128 / 146
【第二十七話:最終決断──“パッとしない”仲間たちの新たな旅立ち】
シーン2:個々の意思表明
しおりを挟む
ロビーの雰囲気が少し和らぎ、各々が決意を語り合ったことで空気が柔らかくなった。
岡村が「じゃあ、せっかくだし、みんなそれぞれの気持ちをもう一回ちゃんと話してみようか」と提案すると、全員が頷いた。
まずは朗雄が口を開いた。
「腕の怪我はまだ完治してないが、デュークたちが行く山岳地帯の護衛はかなりハードだろう。専属契約も考えたが…俺は一度しっかり治療してから身の振りを決めたい。だから一時的にチームを離れ、近くの治療院に通ってリハビリする」
予想外の発言に、皆が少し驚きつつも、朗雄が本気で腕を治すことを優先すると決めたのだと理解した。
「朗雄がちゃんと治療するなら、それが一番だな」と将臣が言うと、朗雄が「まぁ、俺が動けなくなったらみんな困るだろ」と不器用に笑った。
次に、将臣が前に出た。
「俺はもっと魔法の腕を磨きたいから、可能なら北の山岳地帯での実戦経験を積みたい。だけど領主の契約は断る。この自由を捨てたくないから。だから山岳に行くならデュークたちと共闘するよ」
その言葉に、エリナやロイドが「私たちと同じ考えね」と目を見合わせた。
エリナが少し考え込んだ後、決意を固めた表情で言った。
「私もデュークたちと一緒に大仕事を成し遂げて、過去の自分にケリをつけたい。ずっとこのチームの皆にも感謝してるけど、今はそこに挑戦するのが私にとって正解だと思う」
デュークは無言で頷き、ロイドを横目で見る。
ロイドは一瞬目を伏せてから、ゆっくりと言葉を選んだ。
「俺は…実は一番迷ってた。デュークと一緒にやるなんて思いもしなかったけど、エリナが言う通り過去を清算したい気持ちがある。だから、俺も山岳地帯行きに参加させてもらう。ただし、昔みたいに従属するつもりはない。対等にやろう」
デュークは“対等”という言葉に少しだけ眉を動かし、「いいだろう」と応じた。
続いて、孝征が皆の前に立った。
「実は俺たち、ちょっと探検というか、自由な冒険を続けたい気持ちが強いんだ。領主の専属契約は縛りが大きそうだし、山岳地帯も長期拘束されそう。だから、別の小さな依頼を転々としながら技術を磨きたい。いつかまた封印にも関われるかもしれないし」
その意見に、将臣やエリナは少し残念そうだが、「でも、その道もアリだね」と理解を示した。
最後に、みんなの視線が岡村へ集中した。
「じゃあ、岡村はどうする?」
岡村は静かに言葉を選ぶ。
「領主の契約は悪くない話だけど、俺はやっぱり自由に動いて世界を見たいし、一度きりの人生を思い切り楽しみたい。山岳地帯も興味あるし、デュークたちとも組めばまた大きな冒険ができそう。でも、孝征や銀次たちともフリーに旅するのも面白そうだし……」
しばらく沈黙が流れた後、岡村は照れ笑い。
「ごめん、みんな。それぞれが自分の道を行くのが一番じゃないかな。僕は…しばらく孝征たちと一緒にフリーで小さな依頼を回りたい。いつかまた再会したら、お互い成長してるといいよね」
その瞬間、女将が「まったく、あんたたちは本当に気ままな奴らだねぇ。でも、それがあんたたちらしいさ」と、微笑みながら肩をすくめた。
「まぁ、みんなの意思が固まったなら、しっかり準備して行きな。戻ってきたときは、ちゃんと報告するんだよ」と軽く叱るように言うが、その目は優しさに満ちている。
デュークは「結局、またバラバラか」と少し呆れたように言ったが、ロイドが「でも、また会うために強くなる。それでいいだろ」と返すと、デュークも「ふん、ま、そうだな」と納得したように笑った。
ロビーの空気は、少しずつほぐれていき、全員が笑い合う。
岡村が「よし、じゃあ明日からそれぞれの道に進むってことで」と宣言し、全員が深く頷いた。
エルフリアのロビーに響く仲間たちの声。深夜の静けさの中で、その笑顔が強く輝いていた。
