雪杜ナインプレイス 〜キミと雪見酒と、声にならない好き〜

乾為天女

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第31話 名前を盗んだチラシ

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 十一月のある朝、駅前案内所のカウンターに、一枚の紙がぽとりと置かれた。

 「すみません、これを見て来たんですけど……」

 声をかけてきたのは、キャリーケースを引いた二人組の女性だった。片方は厚手のストールを肩に掛け、もう片方は首からカメラを下げている。

 「九つの場所めぐりの『9placeマップ』って、ここでもらえるって聞いて……」

 そう言って差し出された紙に、「9place」と大きく印刷されている文字を見た瞬間、瑠奈の目がまん丸になった。

 「これ……うちのじゃないですね」

 思わず小さな声が漏れる。紙の上には、見慣れたようでいて、どこか違う雪杜町の地図が描かれていた。雪見社、酒蔵、足湯、りんご園。その名前自体はあっている。けれど、点と点を結ぶ線がおかしい。駅から足湯に行くはずの線が、なぜか町外れの方へぐいっと曲がっている。

 「ここ、『公式9placeルート・駅から徒歩十五分』って書いてあったので、歩いてみたら……」

 ストールの女性が、少し苦笑いして続ける。

 「十五分どころか四十分くらい歩いて、最後は工場地帯みたいなところに出ちゃって。そこでおじさんに道を聞いたら、『その地図ちょっと変だよ』って言われて」

 「ご迷惑おかけしてしまってすみません」

 瑠奈は、慌てて頭を下げた。

 「私たちが作っている九つの場所の地図は、こちらなんです。もしよかったら、今日の分お渡ししますね」

 公式パンフレットを手渡しながら、ちらりと先ほどの紙に目を戻す。端のほうに、小さく店の名前が印刷されていた。

 「……カフェ・ノアール?」

 「そうです、その名前でした」

 カメラを下げた女性が頷く。

 「駅から離れたところにある、かわいいカフェでしたよ。『9placeの途中にある休憩スポットです』って、マスターさんが」

 「途中……?」

 瑠奈は、紙の端に書かれた一文を読み上げた。

 「『9place公式ルート・町外れ支店』」

 「そんな支店、作った覚えはないんだけどなあ」

 すぐ後ろから聞こえた声に振り向くと、そこには颯馬が立っていた。出勤途中だったらしい彼は、紙を受け取ると眉を寄せる。

 「……やられたな」

    *

 昼前、いつものラーメン屋のテーブルには、「問題の一枚」が広げられていた。

 「名前だけ、一人歩きしてる感じだな」

 龍護が腕を組み、チラシをじっとにらむ。

 「『9place公認カフェ』『公式ルート最短コース』……どこにもそんな話、してないぞ」

 「最短どころか、遠回りですよね、これ」

 瑠奈が、ボールペンで地図の線をなぞる。駅からまっすぐ足湯に向かうべきところを、線は途中でぐいっと外側にそれ、町外れでくるりと回ってから足湯へ向かっていた。

 「ここが、さっきのお客さんが言ってた工場地帯」

 樹佳が、町の正式な地図と照らし合わせる。

 「もし夜にこれを見て歩いたら、道が暗くて危ないかもしれません」

 テーブルの端で、琉央が無言でチラシをひっくり返した。裏面には、カフェの写真が載っている。木のテーブルと大きな窓。カップに注がれたコーヒーから湯気が立ち上っていた。

