29 / 40
第29話 それぞれの将来と店の未来
しおりを挟む
再開発の説明資料は、店の裏口のすぐそばに貼られていた。
ビルの出入口にある掲示板。
そこに新しく貼られた一枚の紙を、阿紗美がじっと見上げている。
「……来春、解体工事開始予定、か」
声に出すと、文字の輪郭が少しだけ現実味を帯びた。
そこへ、仕込みの野菜を入れたコンテナを抱えた絵斗が通りかかる。
「阿紗美さーん、下ごしらえ……って、なに固まってるんですか」
「うん……ちょっと、この紙とにらめっこしてて」
阿紗美は、掲示板を顎で指した。
「『テナントのみなさまへ 再開発スケジュールのお知らせ』」
「あー……」
絵斗は、一歩前に出て紙を読み上げた。
「来月に取り壊し審議、そのあと正式決定。
決まったら半年以内に退去準備開始、か」
「『ふんわりいつか』じゃなくなってきたよね」
「ですね」
二人が黙り込んだところで、裏口のドアが開いた。
「おはようございます」
エプロンを肩にかけた凱理が顔を出す。
「うわ、なにこの空気。
朝から暗いドラマの最終回みたいになってますよ」
「別に暗いドラマじゃないよ」
阿紗美は、わざと肩を回して見せた。
「ただ、現実の台本が配られたってだけ」
「それを暗いって言うんですよ」
凱理は、紙をちらっと見て、すぐに視線をそらした。
「ま、どうにかなるでしょ」
「その『どうにかなるでしょ』が、そろそろ効かなくなってきてるんだよ」
阿紗美の言葉は柔らかいが、目は真剣だ。
「審議の日程も決まって、スケジュールも具体的になって。
『とりあえず今日を乗り切る』だけじゃ、
そろそろ足りなくなってくるかもしれない」
「……ですよね」
凱理は、頭をかきながら笑った。
「じゃ、とりあえず仕込み入ります。
現実はとりあえず玉ねぎから、ってことで」
「そういう切り替えは、嫌いじゃない」
絵斗が、扉を押さえながら言う。
「泣きたくなったら、玉ねぎ刻みに来てください。
理由なんか聞かなくても、涙でごまかせますから」
「頼もしい台詞」
阿紗美は、紙に一礼するように頭を下げてから、店内へ戻った。
◇
営業前のミニミーティング。
カウンターにスタッフ全員が集まり、
コピーされた再開発資料が一人一枚ずつ配られた。
「ビルのオーナーから、正式に届いたものです」
奏斗が、紙の束を見渡しながら口を開く。
「これまでは口頭で『再開発の話がある』と聞かされていただけでしたが、
いよいよスケジュールが具体的になりました」
資料には、審議の日程と解体工事の予定時期、
移転希望がある店への相談窓口の連絡先などが記されている。
「……『移転希望があるテナントは、別途相談を受け付けます』か」
絵斗が、その文を指でなぞった。
「ってことは、全員立ち退き確定ってわけでもないんですか?」
「現時点では、取り壊しが『候補』のままです」
奏斗は、資料の端を折りながら続けた。
「審議の結果次第では計画が変更される可能性もあります。ただ……」
「ただ?」
「楽観視は、できません」
短く区切られた言葉が、
カウンターの上に静かに落ちた。
「だからこそ、今のうちに、それぞれの将来について考えておいてほしいんです」
その一言に、全員の表情が微妙に揺れた。
「将来って、たとえば?」
凱理が、おそるおそる手を挙げる。
「ここがもし、本当に取り壊しになったら——
この店を別の場所で続けるのか、
それとも、どこか別の店に行くのか。
自分がどうしたいのか、ということです」
奏斗は、自分自身に言い聞かせるように言葉を紡いだ。
「今日、結論を出す必要はありません。
ただ、何も考えないままその日を迎えると、
きっと後悔する人が出てくると思います」
「……なんか、
『夏休み最終日に宿題の存在思い出した』ときみたいな気持ちになってきました」
凱理が、思わず漏らす。
「ギリギリまで『まあ何とかなる』って逃げて、
最後の一日で泣きながら全部やるやつ」
「分かりやすい例えですね」
花春が、くすっと笑った。
「今回は、さすがに一日では終わりませんよ」
