男子校でハーレムが作れる俺マジ勝ち組

葉鳥(はとごろTIMES)

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一日続く体育の授業

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※この作品は同人ゲーム「男子校でハーレムが作れる俺マジ勝ち組」からテキストを抜き出したノベル版です。
 ゲームテキスト形式なので背景やキャラ名の指定が残っています。
 原作ゲームは18禁ですが、今作は18禁シーンを削除し全年齢版として公開します。
 PCを持っていない方のために、同じく全年齢版の体験版プレイ動画もございます。
 詳しくは「はとごろTIMES」のホームページをご覧下さい。
 また、漫画も投稿しています。そちらも是非ご覧下さい。



《グラウンド》
十月末。爽快なまでの晴天。絶好の体育祭日和である。
が、この学校の体育祭などあってないようなもので、気合を入れているのは運動部連中のみ。
俺も例外でなく、一つの競技にも参加せず朝からブルーシートの上に座り込んで静香達と駄弁っていた。
零時
「あー、もう秋も終わるってのに、未だに直射日光は暑いなー」
静香
「そうだな……校舎が閉められていなければ僕も中に逃げていただろう」
体育祭の日は一日中グラウンド以外の使用が禁じられ、校舎には鍵か掛けられる。
運動が苦手なわけではないがインドア派である俺と静香は、だらだらとお喋りして時間を潰すことに専念するしかない。
藤井
「だらけきってんな、現役高校生」
零時
「お前も人のこと言えねーだろ」
ちなみに藤井も非運動部であり、俺たち側の人間である。
藤井
「おいおい一緒にすんな。俺は一種目出る」
零時
「マジかよ、すげー」
静香
「何に出るんだ?」
藤井
「綱引き」
綱引きとは、クラスの三分の二が強制的に選出される競技である。人数が足りなかったらジャンケンで負けた者が出る。
藤井
「俺は主張したい。ジャンケンは決して公平な競技じゃないと。だって、運が悪かったら負けるんだぜ?」
零時
「俺は勝ったから関係ねーなー」
静香
「僕は学園祭関係の仕事のおかげで競技参加免除だから関係ないな」
藤井
「うわーお前ら最低だわー」
静香
「僕は他で働いていたんだからいいだろう」
長野
「藤井の妬みなんていちいち聞いてなくていいよ、早乙女」
片思い男が割り込んできた。
長野は柔道部員で、体育祭でも競技に出る側の人間だ。
零時
「お前は競技行っとけよ、運動部」
長野
「今は長距離走だろ。俺の出る競技は先だよ」
静香
「長距離はウチのクラスから誰が出てるんだ?」
零時
「そういえば俺も知らねーや」
長野
「四ッ橋はともかく、早乙女が知らないなんて珍しいね」
静香
「?」
長野
「伏嶋だよ」
零時・静香
「「えぇ!?」」
俺と静香は二人で揃って声を上げた。それをなんだか恨めしそうに長野に睨まれたが、それよりも今の言葉のほうが気になる。
静香
「種目決めは桃滋楼が登校しはじめる前だったはずだが……」
長野
「だからというか……ほら、体育祭の方は早乙女が仕切らなかったから、運動部連中で適当に決めたんだけど」
さっきも言っていたが、体育祭関連のことに静香は手をつけていない。一学期から学園祭関連のことを一人で管理していたため、そこまで手が回らなかったのだ。
だから体育祭は馬鹿連中が集まってノリで種目やら何やらを決めていた。
零時
「そこで何で伏嶋が出てくるんだよ」
長野
「不登校だっただろ? あの時は皆伏嶋のこと不良だと思ってたから、体育祭なんかも当然来ないと思われてた」
長野
「そこで馬鹿代表が、出たくない種目は全部伏嶋の名前で出そうと言い出した」
零時
「あー……」
もう想像がついた。確かに、欠席の生徒がいたら不戦敗で終わってくれるからなぁ。
長野
