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2.Yellow star jasmine
芒種②
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もう止めなよ。
いつまで面倒みるつもり?
ただの幼馴染なんだろ?
…少なくとも、向こうはそう言ってる
そう言ってやったら酷く傷付いた顔をするから、ちょっとだけ罪悪感を感じたけど、でも後悔はしてない。実際もう、解放されていいんじゃないかと思ったし。
けど、進藤が深山を見限るのは当然と言えるけど、逆に進藤を忘れて青春楽しむのはちょっと許せないと思うのは間違ってるだろうか?
なんて、思ってた時だった。
「ねぇ、君、一人?」
その日は塾で、隣町に行く為に駅前を歩いていた。
なーんか見た事ある顔が立ってるな…と思っていたら、目の前でサラリーマンにナンパされ始める。無視ればいいのに、返事を返しちゃったんだろう、グイグイ食いつかれてるのを見てため息を吐いた。
リーマンにナンパされてるとかどうなんだよと思いながら、柄にも無く声をかけたのは間違いなく進藤の影響だろう。昔の俺だったら絶対関わったりしなかった。だって、相手大人だし。
上手いこと撤退してくれたからいいものの、内心心臓バクバクで、そのせいかついミヤマサンにキツく当たってしまったんだけど。
「友達?」
「ナオのね。ケイマ君」
「だからその呼び方止めろって」
「名字知らないんだからしょうがないじゃん」
苛立った声で言い返されて、そこで初めて気が付いた。
彼女は俺の名前も知らない。
当然だ。小学校も違うし、同じクラスになった事も無い。
俺が進藤の友達ってだけで。
彼女が進藤の幼馴染ってだけ。
なのになんで俺…
「ケイマ…もしかして将棋の、“桂馬”?」
その言葉に、思わず顔を上げた。
顔立ちはそれほどでもない、でも纏っている空気がそうだと教えている、彼女の母親が僅かに口角を上げながら静かな声で話す。
「将棋?」
「駒にあるのよ。前にしか進めないし、ちょっと特殊な駒なんだけど」
「ふーん、よく知ってるね」
「カズ…お父さんが、好きだったからね。素直君に教えてたでしょ?まあ、まだ“崩し”しかしてなかったけど」
―――あ…
そうだ、あの時。
思わず上げた声に、二人が揃ってこっちを見た。
酷くいたたまれない気持ちになって、逃げよう、そう思ったのに。
「俺の名字は“瀬戸”だから」
無意識だった。
それだけ言い捨てて、足早にそこから離れる。
『うちの孫なぁ、将棋教えちゃろう言うたのに、全然きかんで、ホンマつまらんのよ。あんたが相手してくれるけぇ、まぁええけど』
じいちゃんの笑顔が蘇る。
俺だしって、心ん中でツッコミ入れるまでがワンセット。
そう言うと、進藤は笑った。
目と口だけで笑うとか、お前いくつだよ?
けど、嫌じゃなかった。進藤といるのは。
ぶっちゃけ、すげー楽だった。だから。
誰に何と言われようと、進藤は俺の大事な友達。
恥ずいから口じゃ言わんけど。
そして、深山はその進藤を振り回す、とんでもない女。
そのハズだった、のに。
『ええ駒なんでー?桂馬っちゅうのは。地味じゃけどな。』
じいちゃんはそう言って、俺の頭をわしゃわしゃしてた。
親に中学受験しろって言われて、勉強がしんどいって言ったら、やっぱり頭をわしゃわしゃした。
『要はお前がそこに行きたいんかどうかじゃろう?行きとうもないのに行ってもつまらんで?お前の人生なんじゃけぇ、よお考えんといけん。わしが味方んなっちゃるけぇ、両親とちゃんと話せにゃあな?』
大好きなじいちゃんだった。
そのじいちゃんが繋いだ縁だと思ってた。
「…なんだよ…」
進藤と俺を繋いだモノ。
それを進藤に教えたのは、深山の、父親だった。
なんだか酷く泣きたい気持ちになりながら、駅の改札を潜った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
電車を降りて直ぐに電話をかけると、ワンコールで進藤が出た。…待っとったんかい?
「あー…『マネージャーって、何だよ?』」
食い付きすげーな、おい。
結局まだケルベロス体質抜けてねえとか、どんだけだよ。
「神田がさ、野球部入ったんだけど。そん時にミヤマサンも誘われてマネージャーやる事になったみたいだよ。」
『…誘ったって、神がか?』
「いや、何か先輩?ミヤマサンに興味持ったみたいらしいよ。」
ミシ…と、何か音がしたのは気のせいか?
せっかく買ってもらったんだから大事にしろや。
「気になるんなら本人に聞いてみたら?幼馴染なんだろ?」
『―――』
沈黙にまた苦笑だ。
自分でも意地悪いとは思う。けどなぁ…
ついさっきの事を思い出す。
放課後見かけたジャージ姿に、思わず声をかけた。
何しろ彼女が引いていたカートには、大量のバットとボール。
野球以外に使い道がない(多分)それを見て、なんとも言えない気持ちになった。いやだって、進藤居ねーのになんでだよってなるじゃん?
「…マネ引き受けたんだ?」
「あー、うん…ちょっと、色々変えてみようかと」
―――ん?
そう言った深山の表情に、ちょっと違和感を覚える。
なんだろう…?
「…何か…」
「え?」
「あー、いや…何でも…」
自分でも訳わからん。
何だろう…何か…
無意識に後頭をガシガシやった、その時だった。
「ごめんね」
一瞬、言われた事がわからなくて、動きが止まった。
顔を上げると、深山が困ったように笑う。
「何か、ケ…瀬戸君?にも、色々迷惑かけちゃって…」
正直、困った。
かけられた、といえばそうかもしれない。
けど、俺が勝手に腹立ててたと言えばそうなんだよな…
「俺さぁ…」
「うん」
「アイツに、何てーの?恩?あんだよね」
「恩…」
「すげー感謝してんだ。ホント。だから、…見てらんねーっていうか」
そこまで言ったら、何か肩から力が抜けた。
下げてた視線を上げると、深山が真剣な顔でこっちを見てた。
だからかもしれない。
「アイツのこと、好きじゃねーの?」
ポロッと出た、としか言いようがない、直球もド直球に深山が一瞬目を見開くのを見て、すぐ後悔した。
いや、何聞いてんの、俺?
そんなん俺―――幼馴染の友達だけどぶっちゃけただの顔見知りに聞かれても…
「…好きだよ」
思いがけないド直球返しに、今度はこっちが呆気に取られた。
そんな俺を見て深山が笑う。
目と口だけで。
周りが思ってる以上に、こいつらは繋がってる。
なのに、なんで?
深山が視線を外した。
どこか遠くを見つめるその眼差しに、いつかの進藤を思い出した。
「だって、まだ中学生だったんだよ?」
それは、俺が言った言葉だった。
「なんかさ、感じ変わってたんだよね。ミヤマサン」
とりあえず通話切れてないから言ってみた。
こいつも気になってんだろうから。
なんてったってケルベロスだ。
「ずっと暗かったっていうか、入学してからこっち、あんま楽しそうじゃなかったんだけどさ。あ、別にストーカーとかしてないからね?」
そこは強調しとく…なんてったって(以下略)
「でも、今日見た感じ、何か吹っ切れたような?ちょっとスッキリした感じ?…わからんけど」
進藤は何も言わない。
俺の言葉をどう捉えるか、それはコイツ次第だし、俺に出来ることなんて無いに等しいんだ。それを去年から嫌というほど思い知らされてる。
でも、それでも、進藤には…大げさだけど、幸せになって欲しいんだよなぁ…
「まあ、せっかく高校生になったんだしね?新しい生活始めるってのもアリなんだろ」
そこまで言ったところで通話が切れた。
もしかしたら、これで進藤との縁も切れるかもしれない。そう思うとちょっとツライけど、さ。
―――だって、まだ…
それは間違いのない本音。
俺にとっても。
深山にとっても。
もちろん、進藤にとっても。
―――重くない? 人生かけるとか、どうかしてる。
そういった深山の顔が泣きそうに見えて。
そうか、と。
さすがに俺にもわかった。
うん、俺も重っ!て思ったし。
でも一応確認しとく。
―――つまり、アイツの為って事で、オッケー?
返事の代わりに、深山が微笑む。
それは、びっくりするぐらい、綺麗な笑顔だった。
いつまで面倒みるつもり?
ただの幼馴染なんだろ?
…少なくとも、向こうはそう言ってる
そう言ってやったら酷く傷付いた顔をするから、ちょっとだけ罪悪感を感じたけど、でも後悔はしてない。実際もう、解放されていいんじゃないかと思ったし。
けど、進藤が深山を見限るのは当然と言えるけど、逆に進藤を忘れて青春楽しむのはちょっと許せないと思うのは間違ってるだろうか?
なんて、思ってた時だった。
「ねぇ、君、一人?」
その日は塾で、隣町に行く為に駅前を歩いていた。
なーんか見た事ある顔が立ってるな…と思っていたら、目の前でサラリーマンにナンパされ始める。無視ればいいのに、返事を返しちゃったんだろう、グイグイ食いつかれてるのを見てため息を吐いた。
リーマンにナンパされてるとかどうなんだよと思いながら、柄にも無く声をかけたのは間違いなく進藤の影響だろう。昔の俺だったら絶対関わったりしなかった。だって、相手大人だし。
上手いこと撤退してくれたからいいものの、内心心臓バクバクで、そのせいかついミヤマサンにキツく当たってしまったんだけど。
「友達?」
「ナオのね。ケイマ君」
「だからその呼び方止めろって」
「名字知らないんだからしょうがないじゃん」
苛立った声で言い返されて、そこで初めて気が付いた。
彼女は俺の名前も知らない。
当然だ。小学校も違うし、同じクラスになった事も無い。
俺が進藤の友達ってだけで。
彼女が進藤の幼馴染ってだけ。
なのになんで俺…
「ケイマ…もしかして将棋の、“桂馬”?」
その言葉に、思わず顔を上げた。
顔立ちはそれほどでもない、でも纏っている空気がそうだと教えている、彼女の母親が僅かに口角を上げながら静かな声で話す。
「将棋?」
「駒にあるのよ。前にしか進めないし、ちょっと特殊な駒なんだけど」
「ふーん、よく知ってるね」
「カズ…お父さんが、好きだったからね。素直君に教えてたでしょ?まあ、まだ“崩し”しかしてなかったけど」
―――あ…
そうだ、あの時。
思わず上げた声に、二人が揃ってこっちを見た。
酷くいたたまれない気持ちになって、逃げよう、そう思ったのに。
「俺の名字は“瀬戸”だから」
無意識だった。
それだけ言い捨てて、足早にそこから離れる。
『うちの孫なぁ、将棋教えちゃろう言うたのに、全然きかんで、ホンマつまらんのよ。あんたが相手してくれるけぇ、まぁええけど』
じいちゃんの笑顔が蘇る。
俺だしって、心ん中でツッコミ入れるまでがワンセット。
そう言うと、進藤は笑った。
目と口だけで笑うとか、お前いくつだよ?
けど、嫌じゃなかった。進藤といるのは。
ぶっちゃけ、すげー楽だった。だから。
誰に何と言われようと、進藤は俺の大事な友達。
恥ずいから口じゃ言わんけど。
そして、深山はその進藤を振り回す、とんでもない女。
そのハズだった、のに。
『ええ駒なんでー?桂馬っちゅうのは。地味じゃけどな。』
じいちゃんはそう言って、俺の頭をわしゃわしゃしてた。
親に中学受験しろって言われて、勉強がしんどいって言ったら、やっぱり頭をわしゃわしゃした。
『要はお前がそこに行きたいんかどうかじゃろう?行きとうもないのに行ってもつまらんで?お前の人生なんじゃけぇ、よお考えんといけん。わしが味方んなっちゃるけぇ、両親とちゃんと話せにゃあな?』
大好きなじいちゃんだった。
そのじいちゃんが繋いだ縁だと思ってた。
「…なんだよ…」
進藤と俺を繋いだモノ。
それを進藤に教えたのは、深山の、父親だった。
なんだか酷く泣きたい気持ちになりながら、駅の改札を潜った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
電車を降りて直ぐに電話をかけると、ワンコールで進藤が出た。…待っとったんかい?
「あー…『マネージャーって、何だよ?』」
食い付きすげーな、おい。
結局まだケルベロス体質抜けてねえとか、どんだけだよ。
「神田がさ、野球部入ったんだけど。そん時にミヤマサンも誘われてマネージャーやる事になったみたいだよ。」
『…誘ったって、神がか?』
「いや、何か先輩?ミヤマサンに興味持ったみたいらしいよ。」
ミシ…と、何か音がしたのは気のせいか?
せっかく買ってもらったんだから大事にしろや。
「気になるんなら本人に聞いてみたら?幼馴染なんだろ?」
『―――』
沈黙にまた苦笑だ。
自分でも意地悪いとは思う。けどなぁ…
ついさっきの事を思い出す。
放課後見かけたジャージ姿に、思わず声をかけた。
何しろ彼女が引いていたカートには、大量のバットとボール。
野球以外に使い道がない(多分)それを見て、なんとも言えない気持ちになった。いやだって、進藤居ねーのになんでだよってなるじゃん?
「…マネ引き受けたんだ?」
「あー、うん…ちょっと、色々変えてみようかと」
―――ん?
そう言った深山の表情に、ちょっと違和感を覚える。
なんだろう…?
「…何か…」
「え?」
「あー、いや…何でも…」
自分でも訳わからん。
何だろう…何か…
無意識に後頭をガシガシやった、その時だった。
「ごめんね」
一瞬、言われた事がわからなくて、動きが止まった。
顔を上げると、深山が困ったように笑う。
「何か、ケ…瀬戸君?にも、色々迷惑かけちゃって…」
正直、困った。
かけられた、といえばそうかもしれない。
けど、俺が勝手に腹立ててたと言えばそうなんだよな…
「俺さぁ…」
「うん」
「アイツに、何てーの?恩?あんだよね」
「恩…」
「すげー感謝してんだ。ホント。だから、…見てらんねーっていうか」
そこまで言ったら、何か肩から力が抜けた。
下げてた視線を上げると、深山が真剣な顔でこっちを見てた。
だからかもしれない。
「アイツのこと、好きじゃねーの?」
ポロッと出た、としか言いようがない、直球もド直球に深山が一瞬目を見開くのを見て、すぐ後悔した。
いや、何聞いてんの、俺?
そんなん俺―――幼馴染の友達だけどぶっちゃけただの顔見知りに聞かれても…
「…好きだよ」
思いがけないド直球返しに、今度はこっちが呆気に取られた。
そんな俺を見て深山が笑う。
目と口だけで。
周りが思ってる以上に、こいつらは繋がってる。
なのに、なんで?
深山が視線を外した。
どこか遠くを見つめるその眼差しに、いつかの進藤を思い出した。
「だって、まだ中学生だったんだよ?」
それは、俺が言った言葉だった。
「なんかさ、感じ変わってたんだよね。ミヤマサン」
とりあえず通話切れてないから言ってみた。
こいつも気になってんだろうから。
なんてったってケルベロスだ。
「ずっと暗かったっていうか、入学してからこっち、あんま楽しそうじゃなかったんだけどさ。あ、別にストーカーとかしてないからね?」
そこは強調しとく…なんてったって(以下略)
「でも、今日見た感じ、何か吹っ切れたような?ちょっとスッキリした感じ?…わからんけど」
進藤は何も言わない。
俺の言葉をどう捉えるか、それはコイツ次第だし、俺に出来ることなんて無いに等しいんだ。それを去年から嫌というほど思い知らされてる。
でも、それでも、進藤には…大げさだけど、幸せになって欲しいんだよなぁ…
「まあ、せっかく高校生になったんだしね?新しい生活始めるってのもアリなんだろ」
そこまで言ったところで通話が切れた。
もしかしたら、これで進藤との縁も切れるかもしれない。そう思うとちょっとツライけど、さ。
―――だって、まだ…
それは間違いのない本音。
俺にとっても。
深山にとっても。
もちろん、進藤にとっても。
―――重くない? 人生かけるとか、どうかしてる。
そういった深山の顔が泣きそうに見えて。
そうか、と。
さすがに俺にもわかった。
うん、俺も重っ!て思ったし。
でも一応確認しとく。
―――つまり、アイツの為って事で、オッケー?
返事の代わりに、深山が微笑む。
それは、びっくりするぐらい、綺麗な笑顔だった。
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