「ですよね……」
凱理は、資料を畳んでエプロンのポケットにねじ込んだ。
「じゃ、とりあえず今日の営業、いつも通り頑張りますか」
「そうですね」
奏斗は、壁時計を見上げる。
「オープンまで、あと二十分。
将来の話は、営業後に続きができれば」
「了解です」
それぞれが持ち場に散っていく。
資料の紙だけが、エプロンやポケットの中で、
じわりと存在感を訴え始めていた。
◇
昼営業の合間。
厨房の隅で、絵斗はスマートフォンの画面を見つめていた。
「……『物件、見に来ないか』ねえ」
画面には、昔同じ店で働いていた先輩からのメッセージが並んでいる。
『駅前に小さな空き店舗が出た。
お前の店をやるなら、そろそろいい頃合いじゃないか』
「やりたいかどうか聞かれたら、やりたいに決まってるんだけどな」
独り言が、換気扇の音に紛れて消える。
そこへ、阿紗美が大きなボウルを抱えてやってきた。
「絵斗さん、サラダ用のドレッシング、あとどのくらいで……おや?」
「覗かないでください」
絵斗は、反射的にスマホを裏返した。
「怪しい」
「怪しくないです」
「じゃあ、『今度飲みに行きませんか』とかじゃないってことですね」
「それはそれで怪しいでしょ」
顔をしかめながらも、
どこか図星をつかれたみたいに落ち着かない。
「……独立の話ですよ」
しばらく沈黙したあと、絵斗は観念したように言った。
「昔一緒に働いてた先輩が、
『そろそろ自分の店、考えれば』って。
再開発の噂が出る前から、ちょこちょこ言われてたんですけど」
「そっか」
阿紗美は、ボウルを作業台に置き、
自分も隣に寄りかかった。
「行くの?」
「さあ……」
絵斗は、天井を見上げた。
「このタイミングで飛び出すの、
かっこいい気もするんですよね。
『店がどうなるか分からないから、自分の店を作る』って」
「うん」
「でも、『再開発が落ち着くまで一緒に粘る』っていうのも、
かっこ悪いわけじゃない気がして」
言葉を選びながら、
彼は鉄板の上のフライパンに目をやった。
「ここで覚えたこと、まだ全部出し切った気がしないんですよね。
だから、どこが『卒業』なのか、よく分からなくて」
「卒業かあ」
阿紗美は、自分の足首を軽くさすった。
「私も最近、元コーチから連絡が来てさ。
『知り合いの店が人を探してるから、修業してみないか』って」
「走り回れる店ですか?」
「それは間違いない」
二人で笑ったあと、
阿紗美は少し真面目な表情になる。
「新しいキッチンで、新しい人たちと、新しいやり方を覚えるのも、きっと楽しいと思う。
でもさ」
そう言って、「川べり文庫」の狭い厨房を見渡した。
「ここで、もうちょっとだけ走っていたい気持ちもあるんだよね」
「うちの店、そんなに快適です?」
「足をのばす場所も、ぶつからない通路も、
もう身体が覚えちゃってるからね」
阿紗美は、軽くジャンプして着地した。
「どこかで終わりにしてもいい。
でも、ここで終わりにできない気もする」
ぽつりとこぼれた一言が、
換気扇の音より深く厨房に残った。
「……ですね」
絵斗は、フライパンを火にかけながら、短く返事をした。
「簡単に『ここで終わりです』って区切れる場所じゃないんですよね、ここ」
「だからこそ、ちゃんと考えなきゃいけないんだけどね」
阿紗美は、ドレッシングの材料を混ぜながら続ける。
「『情で残る』のとも違うし、『義理で残る』のとも違う。
どこまでが『自分のため』で、どこからが『この店のため』なのか。
そういうの、自分で決めないと、
たぶん後で誰かのせいにしちゃうから」
「耳が痛いこと言いますね」
「耳が痛くなった人は、
玉ねぎ刻んでごまかしていいよ」
二人の笑い声が、厨房の奥まで響いた。
◇
その頃、ホールでは——。
凱理が、レジ横のスペースでノートパソコンを開いていた。
「……スーツ、たけえ」
就活サイトで表示された「リクルートスーツ特集」のページを見て、
思わず声が漏れる。
「スーツ?」
ドリンクバーの補充に来た花春が、背後から画面を覗き込んだ。
