11 / 20
第11章「旧理科準備室へ」
しおりを挟む
「理科準備室って……こっちだっけ?」
放課後、薄暗くなり始めた校舎の西棟――その2階、誰も使わなくなった旧理科棟の一角。
「うん、今は使われてないけど、“旧理科準備室”って札だけまだ残ってるらしい」
拓毅の案内で、一行はいつものようにテンションのままズンズンと進んでいた。
「でもさ、理科準備室ってだけで怖くない?」
「なんか“実験中に消えた教師の魂が眠ってる”的な噂あるよね」
「それ中学のときの“旧視聴覚室”のコピペじゃない!?」
「いや、でも理科って何かと“異界との接点”多いよな。顕微鏡越しに別次元見えたとか、フラスコから精霊出たとか」
「そんな危険な理科授業うちの学校でやってたら問題だよ!!」
そんな話をしているうちに、古びた鉄製の扉の前に到着した。
扉にはまだ札が残っている。
『理科準備室(旧)』
「……こわ……」
「え、これ扉叩いたら“ドーン”って爆発音しない?」
「それは花火部の倉庫と間違えてる」
「花火部存在するのかよ!」
しかし、そこに鍵はかかっていなかった。
キィィィィ……
まるで、ホラー演出を意識してるかのような音を立てて扉が開いた。
「うわっ、匂い……“古い薬品×湿気×謎の資料”みたいな……」
「理科室の記憶が鼻でよみがえる……」
中は、雑然としていた。
埃をかぶったビーカー、倒れかけた薬品棚、割れた試験管、そして何より――
「……PCある」
部屋の奥、なぜかポツンと残された古いノートパソコン。
「あんな古そうなやつ、まだ動くの?」
「いやむしろ、あれが“まだ動いてる”から怖いんだよな……」
「じゃあ……押す?」
「押すなよ!押すなよ!って言ってから押せ!!」
「わかりました、押します」
ボタンを押すと――
ブウウウゥゥゥゥ……
まさかの起動音。
「起動したぁぁぁぁぁ!!」
「フリーズ前提で見てたのに起動すんなよ!!」
「これが“理科室の呪いパワー”ってやつか……!」
画面には、いくつかのフォルダ。
「“境界装置_試作記録”…?」
「なんだこの厨二病全開の名前……」
「いやでも、今の状況でそれ出てきたらもう“現実”だよ!」
恐る恐る、哲哉がクリックする。
フォルダ内には、複数のテキストファイルと、なんと動画データ。
再生すると、古びた白黒映像。
実験装置らしきものと、中央に置かれた――一輪の花。
「……これ、見覚えある」
「校庭の……あの花だ」
映像の中で、複数の大人たちが何かを調整している。そして、花の周囲にうっすらと“光の膜”のようなものが現れると――
『……映っている。過去だ……』
「うおっ、音声入ってる!」
『これが“境界の窓”……記憶を写す花だとすれば、その記憶はこの空間に再構築されている……』
「誰?誰なのこのナレーション!?かっこいいけど怖いよ!」
『この装置を通して、“記憶の花”が人間の意識と接続される可能性がある……』
「え、じゃあ、マジで“意識と花”繋がってんの!?え、俺ら!?」
「じゃあ俺がYO言うたびに花にも届いてるの!?あんなにも!?!?」
「うん……それはちょっと申し訳ないかも」
さらに表示された研究ログには、こう書かれていた。
『起動条件:花の記憶が一定量に達したとき、装置は“境界”を開く』
「境界……やっぱり、異世界行きのゲートだ……!」
「やばいよやばいよ、どんどん“フェスの出し物”どころじゃなくなってきてる!」
「もはやチュロス作ってる場合じゃない!!」
「でも、境界の向こうでチュロス売れるかもしれないじゃん!新市場だよ!」
「お前すぐ異世界ビジネス考えるな!!」
一方、真剣にログを読んでいた拓毅がぽつりと言う。
「この装置の“起動キー”……“花の記憶を集めた者たちの想い”って書いてある」
「それ……つまり……」
「俺たち!?」
「選ばれた……?」
「また!?また選ばれた系!?1章に1回くらい選ばれてない!?多くない!?」
哲哉が画面を見つめながら、低く呟く。
「“花の記憶”って……つまり、花の前で誰かが話したこと、それを全部集めて、装置が動くってことか?」
「じゃあ……俺たちが、今まで花の前で“ふざけたり”“悩んだり”“YOしたり”したこと、全部、記憶されてる……?」
「YOも!?記憶されてるのYOも!?」
「やばい、異世界で再生されたら恥ずか死ぬ!」
それでも、全員が黙って、花のことを思った。
今まで、あの花の前で過ごした日々。
ただの偶然だったのかもしれない。
でも――
「……準備が整ったら、俺たち、境界を開けるってことだよな」
「佐々木を、連れ戻すために」
「うん」
「よし……なら、フェスの準備と異世界装置の準備、同時進行だ!」
「忙しすぎる高校生か!!」
笑いながら、全員がうなずいた。
旧理科準備室――そこに眠っていた“過去の実験”が、いま、未来に向かって動き出した。
旧理科準備室。
未だホコリまみれの実験台の上には、“境界を開く装置”とされる謎の機械が鎮座していた。
「……これ、どう見ても“未来感”はゼロだよね」
「うん、なんか……炊飯器と扇風機の融合みたいな見た目してる」
「この辺のネジとか、絶対ホームセンターで売ってるやつだよ」
「それでも“異世界へのゲート”なんでしょ?ギャップで胸焼けしそうなんだけど」
とはいえ、画面にははっきりと表示されていた。
『メモリー残量:83% 起動条件まであと少し』
「えっ、これ……“溜まった記憶のパーセンテージ”ってこと?」
「つまり、花が記憶を吸い取って、それが100%になったら――“ビーーッ!”って開くってこと?」
「異世界の入り口、まさかのカウント制!?」
「しかも今83%て!もうすぐじゃん!!どうしよ!?どうするの!?心の準備もパスポートもないよ!?」
「異世界、ビザ申請制かよ」
そんな中、栄徳が感動気味にパネルをのぞき込みながら言った。
「……これ、やっぱ俺のYOが結構ポイント稼いだんじゃね?」
「違うよ!!絶対違うよ!!」
「“花に語りかけた想い”だぞ!?YOって“想い”扱いされてんの!?」
「だとしたら世界の感性、想像以上にフリーダムすぎるわ!」
その時、画面が一瞬だけチカッと光った。
『記憶再生モードに移行します』
「えっ!?なになに!?再生って!?」
「再生ボタン押してないよ!?なんで急に“自動再生”してきたの!?」
そして画面に現れたのは――
「……これ、俺たち……」
確かに、校庭の花の前で会話している自分たちだった。
「うわっ、やば……これ完全に“過去ログ”じゃん……」
「見て、これ俺が“花は今日もYOってる”って言った時のやつだ……!再生されてる……!証拠が……!」
「証拠ってなに!?なんの罪!?花への侮辱罪!?」
場面が切り替わるたび、花の前で交わされた言葉の断片が映し出されていく。
「“応援って、伝える気持ちなんだよね”」
「“花って、本当に誰かの記憶を見てるのかも”」
「“やば、チュロスもう一本食いたい”」
「それ要る!?」
「いやそれ“記憶”として選ばれたの!?花の基準謎すぎる!!」
やがて画面が暗転し、最後にこう表示された。
『記憶容量、95%。
最終記録を受け付け中。
想いを込めて語りかけてください。』
「……これ、最後の“一言”が起動のキーになるんだ」
「じゃあ、どうする? 誰が言う?」
しんと、部屋が静かになる。
みんなが、あの花の前で、自分が何を思ったかを、考えていた。
「……俺、最初はただの“変な花”だと思ってた。ラップのネタくらいにしか」
「でも、あの花、俺のYOにもちゃんとリアクションしてくれてた……たぶん……ちょっとだけ、だけど……」
「それって、“耳を傾けてくれてた”ってことじゃん?俺、それだけで、もうなんか……いいなって」
「……YOってる割に、ちゃんと考えてたんだな……」
「YOの裏には、思いがあるんだよ……」
「うわ、めっちゃ名言っぽいけど台無しにしかならないのなんで!?」
そのとき。
菜緒が、そっと一歩前に出た。
「私、言う」
「えっ?」
「ずっと……花のこと、気になってたから」
そう言って、菜緒は装置の前に立つ。
花の前で話しかけていたときと、同じように。
「……あなたは、ずっと聞いてくれてたよね」
「誰にも見つけてもらえなかった記憶を、私たちに見せてくれた」
「……私、まだ、何もわかってないかもしれない」
「でも、それでも知りたい。“誰かの想い”が、どこへ行こうとしてたのか」
「佐々木が見た景色、私たちも、一緒に見せてほしい」
そう語り終えた瞬間――
ピッ……
『記憶率:100% 到達。装置起動準備完了。』
「えっ!?マジで!?今ので!?いけたの!?詩的発言有効だったの!?」
「すごい……詩人って異世界解錠に有利なんだな……」
「チュロスの在庫どうする!?異世界持ち込む!?防腐剤足りる!?」
「そこじゃないでしょ!?今ここ歴史の分岐点!!」
「やばい、これもう完全に“境界、開きます”って流れじゃん!!」
装置の中央が、じわりと光り出す。
そして――
ゴゴゴゴゴ……
「うわっ!震えた!いま地面震えた!!」
「音!音もしてる!!炊飯器のくせに起動音壮大すぎ!!」
「異世界門なのに“ピーッ!ご飯が炊けました!”って言わないで!!」
けたたましい轟音と共に、装置の上部から立ちのぼる光の柱。
その光は、まっすぐに天井を突き抜け――
次の瞬間、全員の視界が、白に包まれた。
“ようこそ。想いの中へ”
声がした。
空間が、変わっていた。
目の前には、あの花。
でも、それは――巨大だった。
空も、地面も、何もない白い空間の中に、ぽつんと咲いていた。
そして、その前に――
「……佐々木!」
彼女が、そこにいた。
ふり返った佐々木は、少し笑って言った。
「来てくれたんだ。ありがとう」
次章――境界の向こう側、“記憶の中の世界”へ。
【章終】
放課後、薄暗くなり始めた校舎の西棟――その2階、誰も使わなくなった旧理科棟の一角。
「うん、今は使われてないけど、“旧理科準備室”って札だけまだ残ってるらしい」
拓毅の案内で、一行はいつものようにテンションのままズンズンと進んでいた。
「でもさ、理科準備室ってだけで怖くない?」
「なんか“実験中に消えた教師の魂が眠ってる”的な噂あるよね」
「それ中学のときの“旧視聴覚室”のコピペじゃない!?」
「いや、でも理科って何かと“異界との接点”多いよな。顕微鏡越しに別次元見えたとか、フラスコから精霊出たとか」
「そんな危険な理科授業うちの学校でやってたら問題だよ!!」
そんな話をしているうちに、古びた鉄製の扉の前に到着した。
扉にはまだ札が残っている。
『理科準備室(旧)』
「……こわ……」
「え、これ扉叩いたら“ドーン”って爆発音しない?」
「それは花火部の倉庫と間違えてる」
「花火部存在するのかよ!」
しかし、そこに鍵はかかっていなかった。
キィィィィ……
まるで、ホラー演出を意識してるかのような音を立てて扉が開いた。
「うわっ、匂い……“古い薬品×湿気×謎の資料”みたいな……」
「理科室の記憶が鼻でよみがえる……」
中は、雑然としていた。
埃をかぶったビーカー、倒れかけた薬品棚、割れた試験管、そして何より――
「……PCある」
部屋の奥、なぜかポツンと残された古いノートパソコン。
「あんな古そうなやつ、まだ動くの?」
「いやむしろ、あれが“まだ動いてる”から怖いんだよな……」
「じゃあ……押す?」
「押すなよ!押すなよ!って言ってから押せ!!」
「わかりました、押します」
ボタンを押すと――
ブウウウゥゥゥゥ……
まさかの起動音。
「起動したぁぁぁぁぁ!!」
「フリーズ前提で見てたのに起動すんなよ!!」
「これが“理科室の呪いパワー”ってやつか……!」
画面には、いくつかのフォルダ。
「“境界装置_試作記録”…?」
「なんだこの厨二病全開の名前……」
「いやでも、今の状況でそれ出てきたらもう“現実”だよ!」
恐る恐る、哲哉がクリックする。
フォルダ内には、複数のテキストファイルと、なんと動画データ。
再生すると、古びた白黒映像。
実験装置らしきものと、中央に置かれた――一輪の花。
「……これ、見覚えある」
「校庭の……あの花だ」
映像の中で、複数の大人たちが何かを調整している。そして、花の周囲にうっすらと“光の膜”のようなものが現れると――
『……映っている。過去だ……』
「うおっ、音声入ってる!」
『これが“境界の窓”……記憶を写す花だとすれば、その記憶はこの空間に再構築されている……』
「誰?誰なのこのナレーション!?かっこいいけど怖いよ!」
『この装置を通して、“記憶の花”が人間の意識と接続される可能性がある……』
「え、じゃあ、マジで“意識と花”繋がってんの!?え、俺ら!?」
「じゃあ俺がYO言うたびに花にも届いてるの!?あんなにも!?!?」
「うん……それはちょっと申し訳ないかも」
さらに表示された研究ログには、こう書かれていた。
『起動条件:花の記憶が一定量に達したとき、装置は“境界”を開く』
「境界……やっぱり、異世界行きのゲートだ……!」
「やばいよやばいよ、どんどん“フェスの出し物”どころじゃなくなってきてる!」
「もはやチュロス作ってる場合じゃない!!」
「でも、境界の向こうでチュロス売れるかもしれないじゃん!新市場だよ!」
「お前すぐ異世界ビジネス考えるな!!」
一方、真剣にログを読んでいた拓毅がぽつりと言う。
「この装置の“起動キー”……“花の記憶を集めた者たちの想い”って書いてある」
「それ……つまり……」
「俺たち!?」
「選ばれた……?」
「また!?また選ばれた系!?1章に1回くらい選ばれてない!?多くない!?」
哲哉が画面を見つめながら、低く呟く。
「“花の記憶”って……つまり、花の前で誰かが話したこと、それを全部集めて、装置が動くってことか?」
「じゃあ……俺たちが、今まで花の前で“ふざけたり”“悩んだり”“YOしたり”したこと、全部、記憶されてる……?」
「YOも!?記憶されてるのYOも!?」
「やばい、異世界で再生されたら恥ずか死ぬ!」
それでも、全員が黙って、花のことを思った。
今まで、あの花の前で過ごした日々。
ただの偶然だったのかもしれない。
でも――
「……準備が整ったら、俺たち、境界を開けるってことだよな」
「佐々木を、連れ戻すために」
「うん」
「よし……なら、フェスの準備と異世界装置の準備、同時進行だ!」
「忙しすぎる高校生か!!」
笑いながら、全員がうなずいた。
旧理科準備室――そこに眠っていた“過去の実験”が、いま、未来に向かって動き出した。
旧理科準備室。
未だホコリまみれの実験台の上には、“境界を開く装置”とされる謎の機械が鎮座していた。
「……これ、どう見ても“未来感”はゼロだよね」
「うん、なんか……炊飯器と扇風機の融合みたいな見た目してる」
「この辺のネジとか、絶対ホームセンターで売ってるやつだよ」
「それでも“異世界へのゲート”なんでしょ?ギャップで胸焼けしそうなんだけど」
とはいえ、画面にははっきりと表示されていた。
『メモリー残量:83% 起動条件まであと少し』
「えっ、これ……“溜まった記憶のパーセンテージ”ってこと?」
「つまり、花が記憶を吸い取って、それが100%になったら――“ビーーッ!”って開くってこと?」
「異世界の入り口、まさかのカウント制!?」
「しかも今83%て!もうすぐじゃん!!どうしよ!?どうするの!?心の準備もパスポートもないよ!?」
「異世界、ビザ申請制かよ」
そんな中、栄徳が感動気味にパネルをのぞき込みながら言った。
「……これ、やっぱ俺のYOが結構ポイント稼いだんじゃね?」
「違うよ!!絶対違うよ!!」
「“花に語りかけた想い”だぞ!?YOって“想い”扱いされてんの!?」
「だとしたら世界の感性、想像以上にフリーダムすぎるわ!」
その時、画面が一瞬だけチカッと光った。
『記憶再生モードに移行します』
「えっ!?なになに!?再生って!?」
「再生ボタン押してないよ!?なんで急に“自動再生”してきたの!?」
そして画面に現れたのは――
「……これ、俺たち……」
確かに、校庭の花の前で会話している自分たちだった。
「うわっ、やば……これ完全に“過去ログ”じゃん……」
「見て、これ俺が“花は今日もYOってる”って言った時のやつだ……!再生されてる……!証拠が……!」
「証拠ってなに!?なんの罪!?花への侮辱罪!?」
場面が切り替わるたび、花の前で交わされた言葉の断片が映し出されていく。
「“応援って、伝える気持ちなんだよね”」
「“花って、本当に誰かの記憶を見てるのかも”」
「“やば、チュロスもう一本食いたい”」
「それ要る!?」
「いやそれ“記憶”として選ばれたの!?花の基準謎すぎる!!」
やがて画面が暗転し、最後にこう表示された。
『記憶容量、95%。
最終記録を受け付け中。
想いを込めて語りかけてください。』
「……これ、最後の“一言”が起動のキーになるんだ」
「じゃあ、どうする? 誰が言う?」
しんと、部屋が静かになる。
みんなが、あの花の前で、自分が何を思ったかを、考えていた。
「……俺、最初はただの“変な花”だと思ってた。ラップのネタくらいにしか」
「でも、あの花、俺のYOにもちゃんとリアクションしてくれてた……たぶん……ちょっとだけ、だけど……」
「それって、“耳を傾けてくれてた”ってことじゃん?俺、それだけで、もうなんか……いいなって」
「……YOってる割に、ちゃんと考えてたんだな……」
「YOの裏には、思いがあるんだよ……」
「うわ、めっちゃ名言っぽいけど台無しにしかならないのなんで!?」
そのとき。
菜緒が、そっと一歩前に出た。
「私、言う」
「えっ?」
「ずっと……花のこと、気になってたから」
そう言って、菜緒は装置の前に立つ。
花の前で話しかけていたときと、同じように。
「……あなたは、ずっと聞いてくれてたよね」
「誰にも見つけてもらえなかった記憶を、私たちに見せてくれた」
「……私、まだ、何もわかってないかもしれない」
「でも、それでも知りたい。“誰かの想い”が、どこへ行こうとしてたのか」
「佐々木が見た景色、私たちも、一緒に見せてほしい」
そう語り終えた瞬間――
ピッ……
『記憶率:100% 到達。装置起動準備完了。』
「えっ!?マジで!?今ので!?いけたの!?詩的発言有効だったの!?」
「すごい……詩人って異世界解錠に有利なんだな……」
「チュロスの在庫どうする!?異世界持ち込む!?防腐剤足りる!?」
「そこじゃないでしょ!?今ここ歴史の分岐点!!」
「やばい、これもう完全に“境界、開きます”って流れじゃん!!」
装置の中央が、じわりと光り出す。
そして――
ゴゴゴゴゴ……
「うわっ!震えた!いま地面震えた!!」
「音!音もしてる!!炊飯器のくせに起動音壮大すぎ!!」
「異世界門なのに“ピーッ!ご飯が炊けました!”って言わないで!!」
けたたましい轟音と共に、装置の上部から立ちのぼる光の柱。
その光は、まっすぐに天井を突き抜け――
次の瞬間、全員の視界が、白に包まれた。
“ようこそ。想いの中へ”
声がした。
空間が、変わっていた。
目の前には、あの花。
でも、それは――巨大だった。
空も、地面も、何もない白い空間の中に、ぽつんと咲いていた。
そして、その前に――
「……佐々木!」
彼女が、そこにいた。
ふり返った佐々木は、少し笑って言った。
「来てくれたんだ。ありがとう」
次章――境界の向こう側、“記憶の中の世界”へ。
【章終】
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
レオナルド先生創世記
ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる