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【第4話 診療所の静かな覚悟】
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五月初旬の平日、夕方。
真白町の小さな診療所の外壁に、オレンジ色の西日が斜めに当たっていた。港から少し離れた住宅地の一角に佇むこの建物は、町で暮らす人々にとって“もっとも身近な医療の場所”であり、同時に“命と向き合う現場”でもあった。
「うわ……思ったより静か……」
玄関をくぐった麻衣子が、ふと口にした。足元のタイルには落ち葉ひとつ落ちておらず、受付カウンターの奥ではスタッフが淡々とカルテを整理していた。テレビの音もBGMもない。静寂だけが場を満たしていた。
その隣では、真奈美がすでに取材用のタブレットを手に構えていた。無駄な動きも言葉もない。取材対象を“記録する”という目的のもと、完璧に準備されている。
「……菜央、どこ?」
麻衣子が小声でつぶやくと、受付奥から聞こえてきたのは、どこか馴染みのある声だった。
「こっち。いま、院長先生と話してた」
菜央だった。白衣姿の女性医師と並んで、職員通用口から現れる。手にはA4サイズの資料がまとめられていた。
「ご紹介します。こちらが町立診療所の院長の、栗原先生」
落ち着いた声。スラリとした体型に知的な眼差し。栗原医師は、柔らかく頷きながら言った。
「今日はわざわざ来てくれてありがとう。診療は一段落したところだから、いまなら少しだけ時間が取れますよ」
「ありがとうございます」
菜央が頭を下げると、真奈美と麻衣子も続けてお辞儀をした。
案内されたのは、処置室の隣にある会議室のような小部屋。壁には各種ポスターとAEDの使い方が掲示され、端には血圧計や体温計などが並んでいる。
麻衣子は一瞬、その空気に呑まれた。彼女は普段、“人の内面”や“気持ち”に意識を向けない。それが自分のスタイルだった。だが——この空間は、否応なく“命”と向き合うことを要求してくる。
「今日はどんなことを知りたいの?」
栗原の問いかけに、菜央が手帳を開く。
「まず、診療所の一日の流れ。そして、“医師以外のスタッフ”の方がどのような形で関わっているか、現場全体のチームワークについて伺いたいです」
「なるほど。“誰が何を担って、命を支えているか”ってことですね」
「はい。“医師一人では仕事が成立しない”という構造を伝えたいと思っています」
栗原は、少し驚いたように目を細めた。
「その視点で話を聞かれたのは初めてかもしれません」
麻衣子は、なんとなくその言葉の意味が分かる気がした。医師の仕事、看護師の仕事——そうした“分かりやすい役割”ばかりが注目される中で、“支える側”の構造に焦点を当てるのは、確かに珍しい。
「医療って、どんな仕事だと思いますか?」
逆に栗原が尋ねた。菜央は迷わず答えた。
「……人の不安と向き合い、安心に変えていく仕事。私はそう思っています」
真奈美が、その言葉に目を細める。
麻衣子は、ふと天井を見上げた。
(……私は、そんな風に思ったことないな。少なくとも、いままでは)
栗原医師は、質問を受けながら淡々と答えていった。言葉はどれも簡潔だったが、その背景には長年の経験と確信がにじんでいた。
「私たちの仕事は、患者さんの“からだ”だけを見るんじゃありません。“生活”を見ることです。血圧が高い、糖が多い、それだけで診断はできません。本人がどんな環境で暮らして、どんな食事をして、誰と一緒にいるのか——全部が“背景”になります」
菜央が深くうなずきながらメモを取る。その横で真奈美がタブレットで録音と同時に議事メモを整理している。
一方、麻衣子は、なにか喉に引っかかったような感覚を覚えていた。
(……生活を見る?)
その言葉が、自分の中に妙に刺さる。麻衣子自身、人に興味がない。家族とも距離があるし、友達とベタベタするのも嫌いだ。だが、“その人がどんなふうに暮らしているか”という視点を向けたことが、これまでに一度でもあったか——そう問われれば、答えは「ノー」だった。
「……あの」
気づけば、声が出ていた。麻衣子は自分でも驚くくらい自然に、質問していた。
「先生は……患者さんに、興味って持てるものなんですか? いや、あの……全員に?」
部屋の空気が一瞬だけ止まる。
だが栗原は、穏やかに笑った。
「持てませんよ。全員には」
あっさりとした答えに、麻衣子は思わず目を見開いた。
「正直に言いますね。私たちは神様じゃない。どんなに真剣に向き合っていても、感情の限界はある。でも——“関心を持とうとする努力”は、全員に向ける。そうでなければ、“診る”ことはできない」
その言葉が、麻衣子の胸にずしりと落ちた。
“関心を持とうとする努力”。
それは、これまで自分があえて避けてきたことだった。人に関われば面倒だ。思考が乱れる。自分のペースが乱される——だから、距離を取っていた。
だが、それでも“向き合う努力”を続けている人がいる。それが“しごと”として、目の前にある。
「……努力、なんだ」
ぽつりとつぶやく麻衣子の声を、誰も責めなかった。ただ菜央だけが、そっと彼女の方を見て、静かに頷いた。
◆
見学の終わり際、栗原医師は三人を事務室の裏手に案内した。
そこには、カルテを仕分けする事務スタッフが一人、そして連絡ノートを手にした看護師が一人座っていた。
「この方たちが、私たちの“もうひとつの脳”です。診療は医師ひとりでは回りません。受付、事務処理、患者との日程調整、訪問看護との連携、薬局との橋渡し——全部が分業で、全部が信頼で成り立っています」
「お仕事の内容、あとで資料にまとめてもいいですか?」
菜央が丁寧に尋ねると、事務スタッフが少し恥ずかしそうに笑った。
「ええ。目立つ仕事じゃないけど、“診療が止まらないように動く”って意味では、けっこう責任重大なんです」
「それ……分かります」
意外なところから出たのは、麻衣子の声だった。
「目立たないけど、欠けたら全体が崩れる。そういう役割って、大事ですよね」
その言葉に、事務員も看護師も少し驚いた表情で笑みを返した。
そして麻衣子は、自分の胸の中にあった“他人への無関心”が、少しだけ揺らいでいるのを自覚していた。
診療所を出た頃には、空は薄暮の色に染まり始めていた。
坂道を下りながら、三人は並んで歩いていた。菜央が前を歩き、真奈美が淡々と資料を整理しながらついていく。その後ろを、麻衣子が無言で歩いていた。
これまでなら、こういう時間は“退屈”の一言で片づけていた。だが、今日は違った。
胸の奥に、ずっとくすぶるような感情がある。
診療所で見た“静かな働き方”。感情を爆発させることなく、淡々と人と向き合い、誰かの安心を支える人々。あの空気は、麻衣子にとって異世界のようでもあり、どこか懐かしさもあった。
「ねえ」
不意に、麻衣子が口を開いた。前を歩いていた菜央と真奈美が立ち止まる。
「“人のことに関心がない”って、自分では思ってたんだよね。でも、今日、ちょっとだけ……興味、持てたかも」
菜央が少し目を見開いたあと、柔らかく微笑んだ。
「うん。今日の麻衣子さん、とても素敵だったよ。先生の話、誰よりも真剣に聞いてた」
「……そんなん、言わないで」
麻衣子はぶっきらぼうに言って、顔を背けた。だがその頬がわずかに赤らんでいたのを、菜央も真奈美も見逃さなかった。
「じゃあ、企画書への反映はどうする?」
真奈美が淡々と問いを戻す。
「“医師”だけじゃなく、“チームで命に向き合う職場”って視点にすべきだと思う。あと、体験プラン案も一緒に書きたい」
「体験……?」
麻衣子が首を傾げる。
「うん。“命のバトン”って仮題で、診療所の各スタッフの仕事を、ロールプレイ形式で体験できるコーナーを提案するつもり。子どもが“患者”になって、それを受付・看護・医師・薬剤師で繋ぐ。順番通りに処理されて初めて、安心が届けられるってことを実感してもらえるように」
「……なんか、それ、いいね」
ぽつりと呟いた麻衣子の言葉には、ほんの少し、確信が混じっていた。
これまでの彼女にはなかった“共感”が、そこには確かに芽吹いていた。
◆
数日後の放課後。図書館学習室。
蒼馬と勇介、大成が先に造船所報告のブラッシュアップをしていたところに、菜央たちが合流する。
診療所取材班の資料を机に並べると、蒼馬が興味深そうにそれに目を通した。
「……ロールプレイ型体験か。“バトン形式”って考え方は悪くない。むしろ視覚的に理解されやすい」
蒼馬の言葉に、麻衣子はやや目を細めた。
「……褒めた?」
「評価しただけだ。“有効”って意味で」
「……へぇ。蒼馬くんって、意外と素直じゃないんだね」
「無駄な感情は企画に混ぜない主義だ」
そう言いながらも、蒼馬の言葉にはとげがなかった。それを察してか、麻衣子も口元をわずかに緩めた。
そしてその日の会議の最後。
菜央が手帳を閉じながら、みんなを見渡して言った。
「少しずつ、“企画書”が形になってきてる。これが“ただの学校課題”じゃなくて、本当に町の人たちにとって価値あるものになるなら——それってすごいことだと思う」
「俺たち、なんか“ちゃんと仕事してる”っぽくなってきたな」
勇介が笑う。
「“おしごと”の話をするうちに、“働く”って感覚が、ちょっとずつ近づいてきてる」
そう感じていたのは、きっと麻衣子も同じだった。
(……関心を持つのは、面倒だけど、悪くない)
そう心の中で呟いて、彼女はメモ帳にそっと一行書き足した。
——第4話・了(End)
真白町の小さな診療所の外壁に、オレンジ色の西日が斜めに当たっていた。港から少し離れた住宅地の一角に佇むこの建物は、町で暮らす人々にとって“もっとも身近な医療の場所”であり、同時に“命と向き合う現場”でもあった。
「うわ……思ったより静か……」
玄関をくぐった麻衣子が、ふと口にした。足元のタイルには落ち葉ひとつ落ちておらず、受付カウンターの奥ではスタッフが淡々とカルテを整理していた。テレビの音もBGMもない。静寂だけが場を満たしていた。
その隣では、真奈美がすでに取材用のタブレットを手に構えていた。無駄な動きも言葉もない。取材対象を“記録する”という目的のもと、完璧に準備されている。
「……菜央、どこ?」
麻衣子が小声でつぶやくと、受付奥から聞こえてきたのは、どこか馴染みのある声だった。
「こっち。いま、院長先生と話してた」
菜央だった。白衣姿の女性医師と並んで、職員通用口から現れる。手にはA4サイズの資料がまとめられていた。
「ご紹介します。こちらが町立診療所の院長の、栗原先生」
落ち着いた声。スラリとした体型に知的な眼差し。栗原医師は、柔らかく頷きながら言った。
「今日はわざわざ来てくれてありがとう。診療は一段落したところだから、いまなら少しだけ時間が取れますよ」
「ありがとうございます」
菜央が頭を下げると、真奈美と麻衣子も続けてお辞儀をした。
案内されたのは、処置室の隣にある会議室のような小部屋。壁には各種ポスターとAEDの使い方が掲示され、端には血圧計や体温計などが並んでいる。
麻衣子は一瞬、その空気に呑まれた。彼女は普段、“人の内面”や“気持ち”に意識を向けない。それが自分のスタイルだった。だが——この空間は、否応なく“命”と向き合うことを要求してくる。
「今日はどんなことを知りたいの?」
栗原の問いかけに、菜央が手帳を開く。
「まず、診療所の一日の流れ。そして、“医師以外のスタッフ”の方がどのような形で関わっているか、現場全体のチームワークについて伺いたいです」
「なるほど。“誰が何を担って、命を支えているか”ってことですね」
「はい。“医師一人では仕事が成立しない”という構造を伝えたいと思っています」
栗原は、少し驚いたように目を細めた。
「その視点で話を聞かれたのは初めてかもしれません」
麻衣子は、なんとなくその言葉の意味が分かる気がした。医師の仕事、看護師の仕事——そうした“分かりやすい役割”ばかりが注目される中で、“支える側”の構造に焦点を当てるのは、確かに珍しい。
「医療って、どんな仕事だと思いますか?」
逆に栗原が尋ねた。菜央は迷わず答えた。
「……人の不安と向き合い、安心に変えていく仕事。私はそう思っています」
真奈美が、その言葉に目を細める。
麻衣子は、ふと天井を見上げた。
(……私は、そんな風に思ったことないな。少なくとも、いままでは)
栗原医師は、質問を受けながら淡々と答えていった。言葉はどれも簡潔だったが、その背景には長年の経験と確信がにじんでいた。
「私たちの仕事は、患者さんの“からだ”だけを見るんじゃありません。“生活”を見ることです。血圧が高い、糖が多い、それだけで診断はできません。本人がどんな環境で暮らして、どんな食事をして、誰と一緒にいるのか——全部が“背景”になります」
菜央が深くうなずきながらメモを取る。その横で真奈美がタブレットで録音と同時に議事メモを整理している。
一方、麻衣子は、なにか喉に引っかかったような感覚を覚えていた。
(……生活を見る?)
その言葉が、自分の中に妙に刺さる。麻衣子自身、人に興味がない。家族とも距離があるし、友達とベタベタするのも嫌いだ。だが、“その人がどんなふうに暮らしているか”という視点を向けたことが、これまでに一度でもあったか——そう問われれば、答えは「ノー」だった。
「……あの」
気づけば、声が出ていた。麻衣子は自分でも驚くくらい自然に、質問していた。
「先生は……患者さんに、興味って持てるものなんですか? いや、あの……全員に?」
部屋の空気が一瞬だけ止まる。
だが栗原は、穏やかに笑った。
「持てませんよ。全員には」
あっさりとした答えに、麻衣子は思わず目を見開いた。
「正直に言いますね。私たちは神様じゃない。どんなに真剣に向き合っていても、感情の限界はある。でも——“関心を持とうとする努力”は、全員に向ける。そうでなければ、“診る”ことはできない」
その言葉が、麻衣子の胸にずしりと落ちた。
“関心を持とうとする努力”。
それは、これまで自分があえて避けてきたことだった。人に関われば面倒だ。思考が乱れる。自分のペースが乱される——だから、距離を取っていた。
だが、それでも“向き合う努力”を続けている人がいる。それが“しごと”として、目の前にある。
「……努力、なんだ」
ぽつりとつぶやく麻衣子の声を、誰も責めなかった。ただ菜央だけが、そっと彼女の方を見て、静かに頷いた。
◆
見学の終わり際、栗原医師は三人を事務室の裏手に案内した。
そこには、カルテを仕分けする事務スタッフが一人、そして連絡ノートを手にした看護師が一人座っていた。
「この方たちが、私たちの“もうひとつの脳”です。診療は医師ひとりでは回りません。受付、事務処理、患者との日程調整、訪問看護との連携、薬局との橋渡し——全部が分業で、全部が信頼で成り立っています」
「お仕事の内容、あとで資料にまとめてもいいですか?」
菜央が丁寧に尋ねると、事務スタッフが少し恥ずかしそうに笑った。
「ええ。目立つ仕事じゃないけど、“診療が止まらないように動く”って意味では、けっこう責任重大なんです」