「おお、真面目に未来を検索してますねえ」
「やめてください、その言い方」
凱理は、素早く画面を切り替えようとする。
しかし、切り替えた先も「企業説明会の日程表」だ。
「おお……
こっちはこっちで、未来がびっしりですね」
「笑い事じゃないんですよ」
凱理は、頭を抱えた。
「再開発で店がどうなるか分からないって聞いたとき、
正直、ちょっとだけ『ラッキーかも』って思ったんですよね」
「ラッキー?」
「『店がなくなります』って言われたら、
『じゃあ仕方ないですね』って自然にバイト卒業できるじゃないですか。
就活から逃げる言い訳にもなるし」
そこまで一気に話してから、
凱理は自分で自分に呆れたようにため息をついた。
「でも、再開発の資料ちゃんと読んだら、
『相談次第で残れる可能性もある』とか書いてあって。
逃げ道が、ない」
「『ない』って言い方」
花春は、くすっと笑った。
「働く場所が残るかもしれないのは、
普通は喜ぶところですよ?」
「分かってますよ。
分かってるんですけど」
凱理は、パソコンの画面を閉じた。
「ここがもし続くってなったら、
きっと僕、ここにいたくなるんですよ。
『就活もうちょっと後でいいか』って、
絶対先延ばしにする」
「それは……容易に想像できますね」
「ですよね」
二人で苦笑したあと、
花春は少し真面目な顔になった。
「でもね、凱理くん」
「はい」
「ここで働きながら就活するっていう選択肢も、
ちゃんとあるんだよ」
「え?」
「『店の未来が心配だから、今は就活できません』って言って、
全部止めてしまうのは簡単。
でも、『店を手伝いながら、自分のこれからも考える』っていう、
欲張りなやり方だって、案外できるんじゃないかなって」
花春は、レジの横に置かれた青い投票用紙に目をやった。
「人気投票も、再開発も、就活も。
全部いっぺんに抱えるのは大変だけど、
そのぶん、この時期のことはきっと忘れないと思うんだ」
「忘れない、ですか」
「うん。
『あのとき、川べり文庫でバイトしながら、
将来のことも必死に考えてたな』って。
そういう思い出が一個あるだけで、
あとでどこかで踏ん張れるかもしれないよ」
その言葉に、凱理はぽかんとした顔をした。
「……花春さん、
ときどき、就活セミナーの講師みたいになりますよね」
「ホールリーダーの仕事の一部だと思ってるから」
花春は、肩をすくめて笑う。
「ここで『どう働いてたか』って、
きっと、この先どこで働くにしてもついて回るからね」
「『問題を回避するバイトくん』って肩書き、
あんまりついて回ってほしくないんですけど」
「じゃあ、そろそろ肩書き変えていきましょうか」
そう言って、花春はレジの裏側から一枚の小さな紙を取り出した。
そこには、手書きでこう書かれている。
『川べり文庫 アルバイト
凱理(かいり)
——人の背中をそっと押す係』
「……いつの間に」
「この前、カード作戦やったときにね。
『この子、意外と人を前に進ませる言葉を持ってるな』って思って」
凱理は、その紙をじっと見つめた。
「なんか、
この肩書き持ったまま就活できたらいいなって、
今ちょっとだけ思いました」
「じゃあ、その方向で」
花春は、満足そうに頷いた。
◇
閉店後。
日付が変わる少し前の「川べり文庫」には、
仕込み用の鍋がコトコトと音を立てているだけだった。
奏斗は、カウンターで一人、ノートを広げていた。
今日の売上。
人気投票の投票数。
取り置きの予約。
数字を一通り書き終えたところで、
ペンが止まる。
ページの下半分は、まだ空白だ。
(それぞれの将来、か)
昼間、自分の口から出た言葉が、
少しだけ重く響いてくる。
絵斗が独立を考えていることも、
阿紗美に別の店の話が来ていることも、
薄々感づいてはいた。
凱理が就活から逃げたい気持ちと戦っていることも、
花春が「ここで終わりでもいい。でも、ここで終わりにできない気もする」と
ときどき呟いていることも。
(みんながどこに行ってもおかしくない時期だ)
ノートの端に、「再開発」という文字を書き足す。
この店がどうなるか分からない。
それでも、今日も普通に仕込みをして、
明日も扉を開ける。
(じゃあ、自分はどうしたいのか)
その問いだけが、
いつまでたってもはっきりしない。
そこへ、静かな足音が近づいてきた。
「まだ帰ってなかったんですね」
振り向くと、璃音がエプロンを畳みながら立っていた。
「最後のゴミ出し、忘れてないか確認しに来ただけです」
「助かります」
奏斗は、ノートを閉じかけて、
少しだけ迷った末に開いたままにした。
「再開発の資料、読みましたか」
「はい。
最初から最後まで、二回」
璃音は、カウンターの向こう側に腰を下ろした。
「『移転希望の相談窓口』の電話番号、メモしました?」
「しました」
「かけました?」
「……まだです」
正直に答えると、
璃音は「ですよね」と小さく笑った。
「奏斗さん、
自分のことより先に、この店全体のこと考えちゃいません?」
「そうでしょうか」
「そうです」
即答だった。
「昼間も、みんなに『将来考えておいてください』って言いながら、
自分のことは一ミリも話してませんでしたよね」
「話すほど、まとまっていないので」
「まとまってないからこそ、
少しくらい声に出してもいいんじゃないかなって」
璃音は、ノートの表紙を指でつついた。
「ここに書く前に、
ちょっとだけ口で言ってみる、みたいな」
しばらく沈黙が続いた。
やがて、奏斗は、
自分でも驚くくらい素直な声で口を開いた。
「……本音を言うと」
「はい」
「ここで終わりでもいいのかもしれない、とは思います」
川沿いの夜景を思い浮かべながら、ゆっくりと言葉を選ぶ。
「前の会社を辞めてから、
偶然のようにこの店に来て。
帳簿を付けて、レジを任されて、
気づけば店長代行なんて肩書きをもらって。
『酒の流れる川』のほとりで、
もう一度仕事と向き合えただけでも、
十分すぎるくらいだと思うんです」
そこまで告げてから、
小さく息を吐いた。
「でも」
「でも?」
「ここで終わりにできない気もします」
自分の口から出た言葉に、
自分で少し驚く。
「この店がどういう形で残るにせよ、
ここで働いた時間を『一区切りの思い出』としてしまうには、
まだ、やり残したことが多すぎる気がして」
「やり残したこと?」
「はい」
奏斗は、カウンターの上を見渡した。
青い投票用紙。
「君に恋する確率」のメニュー。
気まぐれデザートの黒板プレート。
「数字の折り目を揃えること以外に、
まだ、できることがある気がするんです」
璃音は、しばらく黙って彼の顔を見つめていた。
やがて、ふっと笑う。
「じゃあ、
とりあえずそこまでの本音は、
ノートに書いておいてください」
「ここまで、ですか」
「はい。
『ここで終わりでもいいと思う自分』と、
『ここで終わりにできない気がする自分』。
どっちもちゃんと書いておけば、
きっと、どっちを選んでも後悔は少なくなります」
その言葉に、奏斗はペンを取った。
ノートの空白に、
ゆっくりと文字を刻んでいく。
『ここで終わりでもいい。
でも、ここで終わりにできない気もする。』
書き終えた文字を見て、
璃音が小さく頷いた。
「明日は、人気投票の最終日ですね」
「はい」
「『店の未来』も、『自分の将来』も、
一晩で決まるわけじゃないですけど」
璃音は、窓の外の川に目を向けた。
「明日の一日くらいは、
全部ひっくるめて、この店のために使ってもいいんじゃないかなって思います」
「……そうですね」
奏斗は、ノートを閉じた。
「明日は、数字も未来もひとまず脇に置いて。
目の前のテーブルと、
この川沿いの一日だけを、丁寧に過ごしましょう」
「了解です」
璃音は、エプロンを抱え直して立ち上がった。
「じゃあ、私は明日のデザート仕込みを、
いつもよりちょっとだけ気合い入れてやります」
「よろしくお願いします」
シャッターを下ろすと、
川沿いの通りは、いつもの静けさを取り戻していた。
酒の流れる川のほとりで、
それぞれの将来と店の未来が、
静かに揺れ始めた夜だった。
ビルの出入口にある掲示板。
そこに新しく貼られた一枚の紙を、阿紗美がじっと見上げている。
「……来春、解体工事開始予定、か」
声に出すと、文字の輪郭が少しだけ現実味を帯びた。
そこへ、仕込みの野菜を入れたコンテナを抱えた絵斗が通りかかる。
「阿紗美さーん、下ごしらえ……って、なに固まってるんですか」
「うん……ちょっと、この紙とにらめっこしてて」
阿紗美は、掲示板を顎で指した。
「『テナントのみなさまへ 再開発スケジュールのお知らせ』」
「あー……」
絵斗は、一歩前に出て紙を読み上げた。
「来月に取り壊し審議、そのあと正式決定。
決まったら半年以内に退去準備開始、か」
「『ふんわりいつか』じゃなくなってきたよね」
「ですね」
二人が黙り込んだところで、裏口のドアが開いた。
「おはようございます」
エプロンを肩にかけた凱理が顔を出す。
「うわ、なにこの空気。
朝から暗いドラマの最終回みたいになってますよ」
「別に暗いドラマじゃないよ」
阿紗美は、わざと肩を回して見せた。
「ただ、現実の台本が配られたってだけ」
「それを暗いって言うんですよ」
凱理は、紙をちらっと見て、すぐに視線をそらした。
「ま、どうにかなるでしょ」
「その『どうにかなるでしょ』が、そろそろ効かなくなってきてるんだよ」
阿紗美の言葉は柔らかいが、目は真剣だ。
「審議の日程も決まって、スケジュールも具体的になって。
『とりあえず今日を乗り切る』だけじゃ、
そろそろ足りなくなってくるかもしれない」
「……ですよね」
凱理は、頭をかきながら笑った。
「じゃ、とりあえず仕込み入ります。
現実はとりあえず玉ねぎから、ってことで」
「そういう切り替えは、嫌いじゃない」
絵斗が、扉を押さえながら言う。
「泣きたくなったら、玉ねぎ刻みに来てください。
理由なんか聞かなくても、涙でごまかせますから」
「頼もしい台詞」
阿紗美は、紙に一礼するように頭を下げてから、店内へ戻った。
◇
営業前のミニミーティング。
カウンターにスタッフ全員が集まり、
コピーされた再開発資料が一人一枚ずつ配られた。
「ビルのオーナーから、正式に届いたものです」
奏斗が、紙の束を見渡しながら口を開く。
「これまでは口頭で『再開発の話がある』と聞かされていただけでしたが、
いよいよスケジュールが具体的になりました」
資料には、審議の日程と解体工事の予定時期、
移転希望がある店への相談窓口の連絡先などが記されている。
「……『移転希望があるテナントは、別途相談を受け付けます』か」
絵斗が、その文を指でなぞった。
「ってことは、全員立ち退き確定ってわけでもないんですか?」
「現時点では、取り壊しが『候補』のままです」
奏斗は、資料の端を折りながら続けた。
「審議の結果次第では計画が変更される可能性もあります。ただ……」
「ただ?」
「楽観視は、できません」
短く区切られた言葉が、
カウンターの上に静かに落ちた。
「だからこそ、今のうちに、それぞれの将来について考えておいてほしいんです」
その一言に、全員の表情が微妙に揺れた。
「将来って、たとえば?」
凱理が、おそるおそる手を挙げる。
「ここがもし、本当に取り壊しになったら——
この店を別の場所で続けるのか、
それとも、どこか別の店に行くのか。
自分がどうしたいのか、ということです」
奏斗は、自分自身に言い聞かせるように言葉を紡いだ。
「今日、結論を出す必要はありません。
ただ、何も考えないままその日を迎えると、
きっと後悔する人が出てくると思います」
「……なんか、
『夏休み最終日に宿題の存在思い出した』ときみたいな気持ちになってきました」
凱理が、思わず漏らす。
「ギリギリまで『まあ何とかなる』って逃げて、
最後の一日で泣きながら全部やるやつ」
「分かりやすい例えですね」
花春が、くすっと笑った。
「今回は、さすがに一日では終わりませんよ」
「ですよね……」
凱理は、資料を畳んでエプロンのポケットにねじ込んだ。
「じゃ、とりあえず今日の営業、いつも通り頑張りますか」
「そうですね」
奏斗は、壁時計を見上げる。
「オープンまで、あと二十分。
将来の話は、営業後に続きができれば」
「了解です」
それぞれが持ち場に散っていく。
資料の紙だけが、エプロンやポケットの中で、
じわりと存在感を訴え始めていた。
◇
昼営業の合間。
厨房の隅で、絵斗はスマートフォンの画面を見つめていた。
「……『物件、見に来ないか』ねえ」
画面には、昔同じ店で働いていた先輩からのメッセージが並んでいる。
『駅前に小さな空き店舗が出た。
お前の店をやるなら、そろそろいい頃合いじゃないか』
「やりたいかどうか聞かれたら、やりたいに決まってるんだけどな」
独り言が、換気扇の音に紛れて消える。
そこへ、阿紗美が大きなボウルを抱えてやってきた。
「絵斗さん、サラダ用のドレッシング、あとどのくらいで……おや?」
「覗かないでください」
絵斗は、反射的にスマホを裏返した。
「怪しい」
「怪しくないです」
「じゃあ、『今度飲みに行きませんか』とかじゃないってことですね」
「それはそれで怪しいでしょ」
顔をしかめながらも、
どこか図星をつかれたみたいに落ち着かない。
「……独立の話ですよ」
しばらく沈黙したあと、絵斗は観念したように言った。
「昔一緒に働いてた先輩が、
『そろそろ自分の店、考えれば』って。
再開発の噂が出る前から、ちょこちょこ言われてたんですけど」
「そっか」
阿紗美は、ボウルを作業台に置き、
自分も隣に寄りかかった。
「行くの?」
「さあ……」
絵斗は、天井を見上げた。
「このタイミングで飛び出すの、
かっこいい気もするんですよね。
『店がどうなるか分からないから、自分の店を作る』って」
「うん」
「でも、『再開発が落ち着くまで一緒に粘る』っていうのも、
かっこ悪いわけじゃない気がして」
言葉を選びながら、
彼は鉄板の上のフライパンに目をやった。
「ここで覚えたこと、まだ全部出し切った気がしないんですよね。
だから、どこが『卒業』なのか、よく分からなくて」
「卒業かあ」
阿紗美は、自分の足首を軽くさすった。
「私も最近、元コーチから連絡が来てさ。
『知り合いの店が人を探してるから、修業してみないか』って」
「走り回れる店ですか?」
「それは間違いない」
二人で笑ったあと、
阿紗美は少し真面目な表情になる。
「新しいキッチンで、新しい人たちと、新しいやり方を覚えるのも、きっと楽しいと思う。
でもさ」
そう言って、「川べり文庫」の狭い厨房を見渡した。
「ここで、もうちょっとだけ走っていたい気持ちもあるんだよね」
「うちの店、そんなに快適です?」
「足をのばす場所も、ぶつからない通路も、
もう身体が覚えちゃってるからね」
阿紗美は、軽くジャンプして着地した。
「どこかで終わりにしてもいい。
でも、ここで終わりにできない気もする」
ぽつりとこぼれた一言が、
換気扇の音より深く厨房に残った。
「……ですね」
絵斗は、フライパンを火にかけながら、短く返事をした。
「簡単に『ここで終わりです』って区切れる場所じゃないんですよね、ここ」
「だからこそ、ちゃんと考えなきゃいけないんだけどね」
阿紗美は、ドレッシングの材料を混ぜながら続ける。
「『情で残る』のとも違うし、『義理で残る』のとも違う。
どこまでが『自分のため』で、どこからが『この店のため』なのか。
そういうの、自分で決めないと、
たぶん後で誰かのせいにしちゃうから」
「耳が痛いこと言いますね」
「耳が痛くなった人は、
玉ねぎ刻んでごまかしていいよ」
二人の笑い声が、厨房の奥まで響いた。
◇
その頃、ホールでは——。
凱理が、レジ横のスペースでノートパソコンを開いていた。
「……スーツ、たけえ」
就活サイトで表示された「リクルートスーツ特集」のページを見て、
思わず声が漏れる。
「スーツ?」
ドリンクバーの補充に来た花春が、背後から画面を覗き込んだ。
「おお、真面目に未来を検索してますねえ」
「やめてください、その言い方」
凱理は、素早く画面を切り替えようとする。
