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第20話 スタッフ全員集合のまかない会議
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閉店時間を少し過ぎた「川べり文庫」に、いつもと違う匂いが満ちていた。
酒と出汁の香りに、バターとオーブンの熱が混ざる。
カウンターの上には、まかないとは思えないほど立派な皿がいくつも並んでいた。
「……ねえ」
最初に声を漏らしたのは凱理だった。
「これ、本当に『会議用まかない』なんですよね? うっかり写真撮ったら、高級店のやつって信じる自信ありますけど」
「写真撮る前に、まず食べる準備してください」
絵斗は、オーブンから取り出したばかりのグラタン皿を鍋つかみごとテーブルに置いた。
「話し合いは、腹が満たされてからの方が建設的だからな」
「それ、さっきまでの『今日は売上の話を真面目にします』って言ってた人と同一人物ですか」
「真面目な話をするための燃料だよ」
にやりと笑って、グラタンの表面をスプーンで軽く叩く。
香ばしく焼けたチーズの膜が、パリッと音を立てて割れた。
「よし、成功。新メニュー候補その一、『川べりグラタン』」
「名前は要検討ですね」
奏斗が、いつもの冷静な口調で訂正する。
「川が関係する要素が、今のところゼロです」
「お皿の縁が川っぽく波打ってるだろ」
「それはメーカーさんのデザインです」
そんなやりとりに、テーブルを囲む空気が少し和らぐ。
今夜は、スタッフ全員が揃っていた。
奏斗、璃音、絵斗、花春、凱理、阿紗美。
営業を終えたあと、エプロンだけ外して、そのまま大きなテーブルへ移動している。
店の照明は、通常営業より気持ちだけ明るくされていた。
窓の外の川には、提灯の灯りが細く揺れている。
「では、始めましょうか」
奏斗が、テーブルの端に座り、ノートと売上表を前に置いた。
「本日の議題は二つです。
一つ目、このところの売上状況と今後の方針について。
二つ目、この店をどうしていきたいか、それぞれの意見を聞くこと」
「かたーい」
凱理が、グラスを持ちながら顔をしかめる。
「タイトルだけ聞いたら、会議室の蛍光灯の下にいる気分になりますよ」
「内容はちゃんと『まかない付き』ですから、我慢してください」
璃音が、目の前のグラタンを眺めて微笑む。
「せっかくなので、まずは食べながらゆるく聞く時間にしませんか。
お腹が空いてると、売上表の数字が全部マイナスに見えますし」
「それは錯覚です」
奏斗は言いつつも、箸を取った。
「では、いただきながらにしましょう。絵斗さん、説明を」
「はいよ」
絵斗は、胸を張ってまかないの内容を指さしていく。
「今日のメインは、このグラタン。
川沿いの夜風で冷えた体を、根菜とベーコンで温める『仮・川べりグラタン』」
「仮、が正式名称になりそうですね」
「うるさい。
で、小皿が二つ。左が、酒のアテ新候補『川面のカルパッチョ』。
ハマチとハーブを使って、川に映る街灯のきらきらをイメージしました」
「イメージって言ったもん勝ちだなあ」
凱理が感心したように頷く。
「右の小皿は?」
「『終電を逃した人のポテサラ』」
「タイトルからして救済感強いですね」
花春が笑う。
「中身は普通のポテトサラダだが、味付けを少し大人寄りにしてある。
マスタードと黒胡椒強め。後悔と反省に効く味だ」
「それ、うちの看板になりません?」
璃音が、小皿を口に運びながら目を丸くした。
「一口目は優しいのに、あとからじわじわ来ます。
『今日、ちょっとやらかしたかも』って日に食べたい味です」
「じゃあ、名前は『今日のやらかしポテサラ』に変えるか」
「それはそれで刺さり過ぎる人が出そうですね」
笑い声が広がる。
ひとしきり箸を動かしたところで、奏斗が売上表を開いた。
「では、現状の共有に入ります」
「きた、数字タイム」
凱理が、箸を止めて姿勢を正す。
「怖い話の時間より緊張するやつ」
「先週から今週にかけての売上ですが——」
奏斗は、淡々と説明していく。
「平日の後半に、やや落ち込みが見られます。
特に、二人組以上の予約が入らない日が続くと、一日の売上が大きく影響を受ける傾向が顕著です」
「それって、要するに『暇な日が分かりやすい』ってことですよね」
璃音が、真剣な顔でメモを取りながら確認する。
「はい。ただし、デザートの注文率は以前より上がっています。
璃音さんが『今日は疲れた人向け』『今日はごほうび向け』と説明するようになってから、
注文が一割ほど増加しています」
「やった」
璃音が、控えめにガッツポーズをした。
「じゃあ、これからも説明頑張ります」
「頑張る方向はそこなんだ」
凱理が苦笑しながら、資料を覗き込む。
「俺の『ゆるい宣伝』の成果は?