「元凶である中田が色々条件出してくれたおかげで、伏嶋もかなり不本意そうにだけど全部出てくれることになったらしい」
零時
「嫌々やらせるならサボらせとけばいいのに」
長野
「そこまで頭が回らないから、馬鹿代表なんだよ」
馬鹿事情に納得。
噂をすればなんとやらで、グラウンドの中央から種目交代を告げる笛の音と伏嶋の声が聞こえてきた。
桃滋楼
「はぁ……ったく、何で俺がこんな……」
中田
「マジでごめんって! 約束通り終わったら好きなだけジュース奢るし、望むならボディタッごほっごほっ肩だって揉む!」
桃滋楼
「触んな気色わりい!」
静香
「哀れな……」
零時
「おお……お疲れだな」
桃滋楼
「帰りてぇ……だりぃ……もう動きたくねぇ……」
中田
「でも伏嶋すげーんだぜ! 長距離ぶっちぎり!」
藤井
「見てた見てた。伏嶋って足早いのな」
桃滋楼
「あ? あんなもん普通だろ」
さすが伏嶋。部活にこそ入っていないが、伊達でも不良と呼ばれていただけある。体力は人一倍だ。
中田
「あれを普通と言っちゃう所がカッケーなー。野球部に入らねぇ? お前ならレギュラー確実だって!」
長野
「女子だから大会には出られないけどね」
中田
「そうだったあぁーーーーー!!」
桃滋楼
「どっちにしろ入らねぇよ……めんどくせぇ」
藤井
「もったいね」
桃滋楼
「部活なんて集団行動の代名詞、絶対無理。上下関係とか言葉聞いただけで吐き気がする」
静香
「桃滋楼らしい理由だ」
藤井
「でもクラスには馴染んできてんだから、そのうち部活くらい普通にできるようになんじゃね?」
藤井
「こうやって話してみると、普通にいい奴なんだし」
桃滋楼
「な……あ…………!?」
静香
「照れてる姿は可愛らしいしな」
桃滋楼
「ッ……!? せ、静香!」
確かに、こうして顔を赤くする伏嶋はかなり可愛い。こういう所で男だった時にはなかった愛嬌が出てくる。
でも、伏嶋なら男のままでも、努力次第でちゃんと登校できるようになったんだろう。元々の人格からいい奴なんだから。
俺の力なんて切っ掛けにすぎない。受け入れられたのは伏嶋の努力の結果だ。
これからも、伏嶋はこうして順調に復帰していくのだろう。
いいことなんだけど、どこか少し寂しい気もした。
長野
「…………」
零時
「どうした? 黙り込んで」
長野
「いや……早乙女と伏嶋は本当に仲がいいと思って」
長野
「俺が敵視するのはお前じゃなくて伏嶋であるべきなのか?」
零時
「しらねーよ」
というか、やっぱり敵視されてたんですね俺。別にどういう関係でもないんだけど。
そもそも今静香と伏嶋は女同士なんだから、そんな心配する必要もない……いや、騒の例があるからな。同性ってだけじゃ否定材料にはならないか。
静香
「長野、そろそろお前も行かないといけないんじゃないか?」
長野
「ああ、本当だ。じゃあ行ってくるかな」
桃滋楼
「あー……俺もその次にまたある……」
零時
「本当にお疲れだな。終わったら俺もなんか奢ってやるよ」
静香
「僕も何か考えておこう。陽子さんにも伝えておけば、きっと夕飯が豪華になるぞ」
桃滋楼
「……ちょっとやる気出た」
中田
「え、そんなに皆から貰えるんだったら、俺の負担少なくてもいいんじゃね?」
桃滋楼
「あぁ!? テメーが元凶だっつーのに何調子いいこと抜かしてんだ殴んぞ!」
中田
「ヒイィツ!」
やっぱり打ち解けようが伏嶋の威嚇は怖かった。
羅斗
「やっほー、キミ達楽しそうだねー。ビッチも混ぜてみない?」
桃滋楼
「ふぎゃっ!」
中田に威嚇していたせいで後ろががら空きになっていた所に、唐突に草田先輩が現れ抱き付いた。
当然伏嶋は悲鳴を上げて振り払う。
羅斗
「いゃん、つめたぁ~い」
桃滋楼
「キモッ! うわっ、うわっキモッ!」
羅斗
「あの、そこまで拒絶されると凹む」
だが、今のは草田先輩が悪い。
草田先輩の登場で、長野は競技の準備へ、中田と藤井もそれぞれそそくさと逃げていった。
やはり一般人の思考では、この人の相手などできないということか。中田まで逃げたのはちょっと意外だけど。
羅斗
「あらら、私ってば嫌われ者だ」
静香
「近寄る男を手当たり次第喰い散らかす、なんて噂の人が来たら誰だって逃げだします」
羅斗
「噂っていうか事実だしね。でもー、思われてるほどエッチばっかしてないんだよ?」
常識人であればこうして逃げるから、なかなか捕まらないのだとぼやかれる。いや知りませんけどそんなビッチ事情。
零時
「しかし……その格好……先輩はどこまでも先輩のままですね」
羅斗
「んふふ、似合うぅ? コスプレグッズにあったから買ってみたの」
そりゃ今時そんなもの、コスプレ以外の何でもないですよね。
しかもアダルティーなコスプレグッズらしく、じっくり見るとほんのり肌と下着が透ける。外に出ていい格好じゃない。
桃滋楼
「……きも…………」
伏嶋のその呟きは、なんだか重量感があった。
羅斗
「それより見てたよー桃ちゃん。走ってるとこカッコイーねー、男だったら是非パコられたかったー」
桃滋楼
「うわ……」
伏嶋、ドン引き。
羅斗
「ゼロ君としずかちゃんは競技出ないの?」
零時
「競技ゼロを勝ちとったんで」
羅斗
「私も出ないの。仲間だね」
羅斗
「でも残念だなー。もしゼロ君が出るなら、チアガール姿で応援するのもアリだったよ」
チアガール……か。先輩は活動的な方だからきっと似合っていただろう。
というか今の服が危険すぎて、チアの方が良かったと思えてしまう。ああ、一つでも競技に出ればよかった。
羅斗
「あれ? そういえば今日はさわちゃんがいないんだね」
零時
「え……」
静香
「そういえば、今日は姿を見ませんね」
羅斗
「こういう行事の時は絶対にゼロ君の所に来てると思ったのに」
桃滋楼
「別にいない方が静かだからいいんじゃね?」
零時
「それは言い過ぎだけど……」
確かに、今日はあいつの姿を一度も見ていない。言われるまで気づかなかった……
騒の顔を見てない日なんて珍しい。いつも朝から俺のところに来ているのに。
もしかしたら欠席か? 風邪でも引いたのかな。
静香
「いなければいないで寂しいな」
零時
「そうだな……」
いつも後ろをついてきて、好きだと慕ってくれていた後輩の姿を思い出す。
俺はあいつの気持ちに応えていないけど、やっぱり好かれていることを嫌とは思えない。
いないと、寂しい。まさに静香の言葉のまま。
桃滋楼
「そろそろ俺も準備いかねーと……」
静香
「そうか、次は何だ?」
桃滋楼
「障害物競争。名前聞いただけでもうだるい」
静香
「はは……誰もやりたがらない競技だしな」
静香
「頑張ってこい。応援してる」
桃滋楼
「ああ。お前ら、この後の報酬ちゃんと用意しろよ? ぜってーだぞ」
静香
「任せておけ」
桃滋楼
「うし、行ってくる」
伏嶋がグラウンドへと駆けていく。それを見送りながら、俺はまだ騒のことを考えていた。
もし病気休みなら、何かしてやりたい気もするけど……
……ああ、駄目だ。
俺、あいつの家どころか、クラスすら知らない。
そういえば、俺から騒について知ろうとしたことはなかった。
今度、聞いてみようかな。
静香
「先輩も暇なんでしょう? ここで喋っていましょうよ」
羅斗
「え、しずかちゃんから誘われるなんて珍しいなー」
静香
「見張っていれば、変なことはしないでしょう?」
羅斗
「ああ、そういう意味ですか……でも汗の滴る男との性行為もこう、いつもより興奮するものでね」
静香
「だから見張るんです。座っていいですから」
羅斗
「ちぇーっ。おじゃましまーす」
静香が先輩を招き入れる。元々クラス待機用のブルーシートだが、こんな適当な行事で指定待機場所を守る者などいない。第三者を入れることで文句を言われることもないだろう。
三人で、伏嶋が戻ってきたら四人で、俺たちは平和に駄弁って時間をつぶした。
こうして適当に始まった体育祭は、適当に終わっていくのであった。



《教室》
翌日。

「昨日、ですか?」
俺はいつも通り朝から俺を訪ねてきた騒に、昨日のことを聞いた。
零時
「珍しくお前を見かけなかったからさ」

「昨日はその……お休みしたというか、えぇと……」
零時
「どこか具合でも悪かったのか?」

「い、いえ、そういうわけではなくてですね。なんといいますか、その……」

「いわゆる自主休校ってやつで……」
零時
「自主……って、サボりかよ!」

「あ、あはは……」
零時
「笑ってごまかすなつつーの。あー、心配して損した」

「え……先輩、あたしのこと心配してくれたんですか?」
零時
「う……あ、当たり前だろ。いつもいるのに昨日だけいないんだから」

「先輩……ごめんなさいです」
本当に申し訳なさそうに謝られる。そんな顔をされたら怒るに怒れない。

「あたし、ああいうの苦手なんです。人がいっぱい集まる行事」

「今は見る分には平気になったんですけど、自分が参加するとなるとやっぱり別で……」
苦手だからという理由でサボるのはどうかと思ったが、一つの競技にも参加していない俺の口からはとても言えなかった。
しかし、意外だ。騒は明るくて元気なイメージだから、体育祭とか好きそうだと思っていたんだけど。
……そういえば、騒が自分のクラスの行事の話をしたことは、一度もない。
それどころか、騒の口から騒周辺の人間関係の話を聞いたことすらない。

「でも、そっか……先輩に心配させちゃったんだ……」
零時
「まぁ、心配なんて言っても、大丈夫かなーって思った程度なんだけど」

「それだけで十分嬉しいですし、その分申し訳ないです」

「本当は学園祭も休むつもりだったんですけど、心配させるくらいなら頑張って来ますね」
零時
「サボる予定って……そんなに嫌だったのか……?」

「ええ、嫌いです」
即答。
何の迷いもなく、真っ直ぐに嫌悪の言葉を突き刺した。
それは、心からそう思っている証拠。
なにか、あったのかな。こういう行事で、嫌な思い出とか。
それともただ単に、クラスに友達がいないとか?
んん……だとしても「お前友達いんの?」とかチキンの俺にはとても聞けない。

「学祭は頑張って来ますから、先輩のクラスに入り浸っていいですか?」
零時
「え?」

「嫌なことも、きっと先輩が近くにいれば嫌じゃなくなるから」
うぉ……!? な、なんだこの可愛らしい騒は……!
すぐに頷きたい。オッケーして、学祭当日も一緒に居てやりたい気持ちになる。
でも待て俺。騒には騒のクラスがあるし、それを放置するのを俺が許せるわけもない。

「ちなみに、あたしはクラスには参加しないって言ってあります」

「なんなら先輩のクラスを手伝ってもいいです。手足だと思ってくれてかまいません」

「だめ、ですか……?」
零時
「うーん……」
零時
「さすがに手伝いは遠慮するけど、客として来る分には誰も文句言わないよ」

「ほんとですか!? やった!」

「あたし絶対最初から最後までずっと入り浸りますからね! 働く先輩をじっくりこってり眺めちゃいますから!」
そ、それはその……勘弁してほしいんですけど……
しかし、ここまで喜ぶ騒にそんなことが言えるはずもなく、ぐっと言葉を飲み込んだ。
それにしても……そんなに自分のクラスにいるのが嫌なんだろうか。
ここまで露骨に避けていると、何か理由がありそうだ。
それを聞く勇気はないけど、いつか騒から話してくれる時が来たら、聞いてやるくらいはしよう。
そう、思った。
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