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第十八話「書類不備と秒単位リカバリ」
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十月二十二日、鎌倉市役所・市民活動推進課。
灰色のタイル張りの建物の一室で、受付の女性が目を伏せて書類を読み返していた。
「……すみません、こちら、出展予定の団体名が正式名称と異なっています。あと、保険証書のコピーが添付されていませんね」
淡々とした指摘に、結月の手がわずかに震えた。
「そう、ですか……」
隣にいた紗織は、すぐにスマホを取り出し、時間を確認する。
現在、午後三時十二分。
提出締切は、三時三十分。残り十八分。
「行ける、よね……?」
「秒単位で動けば!」
紗織が鞄から紙ファイルを取り出し、先週の保険会社とのやり取りの控えを探す。
「写メなら……! あった!」
「団体名の件、訂正印で直せませんか?」
結月がすぐに交渉に入る。
「通常は再提出ですが……今回初出展で初年度ということで、修正対応にしましょう。ただし、記録のため、理由書を添付してください」
「書きます!」
結月は即座に鞄から便箋を取り出し、丁寧な字で文章を綴りはじめた。
紗織はスマホの写真をクラウドにアップロードし、窓口のPCに共有できるQRコードを生成して差し出す。
「このコード、1分だけ有効です!」
「確認します……はい、受領できました」
職員の表情がわずかに緩んだ。
「これで、必要書類はすべて整いました。正式受理いたします」
二人はその場で深く頭を下げた。
役所を出た瞬間、紗織はその場にへたりこみそうになった。
「……あっぶな~……」
「でも、ギリギリ間に合ったね。さすがの秒管理」
「いやあ……秒単位どころか、分秒争いだったよ、もう。むしろアレだよ、“時間って止まる瞬間あるんだな”って」
「いや、それはたぶん思い込み」
二人は顔を見合わせて笑った。
少し離れた公園のベンチで、結月がスケジュール帳に「申請済」の赤丸をつける。
「これで……次は本番準備、だね」
「私さ、いつも遅刻して怒られてたじゃん?」
「うん、してた」
「否定してよそこ……でもさ、今日だけは、自分の“秒刻み”を褒めてもいい?」
「いいと思う。すごく助かった」
結月はやわらかくほほえんだ。
「……ありがとう、紗織」
紗織は照れくさそうに鼻をこすりながら、小さくつぶやいた。
「じゃあ次は、もっと正確に“余裕持った秒刻み”にしてみる。ってことで……今日の作戦名、“ギリギリだけど完璧”ってどう?」
「うん、それ、最高にあなたらしい」
二人の笑い声が、秋の空に軽やかに響いた。
灰色のタイル張りの建物の一室で、受付の女性が目を伏せて書類を読み返していた。
「……すみません、こちら、出展予定の団体名が正式名称と異なっています。あと、保険証書のコピーが添付されていませんね」
淡々とした指摘に、結月の手がわずかに震えた。
「そう、ですか……」
隣にいた紗織は、すぐにスマホを取り出し、時間を確認する。
現在、午後三時十二分。
提出締切は、三時三十分。残り十八分。
「行ける、よね……?」
「秒単位で動けば!」
紗織が鞄から紙ファイルを取り出し、先週の保険会社とのやり取りの控えを探す。
「写メなら……! あった!」
「団体名の件、訂正印で直せませんか?」
結月がすぐに交渉に入る。
「通常は再提出ですが……今回初出展で初年度ということで、修正対応にしましょう。ただし、記録のため、理由書を添付してください」
「書きます!」
結月は即座に鞄から便箋を取り出し、丁寧な字で文章を綴りはじめた。
紗織はスマホの写真をクラウドにアップロードし、窓口のPCに共有できるQRコードを生成して差し出す。
「このコード、1分だけ有効です!」
「確認します……はい、受領できました」
職員の表情がわずかに緩んだ。
「これで、必要書類はすべて整いました。正式受理いたします」
二人はその場で深く頭を下げた。
役所を出た瞬間、紗織はその場にへたりこみそうになった。
「……あっぶな~……」
「でも、ギリギリ間に合ったね。さすがの秒管理」
「いやあ……秒単位どころか、分秒争いだったよ、もう。むしろアレだよ、“時間って止まる瞬間あるんだな”って」
「いや、それはたぶん思い込み」
二人は顔を見合わせて笑った。
少し離れた公園のベンチで、結月がスケジュール帳に「申請済」の赤丸をつける。
「これで……次は本番準備、だね」
「私さ、いつも遅刻して怒られてたじゃん?」
「うん、してた」
「否定してよそこ……でもさ、今日だけは、自分の“秒刻み”を褒めてもいい?」
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「……ありがとう、紗織」
紗織は照れくさそうに鼻をこすりながら、小さくつぶやいた。
「じゃあ次は、もっと正確に“余裕持った秒刻み”にしてみる。ってことで……今日の作戦名、“ギリギリだけど完璧”ってどう?」
「うん、それ、最高にあなたらしい」
二人の笑い声が、秋の空に軽やかに響いた。
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