酷い召還されたけど、今は溺愛されて、幸せです!

toranon

文字の大きさ
7 / 21

side:ロー ~特別な女~

しおりを挟む
 今日もいつものように、馴染みの酒場で、馴染みの連中と、楽しく飲んでいた時だった。
 突然、酒場の扉が静かに開いて、すぐに閉まった。
 何だ?人が居ない。風か?
 不思議に思っていると、身体が透けてる女が走って隅の方に行き、壁に寄りかかった。
 何だあの女、隠蔽使ってるじゃないか。何者だ?
 ここに居る奴で、あの女の存在に気付いたのは、俺だけだろう。
 すぐ後に騎士が入って来て、女が騎士を見て震えていた。
 騎士に追われているのか…?
 騎士は、黒髪か金髪の女を探してるようだ。
 そこの女の髪は銀色だが、怯えた様子から、騎士の探している女なのだろう。
 姿を変えることも出来るのか…。少し手を貸してやろう。

「騎士さん見てくれよ~。男しか居なくてムサ苦しいだろ?女が居るなら紹介してくれよ~!」

 俺が言うと、「そうだそうだ!」「紹介しろ!」と飲み仲間が乗って、騒いでくれた。
 騎士がビビって逃げ、仲間と大笑いした。

 辛そうな様子が気になって、女に近づいた。
 銀髪の長い髪、紺色の服。顔立ちは可愛らしく、足からは血が出ている。あれでは歩くのが辛いだろう。しかし、これだけ近いのに、俺が見えてる事に全然気付いてないな…。

「なぁ、どうしたんだ?」

 俺が声を掛けると、ビクッとして、周りをキョロキョロと見回た。
 その姿に思わず笑ってしまった。
 女を気に入ったから、助けてやることにした。

 席に連れて行ったら、周りの奴らに『彼女』だと騒がれた。
 『彼女』か…。この女なら良いかも知れないな。
 周りの奴らに話を合わせながら、そんな事を考えていた。
 女はユーリという。こんなに女に興味を持ったのは初めてだ。

 また騎士が来て、『彼女』として、話を合わせた。流れから、ユーリの頬にキスをすると、真っ赤になり、手で顔を隠した。
 ユーリ、可愛いなぁ…。あぁ、そうか。これが惚れたということか…。
 人生で初めての感覚に驚いたが、意外にスッと府に落ちた。
 もう、ユーリを離すことは出来ないな…。自分の執着心が、こんなに強いとは知らなかった。
 逃げられない様に、抱き抱え、上手いこと言って、そのまま拠点に連れて行った。

 団長にユーリを見せたが…、顔が良いからな…。惚れたら困る。説明は省いて、『俺の彼女』を強調して言った。
 なぜか団長に心配されたが、何なんだ?そんなことより、ユーリの治療だ。
 何だこの軽さは。膝に乗せた時の軽さに驚いた。
 足を治療すると、笑顔でお礼を言われ、あまりの可愛いさに、思わず頬にキスしてしまった。

 団長がユーリに説明を求め、話した内容がとても信じられなかった。
 異世界から来たなんて…。これは運命かもしれない。ユーリは俺に会うために、この世界に来たんだ…。なぜかそう感じた。
 許可も出たし、もうユーリは俺のもの。誰であっても渡さない。
 辛そうに見せられた、ユーリの本当の姿は、まさしく天使だった。
 我慢出来ず、俺の気持ちを伝えた。ユーリには、これからゆっくり、好きになってもらおう。

 ユーリの部屋は、無理言って俺と一緒にしてもらった。
 俺と一緒の部屋なら、他の誰かと寝る事は出来ない。これからは、俺としか寝られない。
 トラブルがあったが、ユーリが寝てくれて良かった。
 ベッドから出て、1階へ降りた。

 コンコン。ノックして執務室へ入る。
 団長はまだ書類に目を通していた。

「どうした?ユーリと寝たんじゃないのか?」

 団長は手を止めて、俺の方を見た。

「少し話をしたくてな。」

 ソファに座って、団長を見据えた。

「分かった。何の話しだ?」

 団長が向かいに座った。

「ユーリの事だ。その前に、ユーリは俺のものにする。心も身体も。だから、団長は手を出さないでくれ。」
「お前がそんなに必死になるなんてな。すごい変わりようだ。ユーリはそれほどの存在と言うことか…。ああ、俺の好みじゃないから、安心しろ。」

 ふーっと安堵の息を吐いた。
 良かった。団長と戦うと、勝つのは難しいからな。

「そうか。ユーリの事だが、王族に召還されたんだろう?」
「そうだ。王族には召還方法が伝わっている。だが、もう何百年も、召還に成功した記録はない。」
「なら、何か他の条件を満たして、召還に成功したってことか?」
「それは分からない。俺のか、が召還したはずだが、成功したのは、ただの偶然かもしれない。」
「そうか…。」

 召還された理由は分からないか…。
 団長は顎に手を当て、考えていた。

「しかし、助かったよ、ロー。ユーリを見つけて、ここへ連れて来てくれて。」
「何でだ?」
「今回の事は、王族がやらかした事。貴族の余計な争いを事前に防ぐ事が出来た。それから、見つけた者がローでなければ、ユーリは今頃、酷い目にあっていただろう。そして、ここへ来た事で、何か起こる前に保護することが出来た。王族の責任は俺にもある。ユーリの安全の保障を、しっかりしなければならない。」

 団長は、眉間に皺を寄せた厳しい顔で、話した。

「そうか、王族は大変だな。」
「あぁ、俺は辞めたいがな。もし、今後ユーリに何かしてくるようなら、遠慮はいらない。俺も王族を潰しにかかるからな。」

 団長は、懐かしい、悪い笑顔を見せた。

「その顔、久しぶりだな、アレク。そうだ、もう1つ聞きたいんだが。元の世界に帰る方法はあるのか?」

 俺は念のため団長に確認した。

「召還者の、詳細な記録は残ってない。だから、帰る方法は分からないな。」
「そうか…。」
「お前、何で喜んでるんだ?」

 俺は嬉しさに、自然と顔が緩んでいた。

「ユーリとずっと一緒に居られるだろ?」
「お前…酷いな…。」

 団長に睨まれても、何とも思わない。
 ユーリが帰れないなら、俺の側に居るしかない。そんなの最高じゃないか。

「満足したから行くよ。じゃあな。」

 俺はウキウキした気分で、ユーリの寝る俺の部屋へと向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。 そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。 お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。 挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに… 意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いしますm(__)m

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。 ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

処理中です...