 「写真は……おいしそうですね」

 瑠奈が、つぶやくように言う。

 「写真は誉めなくていい」

 龍護が、露骨に不満そうな声を出した。

 「うちが『雪杜ナインプレイス』って名前を出すまで、一生懸命考えたの知ってるだろ。酒蔵のラベル作り直して、看板も作って……」

 「わかってます」

 颯馬は、湯気の立つラーメンを前にしながら、箸を持つ手を止めた。

 「だからこそ、これは放っておけない」

 「やっぱり、やめてもらうように言いに行きますか?」

 瑠奈の問いに、龍護は「当然だ」と頷いた。

 「名前を勝手に使われるのは、正直面白くない。間違った地図で歩かれて、何かあってからじゃ遅い」

 その言葉に、誰も反論はしなかった。

 ただ、颯馬はチラシの写真をもう一度見つめた。店の外観の隅っこに、小さな紙が貼ってある。「九つの場所、いつか全部まわりたい」という手書きの文字が読めた気がした。

 「……一回、話を聞きに行こう」

 そう言って、割り箸を割る。

 「『やめてください』って言う前に、『どうしてこうしたのか』を知りたい」

    *

 カフェ・ノアールは、駅から少し離れた住宅街と田んぼの境目にあった。

 「こんなところに、カフェなんてありましたっけ」

 瑠奈が首をかしげる。

 「去年の冬にオープンしたらしい」

 颯馬は、商工会の資料で見た情報を思い出しながら答えた。

 古い民家を改装した建物は、黒い板壁と白い窓枠が印象的だった。入口の横には、「9place途中の休憩所」という手書きの看板が立っている。

 「途中って言い切ってるな……」

 龍護が呟き、ドアを押し開けた。

 店内には、焙煎した豆の香りが満ちていた。壁には、古いレコードジャケットと、誰かが撮ったらしい町の写真が並んでいる。雪見社の石段、川沿いの欄干、足湯のベンチ。

 「いらっしゃいませー」

 カウンターの向こうから顔を出したのは、三十代半ばくらいの男性だった。白いシャツにエプロン。その首には、小さなペンダントが光っている。

 「すみません」

 颯馬が一歩前に出る。

 「雪杜九つの場所ルートの案内をしている者です」

 「……あ」

 男性の顔に、一瞬で「あ、見つかった」という色が浮かんだ。

 「もしかして、9placeの……本物のほうの?」

 「そうです」

 颯馬は、チラシを差し出した。

 「このチラシのことで、お話を伺いに来ました」

    *

 しばらくのあいだ、店内の空気が気まずい沈黙に包まれた。

 「まずは、お詫びします」

 暫くして、男性が深く頭を下げた。

 「名前、勝手に使ってしまって。本当はちゃんと挨拶に行くべきだったんですけど……」

 「どうして『9place』を名乗ろうと思ったんですか」

 颯馬は、責めるというより、確認するような口調で聞いた。

 男性は、カウンターの中から一枚のパンフレットを取り出した。公式の「九つの場所マップ」だった。角が擦り切れて、何度も開いた跡がある。

 「これ、開店前に駅でもらって。『九つの場所』っていうのが、すごくいいなと思って」

 指先で、パンフレットの丸印をなぞる。

 「自分の店も、この輪っかのどこかに入りたいなって。駅からはちょっと離れてるけど、『途中の秘密基地』みたいな感じで……」

 言葉を探しながら続ける姿は、どう見ても悪意のある「盗人」には見えなかった。

 「それは、わかります」

 瑠奈が、小さく頷いた。

 「ただ、名前の横に『公式』ってつけてしまうと、こっちの責任にもなってしまうので……」

 「はい。本当にその通りです」

 男性は、顔をしかめた。

 「最初は『九つの場所の途中にあるカフェ』って書こうとしたんです。でも、印刷屋さんに相談したら、『公式とかつけたほうが目立つよ』って言われて。つい、欲張りました」

 「地図も、だいぶ無理やりつないでますね」

 樹佳が、チラシの線を指さす。

 「駅から工場地帯を通って足湯、ってルートは、正直危ないです」

 「実は……僕、まだ九つの場所全部まわったことがないんです」

 男性は、観念したように笑った。

 「店を始めてから、なかなか時間が取れなくて。パンフレットを見ながら、『こんな感じかな』って線を引いてしまいました」

 「それはさすがに、想像力がたくましすぎます」

 龍護が、呆れたように言う。

 「名前だけ、味見したみたいなもんだな」

 「はい。おっしゃる通りです」

 男性は、肩を落とした。

 「『九つの場所』をちゃんと知らないまま、名前だけを都合よく使いました。すみません」

    *

 謝罪の言葉は、思ったよりも早く出てきた。ただ、それだけで終わらせてしまうには、何か惜しい気がした。

 カウンターに、マグカップが三つ並べられた。深煎りのコーヒーの香りが、少し緊張した空気を和らげる。

 「僕、井出と言います」

 男性は、自分のマグカップを両手で包み込みながら名乗った。

 「東京でサラリーマンやってたんですけど、三年前にここに移住してきて。ずっと、町外れでひっそりやってました」

 「ひっそりって言うほど、悪くない場所ですよ」

 窓の外には、田んぼの向こうに山並みが見える。

 「駅前のにぎやかさとは違うけど、ゆっくり時間が流れてる感じがして」

 瑠奈の言葉に、井出は少しだけ笑った。

 「でも、なかなかお客さんが増えなくて。そんなときに、この九つの場所のパンフレットをもらったんです。丸い印が九つ並んでるのを見て、『ここに名前が入ったら、うちももっと誰かの記憶に残れるかも』って」

 「だから、『名前を借りた』つもりで、『盗んだ』自覚が薄かったのかもしれません」

 正直な告白だった。

 颯馬は、自分のマグカップを見つめた。黒い液面に、天井の照明が小さく揺れている。

 (名前だけ借りて、中身を知らないまま使う)

 それは、どこかで聞いたことがある話のように思えた。東京で働いていたころ、「地方創生」や「観光戦略」という言葉だけを看板にして、中身をちゃんと見ようとしなかった人たち。いや、自分もその一人だったかもしれない。

