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第13章 春、芽生えの季節に
第301話 登山家が登頂に成功しているでしょうか?
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大国セルベチアの国王を連れ出したあげく、女装させて悦に入っているトリアさん。
その傍若無人な振る舞いにメアリーさんは呆れていましたが…。
「あらー、その子がヴィクトリア様とご婚約されたセルベチアの王様ですか。
とても、愛らしい方ですね。」
「メアリー様、あまり固い事を言われなくてもよろしいではないですか。
その若さで国王などと言う重責を背負わされているのです。
たまには、国の方の目の届かないところで羽を伸ばしたいでしょう。」
「そうそう、私は大歓迎ですよ。
可愛い孫が遊びに来たみたいです。
是非とも懇意にして頂きたいものです。」
周りのご婦人方はあまり世間体など気にしないようで、可愛いシャルちゃんを歓迎している様子です。
私もこんなに可愛い孫が欲しかったなどと言う声がそこかしこから聞こえました。
シャルちゃん、どうやらここでも愛玩動物のように可愛がられることになりそうです。
********
で、翌朝のことです。
「あら、今日はこの白馬が引く馬車でお出掛けなの?
私達を二人ずつ分けて、午前と午後、一組ずつ案内してくださるというけど。
少人数でしか行けない場所に連れて行ってくれるのかしら。」
もう一人のご婦人を伴ってヴァイスの引く馬車の前までやって来たメアリーさんが尋ねて来ました。
「いえ、この馬車でしか行けない特別な場所にご案内しようと思うのですが。
皆さんに車窓の風景を楽しんで頂くため、四人で使いたいと思っています。
ご案内させて頂く私の他に、間を持たせるためにメアリーさんにはずっと乗って頂きたいのです。
すると、あと二人しか乗れませんので、二人ずつ組みになって頂いたのです。」
流石に、私も知らないご婦人方と何時間も一緒の馬車に乗っていては間が持ちません。
メアリーさんに、五日間ずっとお付き合い願おうと思います。
「あら、嬉しい。
この馬車でしか行けないところへ連れて行って頂けるなんて、みんな喜ぶわ。
私だけ何度も乗せてもらえるなんて、役得ね。」
メアリーさんは、私の言葉を聞いて当然どこに行くかわかったようです。
もう一人のご婦人を伴って、嬉々として馬車に乗り込みました。
「では、出発します。
これから、お二方には他では見ることができない素晴らしい景色を堪能して頂きたいと思います。
言うまでもございませんが、これは特別なサービスなので、他言無用にお願いします。」
私がそう言うと馬車はゆっくりと走り始めます。
「あら、この馬車、御者がいない様な気がするのですが…。
勝手に走ってしまっているのでなくて。」
メアリーさんの隣に座るご婦人が慌てた声を出しますが。
「まあまあ、ちょっと落ち着きなさい。
平気よ、あの白馬ったら、とってもお利口さんなのよ。
全然危ない事は無いから、安心しなさい。」
「は、はぁ?」
穏やかな表情のメアリーさんが宥めますが、ご婦人は納得がいかない様子です。
ですよね、幾ら馬が利口だと言っても勝手に動き出せば普通は焦ります。危ないですもの。
そんな、対照的な表情の二人を乗せた馬車はやおら天に舞い上がりました。
「えっ、何か今、浮いたような気がするのですが…。」
そう言って、ご婦人は車窓にかじりつくようにして外を見ました。
そして、
「ええええぇ、この馬車、空を飛んでいます。
それに、あの白馬、翼が生えていますよ。」
驚愕の声を上げました、ご年配の方には珍しい大きな声で。
「はい、実はあの白馬、ヴァイスと申しましてペガサスなのです。
あいにく、あの一頭しかおりませんので、こうしてお二人ずつのご案内になります。
お二方にはこれから約三時間、風光明媚なアルム地方の景色を空から眺めて頂きます。
繰り返しますが、メアリーさんのグループだけの特別なおもてなしになります。」
「そうよ、シャルロッテちゃんが特別に私達だけを乗せてくれるのだから、誰にもしゃべっちゃダメよ。
たとえ、子供や孫にでもね。」
私が今日のスケジュールを簡単に説明すると、メアリーさんがもう一人のご婦人にそう念押ししてくださいました。
「そうですね。
この事が広く知られてしまったら、シャルロッテちゃんのところに人が押し掛けてしまいますものね。
絶対に他言しませんわ。アルム地方の景色が素晴らしかったとだけ広めることにします。」
ご婦人は車窓の風景を眺めながら、他言無用という事を納得した様子でした。
そして、ヴァイスの引く馬車は最初の目的地に着地しました。
「さすがに、これは予想外でしたわ。
まさか、こんな所で休憩をとるなんて思いもしませんでした。
登山家と言われる人ならともかく、一般人でここに立った人など私達以外にはいないのではなくて。」
夏でもなお雪が残る中、メアリーさんが眼下に広がる景色を眺めながら言います。
眼下に広がるのは、シューネ湖とそれを取りまく盆地の風景、反対側を振り返ると遠くロマリア半島まで見渡せます。
そう、ここはアルム山脈の峰々の一つの山頂です。
残念ながら、最高峰という訳には参りませんでした。
馬車を安全に止められ、人が降りても危なくない広さの平坦な場所がないといけませんので。
今日のため、予め峰々を回って馬車が降りられそうな山を見繕ったのです。
水の精霊クシィに協力してもらい、馬車が着地して人が歩き回れるだけの平坦な場所を除雪もしてもらいました。
クシィとはアリィシャちゃんの契約精霊の一人です。
私の契約する水の精霊アクアちゃんはノノちゃん達に付いて行ってもらいましたから。
そこだけ雪がないという不自然な状況ではありますが、おかげで年配のご婦人でも安心して山頂付近に立てます。
「凄いわ、雲一つないから、はるか遠くまで見渡せる。
あっちがロマリア半島で、こっち側がクラーシュバルツなのね。
眼下に広がるシューネ湖が青く光ってとってもきれいだわ。」
メアリーさんが感嘆の声を上げます。
もう一方のご婦人は感動の余り声も出ないようです。無言で眼下の景色に見入ってました。
因みに、雲一つないのは仕込みです。
アリィシャちゃんの契約している風の精霊リアに頼んで、このツアーの間、一帯の雲を払ってもらっているのです。
アルム山脈は晴れている日でも、だいたい何処かに雲がかかっていて、雲一つない日など稀ですから。
今回のご婦人たちに対するおもてなしは、本当に特別なのです。
その後は、渓谷に沿って山をくだり、シューネ湖の畔に出ます。
そして、シューネ湖の周りに残る古城や緩やかな斜面の牧草地に放牧された牛たち、そういった見所をご案内しました。
そして、空の旅の最後は、シューネ湖畔で一番大きな町シューネフルトです。
「この町は、空から眺めてもおわかりのように、古い街並みがとても良く残されています。
みなさんを空の旅にお連れした後は、この町の美しい街並みをゆっくりとご探訪いただこうかと予定しています。
『流浪の民』の一座が来ているのもこの町ですし。
また、この町は古いだけではなく、世界中でまだここにしかない最新のモノもございますのでご期待ください。」
「小さくてかわいい町ね。
あの川に架かる橋がとっても珍しいわ、橋に屋根が掛かっているなんて初めて見たわ。
面白そうなものが色々とある様子ですし、町を探訪するのが楽しみですわ。」
私の説明を聞いたメアリーさんは興味津々で、シューネフルトの町を眺めていました。
