自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

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【第二十七話:最終決断──“パッとしない”仲間たちの新たな旅立ち】

シーン1:宿のロビーでの大集結

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 深夜のエルフリアは静寂に包まれていた。他の宿泊客が眠りにつき、廊下にはかすかな足音と風の音だけが響く中、ロビーの灯りがぼんやりと揺れている。カウンターの奥で女将が腕を組んで佇んでいると、岡村が小さく頭を下げながらやってきた。
「みんな、集まってる?」
  「えぇ、あんたが声かけたら、みんな素直に集まってきたよ。ロイドたちも、デュークたちもね」
  女将は少し呆れたように言ったが、その目にはどこか温かみがあった。
 ロビーに入ると、そこには見慣れた仲間たちと、少し緊張した面持ちのデュークとその仲間たちが座っていた。領主の使者も端の椅子に控えめに座っている。
「こんなに大勢で話し合うのも久々だな…」
  ロイドがぽつりと言うと、エリナが隣で頷き、「でも、それだけ大事な話だからね」と声をかけた。
「さてと、そろそろ本題に入るか」
  先に口を開いたのは将臣だった。彼は少し険しい顔で、仲間たちの顔を順に見回す。
「俺たちは色々悩んだ。でも、結局、自分たちのやりたいことを優先しようって話になったんだ」
  将臣の言葉に、岡村が静かに続けた。
「領主の専属になるって話、正直ありがたい。でも、俺たちはもっと自由でいたいんだ。エルフリアを守るために力を貸すけど、完全に縛られるのは違うと思ってる」
  その言葉に、領主の使者は眉をひそめたが、無理に否定する様子もなく、ただ静かに耳を傾けている。
「自由を選ぶ、か…」
  デュークが小さく呟き、その瞳にはかすかな憂いが宿っていた。
「俺は、もっと魔法の腕を磨きたい。だから、山岳地帯でデュークたちと共闘して、実戦経験を積むつもりだ。でも、専属にはならねぇ。俺のやり方で強くなりたいからな」
  将臣が堂々と胸を張ると、エリナもそれに続いた。
「私も…ずっと悩んでた。でも、過去を清算するために、自分が変わらなきゃって思ったの。だから、デュークたちともう一度大仕事を成し遂げて、強くなりたい」
  その言葉に、ロイドも深く息を吐き出しながら言った。
「俺も同じだ。デュークともう一度やるなんて、考えもしなかったけど…あいつが変わったって信じたい。俺自身も、昔と違うって証明したいんだ」
  ロイドが視線を合わせると、デュークが一瞬だけ視線を逸らし、照れくさそうに笑った。
「ふん、あんたたちがそう言うなら、俺も覚悟を決めるしかねぇな。俺が変わったかどうかは、お前らが判断しろよ」
  その言葉にエリナが苦笑し、「素直じゃないわね」と呟いた。
 次に、孝征が意を決したように口を開いた。
「俺たちは、やっぱり自由に動きたいんです。領主の専属になると、自分たちのペースで成長できなくなる気がして…だから、今はもっといろんな場所を見て回りたい」
  銀次が「おう、俺もだ。好き勝手やってなんぼだろ、冒険者ってのは」とニヤリと笑うと、基一が「私も研究を続けたいので、縛りがあるのは困りますね」と淡々と言った。
「それに、仲間と一緒にいられるなら、どこだって構わないしな!」
  裕翔が明るく笑うと、朗雄も「まぁ、腕を完治させてから改めて考えたい。今は無理せずリハビリだ」と軽く肩をすくめた。
 岡村が「それで、俺たちはフリーでやっていくつもりだ。エルフリアを拠点にして、助けが必要ならいつでも戻ってくる。これが、俺たちの答えだ」と締めくくった。
 領主の使者は深々と頭を下げ、「わかりました。では、領主にはそのように報告させていただきます」と、少し寂しそうに微笑んだ。
 デュークは椅子から立ち上がり、少し硬い声で言った。
  「お前らがそう決めたなら、俺も納得だ。山岳地帯の大仕事、しっかり俺に付いてこいよ」
  「上から目線だな」とロイドが少し呆れた声で返すと、デュークが「何か言ったか?」と挑発的に言い、将臣が「喧嘩すんなって」と止めに入った。
 女将がカウンター越しに「まぁ、若いもん同士、やり合って決めな」と声をかけ、全員が一瞬笑った。
 こうして、仲間たちはそれぞれの道を決め、同時に互いの思いを確かめ合った。ロビーの暖かな灯りが彼らを包み込み、静かな夜は確かに、仲間たちの未来を照らしていた。
  シーン1[終]
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