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第4章 青い竜の村
67話 義兄さんの所へ
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姉さんが村を出る話は、すんなりと行った。
家族の元へ行くってことを反対するやつはいない。オレたち青の氏族はそう言うものだ。
荷造りには村のヤツらもあれこれと手伝ってくれた。食い物に関しては、余るんじゃないかってくらい持たせてくれた。
「じゃあ、行って来る」
「次に帰ってくる時はガーウェイさんも一緒か。その時はまた、みんなで酒を飲もうな」
「イヤ、酒は勘弁してくれ。何かしでかすのはコリゴリだ」
ハウエルや子供の頃の遊び仲間たちが大笑いする。
いいよな、笑って済ませられるやつは。でもまた、コイツらに会える日が来て欲しい。イヤ、きっと来る。
姉さんも友達たちに別れを済ませ、アズを連れてオレの方へやって来る。
「行きましょう、ゴーヴァン」
「ああ、姉さん。じゃあみんな、またな!」
アズの手を引いた姉さんと一緒に歩き、村から少し離れた場所で待っていたレーテたちと合流する。
一度振り返ると、まだみんながオレたちの方を見ていてくれた。手を大きく振ると、こちらに向かってみんなが手を振り返してくれる。
「村に戻りたいのかね」
「バカ、帰れるならいつだって帰りてえさ。でも今は、義兄さんの所へ行くんだ。家族みんなで暮らすんだ」
行く道の先を見て、歩き出す。
オレ、レーテにカルロ、姉さんとアズ、それにダネル。来るときより二人増えただけなのに、なんだか大勢になったような気がする。
「さあ、行こう。義兄さんの所へ」
川を目指して歩き、そのまま川の流れに沿って歩いていく。
夕暮れ近くまで歩いて、その日はそこで野宿をすることになった。
夕食前に周りの景色と地図を見比べて、ダネルが思っていたより進んでいるとオレたちに言う。
「良かった。子供を連れているから、どれだけ進んでいるか不安だったの」
「遅くなるなんてないよな。アズはおれたちについて来れるもんな」
「うん、ぼく一緒に行けるよ」
カルロと手を繋いだアズが元気良く答える。
考えてみれば、カルロもオレたちについて村まで行けたんだ。アズだって、それなりに歩けるだろう。
むしろ子供ってのは思ってるより体力がある。何かを見つけてそちらへかけて行こうとしたり、オレたちの周りを飛び跳ねたり、なのに疲れたなんていい出さないんだから、その体力には驚いた。
姉さんはケガしないか不安だったんだろう、何度も声をかけて自分の方へ呼び戻そうとしてたけどな。
「アズ、疲れたりしてないか?」
「ううん、だいじょうぶ!」
うん、元気があっていい。まあ、歩くのが辛くなったらオレが担いでやればいいし大丈夫だろう。
そうだ、ダネルには聞きたいことがあったんだ。
「ダネル。聞きたいことがあるんだが。人攫いに関して、なにか言ってたか?」
「ゴーヴァンたち兄弟が攫われたことに関してはそうとう怒ってたな。今後は狩りに出る時はある程度の人数で行くという話をしていた。もし捕らえたら死よりも重い罰を与えるとも言っていたな」
「死よりも重い罰ね。そんな物あったんだな」
「血の翼の刑。僕たち黒の氏族でも重罪人に行われる罰だが青にもあるとは思わなかった」
姉さんが眉をしかめながらオレたちの方を見ている。
これって、話さないほうがいい話しなのか?
「子供のいる前でする話じゃなかったな。まあ人攫いは青に捕まったらただじゃ済まない程度に覚えておけ」
村のみんなで何とかしてくれるなら、今はオレがどうこう考えることじゃねえか。
オレと義兄さんを人買いに売った奴らには、たっぷり礼は返したいところだけどな。
「けれど、ゴーヴァンはこうして帰ってきてくれた。あの人だって、まだ目覚めないけど街で待っていてくれてるのでしょう?
本当に、ありがとう」
姉さんがダネルとレーテに深く頭を下げる。
「シアラさん、僕は教授の言いつけで来ただけです。頭を下げないでください」
「私だって、たまたま気に入って買った奴隷がゴーヴァンだったというだけさね。
私に礼をいうより、今日まで生きていたゴーヴァンを褒めてお上げね」
「それでもお礼を言わせて欲しいの。あなた達がいてくれたから、こうしてゴーヴァンに会えた、これからガーウェイに会える。
私にとってはこの八年間、夢にまで見たことだから、だから、ありがとう」
「ありがとう!」
アズが姉さんをマネて頭を下げて礼を言う。アズは意味なんて分かっちゃいないんだろうが、姉さんには本当に心配をかけてたんだな。
レーテは小さく笑い、照れているのかダネルは目をそらした。
確かにそうだ。形はどうあれ、コイツらのお陰でオレはまた姉さんに会えたんだ。
「ああ、ありがとうな。
オメェらのお陰で姉さんやアズに会えた、村にも帰れた。ありがとうな」
……何だよダネル、その顔は!
「姉弟揃ってお礼を言われると、さすがに照れくさいね。
けれど本当に気にしないでおくれね。私がゴーヴァンを選んだのはたまたまで、ここまで来れたのはゴーヴァン自信が強かったからなのだからね。
私にされて大丈夫だったから、こうしていられるのだからね」
オイ、止めろ。そう言う勘違いされそうな言い方をするな。
だあああ、見てみろ姉さんが変な顔でオレのこと見てるじゃねえか!
「あの、ゴーヴァン……あなた、あの子と」
「違う、違うからな姉さん! 俺とレーテはそう言う関係じゃ……あー、もう!」
血ぃ吸われてる関係とか、どう姉さんに言えばいいんだよ。
結局姉さんに説明できないままというか、何か勘違いをされたまま、今日は夕飯にすることになった。
夕飯は姉さんがスープを作ってくれた。食い物は村でたくさん持たされたから、具をたくさん入れたスープだった。
なんだろうな姉さんの作ってくれた飯を食ってると、美味いって気持ち以上に胸の奥がポカポカしてくる。
「やっぱ姉さんの作ってくれた飯が一番、腹がいっぱいになるな。おかわり!」
「腹いっぱいになるとか言いながらまだ食べるって、オッサンどんだけ食べるんだよ」
「オレは食べざかりってヤツだからいいんだ」
「それはカルロ君やアズ君みたいな子供に使う言葉だろ。ゴーヴァンの場合は只の大食いだな」
みんながオレを見て笑う。
「な、なんでみんな笑うんだよ」
「それ以上大きくなるって、巨人か何かにでもなる気かね」
「オッサンがそれ以上でっかくなったら、おれとか踏み潰されるって」
だからってみんなで笑い過ぎだろうが。
チクショー、こうなったら鍋の中身全部食ってやる!
家族の元へ行くってことを反対するやつはいない。オレたち青の氏族はそう言うものだ。
荷造りには村のヤツらもあれこれと手伝ってくれた。食い物に関しては、余るんじゃないかってくらい持たせてくれた。
「じゃあ、行って来る」
「次に帰ってくる時はガーウェイさんも一緒か。その時はまた、みんなで酒を飲もうな」
「イヤ、酒は勘弁してくれ。何かしでかすのはコリゴリだ」
ハウエルや子供の頃の遊び仲間たちが大笑いする。
いいよな、笑って済ませられるやつは。でもまた、コイツらに会える日が来て欲しい。イヤ、きっと来る。
姉さんも友達たちに別れを済ませ、アズを連れてオレの方へやって来る。
「行きましょう、ゴーヴァン」
「ああ、姉さん。じゃあみんな、またな!」
アズの手を引いた姉さんと一緒に歩き、村から少し離れた場所で待っていたレーテたちと合流する。
一度振り返ると、まだみんながオレたちの方を見ていてくれた。手を大きく振ると、こちらに向かってみんなが手を振り返してくれる。
「村に戻りたいのかね」
「バカ、帰れるならいつだって帰りてえさ。でも今は、義兄さんの所へ行くんだ。家族みんなで暮らすんだ」
行く道の先を見て、歩き出す。
オレ、レーテにカルロ、姉さんとアズ、それにダネル。来るときより二人増えただけなのに、なんだか大勢になったような気がする。
「さあ、行こう。義兄さんの所へ」
川を目指して歩き、そのまま川の流れに沿って歩いていく。
夕暮れ近くまで歩いて、その日はそこで野宿をすることになった。
夕食前に周りの景色と地図を見比べて、ダネルが思っていたより進んでいるとオレたちに言う。
「良かった。子供を連れているから、どれだけ進んでいるか不安だったの」
「遅くなるなんてないよな。アズはおれたちについて来れるもんな」
「うん、ぼく一緒に行けるよ」
カルロと手を繋いだアズが元気良く答える。
考えてみれば、カルロもオレたちについて村まで行けたんだ。アズだって、それなりに歩けるだろう。
むしろ子供ってのは思ってるより体力がある。何かを見つけてそちらへかけて行こうとしたり、オレたちの周りを飛び跳ねたり、なのに疲れたなんていい出さないんだから、その体力には驚いた。
姉さんはケガしないか不安だったんだろう、何度も声をかけて自分の方へ呼び戻そうとしてたけどな。
「アズ、疲れたりしてないか?」
「ううん、だいじょうぶ!」
うん、元気があっていい。まあ、歩くのが辛くなったらオレが担いでやればいいし大丈夫だろう。
そうだ、ダネルには聞きたいことがあったんだ。
「ダネル。聞きたいことがあるんだが。人攫いに関して、なにか言ってたか?」
「ゴーヴァンたち兄弟が攫われたことに関してはそうとう怒ってたな。今後は狩りに出る時はある程度の人数で行くという話をしていた。もし捕らえたら死よりも重い罰を与えるとも言っていたな」
「死よりも重い罰ね。そんな物あったんだな」
「血の翼の刑。僕たち黒の氏族でも重罪人に行われる罰だが青にもあるとは思わなかった」
姉さんが眉をしかめながらオレたちの方を見ている。
これって、話さないほうがいい話しなのか?
「子供のいる前でする話じゃなかったな。まあ人攫いは青に捕まったらただじゃ済まない程度に覚えておけ」
村のみんなで何とかしてくれるなら、今はオレがどうこう考えることじゃねえか。
オレと義兄さんを人買いに売った奴らには、たっぷり礼は返したいところだけどな。
「けれど、ゴーヴァンはこうして帰ってきてくれた。あの人だって、まだ目覚めないけど街で待っていてくれてるのでしょう?
本当に、ありがとう」
姉さんがダネルとレーテに深く頭を下げる。
「シアラさん、僕は教授の言いつけで来ただけです。頭を下げないでください」
「私だって、たまたま気に入って買った奴隷がゴーヴァンだったというだけさね。
私に礼をいうより、今日まで生きていたゴーヴァンを褒めてお上げね」
「それでもお礼を言わせて欲しいの。あなた達がいてくれたから、こうしてゴーヴァンに会えた、これからガーウェイに会える。
私にとってはこの八年間、夢にまで見たことだから、だから、ありがとう」
「ありがとう!」
アズが姉さんをマネて頭を下げて礼を言う。アズは意味なんて分かっちゃいないんだろうが、姉さんには本当に心配をかけてたんだな。
レーテは小さく笑い、照れているのかダネルは目をそらした。
確かにそうだ。形はどうあれ、コイツらのお陰でオレはまた姉さんに会えたんだ。
「ああ、ありがとうな。
オメェらのお陰で姉さんやアズに会えた、村にも帰れた。ありがとうな」
……何だよダネル、その顔は!
「姉弟揃ってお礼を言われると、さすがに照れくさいね。
けれど本当に気にしないでおくれね。私がゴーヴァンを選んだのはたまたまで、ここまで来れたのはゴーヴァン自信が強かったからなのだからね。
私にされて大丈夫だったから、こうしていられるのだからね」
オイ、止めろ。そう言う勘違いされそうな言い方をするな。
だあああ、見てみろ姉さんが変な顔でオレのこと見てるじゃねえか!
「あの、ゴーヴァン……あなた、あの子と」
「違う、違うからな姉さん! 俺とレーテはそう言う関係じゃ……あー、もう!」
血ぃ吸われてる関係とか、どう姉さんに言えばいいんだよ。
結局姉さんに説明できないままというか、何か勘違いをされたまま、今日は夕飯にすることになった。
夕飯は姉さんがスープを作ってくれた。食い物は村でたくさん持たされたから、具をたくさん入れたスープだった。
なんだろうな姉さんの作ってくれた飯を食ってると、美味いって気持ち以上に胸の奥がポカポカしてくる。
「やっぱ姉さんの作ってくれた飯が一番、腹がいっぱいになるな。おかわり!」
「腹いっぱいになるとか言いながらまだ食べるって、オッサンどんだけ食べるんだよ」
「オレは食べざかりってヤツだからいいんだ」
「それはカルロ君やアズ君みたいな子供に使う言葉だろ。ゴーヴァンの場合は只の大食いだな」
みんながオレを見て笑う。
「な、なんでみんな笑うんだよ」
「それ以上大きくなるって、巨人か何かにでもなる気かね」
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