これで、おおよそ三時間、近辺の見どころは押さえたつもりです。
アルムハイムの館に帰り着く直前、もう一人のご婦人が言いました。
「メアリー様、他言無用はもちろんですが。
まだこの馬車に乗っていない方々にも、この小旅行の事は内緒にすることにしませんか。
空を飛ぶことととか、アルムの峰の山頂に立つこととか、事前に知らされない方が驚くし、楽しめると思います。」
「それ、良いわね。
後から乗る人に尋ねられたら、乗ってのお楽しみと答えるように申しあわせましょう。
幸い、私は毎回同行しますので、みなさんにそう口止めするわ。」
という事で、全員で新鮮な驚きを共有する事にしたようです。
それから五日間、午前、午後一回ずつ、十組に分けたご婦人方をご案内することになりました。
このご婦人方、結束が固いのか、メアリーさんの言葉が重いのか、それはわかりませんが。
最初に乗ったご婦人とメアリーさんが示し合わせた通り、まだ乗っていない方には空の旅の事を一切漏らしませんでした。
そのおかげで、ヴァイスの引く馬車に乗った時は、みなさんが、空を飛ぶことに驚き、とても喜んでくださいました。
********
五日後、全員が空の旅を終えて、仲間内でその話題をする事が解禁されました。
リビングで皆が口を揃えて、空の旅が素晴らしかったと言ってくださったのですが…。
「ロッテや、私はアルム山脈の頂には立っておらんぞ。
良いのう、羨ましいのう、ロマリア半島か、一度見てみたいものだ。」
ご婦人方から空の旅の事を聞かされたおじいさまが、私に向かい物欲しげに言います。
そう言えば、以前おじいさまをご案内した時は春まだ浅く、アルム山脈の山頂付近には近付けませんでした。
たしかに、あの絶景は一度おじいさまにもお見せしたいと思います。
すると、私の耳元で声がします。
「ロッテさん、もちろん、私とシャルちゃんもご案内頂けるのですよね。」
ふと横を見るとそこには。
暗に「連れて行ってくれないと許しませんよ。」という目で私を見詰めて、トリアさんが立っていました。
「はい、はい、もちろん皆さんもご案内しますよ。」
結局、おじいさま、トリアさん、シャルちゃん、そしてフランシーヌさんを同じコースに案内する事になりました。
そして、ご婦人方を迎えた七日後の夕刻。
「シャルロッテ様、六家族二十四名のお客様を無事にアルビオン王国よりご案内いたしました。」
私の目の前には、そう報告したナンシーさんとノノちゃんが立っています。
ナンシーさんは見るからにゲッソリとして、とても疲れた様子が見受けられますが。
それとは対照的に、お客様のお子さんらしき小さな子供を両腕にぶら下げたノノちゃんはとても楽し気でした。
いったい、何があったのでしょうか…。
ともあれ、お客様の第二陣が到着しました。さあ、第二ラウンド、開始です。
その傍若無人な振る舞いにメアリーさんは呆れていましたが…。
「あらー、その子がヴィクトリア様とご婚約されたセルベチアの王様ですか。
とても、愛らしい方ですね。」
「メアリー様、あまり固い事を言われなくてもよろしいではないですか。
その若さで国王などと言う重責を背負わされているのです。
たまには、国の方の目の届かないところで羽を伸ばしたいでしょう。」
「そうそう、私は大歓迎ですよ。
可愛い孫が遊びに来たみたいです。
是非とも懇意にして頂きたいものです。」
周りのご婦人方はあまり世間体など気にしないようで、可愛いシャルちゃんを歓迎している様子です。
私もこんなに可愛い孫が欲しかったなどと言う声がそこかしこから聞こえました。
シャルちゃん、どうやらここでも愛玩動物のように可愛がられることになりそうです。
********
で、翌朝のことです。
「あら、今日はこの白馬が引く馬車でお出掛けなの?
