自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

文字の大きさ
146 / 146
【第三十話:そして、それぞれの旅路へ──“パッとしない”彼らの未来】

シーン5:未来へ続く物語

しおりを挟む
 山岳地帯での激闘を制した将臣たちは、しばらく現地で護衛任務を続けていたが、採掘拠点が安定したことで、ついにエルフリアへと戻る日がやってきた。
  デュークとその仲間たちは、商会の護衛として引き続き山岳地帯に残ることになり、宿の仲間たちとはここで一旦別れることになった。
「本当にここでいいのか?」と将臣が確認すると、デュークが「俺たちにはまだやるべきことがある。この地を安全にしてからじゃないと帰れない」と力強く言った。
  ロイドが「お前たちらしいな。でも、無茶するなよ」と言うと、デュークが「そのセリフはそのまま返す」と笑った。
  エリナが「デュークがそんなに落ち着いているなんて、ちょっと驚きね」と冗談交じりに言うと、デュークが「お前たちがいたからだ」と素直に答え、将臣が「ま、素直になったもんだな」と笑う。
 デュークの仲間であるフレッドが、「リーダーがあんたたちを認めたんだ。俺たちも、前ほど偏見を持たなくなったさ」と軽く笑う。
  「最初はどうなるかと思ったけど、やっぱり一緒に戦って分かり合えたって感じだな」とロイドが言うと、エリナが「私も、デュークと協力して戦えるなんて思わなかった」と同意する。
  デュークが「これからも、俺はここでしっかり守っていく。お前たちは、お前たちの道を行け」と背を向け、剣を背負い直した。
「それじゃあ、またな!」と将臣が拳を突き上げ、ロイドとエリナもそれに応えた。
  山岳地帯を背に、将臣たちはエルフリアへの帰路につく。
  道中、エリナが「ようやく帰れるわね」と安堵の表情を見せ、ロイドが「思ったより長かったな。山岳地帯での戦いは、予想以上にきつかった」と振り返る。
  「でも、あのデュークが変わるとは思わなかったな」と将臣が感心し、エリナが「きっと、ロイドが変わったからじゃない?」と微笑む。
「俺が変わった…か。でも、あのままじゃダメだって分かったからな」とロイドが遠くを見つめて言うと、将臣が「いいじゃねぇか。それが成長ってもんだろ」と軽く肩を叩いた。
  「そうかもな」とロイドが照れ臭そうに笑うと、エリナが「私も、もっと自分の弱さを受け入れようと思ったの」と静かに言った。
  「エリナ、お前も無理して強がらなくていいんだ。俺たちはもう、ただの仲間じゃなくて信頼できる相棒だろ?」と将臣が言うと、エリナが少し驚いた顔をした後、「うん、そうね」と頷いた。
 エルフリアに近づくにつれて、自然と足取りが軽くなる。
  宿の近くまで来ると、朗雄が手を振って待っていた。
  「おう、やっと帰ってきたか!待ちくたびれたぜ」と豪快に笑い、将臣が「お前、腕は大丈夫なのか?」と尋ねると、朗雄が「おう、まだ本調子じゃねぇけど、動けるようにはなった」と誇らしげに言った。
  「無理するなよ。治りかけでまた怪我したら、今度こそ女将に怒られるぞ」とロイドが忠告すると、朗雄が「それはご勘弁だ」と苦笑する。
 宿に入ると、女将が「おかえり!無事でよかったねぇ」と満面の笑みで迎えてくれた。
  「やっと戻ってきたぜ。山岳地帯はもう平和になったから安心してくれ」と将臣が報告すると、女将が「それは良かった。でも、またどこかで無茶してくるんじゃないだろうね?」とジロリと睨む。
  「そ、そんなことないさ」と将臣が焦ると、ロイドが「まぁ、いつものことです」と肩をすくめ、女将が「アンタたちには困ったもんだよ」と呆れたように笑った。
 その夜、宿では小さな宴が開かれ、戻ってきた仲間たちを囲んで酒が振る舞われた。
  「やっぱりここが一番落ち着くな」と将臣がジョッキを掲げると、エリナが「ふふ、やっぱり酒目当てだったのね」とからかう。
  ロイドが「でも、こうしてまた集まれるのはいいことだ」と感慨深げに言うと、朗雄が「お前たちが無事に帰ってきたおかげだよ」としみじみ語った。
「これからどうするんだ?」と将臣が尋ねると、ロイドが「しばらくはエルフリアを拠点にしながら、また依頼を受けていこうと思う」と答えた。
  エリナが「私も同じ。デュークたちが山岳地帯を守ってくれるから、ここで新しいスタートを切るのがいいと思う」と賛成する。
  朗雄が「俺も少しずつ体を慣らしながら、また戦えるようにするさ」と意気込むと、女将が「無茶しないでね」と釘を刺した。
 エルフリアの夜が更け、満月が窓から差し込む。
  将臣が「ま、これからも俺たちらしくやっていこうぜ」と笑い、全員がそれぞれの道を胸に描きながらジョッキを合わせた。
  「いつかまた、みんなで大きな仕事をしよう。その時には、もっと強くなってるからな」とロイドが宣言し、仲間たちは笑顔で同意した。
  エルフリアの宿には、再び笑い声と温かさが溢れていた。
  シーン5[終]
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...