この前、近くの店の常連さんに『あっちの帰りに寄ってくださいカード』渡したんですけど」
「それに関しては、まだ統計が取れるほどの数値ではありません」
「要するに、ほぼゼロってことですね」
「言い方」
花春が、慌ててフォローに入る。
「でも、あの手書きのカード、もらった側は嬉しいと思いますよ。
お店同士の橋渡しにもなりますし」
「だろ?」
凱理が、少し嬉しそうに胸を張った。
「うちの店、場所が分かりづらいじゃないですか。
『酒瓶がたくさん見える川沿いの本屋っぽい店』って説明しても、
半分くらいの人は『それ、どこの世界観?』って顔しますし」
「世界観? 世界?」
奏斗が、軽く咳払いで話を戻す。
「ともかく、現状としては——
このままの営業形態でも、すぐに店が回らなくなるわけではありません。
ですが、今後のことを考えると、何か一つ、『ここに来る理由』をはっきりさせておきたい」
「料理も酒も、川も、本もあるけど、
『一言で言うと何の店?』って聞かれたときに答えづらいってことですか」
「そうです」
璃音の言葉に、奏斗は頷いた。
「だからこそ、皆さんの意見を聞きたい。
この店を、どういう場所にしていきたいか」
それは、いつもの売上報告には出てこない質問だった。
テーブルの上の皿から立ち上る湯気が、ゆっくりと揺れる。
◇
「じゃあ、順番に行こうか」
絵斗が、グラタンをすくいながら手を挙げる。
「俺からでいい?」
「どうぞ」
「俺は単純でさ。
『ここに来れば、今日の自分にちょうどいい一皿がある店』にしたい」
スプーンの先で、グラタンの中身を指す。
「腹ペコならがっつり。
しょんぼりしてるなら、優しい味。
怒ってるときは、辛いやつ。
嬉しいときは、ちょっと手間かけたやつ。
とにかく、『今日の自分』に合わせて出せるバリエーションを増やしたい」
「今でも十分ある気がしますけど」
璃音が言うと、絵斗は首を振った。
「まだ足りない。
今日みたいに、雨で一人しか来なかった日には、その一人のために全力でメニュー組みたいし」
昨日の土砂降りの夜のことが、ふと脳裏をよぎる。
「『冷ましたいセット』とか『温まりたいセット』とか。
そういう組み合わせを、もっとちゃんと形にしておきたいんだよな」
「名前はともかく、方向性は賛成です」
奏斗が、静かにメモを取る。
「では、璃音さんは」
「私は……そうですね」
璃音は、テーブルの上のタルトを見下ろした。
「『ここに来ると、甘いもので自分を許せる店』にしたいです」
「許せる?」
「はい。
ダイエット中だとか、今日は食べすぎただとか、いろいろ気にすることはあると思うんですけど。
『今日一日、よく頑張ったからいいか』って、
素直に自分を甘やかせるデザートを出せる店にしたい」
そう言って、少し照れくさそうに笑う。
「『ごほうび』って言葉、好きなんです。
誰かにあげるのもいいですけど、自分で自分にあげるごほうびも、ここで用意できたらいいなって」
「だから、最近やたら『ごほうびプリン』とか『ごほうびパフェ』って名前が多いのか」
凱理が、ようやく合点がいった顔をする。
「ネーミングの方向性がようやく理解できました」
「うるさいなあ。
でも、そういう『自分を甘やかす理由』を、さりげなく用意してあげたいんです」
「それ、大事です」
花春が、静かに同意した。
「私も、ここを『誰かの記念日じゃなくても、
自分で自分の一日を祝える場所』にしたいなと思ってます」
「記念日担当からの意見ですね」
「はい」
花春は、少しだけ背筋を伸ばす。
「誕生日とか結婚記念日とか、『分かりやすい日』ももちろん大事です。
でも、『誰にも言わないけど、自分の中では大きな節目』みたいな日もあるじゃないですか。
退職した日とか、試験を受けた日とか、
ただ、何となく『今日はちゃんと生きたな』って思える日とか」
言葉を選ぶように続ける。
「そういう日を、ここでそっと祝えるような店にしたいです」
「いいな、それ」
凱理が、真面目な声で頷く。
「『ちゃんと生きた日、お疲れさまセット』とか作りたいですね」
「名前が少し重たいです」
奏斗が、即座にメモに「名称要検討」と書き込む。
「では、その凱理さんは?」
「俺は単純ですよ。
『ふらっと寄っても、何となく居心地いい店』がいいです」
そう言うと、あえて肩の力を抜いた姿勢で座り直した。
「真面目な話、川沿いの店って、初めて入るにはちょっと勇気いるじゃないですか。
扉開けてみたら常連さんばっかりだったらどうしよう、とか。
だから、できるだけ『初めての人にとってハードルが低い店』でありたいなと」
「だから、あんなゆるいキャッチコピー考えてるんですね」
璃音が思い出したように言う。
「『今日のあなたを、まあまあ歓迎します』とか」
「全力で歓迎してますよ!?