私達を二人ずつ分けて、午前と午後、一組ずつ案内してくださるというけど。
少人数でしか行けない場所に連れて行ってくれるのかしら。」
もう一人のご婦人を伴ってヴァイスの引く馬車の前までやって来たメアリーさんが尋ねて来ました。
「いえ、この馬車でしか行けない特別な場所にご案内しようと思うのですが。
皆さんに車窓の風景を楽しんで頂くため、四人で使いたいと思っています。
ご案内させて頂く私の他に、間を持たせるためにメアリーさんにはずっと乗って頂きたいのです。
すると、あと二人しか乗れませんので、二人ずつ組みになって頂いたのです。」
流石に、私も知らないご婦人方と何時間も一緒の馬車に乗っていては間が持ちません。
メアリーさんに、五日間ずっとお付き合い願おうと思います。
「あら、嬉しい。
この馬車でしか行けないところへ連れて行って頂けるなんて、みんな喜ぶわ。
私だけ何度も乗せてもらえるなんて、役得ね。」
メアリーさんは、私の言葉を聞いて当然どこに行くかわかったようです。
もう一人のご婦人を伴って、嬉々として馬車に乗り込みました。
「では、出発します。
これから、お二方には他では見ることができない素晴らしい景色を堪能して頂きたいと思います。
言うまでもございませんが、これは特別なサービスなので、他言無用にお願いします。」
私がそう言うと馬車はゆっくりと走り始めます。
「あら、この馬車、御者がいない様な気がするのですが…。
勝手に走ってしまっているのでなくて。」
メアリーさんの隣に座るご婦人が慌てた声を出しますが。
「まあまあ、ちょっと落ち着きなさい。
平気よ、あの白馬ったら、とってもお利口さんなのよ。
全然危ない事は無いから、安心しなさい。」
「は、はぁ?」
穏やかな表情のメアリーさんが宥めますが、ご婦人は納得がいかない様子です。
ですよね、幾ら馬が利口だと言っても勝手に動き出せば普通は焦ります。危ないですもの。
そんな、対照的な表情の二人を乗せた馬車はやおら天に舞い上がりました。
「えっ、何か今、浮いたような気がするのですが…。」
そう言って、ご婦人は車窓にかじりつくようにして外を見ました。
そして、
「ええええぇ、この馬車、空を飛んでいます。
それに、あの白馬、翼が生えていますよ。」
驚愕の声を上げました、ご年配の方には珍しい大きな声で。
「はい、実はあの白馬、ヴァイスと申しましてペガサスなのです。
あいにく、あの一頭しかおりませんので、こうしてお二人ずつのご案内になります。
お二方にはこれから約三時間、風光明媚なアルム地方の景色を空から眺めて頂きます。
繰り返しますが、メアリーさんのグループだけの特別なおもてなしになります。」
「そうよ、シャルロッテちゃんが特別に私達だけを乗せてくれるのだから、誰にもしゃべっちゃダメよ。
たとえ、子供や孫にでもね。」
私が今日のスケジュールを簡単に説明すると、メアリーさんがもう一人のご婦人にそう念押ししてくださいました。
「そうですね。
この事が広く知られてしまったら、シャルロッテちゃんのところに人が押し掛けてしまいますものね。
絶対に他言しませんわ。アルム地方の景色が素晴らしかったとだけ広めることにします。」
ご婦人は車窓の風景を眺めながら、他言無用という事を納得した様子でした。
そして、ヴァイスの引く馬車は最初の目的地に着地しました。
「さすがに、これは予想外でしたわ。
まさか、こんな所で休憩をとるなんて思いもしませんでした。
登山家と言われる人ならともかく、一般人でここに立った人など私達以外にはいないのではなくて。」
夏でもなお雪が残る中、メアリーさんが眼下に広がる景色を眺めながら言います。
眼下に広がるのは、シューネ湖とそれを取りまく盆地の風景、反対側を振り返ると遠くロマリア半島まで見渡せます。
そう、ここはアルム山脈の峰々の一つの山頂です。
残念ながら、最高峰という訳には参りませんでした。
馬車を安全に止められ、人が降りても危なくない広さの平坦な場所がないといけませんので。
今日のため、予め峰々を回って馬車が降りられそうな山を見繕ったのです。
水の精霊クシィに協力してもらい、馬車が着地して人が歩き回れるだけの平坦な場所を除雪もしてもらいました。
クシィとはアリィシャちゃんの契約精霊の一人です。
私の契約する水の精霊アクアちゃんはノノちゃん達に付いて行ってもらいましたから。
そこだけ雪がないという不自然な状況ではありますが、おかげで年配のご婦人でも安心して山頂付近に立てます。
「凄いわ、雲一つないから、はるか遠くまで見渡せる。
あっちがロマリア半島で、こっち側がクラーシュバルツなのね。
眼下に広がるシューネ湖が青く光ってとってもきれいだわ。」
メアリーさんが感嘆の声を上げます。
もう一方のご婦人は感動の余り声も出ないようです。無言で眼下の景色に見入ってました。
因みに、雲一つないのは仕込みです。
アリィシャちゃんの契約している風の精霊リアに頼んで、このツアーの間、一帯の雲を払ってもらっているのです。
アルム山脈は晴れている日でも、だいたい何処かに雲がかかっていて、雲一つない日など稀ですから。
今回のご婦人たちに対するおもてなしは、本当に特別なのです。
その後は、渓谷に沿って山をくだり、シューネ湖の畔に出ます。
そして、シューネ湖の周りに残る古城や緩やかな斜面の牧草地に放牧された牛たち、そういった見所をご案内しました。
そして、空の旅の最後は、シューネ湖畔で一番大きな町シューネフルトです。
「この町は、空から眺めてもおわかりのように、古い街並みがとても良く残されています。
みなさんを空の旅にお連れした後は、この町の美しい街並みをゆっくりとご探訪いただこうかと予定しています。
『流浪の民』の一座が来ているのもこの町ですし。
また、この町は古いだけではなく、世界中でまだここにしかない最新のモノもございますのでご期待ください。」
「小さくてかわいい町ね。
あの川に架かる橋がとっても珍しいわ、橋に屋根が掛かっているなんて初めて見たわ。
面白そうなものが色々とある様子ですし、町を探訪するのが楽しみですわ。」
私の説明を聞いたメアリーさんは興味津々で、シューネフルトの町を眺めていました。
これで、おおよそ三時間、近辺の見どころは押さえたつもりです。
アルムハイムの館に帰り着く直前、もう一人のご婦人が言いました。
「メアリー様、他言無用はもちろんですが。
まだこの馬車に乗っていない方々にも、この小旅行の事は内緒にすることにしませんか。
空を飛ぶことととか、アルムの峰の山頂に立つこととか、事前に知らされない方が驚くし、楽しめると思います。」
「それ、良いわね。
後から乗る人に尋ねられたら、乗ってのお楽しみと答えるように申しあわせましょう。
幸い、私は毎回同行しますので、みなさんにそう口止めするわ。」
という事で、全員で新鮮な驚きを共有する事にしたようです。
それから五日間、午前、午後一回ずつ、十組に分けたご婦人方をご案内することになりました。
このご婦人方、結束が固いのか、メアリーさんの言葉が重いのか、それはわかりませんが。
最初に乗ったご婦人とメアリーさんが示し合わせた通り、まだ乗っていない方には空の旅の事を一切漏らしませんでした。
そのおかげで、ヴァイスの引く馬車に乗った時は、みなさんが、空を飛ぶことに驚き、とても喜んでくださいました。
********
五日後、全員が空の旅を終えて、仲間内でその話題をする事が解禁されました。
リビングで皆が口を揃えて、空の旅が素晴らしかったと言ってくださったのですが…。
「ロッテや、私はアルム山脈の頂には立っておらんぞ。
良いのう、羨ましいのう、ロマリア半島か、一度見てみたいものだ。」
ご婦人方から空の旅の事を聞かされたおじいさまが、私に向かい物欲しげに言います。
そう言えば、以前おじいさまをご案内した時は春まだ浅く、アルム山脈の山頂付近には近付けませんでした。
たしかに、あの絶景は一度おじいさまにもお見せしたいと思います。
すると、私の耳元で声がします。
「ロッテさん、もちろん、私とシャルちゃんもご案内頂けるのですよね。」
ふと横を見るとそこには。
暗に「連れて行ってくれないと許しませんよ。」という目で私を見詰めて、トリアさんが立っていました。
「はい、はい、もちろん皆さんもご案内しますよ。」
結局、おじいさま、トリアさん、シャルちゃん、そしてフランシーヌさんを同じコースに案内する事になりました。
そして、ご婦人方を迎えた七日後の夕刻。
「シャルロッテ様、六家族二十四名のお客様を無事にアルビオン王国よりご案内いたしました。」
私の目の前には、そう報告したナンシーさんとノノちゃんが立っています。
ナンシーさんは見るからにゲッソリとして、とても疲れた様子が見受けられますが。
それとは対照的に、お客様のお子さんらしき小さな子供を両腕にぶら下げたノノちゃんはとても楽し気でした。
いったい、何があったのでしょうか…。
ともあれ、お客様の第二陣が到着しました。さあ、第二ラウンド、開始です。
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