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イデオロギーは悪なのか〈6〉
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人々の現実に対する想像的な世界観すなわちイデオロギーが、「その想像と一致しない」実際の現実に対して、自らの世界観の正当性を主張する。想像的な世界観すなわちイデオロギーが、まさに自らの「想像としての世界」を、真の現実あるいは唯一の現実とでもいうように自ら思い込んでいるし、そのように人々にも思い込ませようとしている。それがすなわちイデオロギーの欺瞞そのものなのである。ゆえにイデオロギーとは「実際の現実に対する虚偽の意識」なのである。
繰り返すがこういったことがイデオロギーに対する批判としてよく言われている論旨だろうと言える。
イデオロギーは「想像にすぎないもの」であり、なおかつ「現実」とも「真実」とも異なる誤った観念であると、そのイデオロギーを「外側」から見る限りではたしかにそのように見えることもあるだろう。
しかし、そのイデオロギーの「内部」においては、けっして「イデオロギーは誤らない」のである。なぜならそこでは「まさにそれこそが現実だから」だ。
もし「この現実が誤っている」とするならば、それとは逆の「正しい現実」があることだろう。だとすれば、「誤っているこの現実」は嘘であり想像であるということになる。しかし、「その嘘の中で現に生きているところの、この現実」は一体何なのか?「生きている」ということがすなわち「想像」だというのだろうか?もちろん、そんなことはない。それこそ頬をつねってみればわかることだ。
むしろ逆に、現に存在する「想像という虚偽」に対して、「正しいとされるもの」の方こそ、それが「現にここにはない」のであれば、それこそが想像であり嘘なのではないか?そっちの方こそ「誤っている」のはないか?
そのように、「そのイデオロギーの内部において現に生きている者」としては思えてしまうのも当然のことではないだろうか。
イデオロギーの内部においては現実は誤らない。しかし、あなたはもしかしたら「その現実」を気に入らないと思うかもしれない。そのとき、あなたはすでに「そのイデオロギーの外部」にいるのである。そのイデオロギーの外部から見ると、その現実はあまりにも狭く不寛容で、誤ったものであるかのように思える。そのときあなたはすでに、そのイデオロギーに対立している、すなわち、あなたはすでに「別のイデオロギーの内部」にいるのである。
イデオロギーが「イデオロギーに見える」のは、そのイデオロギーの「外側」からのみである。つまり人は「他人のイデオロギー」しか、それを「イデオロギーとして認識すること」はない。
「…イデオロギーの中にいることへの非難は(…中略…)他人にとってしか意味がないのであり、当人にとっては何の意味もない。…」(※1)
当人にとっては何の意味もなく関心もなく認識することもないイデオロギー。認識することもないなら意味もなくて当然であろう、少なくとも当人は疑いもなくそう思っているであろう。そして人は、自分自身のイデオロギーよりも他人のイデオロギーについてこそ、(それを非難するために)よほど深く仔細に熟知していることさえあるのだ。
(つづく)
◎引用・参照
(※1)アルチュセール「イデオロギーと国家のイデオロギー装置」 柳内隆訳
繰り返すがこういったことがイデオロギーに対する批判としてよく言われている論旨だろうと言える。
イデオロギーは「想像にすぎないもの」であり、なおかつ「現実」とも「真実」とも異なる誤った観念であると、そのイデオロギーを「外側」から見る限りではたしかにそのように見えることもあるだろう。
しかし、そのイデオロギーの「内部」においては、けっして「イデオロギーは誤らない」のである。なぜならそこでは「まさにそれこそが現実だから」だ。
もし「この現実が誤っている」とするならば、それとは逆の「正しい現実」があることだろう。だとすれば、「誤っているこの現実」は嘘であり想像であるということになる。しかし、「その嘘の中で現に生きているところの、この現実」は一体何なのか?「生きている」ということがすなわち「想像」だというのだろうか?もちろん、そんなことはない。それこそ頬をつねってみればわかることだ。
むしろ逆に、現に存在する「想像という虚偽」に対して、「正しいとされるもの」の方こそ、それが「現にここにはない」のであれば、それこそが想像であり嘘なのではないか?そっちの方こそ「誤っている」のはないか?
そのように、「そのイデオロギーの内部において現に生きている者」としては思えてしまうのも当然のことではないだろうか。
イデオロギーの内部においては現実は誤らない。しかし、あなたはもしかしたら「その現実」を気に入らないと思うかもしれない。そのとき、あなたはすでに「そのイデオロギーの外部」にいるのである。そのイデオロギーの外部から見ると、その現実はあまりにも狭く不寛容で、誤ったものであるかのように思える。そのときあなたはすでに、そのイデオロギーに対立している、すなわち、あなたはすでに「別のイデオロギーの内部」にいるのである。
イデオロギーが「イデオロギーに見える」のは、そのイデオロギーの「外側」からのみである。つまり人は「他人のイデオロギー」しか、それを「イデオロギーとして認識すること」はない。
「…イデオロギーの中にいることへの非難は(…中略…)他人にとってしか意味がないのであり、当人にとっては何の意味もない。…」(※1)
当人にとっては何の意味もなく関心もなく認識することもないイデオロギー。認識することもないなら意味もなくて当然であろう、少なくとも当人は疑いもなくそう思っているであろう。そして人は、自分自身のイデオロギーよりも他人のイデオロギーについてこそ、(それを非難するために)よほど深く仔細に熟知していることさえあるのだ。
(つづく)
◎引用・参照
(※1)アルチュセール「イデオロギーと国家のイデオロギー装置」 柳内隆訳
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