しかし、切り替えた先も「企業説明会の日程表」だ。
「おお……
こっちはこっちで、未来がびっしりですね」
「笑い事じゃないんですよ」
凱理は、頭を抱えた。
「再開発で店がどうなるか分からないって聞いたとき、
正直、ちょっとだけ『ラッキーかも』って思ったんですよね」
「ラッキー?」
「『店がなくなります』って言われたら、
『じゃあ仕方ないですね』って自然にバイト卒業できるじゃないですか。
就活から逃げる言い訳にもなるし」
そこまで一気に話してから、
凱理は自分で自分に呆れたようにため息をついた。
「でも、再開発の資料ちゃんと読んだら、
『相談次第で残れる可能性もある』とか書いてあって。
逃げ道が、ない」
「『ない』って言い方」
花春は、くすっと笑った。
「働く場所が残るかもしれないのは、
普通は喜ぶところですよ?」
「分かってますよ。
分かってるんですけど」
凱理は、パソコンの画面を閉じた。
「ここがもし続くってなったら、
きっと僕、ここにいたくなるんですよ。
『就活もうちょっと後でいいか』って、
絶対先延ばしにする」
「それは……容易に想像できますね」
「ですよね」
二人で苦笑したあと、
花春は少し真面目な顔になった。
「でもね、凱理くん」
「はい」
「ここで働きながら就活するっていう選択肢も、
ちゃんとあるんだよ」
「え?」
「『店の未来が心配だから、今は就活できません』って言って、
全部止めてしまうのは簡単。
でも、『店を手伝いながら、自分のこれからも考える』っていう、
欲張りなやり方だって、案外できるんじゃないかなって」
花春は、レジの横に置かれた青い投票用紙に目をやった。
「人気投票も、再開発も、就活も。
全部いっぺんに抱えるのは大変だけど、
そのぶん、この時期のことはきっと忘れないと思うんだ」
「忘れない、ですか」
「うん。
『あのとき、川べり文庫でバイトしながら、
将来のことも必死に考えてたな』って。
そういう思い出が一個あるだけで、
あとでどこかで踏ん張れるかもしれないよ」
その言葉に、凱理はぽかんとした顔をした。
「……花春さん、
ときどき、就活セミナーの講師みたいになりますよね」
「ホールリーダーの仕事の一部だと思ってるから」
花春は、肩をすくめて笑う。
「ここで『どう働いてたか』って、
きっと、この先どこで働くにしてもついて回るからね」
「『問題を回避するバイトくん』って肩書き、
あんまりついて回ってほしくないんですけど」
「じゃあ、そろそろ肩書き変えていきましょうか」
そう言って、花春はレジの裏側から一枚の小さな紙を取り出した。
そこには、手書きでこう書かれている。
『川べり文庫 アルバイト
凱理(かいり)
——人の背中をそっと押す係』
「……いつの間に」
「この前、カード作戦やったときにね。
『この子、意外と人を前に進ませる言葉を持ってるな』って思って」
凱理は、その紙をじっと見つめた。
「なんか、
この肩書き持ったまま就活できたらいいなって、
今ちょっとだけ思いました」
「じゃあ、その方向で」
花春は、満足そうに頷いた。
◇
閉店後。
日付が変わる少し前の「川べり文庫」には、
仕込み用の鍋がコトコトと音を立てているだけだった。
奏斗は、カウンターで一人、ノートを広げていた。
今日の売上。
人気投票の投票数。
取り置きの予約。
数字を一通り書き終えたところで、
ペンが止まる。
ページの下半分は、まだ空白だ。
(それぞれの将来、か)
昼間、自分の口から出た言葉が、
少しだけ重く響いてくる。
絵斗が独立を考えていることも、
阿紗美に別の店の話が来ていることも、
薄々感づいてはいた。
凱理が就活から逃げたい気持ちと戦っていることも、
花春が「ここで終わりでもいい。でも、ここで終わりにできない気もする」と
ときどき呟いていることも。
(みんながどこに行ってもおかしくない時期だ)
ノートの端に、「再開発」という文字を書き足す。
この店がどうなるか分からない。
それでも、今日も普通に仕込みをして、
明日も扉を開ける。
