自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

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【第二十七話:最終決断──“パッとしない”仲間たちの新たな旅立ち】

シーン2:個々の意思表明

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 ロビーの雰囲気が少し和らぎ、各々が決意を語り合ったことで空気が柔らかくなった。
  岡村が「じゃあ、せっかくだし、みんなそれぞれの気持ちをもう一回ちゃんと話してみようか」と提案すると、全員が頷いた。
 まずは朗雄が口を開いた。
  「腕の怪我はまだ完治してないが、デュークたちが行く山岳地帯の護衛はかなりハードだろう。専属契約も考えたが…俺は一度しっかり治療してから身の振りを決めたい。だから一時的にチームを離れ、近くの治療院に通ってリハビリする」
  予想外の発言に、皆が少し驚きつつも、朗雄が本気で腕を治すことを優先すると決めたのだと理解した。
「朗雄がちゃんと治療するなら、それが一番だな」と将臣が言うと、朗雄が「まぁ、俺が動けなくなったらみんな困るだろ」と不器用に笑った。
 次に、将臣が前に出た。
  「俺はもっと魔法の腕を磨きたいから、可能なら北の山岳地帯での実戦経験を積みたい。だけど領主の契約は断る。この自由を捨てたくないから。だから山岳に行くならデュークたちと共闘するよ」
  その言葉に、エリナやロイドが「私たちと同じ考えね」と目を見合わせた。
 エリナが少し考え込んだ後、決意を固めた表情で言った。
  「私もデュークたちと一緒に大仕事を成し遂げて、過去の自分にケリをつけたい。ずっとこのチームの皆にも感謝してるけど、今はそこに挑戦するのが私にとって正解だと思う」
  デュークは無言で頷き、ロイドを横目で見る。
 ロイドは一瞬目を伏せてから、ゆっくりと言葉を選んだ。
  「俺は…実は一番迷ってた。デュークと一緒にやるなんて思いもしなかったけど、エリナが言う通り過去を清算したい気持ちがある。だから、俺も山岳地帯行きに参加させてもらう。ただし、昔みたいに従属するつもりはない。対等にやろう」
  デュークは“対等”という言葉に少しだけ眉を動かし、「いいだろう」と応じた。
 続いて、孝征が皆の前に立った。
  「実は俺たち、ちょっと探検というか、自由な冒険を続けたい気持ちが強いんだ。領主の専属契約は縛りが大きそうだし、山岳地帯も長期拘束されそう。だから、別の小さな依頼を転々としながら技術を磨きたい。いつかまた封印にも関われるかもしれないし」
  その意見に、将臣やエリナは少し残念そうだが、「でも、その道もアリだね」と理解を示した。
 最後に、みんなの視線が岡村へ集中した。
  「じゃあ、岡村はどうする?」
  岡村は静かに言葉を選ぶ。
  「領主の契約は悪くない話だけど、俺はやっぱり自由に動いて世界を見たいし、一度きりの人生を思い切り楽しみたい。山岳地帯も興味あるし、デュークたちとも組めばまた大きな冒険ができそう。でも、孝征や銀次たちともフリーに旅するのも面白そうだし……」
  しばらく沈黙が流れた後、岡村は照れ笑い。
  「ごめん、みんな。それぞれが自分の道を行くのが一番じゃないかな。僕は…しばらく孝征たちと一緒にフリーで小さな依頼を回りたい。いつかまた再会したら、お互い成長してるといいよね」
 その瞬間、女将が「まったく、あんたたちは本当に気ままな奴らだねぇ。でも、それがあんたたちらしいさ」と、微笑みながら肩をすくめた。
  「まぁ、みんなの意思が固まったなら、しっかり準備して行きな。戻ってきたときは、ちゃんと報告するんだよ」と軽く叱るように言うが、その目は優しさに満ちている。
 デュークは「結局、またバラバラか」と少し呆れたように言ったが、ロイドが「でも、また会うために強くなる。それでいいだろ」と返すと、デュークも「ふん、ま、そうだな」と納得したように笑った。
 ロビーの空気は、少しずつほぐれていき、全員が笑い合う。
  岡村が「よし、じゃあ明日からそれぞれの道に進むってことで」と宣言し、全員が深く頷いた。
 エルフリアのロビーに響く仲間たちの声。深夜の静けさの中で、その笑顔が強く輝いていた。
  シーン2[終]
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