実話怪談・短編集◆とほかみ◆

茶房の幽霊店主

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◆人形供養◆

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※(仕事仲間との小話です)
※(プライバシー保護のため地域・固有名詞などは伏せています)
※(人形供養の仕方の一例を記しています)
  


【人形の一生】

 
いつものように仕事を手伝ってくれているNちゃんが、掃除をしながら言いました。
 
『人形とぬいぐるみを全部、お焚き上げをして供養しようと思っています。でも、近所の神社やお寺は決まった日でないとできなかったり、そもそも【人形供養】自体をしていないんですよね。
 
ゴミとして処分するのは……。
さすがにくださった人の気持ちもありますから』
 
『あぁ、前にNちゃんの家に行った時、タンスの上が人形でいっぱいだったわね。
捨てられないってずっと置いていたようだけど、年の瀬が来る前の整理もあるだろうし、供養先を探したほうがいいかな』
 
生まれたときに祖母からもらった人形や、ことあるごとに増えていったぬいぐるみは、≪ずおぉぉぉぉーん≫という重低音な雰囲気で、特に布製のぬいぐるみは湿気と陰気を吸うので、それなりに煙のようなものを漂わせていました。

Nちゃんが亡くなった祖母からもらったというピエロの人形は顔の模様部分が剥げていたので、数年前、私が絵具で塗り直して補修したこともあります。 
※(このピエロ、左右の目の位置が明らかにずれていたので、気になって両目の部分も筆を加えました)

突然何かが起こることはないですが、コツコツ【不運貯金】をしているのと同じなのです。

人間に愛でられてこその人形ですので、ある程度年月の経過した置きっぱなしの【人形】や【ぬいぐるみ】は、『整理しようかな』というタイミングで人形供養に出した方がいいかもしれません。
 
無料、有料。現地への持ち込み、郵送、宅配便の利用。 
値段や持ち込めない物の設定、段ボールの大きさなど、送り先によって様々ですのでじっくり探してみてもいいと思います。 
  
おすすめは事情により記すことはできませんので、 
ネットで探したり、直接電話で予約を入れるなどの方法があります。 
ご自分に合った「ここにお任せしよう」と思った神社やお寺にお願いしてみてはどうでしょうか。

 
※※※※※

 
 Nちゃんは決心して段ボールに人形たちを入れると、ある神仏に関わる場所へ【人形供養】のお願いをしました。

1カ月ほどが経過して、その神社仏閣から『人形供養が無事に終わりました』との内容で封書が届き、手紙と一緒に【念珠】が同封されていたようです。

『この【念珠】もお焚き上げ済みたいですね!』

と、早速手首に着けてみたのですが……。

『わっ!なにこれ気持ち悪い!手首がしびれて締め付けられている感覚になります!』

『じゃあ、外したら?』

『だって、せっかくいただいたものですから』

『いやいや、それはもう、元の送り先へお返ししたほうがいい』

『そのまま放り込んで郵便で送ります?』

『善意で送っていただいているから、一筆添えたほうがいいと思う。

「人形供養が無事に終わったお知らせをいただき感謝します。
【念珠】のほうはお気持ちだけで十分ですのでお返しいたします。」

で、いいのでは?』
 
Nちゃんは【念珠】を素早く手首から外して『店主も試しに着けてみてくださいよ!』と私の方へ差し出してきましたが、試さなくてもわかっていましたので、小さく首を横に振ると元の袋へ戻してお返しする準備をしました。

もしかしたら、供養に送った人形たちは元の家へ帰りたかったのかもしれません。そう想像すれば哀れだと思いますが……。

願わくは平穏に、上がって行けたらいいと心から祈ります。
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