「それ……分かります」
意外なところから出たのは、麻衣子の声だった。
「目立たないけど、欠けたら全体が崩れる。そういう役割って、大事ですよね」
その言葉に、事務員も看護師も少し驚いた表情で笑みを返した。
そして麻衣子は、自分の胸の中にあった“他人への無関心”が、少しだけ揺らいでいるのを自覚していた。
診療所を出た頃には、空は薄暮の色に染まり始めていた。
坂道を下りながら、三人は並んで歩いていた。菜央が前を歩き、真奈美が淡々と資料を整理しながらついていく。その後ろを、麻衣子が無言で歩いていた。
これまでなら、こういう時間は“退屈”の一言で片づけていた。だが、今日は違った。
胸の奥に、ずっとくすぶるような感情がある。
診療所で見た“静かな働き方”。感情を爆発させることなく、淡々と人と向き合い、誰かの安心を支える人々。あの空気は、麻衣子にとって異世界のようでもあり、どこか懐かしさもあった。
「ねえ」
不意に、麻衣子が口を開いた。前を歩いていた菜央と真奈美が立ち止まる。
「“人のことに関心がない”って、自分では思ってたんだよね。でも、今日、ちょっとだけ……興味、持てたかも」
菜央が少し目を見開いたあと、柔らかく微笑んだ。
「うん。今日の麻衣子さん、とても素敵だったよ。先生の話、誰よりも真剣に聞いてた」
「……そんなん、言わないで」
麻衣子はぶっきらぼうに言って、顔を背けた。だがその頬がわずかに赤らんでいたのを、菜央も真奈美も見逃さなかった。
「じゃあ、企画書への反映はどうする?」
真奈美が淡々と問いを戻す。
「“医師”だけじゃなく、“チームで命に向き合う職場”って視点にすべきだと思う。あと、体験プラン案も一緒に書きたい」
「体験……?」
麻衣子が首を傾げる。
「うん。“命のバトン”って仮題で、診療所の各スタッフの仕事を、ロールプレイ形式で体験できるコーナーを提案するつもり。子どもが“患者”になって、それを受付・看護・医師・薬剤師で繋ぐ。順番通りに処理されて初めて、安心が届けられるってことを実感してもらえるように」
「……なんか、それ、いいね」
ぽつりと呟いた麻衣子の言葉には、ほんの少し、確信が混じっていた。
これまでの彼女にはなかった“共感”が、そこには確かに芽吹いていた。
◆
数日後の放課後。図書館学習室。
蒼馬と勇介、大成が先に造船所報告のブラッシュアップをしていたところに、菜央たちが合流する。
診療所取材班の資料を机に並べると、蒼馬が興味深そうにそれに目を通した。
「……ロールプレイ型体験か。“バトン形式”って考え方は悪くない。むしろ視覚的に理解されやすい」
蒼馬の言葉に、麻衣子はやや目を細めた。
「……褒めた?」
「評価しただけだ。“有効”って意味で」
「……へぇ。蒼馬くんって、意外と素直じゃないんだね」
「無駄な感情は企画に混ぜない主義だ」
そう言いながらも、蒼馬の言葉にはとげがなかった。それを察してか、麻衣子も口元をわずかに緩めた。
そしてその日の会議の最後。
菜央が手帳を閉じながら、みんなを見渡して言った。
「少しずつ、“企画書”が形になってきてる。これが“ただの学校課題”じゃなくて、本当に町の人たちにとって価値あるものになるなら——それってすごいことだと思う」
「俺たち、なんか“ちゃんと仕事してる”っぽくなってきたな」
勇介が笑う。
「“おしごと”の話をするうちに、“働く”って感覚が、ちょっとずつ近づいてきてる」
そう感じていたのは、きっと麻衣子も同じだった。
(……関心を持つのは、面倒だけど、悪くない)
そう心の中で呟いて、彼女はメモ帳にそっと一行書き足した。
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