ただ、『全力で』って言われると構えちゃう人もいるかなと思って……」
凱理は、頭をかきながら続けた。
「俺、頑張ってる人を見ると応援したくなるタイプですけど、
頑張る前の人も応援したいんですよね。
『今日、別に何も成し遂げてないけど、お腹空いたな』って人が、
ふらっと入ってこられる場所であってほしい」
その言葉に、阿紗美がうなずいた。
「じゃあ、私はその逆側の責任を取ります」
「逆側?」
「『ここで無理をしすぎない店』にしたいです」
阿紗美は、グラスを指先でくるくる回しながら言った。
「店側も、お客さん側も。
スタッフは、頑張るときは頑張るけど、
限界を越える前にちゃんと止まれる店。
お客さんも、飲み過ぎる前に『今日はこのくらいにしておきましょう』って
さりげなく言える店」
走るのをやめた元ランナーらしい視点だった。
「この店、頑張り屋さんが多いので」
阿紗美は、テーブルの顔ぶれをぐるりと見回す。
「どこかで『やり過ぎ』のブレーキをかける係も必要だなって、いつも思ってます」
「それは、とても助かっています」
奏斗が、一番素直な声で言った。
「……で、店長代行は?」
全員の視線が、一斉に奏斗に向いた。
「この店を、どうしたいですか」
問われて、彼は少しだけ黙った。
窓の外では、川面に街灯の光が揺れている。
その揺れを眺めながら、言葉を探す。
「そうですね……」
長く考え込むことはしなかった。
「『誰かの最高の思い出候補がたくさん増える店』、でしょうか」
「候補?」
璃音が首をかしげる。
「はい」
奏斗は、カウンターの向こうに置いてある黒いノートをちらりと見る。
「一つに絞れなくて困るくらい、『ここで過ごした時間がよかった』と思ってもらえる店。
お客さんにとっても、働いている皆さんにとっても」
そこで一度言葉を切り、続ける。
「まだ、この店で『最高』を決めるつもりはありません。
でも、いつか誰かが、『あの夜が一番だったな』と思い出すとき、
その場所に『川べり文庫』が入っていてほしい」
それは、彼なりの最大限の本音だった。
テーブルの空気が、静かに揺れる。
「……いいですね、それ」
花春が、柔らかな笑みを浮かべる。
「『最高の思い出候補』なら、いくら増えてもいいですし」
「候補が多すぎて、選べなくなっても困りませんか」
「困りません。
むしろ、『あの夜も、この夜も』って迷える方が、幸せだと思います」
◇
「でさ」
沈黙を破ったのは、璃音だった。
「今の話、全部まとめると——」
彼女は、テーブルの真ん中に置かれた黒いノートを見やる。
「結局、『君に恋する確率』が、一番この店らしい気がするんですよね」
「……ノートのタイトルだな」
絵斗が、目を細める。
「最近、よく出てくるけど」
「うちの裏テーマというか、
まだ表に出てきていない看板みたいなものというか」
璃音は、言葉を選びながら続ける。
「誰かに恋している人も、
何かに夢中になっている人も、
毎日をただ懸命に生きている人も。
そういう人たちの『今日の確率』を、
料理やお酒で、少しでも上げられたらいいなって」
「確率って、上げたり下げたりできるものなのか?」
凱理が、箸を止めて首をかしげる。
「数学苦手なんで分からないですけど」
「数学の話じゃないからね」
阿紗美が、苦笑いする。
「たぶん、『その日、その瞬間の気持ち』の話」
「そうです」
璃音は、はっきりとうなずいた。
「たとえば、今日みたいにしんどい日でも、
ここで一杯飲んで帰ることで、
『明日、あの人に一言だけ話しかけてみようかな』って思えるかもしれない。
それって、多分、
君に恋する確率が、ほんの少し上がったってことじゃないかなって」
言いながら、自分でも少し照れくさくなって俯く。
「……すみません。
自分で言ってて、ちょっと甘いですね」
「いいと思う」
奏斗が、即座に言った。
全員の視線が、また彼に集まる。
「甘いけれど、現実的です。
確率という言葉を使えば、『必ずうまくいく』と約束する必要はない。
でも、『今日ここで過ごした時間が、
明日の一歩を踏み出すきっかけになるかもしれない』とは言える」
「それ、メニューにしません?」
凱理が、手を打つ。
「『君に恋する確率セット』みたいな」
「セットにすると、急に居酒屋感が増しますね」
絵斗が笑う。
「でも、形にはしてみたいな」
花春が、目を輝かせる。
「たとえば、『今日の君に恋する確率』ってタイトルのページを、メニューの一番最後に作るとか」
「占いみたいに?」
「はい。
『今日の気分』を選んでもらって、
それに合わせた料理とドリンクを組み合わせて出すんです」
「『ちょっと弱気』『やや強気』『とりあえず保留』みたいな選択肢が並んでるやつか」
凱理が、すぐにノリ出す。
「『保留』多そうだなあ、この街」
「そこを、ほんの少しだけ背中を押す味にできたらいいですね」
阿紗美が、穏やかな声で補足する。
「飲み過ぎない範囲で」
「そこは譲らないんですね」
璃音が笑う。
「じゃあ、決めませんか」
ふいに、奏斗が言った。
テーブルの空気が、もう一度引き締まる。
「この店の『一言で言うと何の店か』。
それを、今ここで暫定的に決めてみる」
「暫定的?」
「はい」
彼は、黒いノートを手元に引き寄せ、表紙を指先で叩いた。
「『君に恋する確率を、少しだけ上げてくれる店』。
今のところは、それでどうでしょう」
静かな提案だった。
誰も、すぐには口を開かなかった。
川の流れる音は聞こえない。
その代わり、グラスがテーブルに触れる微かな音や、
誰かの息を飲む気配が、確かにそこにあった。
「……いいと思います」
一番最初に頷いたのは、璃音だった。
「『必ずハッピーエンド』とか、『絶対に恋が叶う』とか言われても、
私はちょっと怖いです。
でも、『確率を少しだけ上げる』くらいなら、
ここなら本当にできそうな気がします」
「私も好きです、その言い方」
花春が、笑顔で賛同する。
「『今日ここに寄った自分を、ちょっとだけ好きになれる店』とも言い換えられますし」
「俺は、『店に恋する確率』も上げたいけどな」
凱理が、グラスを掲げる。
「また来たいなって思ってもらえたら、それだけで十分だし」
「それも含めて、『君に恋する確率』の中に入れておきましょう」
阿紗美が、さらりと言った。
「自分に、誰かに、この店に。
恋の対象はいろいろあっていいと思います」
「では——」
奏斗は、ノートを開き、一番上の空白にペンを走らせた。
『川べり文庫は、
君に恋する確率を少しだけ上げてくれる店でありたい。』
書き終えてから、ペン先を止める。
「これは、今日時点での方針です。
明日以降、何かあれば修正もあり得ますが」
「出た、保険の一文」
凱理が笑う。
「でも、方針としては賛成です」
「私も」
「僕も」
「賛成」
次々に賛同の声が重なっていく。
その様子を見ながら、奏斗は、心の中でひっそりと言葉を足した。
(ここで働いている皆の『最高の思い出候補』も、
この方針の中に入っていてほしい)
声には出さない。
けれど、その願いは、窓の外の川面で揺れる灯りのように、
静かに確かに燃えていた。
◇
「よし。じゃあ、方針も決まったことだし」
絵斗が、空になったグラタン皿を持ち上げる。
「最後に、もう一つだけ味見してくれ」
「まだ出てくるんですか」
璃音が目を丸くする。
「デザート担当にも負けてられないからな」
オーブンから出てきたのは、素朴な見た目の小さなケーキだった。
「名前はまだない。
でも、今の話を聞きながら焼いてたから——そうだな」
絵斗は、少しだけ照れくさそうに笑う。
「『確率上昇ケーキ』ってところで」
「仮ですよね」
奏斗が、念を押す。
「もちろん」
笑い声が、深夜の店内に広がった。
酒の流れる川のほとりで、
まかないを囲んだ小さな「会議」の夜が、
それぞれの胸の中に新しい「最高の思い出候補」として刻まれていく。
酒と出汁の香りに、バターとオーブンの熱が混ざる。
カウンターの上には、まかないとは思えないほど立派な皿がいくつも並んでいた。
「……ねえ」
最初に声を漏らしたのは凱理だった。
「これ、本当に『会議用まかない』なんですよね? うっかり写真撮ったら、高級店のやつって信じる自信ありますけど」
「写真撮る前に、まず食べる準備してください」
絵斗は、オーブンから取り出したばかりのグラタン皿を鍋つかみごとテーブルに置いた。
「話し合いは、腹が満たされてからの方が建設的だからな」
「それ、さっきまでの『今日は売上の話を真面目にします』って言ってた人と同一人物ですか」
「真面目な話をするための燃料だよ」
にやりと笑って、グラタンの表面をスプーンで軽く叩く。
香ばしく焼けたチーズの膜が、パリッと音を立てて割れた。
「よし、成功。新メニュー候補その一、『川べりグラタン』」
「名前は要検討ですね」
奏斗が、いつもの冷静な口調で訂正する。
「川が関係する要素が、今のところゼロです」
「お皿の縁が川っぽく波打ってるだろ」
「それはメーカーさんのデザインです」
そんなやりとりに、テーブルを囲む空気が少し和らぐ。
今夜は、スタッフ全員が揃っていた。
奏斗、璃音、絵斗、花春、凱理、阿紗美。
営業を終えたあと、エプロンだけ外して、そのまま大きなテーブルへ移動している。
店の照明は、通常営業より気持ちだけ明るくされていた。
窓の外の川には、提灯の灯りが細く揺れている。
「では、始めましょうか」
奏斗が、テーブルの端に座り、ノートと売上表を前に置いた。
「本日の議題は二つです。
一つ目、このところの売上状況と今後の方針について。
二つ目、この店をどうしていきたいか、それぞれの意見を聞くこと」
「かたーい」
凱理が、グラスを持ちながら顔をしかめる。
「タイトルだけ聞いたら、会議室の蛍光灯の下にいる気分になりますよ」
「内容はちゃんと『まかない付き』ですから、我慢してください」
璃音が、目の前のグラタンを眺めて微笑む。
「せっかくなので、まずは食べながらゆるく聞く時間にしませんか。
お腹が空いてると、売上表の数字が全部マイナスに見えますし」
「それは錯覚です」
奏斗は言いつつも、箸を取った。
「では、いただきながらにしましょう。絵斗さん、説明を」
「はいよ」
絵斗は、胸を張ってまかないの内容を指さしていく。
「今日のメインは、このグラタン。
川沿いの夜風で冷えた体を、根菜とベーコンで温める『仮・川べりグラタン』」
「仮、が正式名称になりそうですね」
「うるさい。
で、小皿が二つ。左が、酒のアテ新候補『川面のカルパッチョ』。
ハマチとハーブを使って、川に映る街灯のきらきらをイメージしました」
「イメージって言ったもん勝ちだなあ」
凱理が感心したように頷く。
「右の小皿は?」
「『終電を逃した人のポテサラ』」
「タイトルからして救済感強いですね」
花春が笑う。
「中身は普通のポテトサラダだが、味付けを少し大人寄りにしてある。
マスタードと黒胡椒強め。後悔と反省に効く味だ」
「それ、うちの看板になりません?」
璃音が、小皿を口に運びながら目を丸くした。
「一口目は優しいのに、あとからじわじわ来ます。
『今日、ちょっとやらかしたかも』って日に食べたい味です」
「じゃあ、名前は『今日のやらかしポテサラ』に変えるか」
「それはそれで刺さり過ぎる人が出そうですね」
笑い声が広がる。
ひとしきり箸を動かしたところで、奏斗が売上表を開いた。
「では、現状の共有に入ります」
「きた、数字タイム」
凱理が、箸を止めて姿勢を正す。
「怖い話の時間より緊張するやつ」
「先週から今週にかけての売上ですが——」
奏斗は、淡々と説明していく。
「平日の後半に、やや落ち込みが見られます。
特に、二人組以上の予約が入らない日が続くと、一日の売上が大きく影響を受ける傾向が顕著です」
「それって、要するに『暇な日が分かりやすい』ってことですよね」
璃音が、真剣な顔でメモを取りながら確認する。
「はい。ただし、デザートの注文率は以前より上がっています。
璃音さんが『今日は疲れた人向け』『今日はごほうび向け』と説明するようになってから、
注文が一割ほど増加しています」
「やった」
璃音が、控えめにガッツポーズをした。
「じゃあ、これからも説明頑張ります」
「頑張る方向はそこなんだ」
凱理が苦笑しながら、資料を覗き込む。
「俺の『ゆるい宣伝』の成果は?
この前、近くの店の常連さんに『あっちの帰りに寄ってくださいカード』渡したんですけど」
「それに関しては、まだ統計が取れるほどの数値ではありません」
「要するに、ほぼゼロってことですね」
「言い方」
花春が、慌ててフォローに入る。
「でも、あの手書きのカード、もらった側は嬉しいと思いますよ。
お店同士の橋渡しにもなりますし」
「だろ?」
凱理が、少し嬉しそうに胸を張った。
「うちの店、場所が分かりづらいじゃないですか。
『酒瓶がたくさん見える川沿いの本屋っぽい店』って説明しても、
半分くらいの人は『それ、どこの世界観?』って顔しますし」
「世界観? 世界?」
奏斗が、軽く咳払いで話を戻す。
「ともかく、現状としては——
このままの営業形態でも、すぐに店が回らなくなるわけではありません。
ですが、今後のことを考えると、何か一つ、『ここに来る理由』をはっきりさせておきたい」
「料理も酒も、川も、本もあるけど、
『一言で言うと何の店?』って聞かれたときに答えづらいってことですか」
「そうです」
璃音の言葉に、奏斗は頷いた。
「だからこそ、皆さんの意見を聞きたい。
この店を、どういう場所にしていきたいか」
それは、いつもの売上報告には出てこない質問だった。
テーブルの上の皿から立ち上る湯気が、ゆっくりと揺れる。
◇
「じゃあ、順番に行こうか」
絵斗が、グラタンをすくいながら手を挙げる。
「俺からでいい?」
「どうぞ」
「俺は単純でさ。
『ここに来れば、今日の自分にちょうどいい一皿がある店』にしたい」
スプーンの先で、グラタンの中身を指す。
「腹ペコならがっつり。
しょんぼりしてるなら、優しい味。
怒ってるときは、辛いやつ。
嬉しいときは、ちょっと手間かけたやつ。
とにかく、『今日の自分』に合わせて出せるバリエーションを増やしたい」
「今でも十分ある気がしますけど」
璃音が言うと、絵斗は首を振った。
「まだ足りない。
今日みたいに、雨で一人しか来なかった日には、その一人のために全力でメニュー組みたいし」
昨日の土砂降りの夜のことが、ふと脳裏をよぎる。
「『冷ましたいセット』とか『温まりたいセット』とか。
そういう組み合わせを、もっとちゃんと形にしておきたいんだよな」
「名前はともかく、方向性は賛成です」
奏斗が、静かにメモを取る。
「では、璃音さんは」
「私は……そうですね」
璃音は、テーブルの上のタルトを見下ろした。
「『ここに来ると、甘いもので自分を許せる店』にしたいです」
「許せる?」
「はい。
ダイエット中だとか、今日は食べすぎただとか、いろいろ気にすることはあると思うんですけど。
『今日一日、よく頑張ったからいいか』って、
素直に自分を甘やかせるデザートを出せる店にしたい」
そう言って、少し照れくさそうに笑う。
「『ごほうび』って言葉、好きなんです。
誰かにあげるのもいいですけど、自分で自分にあげるごほうびも、ここで用意できたらいいなって」
「だから、最近やたら『ごほうびプリン』とか『ごほうびパフェ』って名前が多いのか」
凱理が、ようやく合点がいった顔をする。
「ネーミングの方向性がようやく理解できました」
「うるさいなあ。
でも、そういう『自分を甘やかす理由』を、さりげなく用意してあげたいんです」
「それ、大事です」
花春が、静かに同意した。
「私も、ここを『誰かの記念日じゃなくても、
自分で自分の一日を祝える場所』にしたいなと思ってます」
「記念日担当からの意見ですね」
「はい」
花春は、少しだけ背筋を伸ばす。
「誕生日とか結婚記念日とか、『分かりやすい日』ももちろん大事です。
でも、『誰にも言わないけど、自分の中では大きな節目』みたいな日もあるじゃないですか。
退職した日とか、試験を受けた日とか、
ただ、何となく『今日はちゃんと生きたな』って思える日とか」
言葉を選ぶように続ける。
「そういう日を、ここでそっと祝えるような店にしたいです」
「いいな、それ」
凱理が、真面目な声で頷く。
「『ちゃんと生きた日、お疲れさまセット』とか作りたいですね」
「名前が少し重たいです」
奏斗が、即座にメモに「名称要検討」と書き込む。
「では、その凱理さんは?」
「俺は単純ですよ。
『ふらっと寄っても、何となく居心地いい店』がいいです」
そう言うと、あえて肩の力を抜いた姿勢で座り直した。
「真面目な話、川沿いの店って、初めて入るにはちょっと勇気いるじゃないですか。
扉開けてみたら常連さんばっかりだったらどうしよう、とか。
だから、できるだけ『初めての人にとってハードルが低い店』でありたいなと」
「だから、あんなゆるいキャッチコピー考えてるんですね」
璃音が思い出したように言う。
「『今日のあなたを、まあまあ歓迎します』とか」
「全力で歓迎してますよ!?
ただ、『全力で』って言われると構えちゃう人もいるかなと思って……」
凱理は、頭をかきながら続けた。
「俺、頑張ってる人を見ると応援したくなるタイプですけど、
頑張る前の人も応援したいんですよね。
『今日、別に何も成し遂げてないけど、お腹空いたな』って人が、
ふらっと入ってこられる場所であってほしい」
その言葉に、阿紗美がうなずいた。
「じゃあ、私はその逆側の責任を取ります」
「逆側?」
「『ここで無理をしすぎない店』にしたいです」
阿紗美は、グラスを指先でくるくる回しながら言った。
「店側も、お客さん側も。
スタッフは、頑張るときは頑張るけど、
限界を越える前にちゃんと止まれる店。
お客さんも、飲み過ぎる前に『今日はこのくらいにしておきましょう』って
さりげなく言える店」
走るのをやめた元ランナーらしい視点だった。
「この店、頑張り屋さんが多いので」
阿紗美は、テーブルの顔ぶれをぐるりと見回す。
「どこかで『やり過ぎ』のブレーキをかける係も必要だなって、いつも思ってます」
「それは、とても助かっています」
奏斗が、一番素直な声で言った。
「……で、店長代行は?」
全員の視線が、一斉に奏斗に向いた。
「この店を、どうしたいですか」
問われて、彼は少しだけ黙った。
窓の外では、川面に街灯の光が揺れている。
その揺れを眺めながら、言葉を探す。
「そうですね……」
長く考え込むことはしなかった。
「『誰かの最高の思い出候補がたくさん増える店』、でしょうか」
「候補?」
璃音が首をかしげる。
「はい」
奏斗は、カウンターの向こうに置いてある黒いノートをちらりと見る。
「一つに絞れなくて困るくらい、『ここで過ごした時間がよかった』と思ってもらえる店。
お客さんにとっても、働いている皆さんにとっても」
そこで一度言葉を切り、続ける。
「まだ、この店で『最高』を決めるつもりはありません。
でも、いつか誰かが、『あの夜が一番だったな』と思い出すとき、
その場所に『川べり文庫』が入っていてほしい」
それは、彼なりの最大限の本音だった。
テーブルの空気が、静かに揺れる。
「……いいですね、それ」
花春が、柔らかな笑みを浮かべる。
「『最高の思い出候補』なら、いくら増えてもいいですし」
「候補が多すぎて、選べなくなっても困りませんか」
「困りません。
むしろ、『あの夜も、この夜も』って迷える方が、幸せだと思います」
◇
「でさ」
沈黙を破ったのは、璃音だった。
「今の話、全部まとめると——」
彼女は、テーブルの真ん中に置かれた黒いノートを見やる。
「結局、『君に恋する確率』が、一番この店らしい気がするんですよね」
「……ノートのタイトルだな」
絵斗が、目を細める。
「最近、よく出てくるけど」
「うちの裏テーマというか、
まだ表に出てきていない看板みたいなものというか」
璃音は、言葉を選びながら続ける。
「誰かに恋している人も、
何かに夢中になっている人も、
毎日をただ懸命に生きている人も。
そういう人たちの『今日の確率』を、
料理やお酒で、少しでも上げられたらいいなって」
「確率って、上げたり下げたりできるものなのか?」
凱理が、箸を止めて首をかしげる。
「数学苦手なんで分からないですけど」
「数学の話じゃないからね」
阿紗美が、苦笑いする。
「たぶん、『その日、その瞬間の気持ち』の話」
「そうです」
璃音は、はっきりとうなずいた。
「たとえば、今日みたいにしんどい日でも、
ここで一杯飲んで帰ることで、
『明日、あの人に一言だけ話しかけてみようかな』って思えるかもしれない。
それって、多分、
君に恋する確率が、ほんの少し上がったってことじゃないかなって」
言いながら、自分でも少し照れくさくなって俯く。
「……すみません。
自分で言ってて、ちょっと甘いですね」
「いいと思う」
奏斗が、即座に言った。
全員の視線が、また彼に集まる。
「甘いけれど、現実的です。
確率という言葉を使えば、『必ずうまくいく』と約束する必要はない。
でも、『今日ここで過ごした時間が、
明日の一歩を踏み出すきっかけになるかもしれない』とは言える」
「それ、メニューにしません?」
凱理が、手を打つ。
「『君に恋する確率セット』みたいな」
「セットにすると、急に居酒屋感が増しますね」
絵斗が笑う。
「でも、形にはしてみたいな」
花春が、目を輝かせる。
「たとえば、『今日の君に恋する確率』ってタイトルのページを、メニューの一番最後に作るとか」
「占いみたいに?」
「はい。
『今日の気分』を選んでもらって、
それに合わせた料理とドリンクを組み合わせて出すんです」
「『ちょっと弱気』『やや強気』『とりあえず保留』みたいな選択肢が並んでるやつか」
凱理が、すぐにノリ出す。
「『保留』多そうだなあ、この街」
「そこを、ほんの少しだけ背中を押す味にできたらいいですね」
阿紗美が、穏やかな声で補足する。
「飲み過ぎない範囲で」
「そこは譲らないんですね」
璃音が笑う。
「じゃあ、決めませんか」
ふいに、奏斗が言った。
テーブルの空気が、もう一度引き締まる。
「この店の『一言で言うと何の店か』。
それを、今ここで暫定的に決めてみる」
「暫定的?」
「はい」
彼は、黒いノートを手元に引き寄せ、表紙を指先で叩いた。
「『君に恋する確率を、少しだけ上げてくれる店』。
今のところは、それでどうでしょう」
静かな提案だった。
誰も、すぐには口を開かなかった。
川の流れる音は聞こえない。
その代わり、グラスがテーブルに触れる微かな音や、
誰かの息を飲む気配が、確かにそこにあった。
「……いいと思います」
一番最初に頷いたのは、璃音だった。
「『必ずハッピーエンド』とか、『絶対に恋が叶う』とか言われても、
私はちょっと怖いです。
でも、『確率を少しだけ上げる』くらいなら、
ここなら本当にできそうな気がします」
「私も好きです、その言い方」
花春が、笑顔で賛同する。
「『今日ここに寄った自分を、ちょっとだけ好きになれる店』とも言い換えられますし」
「俺は、『店に恋する確率』も上げたいけどな」
凱理が、グラスを掲げる。
「また来たいなって思ってもらえたら、それだけで十分だし」
「それも含めて、『君に恋する確率』の中に入れておきましょう」
阿紗美が、さらりと言った。
「自分に、誰かに、この店に。
恋の対象はいろいろあっていいと思います」
「では——」
奏斗は、ノートを開き、一番上の空白にペンを走らせた。
『川べり文庫は、
君に恋する確率を少しだけ上げてくれる店でありたい。』
書き終えてから、ペン先を止める。
「これは、今日時点での方針です。
明日以降、何かあれば修正もあり得ますが」
「出た、保険の一文」
凱理が笑う。
「でも、方針としては賛成です」
「私も」
「僕も」
「賛成」
次々に賛同の声が重なっていく。
その様子を見ながら、奏斗は、心の中でひっそりと言葉を足した。
(ここで働いている皆の『最高の思い出候補』も、
この方針の中に入っていてほしい)
声には出さない。
けれど、その願いは、窓の外の川面で揺れる灯りのように、
静かに確かに燃えていた。
◇
「よし。じゃあ、方針も決まったことだし」
絵斗が、空になったグラタン皿を持ち上げる。
「最後に、もう一つだけ味見してくれ」
「まだ出てくるんですか」
璃音が目を丸くする。
「デザート担当にも負けてられないからな」
オーブンから出てきたのは、素朴な見た目の小さなケーキだった。
「名前はまだない。
でも、今の話を聞きながら焼いてたから——そうだな」
絵斗は、少しだけ照れくさそうに笑う。
「『確率上昇ケーキ』ってところで」
「仮ですよね」
奏斗が、念を押す。
「もちろん」
笑い声が、深夜の店内に広がった。
酒の流れる川のほとりで、
まかないを囲んだ小さな「会議」の夜が、
それぞれの胸の中に新しい「最高の思い出候補」として刻まれていく。
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