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パーティーへの招待 4
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「ギル様、陛下がお呼びです。来ていただけますか?」
騎士達の拒否は認めないという圧に、ギルは仕方なく従うことにした。
「……分かった、行こう。」
ルークを抱く手に少し力を入れ、歩き出した。
「お待ちください。ギル様お一人で、とのことです。お連れ様にはこちらでお待ちいただきます。」
「なんだと?」
納得のいかないギルが騎士達を睨むと「「ヒッ」」と悲鳴をあげた。
「へ、陛下のご命令です!」
「し、従っていただけないなら、拘束もやむなしと指示を受けています!」
うわぁー、王様明らかに何か企んでるじゃん。でも騒ぎを起こすわけにはいかないよね……。
殺気まで出し始めたギルの腕をポンポンと叩き、落ち着かせた。
「ギル、僕は大丈夫だから行って来て。すぐ戻って来てくれれば良いからさ。」
「そんな、こんなに可愛いルークを1人にしたら危険過ぎるじゃないか……。」
中々離さないギルに顔を寄せ耳打ちをした。
「姿を消してギルの側へ行くから大丈夫だよ。」
「そうか、それなら良いが。」
ルークを優しく下ろすと、怯え気味の騎士達に挟まれ王様の元へ向かった。
さて、先ずはギルに飲ませるドリンクでも作ろう。生搾りのフルーツジュースから、甘くなりすぎないよう幾つか混ぜ、一口飲んだ。うん、さっぱりして美味しいな。
適当に混ぜたのに上手く出来たから、高級な果物を使ってるのかもね。
ギルの方を見ると、王様が王女と共に下へ降りているところだった。
そろそろ行くか。ジュースの入ったグラスを持ち、隠蔽を唱えようした。
「あっ!」と大きな声がして、いきなり後ろから肩を掴まれた。
「君可愛いわね!どこの貴族の子?私は隣国の公爵令嬢なの!一緒に話しましょう?」
全く知らない初対面の令嬢なのに、グイグイ来られて僕は困惑した。
逃がさないと言わんばかりに肩をがっしり掴まれてる。
「さぁ、あっちで話すわよ!」
僕の意思なんて全く無視して、そのままズルズルと引っ張られていく。
一旦グラスを収納へしまい、どうしようかと考えた。魔法を使うと騒ぎになって対処に時間がかかるだろう。それなら警備の騎士にお願いするか……。
目を潤ませ、目が合った騎士に助けを求めた。
「うぅ、騎士のお兄さぁん、たすけてぇ。」
泣き出しそうなか弱い少年を意識し、騎士を見つめた。
騎士は目を大きく開き、令嬢と僕の様子を交互に見ると、状況を理解したようで大きく頷いた。
「お待ちください、ご令嬢。」
「何よ?今忙しいのだけど。」
騎士の言葉に令嬢は立ち止まるが、苛立ちを隠せない。
「申し訳ございませんが、こちらのご令息はこれから王子との約束が御座いまして、お連れしないといけないのです。」
「あらそう、なら仕方ないわ。終わったら話しましょう。絶対よ、良いわね!」
令嬢に返事はせず、騎士に手を引かれその場から移動する。
ふぅ、何とか危機は脱したかな?