シーン2[終]
岡村が「じゃあ、せっかくだし、みんなそれぞれの気持ちをもう一回ちゃんと話してみようか」と提案すると、全員が頷いた。
まずは朗雄が口を開いた。
「腕の怪我はまだ完治してないが、デュークたちが行く山岳地帯の護衛はかなりハードだろう。専属契約も考えたが…俺は一度しっかり治療してから身の振りを決めたい。だから一時的にチームを離れ、近くの治療院に通ってリハビリする」
予想外の発言に、皆が少し驚きつつも、朗雄が本気で腕を治すことを優先すると決めたのだと理解した。
「朗雄がちゃんと治療するなら、それが一番だな」と将臣が言うと、朗雄が「まぁ、俺が動けなくなったらみんな困るだろ」と不器用に笑った。
次に、将臣が前に出た。
「俺はもっと魔法の腕を磨きたいから、可能なら北の山岳地帯での実戦経験を積みたい。だけど領主の契約は断る。この自由を捨てたくないから。だから山岳に行くならデュークたちと共闘するよ」
その言葉に、エリナやロイドが「私たちと同じ考えね」と目を見合わせた。
エリナが少し考え込んだ後、決意を固めた表情で言った。
「私もデュークたちと一緒に大仕事を成し遂げて、過去の自分にケリをつけたい。ずっとこのチームの皆にも感謝してるけど、今はそこに挑戦するのが私にとって正解だと思う」
デュークは無言で頷き、ロイドを横目で見る。
ロイドは一瞬目を伏せてから、ゆっくりと言葉を選んだ。
「俺は…実は一番迷ってた。デュークと一緒にやるなんて思いもしなかったけど、エリナが言う通り過去を清算したい気持ちがある。だから、俺も山岳地帯行きに参加させてもらう。ただし、昔みたいに従属するつもりはない。対等にやろう」
デュークは“対等”という言葉に少しだけ眉を動かし、「いいだろう」と応じた。
続いて、孝征が皆の前に立った。
「実は俺たち、ちょっと探検というか、自由な冒険を続けたい気持ちが強いんだ。領主の専属契約は縛りが大きそうだし、山岳地帯も長期拘束されそう。だから、別の小さな依頼を転々としながら技術を磨きたい。いつかまた封印にも関われるかもしれないし」
その意見に、将臣やエリナは少し残念そうだが、「でも、その道もアリだね」と理解を示した。
最後に、みんなの視線が岡村へ集中した。
「じゃあ、岡村はどうする?」
岡村は静かに言葉を選ぶ。
「領主の契約は悪くない話だけど、俺はやっぱり自由に動いて世界を見たいし、一度きりの人生を思い切り楽しみたい。山岳地帯も興味あるし、デュークたちとも組めばまた大きな冒険ができそう。でも、孝征や銀次たちともフリーに旅するのも面白そうだし……」
しばらく沈黙が流れた後、岡村は照れ笑い。
「ごめん、みんな。それぞれが自分の道を行くのが一番じゃないかな。僕は…しばらく孝征たちと一緒にフリーで小さな依頼を回りたい。いつかまた再会したら、お互い成長してるといいよね」
その瞬間、女将が「まったく、あんたたちは本当に気ままな奴らだねぇ。でも、それがあんたたちらしいさ」と、微笑みながら肩をすくめた。
「まぁ、みんなの意思が固まったなら、しっかり準備して行きな。戻ってきたときは、ちゃんと報告するんだよ」と軽く叱るように言うが、その目は優しさに満ちている。
デュークは「結局、またバラバラか」と少し呆れたように言ったが、ロイドが「でも、また会うために強くなる。それでいいだろ」と返すと、デュークも「ふん、ま、そうだな」と納得したように笑った。
ロビーの空気は、少しずつほぐれていき、全員が笑い合う。
岡村が「よし、じゃあ明日からそれぞれの道に進むってことで」と宣言し、全員が深く頷いた。
エルフリアのロビーに響く仲間たちの声。深夜の静けさの中で、その笑顔が強く輝いていた。
シーン2[終]
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる