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第4章 青い竜の村
66話 酔いの後で
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「なんかオレ、昨日とんでもないことしてた気がする」
「ああ、ゴーヴァンはちゃんと覚えてる方なのね」
朝、姉さんとアズと朝飯の粥を食いながら昨日のことを思い出す。
やたらみんなに好き好き言いまくって、額をこすりつけてた記憶がある。
「さすがに女の子に、あんなことした時はどうしようかと思ったわ」
「何で止めてくれなかったんだよ。姉さん見てたんだろ」
「どうして? 自分で間違いをしたんだもの、自分で気づいて自分で直さなきゃダメでしょ。
怒ってる人がいたら、ちゃんと謝るのよ」
そうだった、姉さんこういう性格だった。
はあ、他の奴らに顔合わせづれえ。
オレが頭を抱えてると、姉さんは真面目な顔になってアズを抱き寄せる。
「ねえゴーヴァン、いつ村を出るの?」
「オレは今日にでも出られる。後は姉さんが来るかどうかだ」
「言ったでしょ、私はガーウェイのそばにいたいの。長から許しさえ出ればいつだって行けるわ」
「アズも連れて行くってことだよな」
頷く姉さん。
ここに来るまでの道を考える。この子に歩いていけるかどうか、この子を抱えて行けるかどうか。
「なあアズ、父さんに会いたいか?」
「あえるの? おとうさんにあえるの?」
目を輝かせ、アズがオレを見る。
そうだよな、会いたいよな。会いに行こう。
「わかったよ、姉さん。何かあれば、アズはオレが抱えてでも無事に連れて行く」
「大丈夫よ、私はアナタが思うほど弱くはないもの。自分の子供を抱えて行くくらい、何でもないわ」
姉さんの目を見て、大丈夫だと確信する。そうだ姉さんだってオレと同じ、強い戦士だった父さんと母さんの子なんだ。弱いなんて思う方が姉さんに失礼ってもんだ。
アズだってそうだ。姉さんと村一番の戦士だった義兄さんの子供なんだ。弱い子な訳あるか。
「じゃあ今日、長に許しをもらおう。そして義兄さんに会いに行こう」
器に残った粥を一気に書き込む。
「姉さん、おかわり!」
「本当、ゴーヴァンよく食べるようになったわね」
「そうか? みんなが食わなすぎるだけだろ」
さて、飯食ったらレーテたちに会いにいくか。
寄合所で寝泊まりしてたレーテとカルロに、今日中に旅立つことを伝えに行った。
「おやおや、もう戻るのかね」
「あれだけ歩いてき、三日だけか。あっという間だったな。」
特にやることがなかったのだろう、そうは言いながらもオレの話しを食いつくように聞いてくる。
「ああ、義兄さんのことがあるからな。オメェらはいつなら出られる」
「荷物、って言っても大したものもないし、水とか食べるものだけなんとかできれば、大丈夫だと思う」
じゃあ、コイツらは大丈夫だな。
後はダネルか。
「ルクレツィアのヤツもどこまで信用できるか、正直わからねえからな。
義兄さんが何かされる前に、姉さんを義兄さんに合わせてやって、街のヤツらに義兄さんを治して欲しいんだ」
レーテがオレの頭を撫でてくる。
「分かってるさね。お義兄さんのことが心配なのだろうね。いいとも、カルロの荷物をまとめるのは私も手伝うから、すぐに出られるようにはしておくからね」
「ネエちゃん、おれは自分のことくらい自分でできるって。オッサン、いつごろ出るの?」
「村の長から姉さんが村から出る許しが出次第、だな」
「わかった。そうだオッサン」
カルロが冷めた目でオレを見る。
「荷物に酒入れていくなよ。後、街に帰っても酒飲むなよな。飲んだらオレのそばには来るなよ」
「な、何だよその顔といい方は。オレそんな凄いことしたのか?!」
レーテが何かを思い出したかのように、大きな笑い声を出す。
「何だ、覚えていないのかね?
私とカルロを抱きしめて散々額をこすり合わせた後、おめえらのとこじゃ好きなやつにはなにするんだ、なんて聞いてきて、キスをするって教えたら……くくっくふふふふふふ」
覚えてねえぞ、そんなこと。
「おれ、初めてのキスがおっさんになった」
「私もあんなにキスされたのは初めてだったね」
冷たい目でこっちを見るカルロと大笑いするレーテという正反対の二人を見て、とりあえずその場に座って両手をついて頭を床につくくらい低く下げていた。
「すまねえ、なんかいろいろハメを外しすぎた」
「本当だよ、ニイちゃんなんてオッサンの友達に押さえられて、二人がかりで頭突きかってくらい頭こすり合わされるわオッサンにバカみたいにキスされるわで、見てて可愛そうになるくらいだったんだからな」
いや、それダネルに顔合わせないほうがいいんじゃねえのか?
「おはよう酔っ払い。気分は悪くないみたいだな」
後ろからダネルの声が聞こえた。
「あ、ニイちゃん。昨日は大丈夫だったんだ」
「酒はほとんど口にしていないからね。その代わりに酔っ払い共に連れ回されて色々あったよ。ああ色々な」
ダネルがオレの肩を叩き、耳元でそうとう頭に来てる声で話しかけてくる。
「その、すまねえ。覚えてることがあやふやなんだが、やりすぎた」
「そうだな。少しでも反省してるなら今後は僕の視界に入る範囲で酒を飲むな。今度同じことをして来てみろ氷漬けにするぞ」
イヤ、これマジで怒ってるぞ。
カルロの視線も痛いし、レーテはなにか思い出して笑い続けてるし、オレどんだけ何をやっちまってたんだ?
「闘ってるとこ見てかっこいいと思ったのに、酒だけでいろいろ台無しだぞ、オッサン」
怖え、ちょっと飲んだだけでこれって。酒マジで怖え。
「そうそうゴーヴァン、ちょっとしか飲んでないとか思ってるかも知れないけどね。か、な、り、飲んでたからね。
初めて飲んであれだけ飲めるなら、相当な酒豪になれるね」
「酒豪? 絡み魔の間違いでしょう。おいゴーヴァン、お前相当酒癖が悪いからな」
「だぁぁあぁぁぁあ! 頼む、もう酒の話はやめてくれ!」
この後しばらく、カルロとダネルから昨日のことを聞かされて、ただただ頭を床にこすりつけていた。
レーテは何が面白いんだか、ずっと笑ってた。
チクショー、もう酒なんて飲まねえぞ!
「ああ、ゴーヴァンはちゃんと覚えてる方なのね」
朝、姉さんとアズと朝飯の粥を食いながら昨日のことを思い出す。
やたらみんなに好き好き言いまくって、額をこすりつけてた記憶がある。
「さすがに女の子に、あんなことした時はどうしようかと思ったわ」
「何で止めてくれなかったんだよ。姉さん見てたんだろ」
「どうして? 自分で間違いをしたんだもの、自分で気づいて自分で直さなきゃダメでしょ。
怒ってる人がいたら、ちゃんと謝るのよ」
そうだった、姉さんこういう性格だった。
はあ、他の奴らに顔合わせづれえ。
オレが頭を抱えてると、姉さんは真面目な顔になってアズを抱き寄せる。
「ねえゴーヴァン、いつ村を出るの?」
「オレは今日にでも出られる。後は姉さんが来るかどうかだ」
「言ったでしょ、私はガーウェイのそばにいたいの。長から許しさえ出ればいつだって行けるわ」
「アズも連れて行くってことだよな」
頷く姉さん。
ここに来るまでの道を考える。この子に歩いていけるかどうか、この子を抱えて行けるかどうか。
「なあアズ、父さんに会いたいか?」
「あえるの? おとうさんにあえるの?」
目を輝かせ、アズがオレを見る。
そうだよな、会いたいよな。会いに行こう。
「わかったよ、姉さん。何かあれば、アズはオレが抱えてでも無事に連れて行く」
「大丈夫よ、私はアナタが思うほど弱くはないもの。自分の子供を抱えて行くくらい、何でもないわ」
姉さんの目を見て、大丈夫だと確信する。そうだ姉さんだってオレと同じ、強い戦士だった父さんと母さんの子なんだ。弱いなんて思う方が姉さんに失礼ってもんだ。
アズだってそうだ。姉さんと村一番の戦士だった義兄さんの子供なんだ。弱い子な訳あるか。
「じゃあ今日、長に許しをもらおう。そして義兄さんに会いに行こう」
器に残った粥を一気に書き込む。
「姉さん、おかわり!」
「本当、ゴーヴァンよく食べるようになったわね」
「そうか? みんなが食わなすぎるだけだろ」
さて、飯食ったらレーテたちに会いにいくか。
寄合所で寝泊まりしてたレーテとカルロに、今日中に旅立つことを伝えに行った。
「おやおや、もう戻るのかね」
「あれだけ歩いてき、三日だけか。あっという間だったな。」
特にやることがなかったのだろう、そうは言いながらもオレの話しを食いつくように聞いてくる。
「ああ、義兄さんのことがあるからな。オメェらはいつなら出られる」
「荷物、って言っても大したものもないし、水とか食べるものだけなんとかできれば、大丈夫だと思う」
じゃあ、コイツらは大丈夫だな。
後はダネルか。
「ルクレツィアのヤツもどこまで信用できるか、正直わからねえからな。
義兄さんが何かされる前に、姉さんを義兄さんに合わせてやって、街のヤツらに義兄さんを治して欲しいんだ」
レーテがオレの頭を撫でてくる。
「分かってるさね。お義兄さんのことが心配なのだろうね。いいとも、カルロの荷物をまとめるのは私も手伝うから、すぐに出られるようにはしておくからね」
「ネエちゃん、おれは自分のことくらい自分でできるって。オッサン、いつごろ出るの?」
「村の長から姉さんが村から出る許しが出次第、だな」
「わかった。そうだオッサン」
カルロが冷めた目でオレを見る。
「荷物に酒入れていくなよ。後、街に帰っても酒飲むなよな。飲んだらオレのそばには来るなよ」
「な、何だよその顔といい方は。オレそんな凄いことしたのか?!」
レーテが何かを思い出したかのように、大きな笑い声を出す。
「何だ、覚えていないのかね?
私とカルロを抱きしめて散々額をこすり合わせた後、おめえらのとこじゃ好きなやつにはなにするんだ、なんて聞いてきて、キスをするって教えたら……くくっくふふふふふふ」
覚えてねえぞ、そんなこと。
「おれ、初めてのキスがおっさんになった」
「私もあんなにキスされたのは初めてだったね」
冷たい目でこっちを見るカルロと大笑いするレーテという正反対の二人を見て、とりあえずその場に座って両手をついて頭を床につくくらい低く下げていた。
「すまねえ、なんかいろいろハメを外しすぎた」
「本当だよ、ニイちゃんなんてオッサンの友達に押さえられて、二人がかりで頭突きかってくらい頭こすり合わされるわオッサンにバカみたいにキスされるわで、見てて可愛そうになるくらいだったんだからな」
いや、それダネルに顔合わせないほうがいいんじゃねえのか?
「おはよう酔っ払い。気分は悪くないみたいだな」
後ろからダネルの声が聞こえた。
「あ、ニイちゃん。昨日は大丈夫だったんだ」
「酒はほとんど口にしていないからね。その代わりに酔っ払い共に連れ回されて色々あったよ。ああ色々な」
ダネルがオレの肩を叩き、耳元でそうとう頭に来てる声で話しかけてくる。
「その、すまねえ。覚えてることがあやふやなんだが、やりすぎた」
「そうだな。少しでも反省してるなら今後は僕の視界に入る範囲で酒を飲むな。今度同じことをして来てみろ氷漬けにするぞ」
イヤ、これマジで怒ってるぞ。
カルロの視線も痛いし、レーテはなにか思い出して笑い続けてるし、オレどんだけ何をやっちまってたんだ?
「闘ってるとこ見てかっこいいと思ったのに、酒だけでいろいろ台無しだぞ、オッサン」
怖え、ちょっと飲んだだけでこれって。酒マジで怖え。
「そうそうゴーヴァン、ちょっとしか飲んでないとか思ってるかも知れないけどね。か、な、り、飲んでたからね。
初めて飲んであれだけ飲めるなら、相当な酒豪になれるね」
「酒豪? 絡み魔の間違いでしょう。おいゴーヴァン、お前相当酒癖が悪いからな」
「だぁぁあぁぁぁあ! 頼む、もう酒の話はやめてくれ!」
この後しばらく、カルロとダネルから昨日のことを聞かされて、ただただ頭を床にこすりつけていた。
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