80 / 84
2.Yellow star jasmine
27✳︎
しおりを挟む
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「え、進学コースにすんのか?あそこ、練習結構ハードなんじゃねぇの?」
「野球しに行くわけじゃねぇから。」
桂馬は何か言いたそうに口を開けて、閉めた。最近、こういう顔をよく見るような気がする。
12月に入ってから、桂馬が行ってる塾に通うようになった。「必要無くね?」と言われたが、とにかく家に居たくなかったのだ。
とはいえ、さすがに塾でも正月休み位はあるらしく、今年の授業は今日までだった。
「進藤、今日どうする?忘年会、駅前のカラオケボックスでやるけど。」
声をかけてきたのは他中のヤツだ。名前―――覚えてねぇけど。
隣の桂馬を見ると、知らん顔でテキストを読んでいる。まぁ、そうだろうな。
「何時?」と聞くと、桂馬が信じられないという顔をした。
自分の返事に満足そうな顔をしてヤツが教室を出て行くと、外からきゃあ―――という歓声が聞こえる。桂馬が眉を顰めて聞いた。
「…正気か?」
「いいや。」
真顔で言うなよ…と頭を抱えた桂馬を置いて塾を出た。
結局その後も気が変わる事はなく、成陵を受験する事で決まった。
電車で30分だから通えなくもなかったが、家を出て寮に入る。
そうやって、物理的にも離れてしまえば、胸の奥で渦巻いたままの何かをやり過ごせるかもしれない。
正直に言えば―――疲れていた。何もかもに。
「進藤君っ」
呼び掛けられて、はっとした。
声がした方を見ると、見覚えの無い女が下から覗き込んでいる。こっちの名前を知っているという事は、同じ塾の受講生なんだろう。
「大丈夫?気分悪い?」
トイレに行こうとして、部屋の外へ出たところだった。ドアに程近い場所で、立ち尽くしていたらしいと気付き、苦笑した。
なんとなく来てはみたものの、元々カラオケを歌って騒ぐタイプではないし、味の薄い飲み放題のドリンクはクソ不味かったから、直ぐに後悔した。
「いや、大丈夫。悪いけど、帰る。中のヤツに伝えといて。」
「え、じゃあ、あたしも…」
なんで?とは思いながらも、無視して店を出た。料金は先払いだったから、問題無いだろう。
繁華街にある店の外は、飲み屋帰りのサラリーマンらしきグループがたくさん歩いていた。
それらを躱すように歩いていると、
「待ってよっ」
もーっ、という声と共に、ガシッと腕を掴まれた。さっきの女だった。
「ね、こっち。人少ないから、歩きやすいよ?」
胸に抱え込むように腕にしがみついて、人通りのない道へと連れて行くと、腕をそのままで立ち止まり、また下から上目遣いに覗き込んで言った。
「ね、進藤君て、彼女いるの?」
不躾な質問に眉をひそめると、「あ、ゴメンね」と言いながらも、ますます腕を抱え込んできた。そもそも名前も(こっちは)知らないのに、なんでこんなべったりくっついてくるのか。
「受験生、て分かってるんだけど、でもやっぱり、後悔したくないっていうか…」
懇願するように見上げてくる顔に、何の感慨も抱けないまま目を眇める。腕を振り解こうと力を入れたことに気付いたのか、ますますしがみついてきた。
面倒だな…素直にそう思う。
彼女とか、彼氏とか。
そんな肩書きを付けただけで、一体何が変わるってんだ?
―――彼女とする時は気を付けてね。
つまり、お前は違うって、そう言う事かよ。なのに、なんで―――
しがみついている女の首の後ろを掴んで上向かせ、口を塞いだ。
舌を割り込ませて向こうの舌を掬い取り、反射的に吸い込んで、―――離した。
口の中の唾液を、飲み込む前にプッと吐き出し、唇に付いた脂を手の甲で拭う。
「…ひっど…」
抗議の声を無視して踵を返した。さっきの道に戻って足早に人波を通り抜ける。見かけた自販機で水のペットボトルを買って煽り、口を濯いで吐き出した。
「キモ…」
最悪の気分だった。
そもそも人の唾液なんて飲める訳がない。そう思うのに。
舌先に、痺れるような疼きを覚えて、手の平で口元を覆った。
あの日、スミは頑ななまでに、口を開こうとしなかった。
腹立たしくて、ジャンパースカートの肩ホックを乱暴に外し中のシャツをたくし上げる。剥き出しにした胸は細やかで、でも確かな膨らみの先端で柔らかく色付く場所にむしゃぶりついた。
忽ち立ち上がったそれを舌先で転がすとスミが甘く声を上げる。でもその口元をスミは腕を上げて塞いだ。
その手を取って唇に吸い付く。
「開けろ、スミ」
なのにスミは唇を引き結んだまま首を振る。
舌打ちしたい気分でスカートをまくり上げ、下着に手を突っ込んだ。中指を滑らせると背が跳ねる。それでも、歯を食いしばるから、こっちも意地になった。
指を更に奥へと滑らせると、柔らかな襞の隙間に指が沈み込む。瞬間、スミが喉の奥から声を出した。ここか。
更に指を押し込んで、ぐっと力を入れて掴んだ。
「っあ―――」
待ち構えていた瞬間だった。直ぐさま唇を覆い被せ、舌を割り込ませる。スミの舌を探して、ぐるりと口内で舌を廻らせた。
逃げられないように後ろ頭を掴み、更に深く探る。
そうしながら、さっき押し込んだ指を動かした。
唇よりも繊細な柔らかさと滑らかさが、圧力を持って指に吸い付いてくる。徐々に滑りを帯びてくるそこは、付け根まで指を押し込んでも、まだ先があるのがわかる。
指の腹を上向きにして、わざと擦りつけるようにしながら、指を上に引き上げると、スミの体がビクビクッと痙攣し。塞いだままの唇から、呻くような声が漏れた。
どうしたらいいのかを、本能的に悟って。そこからはもう無我夢中だった。
シャツを掴んで逃げようと捩る身体を抱きすくめ、身体ごと揺さぶりながら指を突き上げる。
指先なんて感じるはずもないのに、鼻先から抜ける甘い声に煽られて、ますます息が上がっていく。
もっと、もっと、もっと―――!!
「っ、あ、あぁ―――っっ」
不意にスミが身体を大きく震わせながら仰け反った。その瞬間、指先をキュウ―――と締め付けられて。
ゾクリ、と背筋が震えた。
身体を起こして指を抜き取ると、スミが短く息を吐いて身体を震わせる。ぬるりと滑るそれを口元に近づけながらスミを見下ろす。
以前に言われた事を思い出し、わざと見せつける様に咥えて舐めると、スミが息を呑んだ。
自然と上がった口角をそのままに、ゆっくりと顔を近付けてその唇を塞ぐ。
スミが、欲しかった。
でもそれは、こんなカタチではなかったはずなのに―――
「え、進学コースにすんのか?あそこ、練習結構ハードなんじゃねぇの?」
「野球しに行くわけじゃねぇから。」
桂馬は何か言いたそうに口を開けて、閉めた。最近、こういう顔をよく見るような気がする。
12月に入ってから、桂馬が行ってる塾に通うようになった。「必要無くね?」と言われたが、とにかく家に居たくなかったのだ。
とはいえ、さすがに塾でも正月休み位はあるらしく、今年の授業は今日までだった。
「進藤、今日どうする?忘年会、駅前のカラオケボックスでやるけど。」
声をかけてきたのは他中のヤツだ。名前―――覚えてねぇけど。
隣の桂馬を見ると、知らん顔でテキストを読んでいる。まぁ、そうだろうな。
「何時?」と聞くと、桂馬が信じられないという顔をした。
自分の返事に満足そうな顔をしてヤツが教室を出て行くと、外からきゃあ―――という歓声が聞こえる。桂馬が眉を顰めて聞いた。
「…正気か?」
「いいや。」
真顔で言うなよ…と頭を抱えた桂馬を置いて塾を出た。
結局その後も気が変わる事はなく、成陵を受験する事で決まった。
電車で30分だから通えなくもなかったが、家を出て寮に入る。
そうやって、物理的にも離れてしまえば、胸の奥で渦巻いたままの何かをやり過ごせるかもしれない。
正直に言えば―――疲れていた。何もかもに。
「進藤君っ」
呼び掛けられて、はっとした。
声がした方を見ると、見覚えの無い女が下から覗き込んでいる。こっちの名前を知っているという事は、同じ塾の受講生なんだろう。
「大丈夫?気分悪い?」
トイレに行こうとして、部屋の外へ出たところだった。ドアに程近い場所で、立ち尽くしていたらしいと気付き、苦笑した。
なんとなく来てはみたものの、元々カラオケを歌って騒ぐタイプではないし、味の薄い飲み放題のドリンクはクソ不味かったから、直ぐに後悔した。
「いや、大丈夫。悪いけど、帰る。中のヤツに伝えといて。」
「え、じゃあ、あたしも…」
なんで?とは思いながらも、無視して店を出た。料金は先払いだったから、問題無いだろう。
繁華街にある店の外は、飲み屋帰りのサラリーマンらしきグループがたくさん歩いていた。
それらを躱すように歩いていると、
「待ってよっ」
もーっ、という声と共に、ガシッと腕を掴まれた。さっきの女だった。
「ね、こっち。人少ないから、歩きやすいよ?」
胸に抱え込むように腕にしがみついて、人通りのない道へと連れて行くと、腕をそのままで立ち止まり、また下から上目遣いに覗き込んで言った。
「ね、進藤君て、彼女いるの?」
不躾な質問に眉をひそめると、「あ、ゴメンね」と言いながらも、ますます腕を抱え込んできた。そもそも名前も(こっちは)知らないのに、なんでこんなべったりくっついてくるのか。
「受験生、て分かってるんだけど、でもやっぱり、後悔したくないっていうか…」
懇願するように見上げてくる顔に、何の感慨も抱けないまま目を眇める。腕を振り解こうと力を入れたことに気付いたのか、ますますしがみついてきた。
面倒だな…素直にそう思う。
彼女とか、彼氏とか。
そんな肩書きを付けただけで、一体何が変わるってんだ?
―――彼女とする時は気を付けてね。
つまり、お前は違うって、そう言う事かよ。なのに、なんで―――
しがみついている女の首の後ろを掴んで上向かせ、口を塞いだ。
舌を割り込ませて向こうの舌を掬い取り、反射的に吸い込んで、―――離した。
口の中の唾液を、飲み込む前にプッと吐き出し、唇に付いた脂を手の甲で拭う。
「…ひっど…」
抗議の声を無視して踵を返した。さっきの道に戻って足早に人波を通り抜ける。見かけた自販機で水のペットボトルを買って煽り、口を濯いで吐き出した。
「キモ…」
最悪の気分だった。
そもそも人の唾液なんて飲める訳がない。そう思うのに。
舌先に、痺れるような疼きを覚えて、手の平で口元を覆った。
あの日、スミは頑ななまでに、口を開こうとしなかった。
腹立たしくて、ジャンパースカートの肩ホックを乱暴に外し中のシャツをたくし上げる。剥き出しにした胸は細やかで、でも確かな膨らみの先端で柔らかく色付く場所にむしゃぶりついた。
忽ち立ち上がったそれを舌先で転がすとスミが甘く声を上げる。でもその口元をスミは腕を上げて塞いだ。
その手を取って唇に吸い付く。
「開けろ、スミ」
なのにスミは唇を引き結んだまま首を振る。
舌打ちしたい気分でスカートをまくり上げ、下着に手を突っ込んだ。中指を滑らせると背が跳ねる。それでも、歯を食いしばるから、こっちも意地になった。
指を更に奥へと滑らせると、柔らかな襞の隙間に指が沈み込む。瞬間、スミが喉の奥から声を出した。ここか。
更に指を押し込んで、ぐっと力を入れて掴んだ。
「っあ―――」
待ち構えていた瞬間だった。直ぐさま唇を覆い被せ、舌を割り込ませる。スミの舌を探して、ぐるりと口内で舌を廻らせた。
逃げられないように後ろ頭を掴み、更に深く探る。
そうしながら、さっき押し込んだ指を動かした。
唇よりも繊細な柔らかさと滑らかさが、圧力を持って指に吸い付いてくる。徐々に滑りを帯びてくるそこは、付け根まで指を押し込んでも、まだ先があるのがわかる。
指の腹を上向きにして、わざと擦りつけるようにしながら、指を上に引き上げると、スミの体がビクビクッと痙攣し。塞いだままの唇から、呻くような声が漏れた。
どうしたらいいのかを、本能的に悟って。そこからはもう無我夢中だった。
シャツを掴んで逃げようと捩る身体を抱きすくめ、身体ごと揺さぶりながら指を突き上げる。
指先なんて感じるはずもないのに、鼻先から抜ける甘い声に煽られて、ますます息が上がっていく。
もっと、もっと、もっと―――!!
「っ、あ、あぁ―――っっ」
不意にスミが身体を大きく震わせながら仰け反った。その瞬間、指先をキュウ―――と締め付けられて。
ゾクリ、と背筋が震えた。
身体を起こして指を抜き取ると、スミが短く息を吐いて身体を震わせる。ぬるりと滑るそれを口元に近づけながらスミを見下ろす。
以前に言われた事を思い出し、わざと見せつける様に咥えて舐めると、スミが息を呑んだ。
自然と上がった口角をそのままに、ゆっくりと顔を近付けてその唇を塞ぐ。
スミが、欲しかった。
でもそれは、こんなカタチではなかったはずなのに―――
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる