酷い召還されたけど、今は溺愛されて、幸せです!

toranon

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ユーリの危機と魔王降臨1

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 朝から団長に呼ばれ、執務室に来ていた。いつもの爽やかな笑顔が今日は控えめに見える。机の前に2人で並び、用件を聞いた。

「急ですまないが新たな仕事だ。隣街に居る貴族令嬢の保護をしてくれ。ユーリ行けるか?」

 団長は真剣な表情でユーリを見上る。
 保護は前にもやった事があるから、出来るはず。

「うん、大丈夫だよ。」

 確認のためローを見上げると、ニカッと笑顔を向けられた。オッケーってことだ。

「何も問題無い。何たって俺が居るからな。」

 ローは機嫌良く私を見つめながら、団長に言った。
 団長は気まずそうに私達を見る。

「あー、それなんだが…。今回ローは、一緒に行けない。」

 ダン!!と、ローは机を壊しそうな勢いで叩いた。

「は!?何でだ!俺はユーリの側を離れられないぞ!」

 ローは団長に詰め寄る。むさ苦しい男の顔を近づけられた団長は顔をしかめて反らし、ハァと溜め息をついた。

「仕方がないんだ。俺とお前は王宮に呼ばれていて、断れない。保護の方は、魔力が高くないと対応出来ない。急ぎの依頼で日がずらせないんだ。そうなると、ユーリに行ってもらうしかないんだよ。」
「王宮は何の用なんだ!ユーリより大事なんて!」

 ローは腕に力が入り、机からミシミシと音がする。
 団長は眉間のシワを指で揉みながら、ハァーと長く重い溜め息をついた。

「俺に当たるなよ。隣国から来る王族の護衛を王から直に頼まれた。敵は強いらしくて、俺達でないと対処出来ない。どちらも今日1日で終わる仕事だから、少し堪えろ。」

 ローはユーリを抱え、ソファに腰を降ろすと、その胸に頭を埋めた。ユーリはいきなりのローの行動に、ビクッと身体が跳ねた。

「ひゃ!?ロー、ちょっと、何するの!?」

 ローは無言で頭を左右に振り、グリグリと押し付けてくる。
 多分、仕事がどうしようも出来ないから、ちょっと拗ねての行動だろう。ドキドキして落ち着かないが、ちょっと可愛く見えてしまうのは、ローが好きだから仕方ない。
 でも、各々の役割があるし、受けた仕事はやらないといけない。両手で優しくローの頭を何度も撫で、なるべく優しく話掛けた。

「あのねロー。私も寂しいけど、頑張るから、ローも頑張って?それで、どんな格好良いことしたのか、夜聞かせて欲しいな。そしたら、何かご褒美あげるから、考えておいてね?」
 
 ローはガバッと頭を上げ、驚いた表情でユーリを見た。

「ご褒美だと!?何でも良いのか!?」

 さっきまでの事が嘘かのようにパアッと輝いた顔で、ピンと立つ耳と、大きく左右に振る尻尾が見えるような気がする。
 あー何か、後で少し後悔しそうな気が…。

「もちろん、私が出来る範囲だからね。無茶なものは却下するから。」
「あぁ、分かってる!全く問題ない事だから、安心してくれ!」

 そんなキラキラした顔で言われても、不安しかないんだけど…。

「話はまとまったかな?説明しても良いか?」

 団長が冷ややかな空気をまとい、ビクッとなって、思わずローの服を掴んだ。嬉しそうな顔のローと、私の仕事内容を聞いた。
 貴族の令嬢が誘拐され、隣街で保護された。しかし、誘拐により精神が安定せず、高い魔力が暴走する危険がある。そこで私が暴走を抑えつつ、護衛も兼ねて連れて来る、ということのようだ。それなら、私でも大丈夫だろう。

「1人だと不安だろうから、誰か付けよう。今日空いてるのは…、アリサだな。」
 
 団長は左手の人差し指を横にスッと動かす。何だろうと思っていると、右からトンっと軽い音がして、見るとアリサが立っていた。

「お呼びですか、団長?」
「あぁ、急で悪いがユーリと2人で依頼に行って欲しいんだ。」

 アリサはユーリを一瞬だけ睨む。すぐに団長に視線を戻し、少し顔を緩めた。

「了解しました、任せてください。」
「そうか、では準備が出来たら直ぐ出てくれ。おいロー、くっついてないで行くぞ。」

 ローは無言でユーリを抱き締め抵抗するも、団長の圧の前では無意味だ。ユーリの頬にキスを落とすと、渋々離れて団長と王宮へ転移で飛んで行った。
 執務室に残ったアリサと私。

「アリサ準備…。」
「無い。」

 食い気味に言われた。アリサは基本、無表情だから慣れてるけど。それにしては、さっき睨まれたこともあるし、何か私嫌われてる?原因に心当りないな…。気まずいけど仕事はちゃんとやらないとね!よし、頑張ろう!
 
「私も準備するもの無いから、行くよ。『転移』」

 令嬢が保護されている貴族の屋敷の前に到着した。身長の3倍はある大きな門がゆっくりと開かれ、執事らしき男性が歩いて来る。

「グレイブ団の方ですね、中へどうぞ。」

 男に付いて数メートル進んだところで、後頭部に鋭い衝撃が走った。

「あ…ぅ…。」

 アリサが微笑む顔を最後に、意識が遠のいた。
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