クラス召喚で俺だけハズレスキルが二つ!〜国から追放されたけど、スキルがあまりハズレっぽくないので、魔王になって女神と勇者に復讐します!〜

ゴジゴジ

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冒険者編

第84話 ライクの浄化

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「これはもう、処刑だな」

 腰につけていたバタフライナイフを開きながら放ち、一人の首筋に突き刺す。

「……!」
 
 声帯を貫かれ、声にならない声を出しながら死んだ。

 続いてナイフと同時に振り放っていた鎖を壁に向かって打ち出せば、壁に跡を残し、威力を削がれながらも跳ね返る。まだ十分威力を保ったまま、鎖は残り3人が一直線上に重なる点を突き進んだ。

「ぐわっ!」
「っんぐ!」
「がはっ!」

 3人とも一息に突き刺され、音を立てて死んでいく。

「さて、俺らの話に戻ろうか」
「ひぃっ!?」
「さっきから台詞が一択なんだよ……それにクセェし。はぁ、恐怖してくれるのはいいけどさ……」

 それも長続きはしないだろ。そろそろ時間だ。

 人間が恐怖や驚きで動けなくなるのは、長くて20秒。それ以上経つと状況に頭が追いついて、行動を起こすようになる。と、聞いたことがある。

 ま、某石の医師が言ってたことだから多分本当だろう。

 ともかく、俺が殺気をばら撒き始めてから15秒ぐらいが経過してる。そろそろ動くだろう。

「はぁ、はぁ…………おりゃぁああ!」
「ほらきた。ま、『威圧』使うんだけど」

 称号:《エンシェント:竜殺し》の効果で手に入れた、古代竜の『威圧』。取得した時は他が凄すぎてスルーしたが、これはこれで便利なものだと思う。

 あの威圧に抗うことができるのは相当な強者か馬鹿ぐらいだろう。もちろん俺は強者の方だ。

 そして目の前のこいつは、どちらでもない。

「あと少しだったな。どうせ『完全再生』で治っただろうけど……ま、これでも俺相手に善戦した方だ。さてと、お前さんには聞きたい事がある。もちろん拒否権はねぇぞ」

 俺の首にナイフを突き立てる寸前で体が動けなくなってしまった彼を見下ろす。

「最初に、今回の計画の首謀者は誰だ?」
「…………」
「あぁ、動けないなら話せないか」

 『威圧』を緩めてやる。

「さて、これで口は利けるかな。じゃ、答えろ」
「あ、は、はい!こ、今回の計画は、しゅ、首謀者がいるわけではなく、情報をもとに町中の盗賊団が集まっておこなったものです」
「それでも、まとめ役がいるだろ?」
「あっ、い、います!そ、それは一番強い私が、まとめて……」
「主犯はお前ってことか?」
「は、はい!も、申し訳ございません!ですが、ど、どうか命だけは……」

 自分がボコされそうになった瞬間、敬語に変えて命乞いするあたり、ちゃんと三流の悪役だな。

 実際は町一つの盗賊を全員集めて統率できるほどの権力者のつもりだろうけど……権力なんて圧倒的な暴力の前では無力だからな。俺をを相手にろうとした時点で負けってわけだ。

 可哀想に……

 俺の雰囲気が変わったことを察したのだろう。命乞いがより一層必死になる。

「お、お願いします!もう二度と盗みも殺しもしません!奴隷と売り払っていただいても結構です!いえ、売り払ってください!これからの生き方を変えます!正しい道を歩みます!歩みますから、この命だけは、命だけは助けてください!」
「何か勘違いしてるようだが……俺は別にお前の盗みを非難してるわけじゃないぞ?…………そもそも、いわゆる『正しい生き方』ってのは余裕のある奴らが集まって考えて、残りの人類に押し付けた固定観念だ。確かにそれによって助かる命はあるだろうが、所詮は他人の命だ。知ったことではない。しかも、余裕のある奴らが考えたことだから、余裕のない人間には通用しない考え方だしな。……人間の第一は生存。その為ならなんだってする。それが、『根本的に正しい生き方』だ。その為に盗み、殺人を犯そうとも『根本的に正しい生き方』に変わりはない」
「あぁ……な、なら!」
「おっと、俺はまだ話終わってないぞ。……俺はお前の生き方を非難しないが、許すとは言ってない。お前はここで死ぬが、それは道を踏み外したからではない。道を歩んでいで俺にぶつかったからだ。さて…………」
「ま、まっ––––!」
「Goodnight!(おやすみい!)」

 サッと首元を一閃。

 力が抜けたように、死体が後ろに倒れた。

「さて……」

 バタフライナイフの血をズボンで拭きながら振り返る。

「追いかけっこに、かくれんぼ……次は鬼ごっこかな?」

 目線は遠くを眺めているが、確実に何かを捉えている。

 ステータスなのかレベル自体なのか、今の俺の視力は圧倒的だ。少なくとも200メートルほど先の屋根の上でこちらを観察している影さんがはっきり見えるぐらいには。

 ようやく俺が、当てずっぽうではなく、明確に自分たちを見ていることに気づいたのだろう。慌てて逃げ始めた。

 こちらとしては顔が見られてしまっているので一人残らず狩るしかないのだが……盗賊である以上は裏社会にも通じてるだろうし、そこに強者として俺の顔が広がるのは勘弁願いたい。

 しかし、こうもバラバラに逃げ回れると流石に時間がかかる。ま、この街にいる限りは気配でおおよその方向がわかるから地道にやっていくしかないか。

「朝までに終わらせたいな」



 その夜、ライクの街では、至る所で悲鳴や大声が報告された。

 しかし、報告された場所に兵が駆け付けても見つかるのは血溜まりと、綺麗に首を掻き切られた死体だけ。しかも妙なことに、見つかった死体は全部がこの町では名の通った犯罪者のもの。

 以後、この日は『ライクの浄化』と兵の間では囁かれるようになり、いまだに手掛かりがない主犯は『トロイ・ディアボロス悪魔喰らいの悪魔』と呼ばれるようになった。
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