 「……ひとつ、頼みがあります」

 顎を上げて、井出を見る。

 「九つの場所、本物のルートを、一緒に歩きませんか」

 「え?」

 「名前だけじゃなくて、中身ごと知ってほしいんです。九つの場所を歩いて、そこで見える顔や、聞こえてくる声を」

 しばらくの沈黙のあと、井出は苦笑した。

 「正直に言うと、店を留守にするのは怖いです。でも……」

 視線が、壁に貼られた雪見社の写真に向かう。

 「このまま名前だけ使っているほうが、もっと怖いかもしれませんね」

 井出は、大きく息を吸った。

 「定休日の水曜日なら、一日店を閉められます。その日に、連れていってもらえますか」

 「もちろん」

 颯馬は、迷わず頷いた。

    *

 水曜日。快晴。

 「じゃあ、出発しますか」

 駅前広場に集まったのは、颯馬、瑠奈、龍護、亜矢菜、琉央、樹佳、そして井出だった。

 「完全に『九つの場所・大人の社会科見学』ですね」

 亜矢菜が、収録用の小型レコーダーを掲げる。

 「今日のテーマは、『名前を盗んだチラシの贖罪』でお送りしまーす」

 「タイトルが物騒すぎる」

 颯馬が苦笑する間に、一行は駅前の地図の前に立った。

 「これが本物のルートです」

 颯馬が、木製の大きな地図板を指さす。九つの丸印を糸でつなぐように、線が描かれている。

 「井出さんのチラシの線は、ここからこう行ってましたよね」

 樹佳が、以前のチラシを取り出す。井出は、自分が引いた線を見て目を丸くした。

 「……これはひどい」

 「今、気づきましたか」

 龍護のツッコミに、みんなが笑った。

 「じゃあ、本物の線をたどっていきましょう」

 颯馬の号令で、一行は歩き出した。駅前広場から商店街、足湯、雪見社、酒蔵。

 足湯では、湯気の向こうで地元の人がくつろいでいた。井出は、おそるおそるベンチに腰かける。

 「ここ、ずっと来てみたかったんです」

 湯に足を浸した瞬間、思わず声が漏れた。

 「店から駅に行く途中、何度も横を通ったんですけど、『一人で入るの恥ずかしいな』って」

 「九つの場所を作る前は、私もそう思ってました」

 瑠奈が笑う。

 「でも、誰かと一緒に入ると、『あ、ここにいていいんだ』って思えるんですよね」

 雪見社では、石段を登りながら、井出が息を切らした。

 「これ、毎日登ってる人いるんですか」

 「いますよ。途中で立ち止まって、息を整えながらですけど」

 階段の途中で、井出はふと足を止めた。

 「さっきのチラシ、ここを飛ばしてましたよね」

 「うん」

 颯馬が頷く。

 「九つのうち、一番高い場所、丸ごと飛ばしてた」

 「ばかだなあ」

 井出は、自分で自分を笑った。

 「『高いところは大変だから、地図から抜かしてもいいか』なんて簡単に思ってた自分が、今さらになって恥ずかしいです」

 酒蔵では、龍護が一行に熱心に説明をした。

 「ここが、雪杜ナインプレイスの『9』の字の一部をラベルに入れたタンクね」

 「そんなところにまで?」

 井出は、目を丸くする。

 「名前をラベルに入れるときは、何度もやり取りしたんだぞ」