「お兄さんありがとう。」
僕が微笑んだことで、真面目そうな騎士の顔がカッと赤くなった。
「ごほん、ご両親のところまで送ろう。どこに居るかな?」
王様の近くに居ますよ、と言うわけにはいかないので、さっさと行かせてもらおう。
「大丈夫、僕1人で行けるよ!」
「そうか、気をつけるんだぞ。」
うん!と騎士に手を振る。微笑んだ騎士が踵を返したのを確認し、『隠蔽』を唱えた。
人々の合間を抜い最短距離でギルの元へ。一応王の護衛を警戒し、ギルの後方、話が聞こえるギリギリの距離を取り、聞き耳をたてた。
「ーー功績は相変わらず素晴らしいな!」
「ありがとうございます。」
どうやらまだ挨拶段階らしく、間に合ったと息を吐いた。
あまり人が良さそうには見えない王様と、体が震え下を向いている王女。そして、外向きのキリッとした表情のギル。
ハッハッハッと、王様は楽しそうに笑い声を上げている。その王様の上機嫌な様子に、踊っていない招待客達がこちらを伺い、「あの男は誰だ?」「見たことないぞ。」と話しているのが聞こえてきた。
「で、今日は紹介したい者が居てな。これは私の娘だ。ほら、挨拶しなさい。」
王様は王女の背中を押した。その力の強さに王女はフラつき、3歩進み踏み止まった。そして震える両手を重ねて口を震わせた。
「……あ、あの、だっ、第3王女の、ハーシェルです……。」
何とか言いきった王女は、下を向いたままホゥと息を吐く。王様はそんな王女を睨み付けるがすぐに笑顔を作り、ギルに話しかけた。
「ったく、これは少し気が弱いところがあってな……。まぁ後は2人で話してみてくれ。ハーシェル、ギル君に庭を案内したらどうだ?」
「え?」と王女は驚いた表情を王様に向けた。
あの野郎、ギルと王女をくっつける気か。割って入ろうと思ったが止めた。相手は王様、邪魔したら何があるか分からない。
再び下を向いてしまった王女を見て、助けになればと優しいギルは声をかけた。
「王女様、よければお願い出来ますか?」
そう言って手を差し出すと、なんと王女は顔を歪め、「ヒィ!」と悲鳴をあげた。そしてハッとしてオロオロと目を泳がせる。
「あ、あの、あの……。」
どういう事か理解したギルは、出した手をそっと下ろした。その横顔は悲しげに俯き、今にも泣きそうに見えた。
ボソッと『変身』『隠蔽解除』を呟き、収納からジュースの入ったグラスを取り出した。
髪を片側かき上げ、コツコツとあえて靴音をたてて歩き、ギルの隣に立った。
全くのお揃いの衣装を着た俺の事を周りはどう思うだろうか?
ギルは俺が隣へ来た事に驚いた後、潤んだ目をわずかに細めた。
騎士達の拒否は認めないという圧に、ギルは仕方なく従うことにした。
「……分かった、行こう。」
ルークを抱く手に少し力を入れ、歩き出した。
「お待ちください。ギル様お一人で、とのことです。お連れ様にはこちらでお待ちいただきます。」
「なんだと?」
納得のいかないギルが騎士達を睨むと「「ヒッ」」と悲鳴をあげた。
「へ、陛下のご命令です!」
「し、従っていただけないなら、拘束もやむなしと指示を受けています!」
うわぁー、王様明らかに何か企んでるじゃん。でも騒ぎを起こすわけにはいかないよね……。
殺気まで出し始めたギルの腕をポンポンと叩き、落ち着かせた。
「ギル、僕は大丈夫だから行って来て。すぐ戻って来てくれれば良いからさ。」
「そんな、こんなに可愛いルークを1人にしたら危険過ぎるじゃないか……。」
中々離さないギルに顔を寄せ耳打ちをした。
「姿を消してギルの側へ行くから大丈夫だよ。」
「そうか、それなら良いが。」
ルークを優しく下ろすと、怯え気味の騎士達に挟まれ王様の元へ向かった。
さて、先ずはギルに飲ませるドリンクでも作ろう。生搾りのフルーツジュースから、甘くなりすぎないよう幾つか混ぜ、一口飲んだ。うん、さっぱりして美味しいな。
適当に混ぜたのに上手く出来たから、高級な果物を使ってるのかもね。
ギルの方を見ると、王様が王女と共に下へ降りているところだった。
そろそろ行くか。ジュースの入ったグラスを持ち、隠蔽を唱えようした。
「あっ!」と大きな声がして、いきなり後ろから肩を掴まれた。
「君可愛いわね!どこの貴族の子?私は隣国の公爵令嬢なの!一緒に話しましょう?」
全く知らない初対面の令嬢なのに、グイグイ来られて僕は困惑した。
逃がさないと言わんばかりに肩をがっしり掴まれてる。
「さぁ、あっちで話すわよ!」
僕の意思なんて全く無視して、そのままズルズルと引っ張られていく。
一旦グラスを収納へしまい、どうしようかと考えた。魔法を使うと騒ぎになって対処に時間がかかるだろう。それなら警備の騎士にお願いするか……。
目を潤ませ、目が合った騎士に助けを求めた。
「うぅ、騎士のお兄さぁん、たすけてぇ。」
泣き出しそうなか弱い少年を意識し、騎士を見つめた。
騎士は目を大きく開き、令嬢と僕の様子を交互に見ると、状況を理解したようで大きく頷いた。
「お待ちください、ご令嬢。」
「何よ?今忙しいのだけど。」
騎士の言葉に令嬢は立ち止まるが、苛立ちを隠せない。
「申し訳ございませんが、こちらのご令息はこれから王子との約束が御座いまして、お連れしないといけないのです。」
「あらそう、なら仕方ないわ。終わったら話しましょう。絶対よ、良いわね!」
令嬢に返事はせず、騎士に手を引かれその場から移動する。
ふぅ、何とか危機は脱したかな?
「お兄さんありがとう。」
僕が微笑んだことで、真面目そうな騎士の顔がカッと赤くなった。
「ごほん、ご両親のところまで送ろう。どこに居るかな?」
王様の近くに居ますよ、と言うわけにはいかないので、さっさと行かせてもらおう。
「大丈夫、僕1人で行けるよ!」
「そうか、気をつけるんだぞ。」
うん!と騎士に手を振る。微笑んだ騎士が踵を返したのを確認し、『隠蔽』を唱えた。
人々の合間を抜い最短距離でギルの元へ。一応王の護衛を警戒し、ギルの後方、話が聞こえるギリギリの距離を取り、聞き耳をたてた。
「ーー功績は相変わらず素晴らしいな!」
「ありがとうございます。」
どうやらまだ挨拶段階らしく、間に合ったと息を吐いた。
あまり人が良さそうには見えない王様と、体が震え下を向いている王女。そして、外向きのキリッとした表情のギル。
ハッハッハッと、王様は楽しそうに笑い声を上げている。その王様の上機嫌な様子に、踊っていない招待客達がこちらを伺い、「あの男は誰だ?」「見たことないぞ。」と話しているのが聞こえてきた。
「で、今日は紹介したい者が居てな。これは私の娘だ。ほら、挨拶しなさい。」
王様は王女の背中を押した。その力の強さに王女はフラつき、3歩進み踏み止まった。そして震える両手を重ねて口を震わせた。
「……あ、あの、だっ、第3王女の、ハーシェルです……。」
何とか言いきった王女は、下を向いたままホゥと息を吐く。王様はそんな王女を睨み付けるがすぐに笑顔を作り、ギルに話しかけた。
「ったく、これは少し気が弱いところがあってな……。まぁ後は2人で話してみてくれ。ハーシェル、ギル君に庭を案内したらどうだ?」
「え?」と王女は驚いた表情を王様に向けた。
あの野郎、ギルと王女をくっつける気か。割って入ろうと思ったが止めた。相手は王様、邪魔したら何があるか分からない。
再び下を向いてしまった王女を見て、助けになればと優しいギルは声をかけた。
「王女様、よければお願い出来ますか?」
そう言って手を差し出すと、なんと王女は顔を歪め、「ヒィ!」と悲鳴をあげた。そしてハッとしてオロオロと目を泳がせる。
「あ、あの、あの……。」
どういう事か理解したギルは、出した手をそっと下ろした。その横顔は悲しげに俯き、今にも泣きそうに見えた。
ボソッと『変身』『隠蔽解除』を呟き、収納からジュースの入ったグラスを取り出した。
髪を片側かき上げ、コツコツとあえて靴音をたてて歩き、ギルの隣に立った。
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