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冒険者編

第60話 異常事態

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  依頼書に書いてあった情報だと、集落は割と最近できたものでオークは15体前後、上位種はいないということだったはずだ。

 それなのに目の前には数体の上位種を含め、約40体ほどのオークが集まっていた。

「おかしいよ。報告書になかったってことは、ギルドの調査員が来た時にはまだ小さい集落だったって言うことだよ?それがこんな短時間でこんなに大きくなれる訳が無い」
「確かに信じがたいが、不可能じゃないだろう?例えば、近くの集落が潰れて難民として流れてきたオークで人口が増えたとか、何か空間中の魔力が増えたりして子孫が増やしやすくなったり、成長が早くなったり。色々あるだろ」
「た、確かに」
「まぁ、経緯はどうであろうと目の前の敵が増えたことに変わりはない。気を引き締めていくぞ!」
「うん!」
「ゴジ、第二形態だ。ジオを守ってやれ」
「ガル!ガルル!」
「よし、上位種は任せろ。俺の合図でいくぞ」
「……」
「……three」
「……」
「……two」
「……」
「……one!突撃!」
「うおぉぉおおおおお!」
「おりゃぁぁああああ!」
「ガルルル!ガルゥウウウ!」

 俺らは一気に駆け出した。

 オーク達は俺らの奇襲に慌てふためき、それが隙となる。

 ジオには出来るだけ多くのオークを倒してもらいたいので、先に疎らにいるハイオークを潰さないといけない。

「……7体か」

 ジオが追いつく着く前に4体は殺せるはずだ。

 頭の中で数えてから、前回の反省を踏まえ、クレーターを作らない程度に加速した。普通のオークは素通りして、上位種が集まリ始めた集落の中央に直進する。


「はぁ!」
「ブモォォオオオオ!」

 まずは一体。

 ハイオークの動体視力を超える速度で懐に入り、飛び上がってバタフライナイフを回しながら首を斬る。ハイオークはそのまま力が抜けたかのよように倒れた。

「次っ!次ぃ!」
「ブモッ!」
「ッ!ブモォオ!」

 続いて二体。

 着地してから、左右から突進してくる二体の巨大な豚男を確認する。巨漢二人の突進はなかなか迫力があるが、迫力だけでは敵は殺せない。

 腰から鎖を抜き放ってその勢いのまま大きく回し、先端に付いている刃で一体のハイオークを斬首。

 続いて、大回りなかばで鎖を強く引き、自分に引き戻す。視認するのが難しいほどの速さで自分に戻ってくる鎖と刃。

俺にぶつかるその刹那、左に避ける。

 俺にぶつからなかった鎖はそのまま直進し、後ろから迫っていたハイオークを貫く。

「もう一体!」

 最後に、堂々と構えていたハイオークに向き直る。受けが得意なのか、さっきから向かってくる気配がない。

「ブッモォォオオオオ!」

 幅のある棍棒を大きな盾のようにドシッと地面に突き刺し、挑発してくる。が、俺はこいつに構ってやれるほど暇でも、退屈でもない。

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