(じゃあ、自分はどうしたいのか)
その問いだけが、
いつまでたってもはっきりしない。
そこへ、静かな足音が近づいてきた。
「まだ帰ってなかったんですね」
振り向くと、璃音がエプロンを畳みながら立っていた。
「最後のゴミ出し、忘れてないか確認しに来ただけです」
「助かります」
奏斗は、ノートを閉じかけて、
少しだけ迷った末に開いたままにした。
「再開発の資料、読みましたか」
「はい。
最初から最後まで、二回」
璃音は、カウンターの向こう側に腰を下ろした。
「『移転希望の相談窓口』の電話番号、メモしました?」
「しました」
「かけました?」
「……まだです」
正直に答えると、
璃音は「ですよね」と小さく笑った。
「奏斗さん、
自分のことより先に、この店全体のこと考えちゃいません?」
「そうでしょうか」
「そうです」
即答だった。
「昼間も、みんなに『将来考えておいてください』って言いながら、
自分のことは一ミリも話してませんでしたよね」
「話すほど、まとまっていないので」
「まとまってないからこそ、
少しくらい声に出してもいいんじゃないかなって」
璃音は、ノートの表紙を指でつついた。
「ここに書く前に、
ちょっとだけ口で言ってみる、みたいな」
しばらく沈黙が続いた。
やがて、奏斗は、
自分でも驚くくらい素直な声で口を開いた。
「……本音を言うと」
「はい」
「ここで終わりでもいいのかもしれない、とは思います」
川沿いの夜景を思い浮かべながら、ゆっくりと言葉を選ぶ。
「前の会社を辞めてから、
偶然のようにこの店に来て。
帳簿を付けて、レジを任されて、
気づけば店長代行なんて肩書きをもらって。
『酒の流れる川』のほとりで、
もう一度仕事と向き合えただけでも、
十分すぎるくらいだと思うんです」
そこまで告げてから、
小さく息を吐いた。
「でも」
「でも?」
「ここで終わりにできない気もします」
自分の口から出た言葉に、
自分で少し驚く。
「この店がどういう形で残るにせよ、
ここで働いた時間を『一区切りの思い出』としてしまうには、
まだ、やり残したことが多すぎる気がして」
「やり残したこと?」
「はい」
奏斗は、カウンターの上を見渡した。
青い投票用紙。
「君に恋する確率」のメニュー。
気まぐれデザートの黒板プレート。
「数字の折り目を揃えること以外に、
まだ、できることがある気がするんです」
璃音は、しばらく黙って彼の顔を見つめていた。
やがて、ふっと笑う。
「じゃあ、
とりあえずそこまでの本音は、
ノートに書いておいてください」
「ここまで、ですか」
「はい。
『ここで終わりでもいいと思う自分』と、
『ここで終わりにできない気がする自分』。
どっちもちゃんと書いておけば、
きっと、どっちを選んでも後悔は少なくなります」
その言葉に、奏斗はペンを取った。
ノートの空白に、
ゆっくりと文字を刻んでいく。
『ここで終わりでもいい。
でも、ここで終わりにできない気もする。』
書き終えた文字を見て、
璃音が小さく頷いた。
「明日は、人気投票の最終日ですね」
「はい」
「『店の未来』も、『自分の将来』も、
一晩で決まるわけじゃないですけど」
璃音は、窓の外の川に目を向けた。
「明日の一日くらいは、
全部ひっくるめて、この店のために使ってもいいんじゃないかなって思います」
「……そうですね」
奏斗は、ノートを閉じた。
「明日は、数字も未来もひとまず脇に置いて。
目の前のテーブルと、
この川沿いの一日だけを、丁寧に過ごしましょう」
「了解です」
璃音は、エプロンを抱え直して立ち上がった。
「じゃあ、私は明日のデザート仕込みを、
いつもよりちょっとだけ気合い入れてやります」
「よろしくお願いします」
シャッターを下ろすと、
川沿いの通りは、いつもの静けさを取り戻していた。
酒の流れる川のほとりで、
それぞれの将来と店の未来が、
静かに揺れ始めた夜だった。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる