68 / 84
2.Yellow star jasmine
18
しおりを挟む
女難の相、だと桂馬が言っていた。
確かにそうかもしれない。
自分の見た目が女から好まれる部類のものらしいと自覚したのは、実は中学に入ってからだった。
野球を始めるまではしょっ中熱を出す程身体が弱くて小柄だったのもあるだろう。何度も女子に間違われる程見事な女顔が、小学生時代は少しコンプレックスでもあった。
何より、母やスミが、身体が丈夫になって良かったとか、バカみたいにデカくなったとかぐらいしか、褒め言葉らしき事を口にしなかったのがあるかもしれない。
だから中学に入ってからやたらと絡まれる様になったのが、正直、意味不明だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「えっと…、今、付き合ってるコ、いる?」
何言ってんだコイツ?
と言うのが率直な感想だった。
多分、三年生だろう、スミよりも背は低かったけど、胸は恐ろしくデカくて、“ちち”と呼ぶ方がしっくり来るような大きさだ。
それを強調するかのように腕を後ろ手に組んでモジモジしながら聞いてくるが、正気だろうかとマジで思った。
いやだってそうだろ?
こっちは3月までランドセル担いでたし、彼女とか、冗談にしか聞こえない。
ただ、いないものをいるとは言えないから、「いや…」と言いながら首を傾げると、大袈裟な程満面の笑顔になった。
「あ、じゃあ、あたしと付き合わない⁈」
そう言われて、再度首を傾げた。
「付き合うって、何するんですか?」
「えっ? あ、えっと…、一緒に遊びに行ったり、とか…」
アンタと?…とは流石に言わなかったけど、顔には出たんだろう。慌てた様に顔の前で手を振った。
…それ、ガイジンにやったらアカンやつ。心の中で突っ込む自分の前で、その先輩は赤くなりながら視線を彷徨わせた。
「も、もちろんっ、それだけじゃ、無いよっ! 手ぇ繋いだりとか、…キス、とか…」
アンタと(以下略)
モジモジしながら上目遣いで見てくる先輩を黙ったまま真顔で見返すと、相手はぐっと黙り込んで俯いた。
そうする事1時間…なんて事は流石に無かったが、軽く1分は経っただろうか。
「な、何よ…」
ボソリと呟いて先輩が顔を上げる。
眉を逆立てたその顔は、真っ赤になっていた。
「もっとさ、言い方!ってあるじゃん⁈ 他に好きなコいるとかっ、部活頑張りたいからとかっっ!」
いや、何も言ってねぇし。
と言う間も無く、「もう、いい!」と吐き捨てると、ソイツ(もう先輩と呼ぶ気がしない)は走ってその場から離れていった。
「なんだ、あれ? ってカンジだったんだよな。意味わからんっつーか」
「進藤って…ヒトデナシだな」
「どこが?」
「いや、さ~、振るにしてももっと優しく…」
「してどうするんだ? 大体、何をもって好きだと言ってるのかもわかんねぇし」
「モテる奴はこれだから…。女子がクールとか、無口でカッコいいとか言ってんのが実はコレって…」
知るかよ、と肩を竦めた。
それ以来、呼び出される事がちょこちょこ増えたのだが、その度にただ黙ってるだけで向こうが勝手に逃げていくのだ。
もう好きにしてくれ、と言うのが本音だった。
告ってる間、全くこっちを見ないヤツも多いのだ。それで付き合ってどうなる? 顔が好きなら、立ってるだけでいいって事か?
容赦ねぇ…と桂馬が呟いた、その後ろをスミが通りがかった。
今日は味噌だったな…と思いながら視線を向けると、気付いたスミが、微かに口角を上げる。桂馬が、ん?と振り向いてスミの姿を確認した。
「…なるほど」
「? 何が?」
「いや、…ミヤマさんは別格なんだな~と思ってさ」
「幼なじみだからな」
真顔だったと思う。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「すっごいよね、お母さん、若っか~っっ」
手放しの賞賛にげんなりした。
息子からすれば、どう考えてもただの若作りとしか思えない。トシ考えろよと言った事もあるが、聞きゃしねぇ。流石に似合わねぇとまでは言わないが…後が怖いから。
「皆も言ってたよ~、あれ見慣れてりゃ、そりゃ、ちょっとやそっとじゃ靡かねえわーって。」
その言葉に更に脱力した。アレが俺の基準とか、マジ勘弁してくれ…
「つーか、お前は会ったことあっただろ?」
「えー、覚えてないよ。だってお母さん達って皆、帽子とか被ってて、顔よく見えなかったし。」
「ああ…」
言われてみれば、母親達の多くは、アームカバーだのサンバイザーだので完全防備した上で、試合観戦していたっけ?
ついでに言うとうちの母親も、キンシローの事を男だと思っていたようで、
「えっ、えーっ、そうなの?! キンシロー君…?」
と言って、キンシローを膝から崩れ落ちさせていた。
「すなおっちがまともに呼んでくれてたら、そんな事にはならなかったと思う。」
「お前が言うな。」
「えーっ」
「つーか、鍵。お前はもう戻れよ。」
「えー、いや、ついでに洗剤の新しいの取ってこーと思ってさ。さっき見たらどこ有るかわかんなくって。風間がすなおっちしかわかんないかもって言うから」
「ああ…そういやそうか…」
それなら仕方ないか、と、連れ立ってクラブハウス棟に向かう事にした。(ちなみに風間の下の名前はモリオでは無い)
母親を追い返した後、着替える為に部室の鍵を貰おうと、まずグラウンドへ向かった。
練習していた部長に声をかけると、何故かわらわらと部員が集まり、「彼女か?! 」と言われるに至って、寮に入れなかったヤツがグラウンドに来ていた事を知り、愕然としたのである。
本気で要らん事しかしねぇわ、アイツ…そう思いながら目を眇めた。
“先輩”、か…。
3ヶ月だ、まだ。あれからスミが劇的に何か変わったなんて事は無いだろう。あの鈍さは国宝級だ。
顎にかかるさらりとした黒髪と、抜ける様に白い首筋を思い出してため息を吐いた時だった。
「…シシュンキだねぇ」
「は?」
黙って隣を歩いていたキンシローから不意に言われて、一瞬意味がわからず間の抜けた声が出る。それを見たキンシローが、普段の様なふざけたカンジとは違う顔で笑った。
「いや、ほら、こんぐらいの男子って、結構おかーさんの事邪険にするじゃん?ウザいとか言ってさ」
「ああ…」
確かにウザい。顔に出たのか、キンシローがさらに笑った。
「すなおっちのタイプって、じゃあ、おかーさんとは正反対なんだ?」
「…タイプ…」
思わず黙り込むと、キンシローが眉を上げた。
「無いの? もしかしてあれ? イケメンあるあるで、人を好きになった事無いとか?」
好きに―――?
「…お前は、どうなんだ? 好きなヤツとか」
「えっ、あたし?! そ、そりゃ、いるよ?! 、もちろんっっ」
質問で返してやると、キンシローが赤くなってワタワタし始める。こういうカンジのコイツを見るのは初めてだった。
そうか、さすがのキンシローもシシュンキなんだな。
「それって、どうなんだ?」
「ど、どうって…?」
「好きなんだろ、ソイツの事。それって、どんなカンジなんだよ?」
ずいぶん抽象的だと思いながら聞くと、キンシローが視線を泳がせた。
「ど、うって言われると困るんだけど…。そ、ソイツの事考えると、もー、スゴいドキドキして、なんかスゴい大変なんだけど、でもスゴい顔見たくてたまんなくって…」
「…スゴい多すぎねぇ?」
「や、そんぐらいスゴいんだって! もう頭ん中ソイツでいっぱいんなるんだよ!」
「何か、それって面倒くね?」
「面倒く無いよ!」
そう言って、キンシローは拳を握りしめた。
「だって、楽しいもん! 会えたら嬉しいし、笑ってくれたら、もーそんだけでスゴい幸せな気分なれる!」
鼻息荒く捲し立てたキンシローは、ちょっと顔が赤くなってて、でも不思議とブサイクには見えなかった。
そんだけ“幸せ”を感じてるって事なんだろう―――そう思って。
「じゃあ、違うな…」
この気持ちは、多分。
確かにそうかもしれない。
自分の見た目が女から好まれる部類のものらしいと自覚したのは、実は中学に入ってからだった。
野球を始めるまではしょっ中熱を出す程身体が弱くて小柄だったのもあるだろう。何度も女子に間違われる程見事な女顔が、小学生時代は少しコンプレックスでもあった。
何より、母やスミが、身体が丈夫になって良かったとか、バカみたいにデカくなったとかぐらいしか、褒め言葉らしき事を口にしなかったのがあるかもしれない。
だから中学に入ってからやたらと絡まれる様になったのが、正直、意味不明だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「えっと…、今、付き合ってるコ、いる?」
何言ってんだコイツ?
と言うのが率直な感想だった。
多分、三年生だろう、スミよりも背は低かったけど、胸は恐ろしくデカくて、“ちち”と呼ぶ方がしっくり来るような大きさだ。
それを強調するかのように腕を後ろ手に組んでモジモジしながら聞いてくるが、正気だろうかとマジで思った。
いやだってそうだろ?
こっちは3月までランドセル担いでたし、彼女とか、冗談にしか聞こえない。
ただ、いないものをいるとは言えないから、「いや…」と言いながら首を傾げると、大袈裟な程満面の笑顔になった。
「あ、じゃあ、あたしと付き合わない⁈」
そう言われて、再度首を傾げた。
「付き合うって、何するんですか?」
「えっ? あ、えっと…、一緒に遊びに行ったり、とか…」
アンタと?…とは流石に言わなかったけど、顔には出たんだろう。慌てた様に顔の前で手を振った。
…それ、ガイジンにやったらアカンやつ。心の中で突っ込む自分の前で、その先輩は赤くなりながら視線を彷徨わせた。
「も、もちろんっ、それだけじゃ、無いよっ! 手ぇ繋いだりとか、…キス、とか…」
アンタと(以下略)
モジモジしながら上目遣いで見てくる先輩を黙ったまま真顔で見返すと、相手はぐっと黙り込んで俯いた。
そうする事1時間…なんて事は流石に無かったが、軽く1分は経っただろうか。
「な、何よ…」
ボソリと呟いて先輩が顔を上げる。
眉を逆立てたその顔は、真っ赤になっていた。
「もっとさ、言い方!ってあるじゃん⁈ 他に好きなコいるとかっ、部活頑張りたいからとかっっ!」
いや、何も言ってねぇし。
と言う間も無く、「もう、いい!」と吐き捨てると、ソイツ(もう先輩と呼ぶ気がしない)は走ってその場から離れていった。
「なんだ、あれ? ってカンジだったんだよな。意味わからんっつーか」
「進藤って…ヒトデナシだな」
「どこが?」
「いや、さ~、振るにしてももっと優しく…」
「してどうするんだ? 大体、何をもって好きだと言ってるのかもわかんねぇし」
「モテる奴はこれだから…。女子がクールとか、無口でカッコいいとか言ってんのが実はコレって…」
知るかよ、と肩を竦めた。
それ以来、呼び出される事がちょこちょこ増えたのだが、その度にただ黙ってるだけで向こうが勝手に逃げていくのだ。
もう好きにしてくれ、と言うのが本音だった。
告ってる間、全くこっちを見ないヤツも多いのだ。それで付き合ってどうなる? 顔が好きなら、立ってるだけでいいって事か?
容赦ねぇ…と桂馬が呟いた、その後ろをスミが通りがかった。
今日は味噌だったな…と思いながら視線を向けると、気付いたスミが、微かに口角を上げる。桂馬が、ん?と振り向いてスミの姿を確認した。
「…なるほど」
「? 何が?」
「いや、…ミヤマさんは別格なんだな~と思ってさ」
「幼なじみだからな」
真顔だったと思う。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「すっごいよね、お母さん、若っか~っっ」
手放しの賞賛にげんなりした。
息子からすれば、どう考えてもただの若作りとしか思えない。トシ考えろよと言った事もあるが、聞きゃしねぇ。流石に似合わねぇとまでは言わないが…後が怖いから。
「皆も言ってたよ~、あれ見慣れてりゃ、そりゃ、ちょっとやそっとじゃ靡かねえわーって。」
その言葉に更に脱力した。アレが俺の基準とか、マジ勘弁してくれ…
「つーか、お前は会ったことあっただろ?」
「えー、覚えてないよ。だってお母さん達って皆、帽子とか被ってて、顔よく見えなかったし。」
「ああ…」
言われてみれば、母親達の多くは、アームカバーだのサンバイザーだので完全防備した上で、試合観戦していたっけ?
ついでに言うとうちの母親も、キンシローの事を男だと思っていたようで、
「えっ、えーっ、そうなの?! キンシロー君…?」
と言って、キンシローを膝から崩れ落ちさせていた。
「すなおっちがまともに呼んでくれてたら、そんな事にはならなかったと思う。」
「お前が言うな。」
「えーっ」
「つーか、鍵。お前はもう戻れよ。」
「えー、いや、ついでに洗剤の新しいの取ってこーと思ってさ。さっき見たらどこ有るかわかんなくって。風間がすなおっちしかわかんないかもって言うから」
「ああ…そういやそうか…」
それなら仕方ないか、と、連れ立ってクラブハウス棟に向かう事にした。(ちなみに風間の下の名前はモリオでは無い)
母親を追い返した後、着替える為に部室の鍵を貰おうと、まずグラウンドへ向かった。
練習していた部長に声をかけると、何故かわらわらと部員が集まり、「彼女か?! 」と言われるに至って、寮に入れなかったヤツがグラウンドに来ていた事を知り、愕然としたのである。
本気で要らん事しかしねぇわ、アイツ…そう思いながら目を眇めた。
“先輩”、か…。
3ヶ月だ、まだ。あれからスミが劇的に何か変わったなんて事は無いだろう。あの鈍さは国宝級だ。
顎にかかるさらりとした黒髪と、抜ける様に白い首筋を思い出してため息を吐いた時だった。
「…シシュンキだねぇ」
「は?」
黙って隣を歩いていたキンシローから不意に言われて、一瞬意味がわからず間の抜けた声が出る。それを見たキンシローが、普段の様なふざけたカンジとは違う顔で笑った。
「いや、ほら、こんぐらいの男子って、結構おかーさんの事邪険にするじゃん?ウザいとか言ってさ」
「ああ…」
確かにウザい。顔に出たのか、キンシローがさらに笑った。
「すなおっちのタイプって、じゃあ、おかーさんとは正反対なんだ?」
「…タイプ…」
思わず黙り込むと、キンシローが眉を上げた。
「無いの? もしかしてあれ? イケメンあるあるで、人を好きになった事無いとか?」
好きに―――?
「…お前は、どうなんだ? 好きなヤツとか」
「えっ、あたし?! そ、そりゃ、いるよ?! 、もちろんっっ」
質問で返してやると、キンシローが赤くなってワタワタし始める。こういうカンジのコイツを見るのは初めてだった。
そうか、さすがのキンシローもシシュンキなんだな。
「それって、どうなんだ?」
「ど、どうって…?」
「好きなんだろ、ソイツの事。それって、どんなカンジなんだよ?」
ずいぶん抽象的だと思いながら聞くと、キンシローが視線を泳がせた。
「ど、うって言われると困るんだけど…。そ、ソイツの事考えると、もー、スゴいドキドキして、なんかスゴい大変なんだけど、でもスゴい顔見たくてたまんなくって…」
「…スゴい多すぎねぇ?」
「や、そんぐらいスゴいんだって! もう頭ん中ソイツでいっぱいんなるんだよ!」
「何か、それって面倒くね?」
「面倒く無いよ!」
そう言って、キンシローは拳を握りしめた。
「だって、楽しいもん! 会えたら嬉しいし、笑ってくれたら、もーそんだけでスゴい幸せな気分なれる!」
鼻息荒く捲し立てたキンシローは、ちょっと顔が赤くなってて、でも不思議とブサイクには見えなかった。
そんだけ“幸せ”を感じてるって事なんだろう―――そう思って。
「じゃあ、違うな…」
この気持ちは、多分。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる