雨に薫る

はなの*ゆき

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1.Cape jasmine

43✳︎

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 それはあまりにも突然で。

 自分ではどうにも出来ない勢いでぶわりと膨れ上がると、切ない程の甘いうねりとなって身体を揺さぶった。
 抑えきれずに声を上げ、思わずしがみ付いた私の耳元で、ク…と、ナオが喉を鳴らす。

「マジかよ…」

 その呟きにカッと頭に血が上った。
 咄嗟に鼻先を埋めていたナオの首筋にかぶり付く。

「っ―――」

 声と共に腕が緩んだ隙にナオを押し除けて、立ち上がろうと肘を突き、身体を捻った瞬間、さっきの余韻が甘い痺れとなって駆け抜けた。

「っ、ぁ…」

 思わず仰け反り、うつ伏せに倒れ込んだ身体を、後ろから伸びてきた腕に抱き竦められる。その衝撃にすら身体が震える私の背中に覆い被さると、お腹に回されたナオの手が容赦なくショートパンツの中に差し込まれ、節くれだった太い指がショーツのゴムを押し除けた。

「―――っっ」

 抵抗する間もなかった。

 熱を持って膨らんだその場所にぬるりと滑り込んだ指が、深く、埋め込まれて、目の前が白く弾ける様な錯覚を覚えて仰け反る。
 ナオの指が動くと、更にその先にある自分でさえ知らなかった場所が蠢いて、切なさに涙が滲んだ。
 絶対に届かない、届くわけ無いのに、ナオの指がそこ・・を乞う様に求める様に動く。

「や…、も、…っ」

 ナオの腕を掴み、後ろに顔を向けて訴えた言葉はまたしても唇で塞がれ、舌先が触れ合った瞬間、切なさで胸が撓ると同時に、あの甘いうねりがナオの指先から湧き起こった。

「っふ、う、ん―――っっっ」

 これ以上は無い程追い詰められて大きく背中を逸らすと、自分の奥深い場所がきゅう…と撓った。ナオの指の形をハッキリと感じて、切なさに喘ぐ事しか出来ない。
 浅い呼吸を何度も繰り返し、徐々に波が引いていく様に身体を弛緩させてやっと、ナオの指が抜き取られた。はぁ…と、吐き捨てる様に息を付いて、私の背中からナオの温もりが離れる。


「…ば、かみてぇ…」


 その呟きは、とても小さかったのに。

 ずきり、と、音を立てて収縮した心臓の前で、うつ伏せのまま手を握り締めた。

 泣きたくない。
 せめて、ナオの前では。
 そんな事を言わせたのは・・・・・・私なんだから。

 唇を噛み締めながら、未だに余韻の残る身体を抱きしめる様に丸まり、ナオが部屋を出て行くのを待ちながら大きく息を吸い込んだ、その時だった。

 不意に後ろからショートパンツを引き下ろされ、驚いて身体を捻ると、軽々と脚を抱え上げられた。抗う間も無くナオに下着ごとそれを剥ぎ取られる。
 そのまま腿を押し開かれて仰向けにされると、その間に身体を入れて覆い被さったナオにまた唇を塞がれた。

 ナオはズルい。
 だって間違いなく、気付いてる。
 私がこうされるとダメだって事に。

 今だって、泣きたくなる程惨めなのに、差し込まれた肉厚なそれに、自分から舌先を絡めてる私は、ホントにバカだ。

 こんな事、知ってしまったら・・・・・・・・どうなるかなんて、考えなくたってわかったのに。

 ナオが鼻の向きを変えながら、腰を揺らめかせる。熱を持って熱くなった場所を掠めたもの。
 それに気が付いて、胸が震えた。
 ナオの腕に力が篭り、熱い手の平が背中を撫で下ろして腰を引き寄せる。無防備なその場所に、その存在を知らしめる様にナオが動くと、呼応するように熱く膨れた場所から、抑えきれない熱が溢れて零れ落ちた。

 切なかった。
 素肌で触れ合うという行為が、こんなにも暴力的なものだったなんて、知りたくなかったのに。

 ナオの腕が私の腿を持ち上げる。熱を湛えたその場所を、ぬるりと掠めた存在に喉の奥が鳴った。

 唇が離れて、それを追いかける様に目を開ける。直ぐ鼻の先にナオの顔。
 そこにいたのは、もう私が知ってる“少し意地悪な、でもとても優しい幼馴染”じゃなかった。


「覚えとけよ、これが俺のカタチだって」


 次の瞬間、グッと割り込む様に押し込まれて、反射的に声を上げた。
 塞ぐように隙間なく押し込まれ、ビクビクと震える腰を引き寄せたナオが抉るように動くと、そこから波のように甘い痺れが湧き起こり、爪先へと広がっていく。
 ナオがそのまま下腹部を擦り合わせるように細かく腰を律動し始めると、押されるように短い息が鼻の奥から漏れ、徐々に高まる熱が溢れ出て音を立てた。
 何とも言えないもどかしさに背中を反らし、突っぱねた爪先で床を掻く。その次の瞬間、ナオが腰を引いて、強く打ち付けた。

 一瞬、心臓が止まるかと思った。

 なのにナオは更に激しく、何度も何度も腰を打ち付ける。激しい律動に心ごと揺さぶられて、自然に涙が滲んだ。

 こんなの、忘れられる訳ないじゃん?
 きっと一生、覚えてる。

 悔しくて情けなくて、グッと強くナオの肩を掴んだ時、唐突にナオが動きを止めた。重く張り付いた目蓋を開ける間も無く、強い力で抱き起こされる。

「あっっ―――」

 ナオを跨ぐように腰を下ろされた途端、そこから胸を突くような甘い痺れが身体を駆け抜けた。
 指では届かなかった場所にナオを感じて、堪らず仰反ると、今度は胸の先を咥え込まれる。
 悲鳴みたいな声を上げて腕を突っぱねたのに、背中に回された腕で強く抱き竦めながら、ナオがさらに舌先で張り詰めたそれを嬲った。

「おまえ、ホント、ここ弱いよな…」

 そう思うんなら止めてくれればいいのに、ますます強く抱き締めながら、胸元に顔を埋める。強く吸い付かれて思わず身動ぐと、ナオでいっぱいになったままのそこが、さらに疼いて泣きたい気持ちになった。

 ナオが腰を抱えて動くと、そこから痺れる様な甘さが、波の様に爪先まで広がっていく。溢れ出たものが音を立てて、恥ずかしさに思わずナオの頭を抱え込むと、嗅ぎ慣れた髪の香りを吸い込んで胸がいっぱいになった。

「ナオ…」

 呼び掛けたのは、そんなつもりじゃなかったけど、顔を上げたナオの唇に、吸い寄せられるように自分の唇を寄せた。
 自分から開いた口の中に、ナオの舌が滑り込む。隙間から唾液がこぼれ落ちるのも構わずに絡ませ合いながら、その間も腰が動くのを止められなかった。

 好き―――なんて、そんな生易しいものじゃなかった。

 欲しかった。
 ナオの全部が。

 でもそれは許されないから。
 だから、もう少しだけ。

 下腹部を擦り付ける様に、自分から腰を動かした。湧き起こった甘いうねりが少しずつ膨らんで大きくなっていく。

 もう少し。
 あともう少し。
 そしたら、終わりにするから。

 願いを込めて縋り付いた、次の瞬間。

 ふっ…と身体が浮き上がったかと思うと、仰向けに押し倒された。
 覆い被さったナオが、私の脚を抱えてお腹に着くぐらいにくの字に曲げると、私の中からギリギリまで自分を出してから、勢いよく腰を叩きつける。

 瞬間、目の前に火花が散った。

 そのまま立て続けに腰を打ち付けられて声を上げる。弾けたはずのうねりがまた生まれて、大きく膨れ上がっていく。
 ナオの動きが激しさを増した。

「あっ、あ、やっ、ナオッッ―――」

 どうする事も出来ない激しい波に飲み込まれて、大きく背中を逸らして仰け反った。
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