 龍護は、井出の肩を軽く叩いた。

 「だから、名前を勝手に使われたって聞いたとき、ついカッとなった」

 「……すみません」

 井出は、もう一度だけ頭を下げた。

 「でも、今日歩いてみて、ようやくわかりました。『九つの場所』って、ただの観光コースじゃなくて、いろんな人の『ここが好き』が、ぎゅっと詰まった線なんですね」

 その言葉に、全員が静かに頷いた。

    *

 その日の夕方。

 カフェ・ノアールのカウンターの上には、新しく作り直したチラシの束が置かれていた。

 「『名前を盗んだチラシ・訂正版』ってタイトル、やめませんか」

 印刷屋から届いた試し刷りを見て、亜矢菜が笑う。

 「いいじゃないですか。ラジオ的には美味しいですよ」

 「お客さんがびっくりしますって」

 結局、タイトルはもう少し穏やかなものに変えられた。

 『九つの場所の外側で、ちょっとひと休みできるカフェ』

 その下に、小さく「カフェ・ノアール」と店名が記されている。地図の線は、正式なルートに合わせて引き直された。駅から九つの場所を回ったあと、最後にちょっとだけ脇道へそれるような線だ。

 「それから、これ」

 颯馬は、小さなシールを取り出した。九つの場所のロゴマークと、「公式ルート協力店」という文字が入っている。

 「勝手に『公式』って書くのは駄目ですけど、こうやって一緒に考えてつける『協力店』なら、胸を張って貼ってほしいです」

 井出は、シールを両手で受け取った。

 「こんな形で名前を預けてもらえるなんて、思ってもみませんでした」

 「預ける、か」

 颯馬は、その言い方が気に入った。

 「盗まれるときは、取り返さないといけない。でも、『預けられる』場所なら、増えてもいい」

 そう言って、カフェのドアの横に、新しいチラシを掲示した。

 『九つの場所の外側で、ちょっとひと休み』

 その言葉の横で、小さなロゴマークが静かに光っている。

 「いつか、うちも『九つの場所の中に入りたい』って言えるような店にします」

 井出の言葉に、颯馬は首を振った。

 「中に入るかどうかより、外側で風を受けながら待っていてくれる場所があるほうが、きっと心強いです」

 窓の外では、夕焼けが田んぼの向こうの空を染めていた。遠くに見える駅前の看板のあたりから、人の流れが少しずつこちらに向かっているのが見える。

 「そのうち、『9place寄り道セット』とか作りましょうか」

 亜矢菜が、レコーダーを片手ににやりと笑う。

 「足湯と雪見社とカフェ・ノアールで撮った音だけをつないだ、寄り道用ラジオ」

 「それ、面白そうですね」

 瑠奈が嬉しそうに頷く。

 「名前を盗んだチラシのおかげで、また寄り道する場所が一つ増えましたね」

 そう言って笑った瑠奈の頬に、夕日が柔らかく当たった。

 九つの場所を囲む輪の外側に、小さな点がひとつ増える。その点が、これからどんな線とつながっていくのかを思いながら、颯馬はカウンターの上のチラシを一枚、そっと手に取った。

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