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第4章 青い竜の村
75話 これからについて
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「で、ユリウスをどうするか、だな」
テーブルを囲んで、これからについての話しをしている。
「ユリウスがこの街にいることについては、他の教授たちにも報告はする。
だがだ、その子が狙われてるとなると、それはそれで問題だな」
みんなの視線が姉さんのヒザの上にいるアズに集まる。
当のアズは何でみんなに見られてるのかも、姉さんがいつもより強く抱きしめてるのかも分かってないだろう。
「そのユリウスという人、何のためにアズを?」
「正直わからない。アイツが隠れてやってた研究について説明すると、大きな物は三つだ。
一つは死んだ肉体を蘇らせる研究。
一つは使い物にならなくなった臓物を他の人間のものと入れ替える研究。
これら二つは治療学の奴らが詳しく調べてるが、君達の家族にも使われたらしい」
まさかオレとダネルが見つけた死体ってのは、臓物入れ替えられたヤツらなんじゃねえだろうな。
ダネルも何か考えているのか、テーブルの上をじっと見て黙っている。
「もう一つは自分の魂を他の肉体に入れるというものだが、これは残された資料にも詳細なことが書かれて無くてな、いまいちよくわからん」
「そう言えばおれのこと見て、子供はどうとか言ってなかったっけ?」
「子供の体が欲しかったのか、それとも臓物が欲しかったのかは分からんがな」
姉さん大丈夫かよ。今にも倒れそうになってるぞ。
「オイ、その話はもういいだろ。
それよりもアズをどうすりゃいいんだ」
「どうしろと言われても、襲われても対応できる誰かが一緒にいるしかないだろ」
そりゃ無理って話だろ。
オレ一人でやり合ったら勝てる自信ねえぞ。
「夜だったら、私一人で何とか出来ると思うのだけどね」
レーテがため息を吐く。
「昼間じゃ、手を引いて逃げられるかどうかも怪しいからね」
「それは私も一緒だ。魔術で風でも巻き起こされてかぶったフード取られたら、それだけでまともにやりあえない」
「その人、そんなに強いの?」
姉さんが不安そうにオレの方を見る。
どう答えたらいいか分からなくて黙っていると、それで何か理解したんだろう、オレから視線を外してしまう。
「ごめん、姉さん」
「なんでゴーヴァンが謝るの、悪いのは子供を攫おうとする人でしょ」
姉さんの言うとおりなんだけど、そうも言ってられない。
何も知らず、一人じゃ何の抵抗もできないアズが狙われてるんだ。
「人のいるとこに入れば狙われにくいかと思ったけど……あの人変身の魔術使えますよね」
「攻撃関連お魔術の腕に関しては学内でも上位だったな。正面切って戦って勝てる相手、探す方が難しいんじゃないか?」
「さすがに人目のある場所で何かして来るとは考えたくはないですがね」
街中の人が多い場所で大暴れなんてのは、流石にないと思いたい。
思いたいんだが、前にデカブツ共を大暴れさせたからな。
「少なくとも人目のある場所で襲ってこないことを、祈るばかりだね。
後は何かあった時に、アズを抱えてでも逃げられる誰かが一緒にいるのがいいのだろうね」
「でもさ、アズを抱えて逃げられるだけ体力がありそうなのって」
みんながオレを見る。
「オッサンだけ、だよね」
「まあ、アズくらい小さけりゃ抱えて逃げるなんざどうってこともないけど。敵に背を向けるのは……」
「今は敵に背を向けるだの逃げるだのは考えるな。その子の身を第一に考えろ」
アズは眠いのか、姉さんに体を預けて目を閉じそうになっている。
姉さんは助けを求めるような顔で、オレを見ている。
「オレがアズと一緒にいるのはいいけど、何かあった場合はどうすりゃいいんだ。ただ逃げろってのか?」
「そう言う時は、私の所に来るといい。ある程度の対応はできるし、来ることが前提なら対策もしておきやすい」
その後は、ルクレツィアがこの家自体に魔術を使えないように細工を施すこと、今夜からはアズを一人にさせないこと、オレたちだけの合言葉を決めておくこと。そんな話をした。
レーテと話をしたかったが今日はユリウスのこと以外、何の話も出来なかった。
「じゃあ姉さん、行って来る」
「おかあさん、行ってきます」
嬉しそうな顔のアズが、姉さんに手をふる。
「気を付けてね、ゴーヴァン。アズ、ちゃんとおじさんの言うことを聞くのよ」
姉さんの言葉にアズが元気よく返事をする。
話し続けて、アズが眠って、カルロが眠そうにしだした頃、オレがアズと一緒にいるってことで話がまとまった。
アズは何で一緒に出かけるのか、わかってないんだろうな。
周りに警戒しながら街を歩いていく。
すれ違うヤツ、すれ違うヤツ、みんなユリウスが返信でもしてるんじゃないかと思うと、気が気じゃない。
「ねえ、おじさん」
「何だ、アズ?」
「おじさんって小さいときから、おとうさんに剣をおしえてもらったんだよね?」
「オウ、アズくらいの小さい頃から教えてもらってたぞ」
「ぼくも、ぼくも剣おしえて」
そんな目をキラキラさせて見ないでくれ、その顔見てダメとか言えねえ。
本物の剣、はまだ持たせられねえからな。木剣ならいいだろうけど、どこで手に入れりゃいいんだ? そのへんに生えてる木を切って、てのはダメだろうな。
「じゃあ、オレの仕事場についたら剣に使えそうなもの、探そうな」
「うん、さがそうね!」
嬉しそうに返事をするアズ。
ユリウスのことさえなけりゃ、アズに剣を教えてやるなんて楽しいだけのはずなんだけどな。
テーブルを囲んで、これからについての話しをしている。
「ユリウスがこの街にいることについては、他の教授たちにも報告はする。
だがだ、その子が狙われてるとなると、それはそれで問題だな」
みんなの視線が姉さんのヒザの上にいるアズに集まる。
当のアズは何でみんなに見られてるのかも、姉さんがいつもより強く抱きしめてるのかも分かってないだろう。
「そのユリウスという人、何のためにアズを?」
「正直わからない。アイツが隠れてやってた研究について説明すると、大きな物は三つだ。
一つは死んだ肉体を蘇らせる研究。
一つは使い物にならなくなった臓物を他の人間のものと入れ替える研究。
これら二つは治療学の奴らが詳しく調べてるが、君達の家族にも使われたらしい」
まさかオレとダネルが見つけた死体ってのは、臓物入れ替えられたヤツらなんじゃねえだろうな。
ダネルも何か考えているのか、テーブルの上をじっと見て黙っている。
「もう一つは自分の魂を他の肉体に入れるというものだが、これは残された資料にも詳細なことが書かれて無くてな、いまいちよくわからん」
「そう言えばおれのこと見て、子供はどうとか言ってなかったっけ?」
「子供の体が欲しかったのか、それとも臓物が欲しかったのかは分からんがな」
姉さん大丈夫かよ。今にも倒れそうになってるぞ。
「オイ、その話はもういいだろ。
それよりもアズをどうすりゃいいんだ」
「どうしろと言われても、襲われても対応できる誰かが一緒にいるしかないだろ」
そりゃ無理って話だろ。
オレ一人でやり合ったら勝てる自信ねえぞ。
「夜だったら、私一人で何とか出来ると思うのだけどね」
レーテがため息を吐く。
「昼間じゃ、手を引いて逃げられるかどうかも怪しいからね」
「それは私も一緒だ。魔術で風でも巻き起こされてかぶったフード取られたら、それだけでまともにやりあえない」
「その人、そんなに強いの?」
姉さんが不安そうにオレの方を見る。
どう答えたらいいか分からなくて黙っていると、それで何か理解したんだろう、オレから視線を外してしまう。
「ごめん、姉さん」
「なんでゴーヴァンが謝るの、悪いのは子供を攫おうとする人でしょ」
姉さんの言うとおりなんだけど、そうも言ってられない。
何も知らず、一人じゃ何の抵抗もできないアズが狙われてるんだ。
「人のいるとこに入れば狙われにくいかと思ったけど……あの人変身の魔術使えますよね」
「攻撃関連お魔術の腕に関しては学内でも上位だったな。正面切って戦って勝てる相手、探す方が難しいんじゃないか?」
「さすがに人目のある場所で何かして来るとは考えたくはないですがね」
街中の人が多い場所で大暴れなんてのは、流石にないと思いたい。
思いたいんだが、前にデカブツ共を大暴れさせたからな。
「少なくとも人目のある場所で襲ってこないことを、祈るばかりだね。
後は何かあった時に、アズを抱えてでも逃げられる誰かが一緒にいるのがいいのだろうね」
「でもさ、アズを抱えて逃げられるだけ体力がありそうなのって」
みんながオレを見る。
「オッサンだけ、だよね」
「まあ、アズくらい小さけりゃ抱えて逃げるなんざどうってこともないけど。敵に背を向けるのは……」
「今は敵に背を向けるだの逃げるだのは考えるな。その子の身を第一に考えろ」
アズは眠いのか、姉さんに体を預けて目を閉じそうになっている。
姉さんは助けを求めるような顔で、オレを見ている。
「オレがアズと一緒にいるのはいいけど、何かあった場合はどうすりゃいいんだ。ただ逃げろってのか?」
「そう言う時は、私の所に来るといい。ある程度の対応はできるし、来ることが前提なら対策もしておきやすい」
その後は、ルクレツィアがこの家自体に魔術を使えないように細工を施すこと、今夜からはアズを一人にさせないこと、オレたちだけの合言葉を決めておくこと。そんな話をした。
レーテと話をしたかったが今日はユリウスのこと以外、何の話も出来なかった。
「じゃあ姉さん、行って来る」
「おかあさん、行ってきます」
嬉しそうな顔のアズが、姉さんに手をふる。
「気を付けてね、ゴーヴァン。アズ、ちゃんとおじさんの言うことを聞くのよ」
姉さんの言葉にアズが元気よく返事をする。
話し続けて、アズが眠って、カルロが眠そうにしだした頃、オレがアズと一緒にいるってことで話がまとまった。
アズは何で一緒に出かけるのか、わかってないんだろうな。
周りに警戒しながら街を歩いていく。
すれ違うヤツ、すれ違うヤツ、みんなユリウスが返信でもしてるんじゃないかと思うと、気が気じゃない。
「ねえ、おじさん」
「何だ、アズ?」
「おじさんって小さいときから、おとうさんに剣をおしえてもらったんだよね?」
「オウ、アズくらいの小さい頃から教えてもらってたぞ」
「ぼくも、ぼくも剣おしえて」
そんな目をキラキラさせて見ないでくれ、その顔見てダメとか言えねえ。
本物の剣、はまだ持たせられねえからな。木剣ならいいだろうけど、どこで手に入れりゃいいんだ? そのへんに生えてる木を切って、てのはダメだろうな。
「じゃあ、オレの仕事場についたら剣に使えそうなもの、探そうな」
「うん、さがそうね!」
嬉しそうに返事をするアズ。
ユリウスのことさえなけりゃ、アズに剣を教えてやるなんて楽しいだけのはずなんだけどな。
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