酷い召還されたけど、今は溺愛されて、幸せです!

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ユーリの危機と魔王降臨2

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 団長とローは王様の執務室にて、王様から話を聞いていた。

「で、そいつらを護衛すれば良いんだな。」
「あぁ、何かあれば国家間の問題になる。君達にしか頼めない、すまないな。」

 王様は優しい顔で、息子である団長を見ている。団長は無表情で王様の視線を無視していた。
 ローは話半分に、ユーリと約束したご褒美の事ばかり考えていた。数時間程度仕事をすれば、拠点に戻れる。ユーリの方も、そんなに時間はかからないはずだ。すぐに会える。

「おい、ロー。ちゃんと聞いてたか?」

 緩みかけた頬を引き締め頷いた。団長は片眉を上げたが面倒になり、お咎め無しにした。
 謁見の間に移動し、隣国王族から少し離れた位置に付く。左に団長、右にローが立ち、襲撃に備えた。

 数時間後、協議に満足した王族が退出し、終了となった。警戒して護衛に付いていたものの、拍子抜けするほど、何も起きなかった。フッと短く息を吐き、警戒を解く。
 協議内容が増え、予定時間より大幅に伸びてしまった。ユーリは先に拠点に戻っているだろうな。
 団長が気だるそうに歩いて来た。

「ロー、さっさと帰るぞ。『転移』」

 返事も待たずに発動させる。何か言いたそうな王様は、仕方なく手を振るだけに留め、微笑んだ。この親子の関係はいつもこんなものだと、ローは知っている。特に気にしなかった。

「お疲れ。もう好きにしろ。」
「おう!」

 解放されたローは、早速嬉々として拠点内のユーリの位置を探る。
 夜なのに、まだ戻って無いのか。まさかトラブルなんてことは…。
 ローが胸騒ぎを感じ不安になった時。突然、アリサが飛び込んで来た。

「団長!もっ、申し訳ありません!ユーリが、拐われました!」

 汗だくで息を切らし、おそらく必死で走って来たであろうアリサを見て、団長とローは固まった。
 今…何て言った…?ユーリが…?
 意味が分からず動かないローより先に団長が口を開いた。

「アリサ!どういう事だ!」

 普段の爽やかな表情は消え、その身体からは魔力が大量に放出されている。

「うぐっ…。」

 アリサはあまりの魔力量に耐えきれず、床に跪いた。何か言おうとするも、口をパクパクさせるだけで声が出ない。身体がガクガク震え、顔を上げることすら出来なくなった。

「団長、落ち着け。アリサ、事情をすぐ話してくれるか?」

 ローは団長の肩をポンと軽く叩くと、普段と変わらない様子でアリサに話を促した。
 魔力の放出が収まり、動けるようになったアリサはなんとか立ち上がった。

「令嬢が保護されている貴族の屋敷に飛び、敷地に入ったところで襲撃されました。数人相手している間に、ユーリは意識を失い連れ去られました。私は足止めされ追えず、行き先は不明です。護衛に付いていながら、申し訳ありません!」

 アリサは唇を噛みしめ、頭を下げた。ローは、フッと微笑むと広範囲に広く薄く魔法を展開し、ユーリの居場所を探った。案外すぐに、しかも近い場所から見つかった。

「ハハッ!団長、ユーリは城に居るぞ。」

 居場所特定のあまりの早さに、アリサは目を見開き、驚きを隠せなかった。こんなはずではと、目をキョロキョロさせる。
 団長はその表情を見逃さなかった。再度魔力が放出され、アリサは床にひれ伏した。

「アリサ、貴様の処分は後だ。精々ユーリが無事であることを祈るんだな。ロー!」
「おう!」

 2人が城へと飛び、後には舞い上がった書類がヒラヒラと舞っていた。


「おい、起きろ女!」

 バシッと左頬に痛みが走り、目をゆっくりと開いた。
 痛い…。ここは…?周りを見ると、暗く灰色の壁に鉄格子が目に入る。どうやら牢屋に居るようで、男が3人立っていた。

「ひっ!」
 
 ユーリを殺そうとした王子と、捕まえようと追い回した騎士団長、ローブを着た見知らぬ男が居る。召還時の恐怖がよみがえり、身体が震え、反射的に悲鳴が出てしまった。

「能力を調べろ。」

 王子の命令で、ローブの男が魔道具を取り出す。ユーリにかざすと、能力の詳細が空中に表示された。

「ほぅ、やはり聖女ですね。魔力量が桁違いとは。」
「まぁ見た目は悪いが、使えるようだな。」

 騎士団長と王子が各々悪い笑顔を浮かべ、ユーリの能力に感心を示した。
 王子はユーリに近寄り見下ろす。

「お前の所有権は、召還した俺にある。死ぬまで俺の為に働け。逃げる気すら起きないように、たっぷり躾してやるからな。」

 ニタニタと気持ち悪い笑顔を浮かべた王子がユーリに手を伸ばした。
 触れられる寸前、牢屋の外から慌てた様子の騎士から声が掛かる。

「王子!襲撃です!至急避難してください!」
「チッ!行くぞ。」

 王子はカツカツと靴音を響かせ、騎士に付いて出て行った。
 騎士団長は口角を片方だけ上げ、ユーリに視線を向けた。

「あいつが来てるはずだ。本気を出させるモノがこちらにあるからな。さて、楽しい戦いの時間といこう!」
 
 高らかに笑い声を上げながら、牢屋から出て行く。ローブの男とユーリだけが残される。2人の事をよく知る男は、哀れみの表情を浮かべた。

「お前、あの王子に目を付けられたら、もうどこにも逃げられないぞ。まぁ、お前の仲間が来てるみたいだから、何とか頑張れ。」

 男はそう言うと、牢屋の扉を開けたまま外へ出て行ってしまった。
 あの人、少し手を貸してくれたのね。これだけでもすごく助かる。
 足にグッと力を入れて立ち上がる。叩かれた頬以外は、身体に問題なし。
 牢屋から出ると、薄暗い廊下が続き、牢屋がいくつもある。声や気配がしないから、ここに居たのは私だけのようだ。
 外が見えないから、地下なのかな?とにかく先ずは地上へ出よう。それにしても、アッサリ捕まっちゃったな…。アリサが笑ってたから、裏切られたって事よね…。
 そんな事を考えていたら、気分が落ち込んでしまった。
 いけない、考えるのは後!きっとローが来てるはず。ローに見つけてもらうために、私は距離を詰めるだけ!
 よし!と気合いを入れて、ユーリは駆け出した。
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