはならないってことで」と岡村が締めくくり、基一が「そのための言い回しも考えておきます」と控えめにメモを取り出した。
 将臣が「よし、これで準備万端だな。久しぶりにでっかい仕事が来るって感じだ」と胸を叩き、ロイドが「油断するなよ。山岳地帯は甘くない」と苦笑した。
 銀次が「でもさ、俺たち、昔と比べたらけっこう成長したよな」と呟き、孝征が「確かに、こうやって全員で作戦を立てられるのも、経験を積んだからですよね」と同意する。
 岡村が「それだけ、俺たちが仲間としてまとまってきたってことだな」と笑顔を見せると、エリナが「私も、昔のパーティではこんな風に話し合うことが少なかったから、正直嬉しい」と静かに言った。
 将臣が「まぁ、デュークたちとも上手くやっていけるだろ。あいつらも昔と違って柔らかくなったしな」と楽観的に言い、ロイドが「それが逆に不安だけどな」と少し不安げに返した。
 最後に岡村が「じゃあ、今日はもう寝よう。明日は早いし、ちゃんと休まないと」と言い、全員が部屋に散っていった。
 夜のエルフリアは静まり返り、かすかな風の音が窓枠を揺らしている。仲間たちの心が一つにまとまりつつある中、明日から始まる新たな冒険への期待と不安が交錯していた。それでも、彼らの胸には、信頼という確かな絆がしっかりと根付いていた。
 朝が来れば、選択の時が訪れる。それまでの束の間、彼らはそれぞれの決意を胸に静かに眠りについた。シーン5[終]
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...