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◆海 豹◆
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※(店主と伯母の体験談です)
※(プライバシー保護のため地域・固有名詞などは伏せています)
【謎の水生生物?】
母方の伯母は熱病で右目の視力を失っていましたが、左目は裸眼でもよく見えていて、日常生活は片目だけで過ごしていました。
左目だけで見ているので、顔の左側を前に向けて視界を確保していました。
ある年の夏、自●の名所と言われている、岩場近くまで行くというツアーに親戚で参加していた際、伯母も同じ場所にいました。観光地でもあるので、海鮮丼の店があったり、イカの姿焼きなどの露店も出ています。
私は「海洋恐怖症」なので、波しぶきが飛んでくる所までわざわざ行くのが本当に苦痛でした。
他のツアー客は観光案内を聞きながらキャーキャー騒いで楽しそうです。
伯母は私のすぐ横にいましたが、若い頃、海辺で働いていた時期もあり、「別に珍しくもない」といった風で、二人とも冷めた表情で足元の岩場を踏み外さないよう気を付けているだけでした。
海風がきつくて目を細め、眼下の風景をチラ見しながら、頬や肩、足が冷えてきたので身を縮めていると、崖の遥か下に海面があり、狭いところは波が合わさって白くなっています。
その波を切り裂いて飛ぶように通過する、白っぽい流線形の何かが見えました。
一瞬『アザラシかな?』と思いましたが、本州以南の温暖な地にアザラシがいるはずがないのです。
仰向いた顔のような部分は一部が鮮紅色で、腰より下の部分は半透明になって海に溶けています。少しだけ海面へ出ている上半身が、アザラシに見えたのだと思います。
そのまま『あざらしのような女性(?)』は気持ちよさそうに群青色の海原へ流れ去って消えました。
『……アレ、なに?』『しっ!静かに!』『あざらし?』『違う』
思わず伯母に見たものを確認しようとすると、伯母は左右に首を振って私の口元を手のひらでそっと押さえました。
『自●の名所だもの。海流に沈められて長い間見つけてもらえず、陸に上がることもなく海でいたらあんな姿になる』
『へー、そうなんだねー』
私は温かな伯母の手の下でぼそぼそ呟いていました。
※(プライバシー保護のため地域・固有名詞などは伏せています)
【謎の水生生物?】
母方の伯母は熱病で右目の視力を失っていましたが、左目は裸眼でもよく見えていて、日常生活は片目だけで過ごしていました。
左目だけで見ているので、顔の左側を前に向けて視界を確保していました。
ある年の夏、自●の名所と言われている、岩場近くまで行くというツアーに親戚で参加していた際、伯母も同じ場所にいました。観光地でもあるので、海鮮丼の店があったり、イカの姿焼きなどの露店も出ています。
私は「海洋恐怖症」なので、波しぶきが飛んでくる所までわざわざ行くのが本当に苦痛でした。
他のツアー客は観光案内を聞きながらキャーキャー騒いで楽しそうです。
伯母は私のすぐ横にいましたが、若い頃、海辺で働いていた時期もあり、「別に珍しくもない」といった風で、二人とも冷めた表情で足元の岩場を踏み外さないよう気を付けているだけでした。
海風がきつくて目を細め、眼下の風景をチラ見しながら、頬や肩、足が冷えてきたので身を縮めていると、崖の遥か下に海面があり、狭いところは波が合わさって白くなっています。
その波を切り裂いて飛ぶように通過する、白っぽい流線形の何かが見えました。
一瞬『アザラシかな?』と思いましたが、本州以南の温暖な地にアザラシがいるはずがないのです。
仰向いた顔のような部分は一部が鮮紅色で、腰より下の部分は半透明になって海に溶けています。少しだけ海面へ出ている上半身が、アザラシに見えたのだと思います。
そのまま『あざらしのような女性(?)』は気持ちよさそうに群青色の海原へ流れ去って消えました。
『……アレ、なに?』『しっ!静かに!』『あざらし?』『違う』
思わず伯母に見たものを確認しようとすると、伯母は左右に首を振って私の口元を手のひらでそっと押さえました。
『自●の名所だもの。海流に沈められて長い間見つけてもらえず、陸に上がることもなく海でいたらあんな姿になる』
『へー、そうなんだねー』
私は温かな伯母の手の下でぼそぼそ呟いていました。
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