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第18章 冬、繫栄する島国で遭遇したのは
第498話 後片付けも私の仕事です
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まあ、私は経済学なんて興味は無いから、メルクさん達の事は放置で良いでしょう。
それよりも、私は後片付けをしないといけませんからね。
私は、アルビオン王国の王都、その中でも猥雑な雰囲気が漂う繁華街に来ています。
とても、不快なにおいが漂い、一時たりとも留まりたいとは思わないのですが。
これも事後処理のためで、仕方が無いのです。
私の目の前に立つ薄汚い雑居ビル、その地下に革命運動を煽動するならず者共のアジトがあるそうです。
後片付けをするために、メルクさんからならず者共の潜伏場所を全て聞いておいたのです。
すっかりノノちゃんの薫陶を受けたメルクスさん。
帝都大学の教授のポストを得る頃には、きっぱりと革命運動から足を洗うことを決めていました。
ですが、革命家を名乗るならず者たちは、裏切り者を許しません。
真っ当な道に戻ろうとする人を『転向者』と蔑み、粛清の対象とするのです。
本当に質が悪いですね、一度関わると更生するのを妨害するのですから。
メルクスさんも、それを心配していたので愚か者共の潜伏先を洗い浚い教えてくれたのです。
革命家を自称するならず者たちは、潜伏先のことをアジトなどと聞きなれない言葉で呼んでましたが。
語源を聞いて、言い得て妙なので笑ってしまいました。
アジトとは『アジテート(煽動)・ポイント(拠点)』の略称だそうで、民衆を煽るために存在する場所のようです。
要は、おためごかしを言っておいて、民衆を煽る対象としか見ていないのですね。
それはともかく、今日、このアジトにメルクスさんと組んで革命運動を主導している人物が滞在しているそうなのです。
家計に占める食費の割合みたいな名前のこの人物、普段はプルーシャ公国にいるのですが。
今度、この王都で労働者を集めた大決起集会を開くためにやって来たそうです。
何でも、『起て!万国の労働者』というメルクスさんの口癖をスローガンに労働者の国際的な団結を図るそうです。
支配階級と暴力による対決も辞さないのですって、なんですかその迷惑な団体は。
ですが、決起集会には、労働者や農民を煽動しているならず者の幹部が勢揃いするそうで。
私は、ならず者たちを一網打尽にする千載一遇のチャンスと踏んだのです。
薄汚い雑居ビルの暗い階段を降りた先にある扉の向こうで声がしました。
「おい、メルクスの野郎、何処へ行きやがった。
王都から出た様子は無いのに、何処にも見当たらないのだ。」
最初に聞こえたのは、そんな怒鳴り声でした。
扉を挟んでも大きな声で聞こえるので、そうとう苛立っているようです。
「へえ、それがここ数日、家に帰っていないようなのです。
例によって、大図書館で書き物をしているところは監視していたんですが…。
最近、妙ちくりんな小娘と一緒にいる事が増えたと思ったら。
トレードマークだと言って自慢していたむさ苦しいヒゲを剃っちまいまして。
遠目には、奴のことが判別付き難くなっちまいました。
あんまり、近寄るとこっちが監視していることに気付かれちまいますんで。
遠巻きに監視していたら、いつの間にか消えていて。
このところ、大図書館にも姿を現さないんでさぁ。」
「何、あのヒゲを剃っちまっただって。
バカ野郎、あのヒゲが如何にも革命家って雰囲気で、バカな民衆を煽るのに良いんじゃねえか。
あの偏屈野郎、他人を煙に巻くような小難しいことを言って、バカ共を煽るのは巧いからな。
これからも、俺達の利益のために、どんどん働いてもらわねえといけねえんだ。
あいつはおだてておけば幾らでもこっちの手のひらの上で踊ってくれるからな。
しかも、口だけじゃなくて、民衆を煽るような文を書くのも巧いから。
革命の思想的指導者として祭り上げるのはちょうど良いんだ。
革命が上手く言ったら、さっさと退場願うつもりだが…。
今いなくなられたら困るんだよ。」
どうやら、この勝手な事を言っている声の主が、メルクスさんの相方のようです。
**********
私はノックもせずに、その扉を開き中に入りました。
鍵は壊れているようです、不用心ですね。
「こんばんは。
お話をするのであれば、もう少し声を潜めた方が良いですよ。
外まで声が筒抜けでしたよ。
ここ、一応、潜伏場所なのでしょう。」
「誰だ、貴様は!
こんな所に、女一人で入ってくるとは怪しい奴め!」
声が大きいですよと注意すると、部屋にいた二人の男の一人からそんな言葉が返ってきました。
いえ、怪しいのはこんな所に潜んでいるあなた達ですから。
「あら、失礼。
私は、シャルロッテ・フォン・アルムハイム。
アルムハイム公国で大公をしていますの。」
「嘘も、休み休み言え。
お偉い大公様が、護衛も付けずにこんな歓楽街に来る訳なかろうが。」
おや、至極真っ当な言葉が返って来ました。
確かに普通大公の身分の方はこんなことはしませんよね、でも私はなんちゃってですから。
「仕方ないのですよ。
私、あなたに用があって来たものですから。
あっ、あなた方が探しているメルクスさんですが、もうこの町にはいませんよ。
メルクスさんは、先日アスターライヒ王国にある帝都大学の教授に就任しましたので。」
「アスターライヒの帝都大学だ?
バカ言え、メルクスは一週間前まで王都にいたんだぞ。
アスターライヒまではどんなに急いでも十日は掛かるだろうが。」
「信じなければ、信じないでも結構です。
でも、私、メルクスさんからあなたがここにいると伺ってやって来たのですよ。
一応、ここ、秘密の隠れ家なのでしょう。」
一々、こんなならず者に説明している暇はありません。
「ちくしょう、メルクスの野郎、転向しやがったのか。
さては、権力者の狗になって俺達を売ったな。
あいつは民衆の敵として粛清してやらないといかんみたいだな。」
「民衆の敵はあなた方でしょう。
できもしない、『協産主義』などと言うものを声高に叫んで。
自分達が王になり代わって、『民衆』の『王』になろうとしているだけではないですか。
扇動された民衆が可哀想です。
聞こえましたよ、『バカな民衆』と大きな声で言っているのを。」
思わずツッコんじゃいましたよ、民衆の敵はどっちだって。
「何だと、我々を愚弄するのか。
我々は、権力者に虐げられた、労働者の国を打ち立てようとする志士の集まり。
万国の労働者が一致団結して、古い体制を打ち破り労働者が支配する国を築くのだ。」
「えええええ、そんなの無理ですよ。
だって、世界一の先進国と言われるこの国だって識字率三割程度なのですよ。
労働者階級に至っては一割程度です。
そんな労働者が国を樹立してどうやって国を治めるのですか?
法を定めるのには文章を書けないといけないんですよ。
法を守るのには、文章が読めないといけないんですよ。
結局、知識階級のあなた方『協産党』党員の好き勝手が出来るじゃないですか。
しかも、都合が良いことに、一党独裁で他の政党を容認しないのでしょう。
結局、民衆を『バカな民衆』などと見下す、『協産党』の独裁国家が出来るだけ。
それを考えるとゾッとしますわ。」
私が目の前にいる自称労働者の味方のならず者に指摘すると。
「何を抜かすか。
無知蒙昧な労働者、無知蒙昧な民衆を正しく導くのが我々『協産党』の役割ではないか。
無知蒙昧な労働者たちが、ほかの雑音に惑わされることが無いように他の政党を認めないのは当然ではないか。」
正しく導くって、それ洗脳ですよね。
「ええと、私、別にあなたと議論しに来た訳では無いのです。
あなた、プルーシャ公国で手広く事業を営んでいるのですよね。
ですから、あなたを真の労働者の味方にして差し上げようと思って参りました。」
「小娘、おまえ、何を言っているのだ。」
『これから、私の命じることに従いないなさい。たとえ、死んでもです。』
この力を使うのは夏にプルーシャ王に使って以来ですか。
あまり使いたくないのですが、『言霊』の魔法。
他人の意思を強制的に曲げるのは、余り気分が良いものではありません。
「何を藪から棒に言い出すかと思えば。
なんで、俺が小娘の命令など聞かねばならないのだ。」
そんなことを言っていますが、無視して私は続けました。
『今日以降、あなたの事業から生み出される利益は事業の継続に必要な再投資に充てる分を除いて、全てあなたが雇用する労働者に配分しなさい。
あなた及び他の出資者が、給与、報酬、配当などいかなる名目を以てしてもあなたの事業から受取る金品はゼロにすることを命じます。」
「バカなことを言うんじゃねえ、それじゃ商売をしている意味がねえじゃねえか。
資本家って言うのは、労働者から搾取してなんぼだろうが。」
メルクスさんの相方が醜悪な顔をして言いました。何が労働者の味方ですか、それが本音じゃないですか。
結局、この人の財産は全て慈善活動に使うことや革命運動から手を引くこと。
更には、今までの出版物やビラ等が偏見に満ちた誤りであることを認め、主要な新聞に謝罪広告を入れることを命じました。
もちろん、私財を叩いてそれらの出版物を回収することも命じましたとも。
終始悪態をついていましたが、そのうち、私の言うことに逆らえないことに気付いた様子でした。
最後は、項垂れてしまいました。
そして、
『今すぐここを出て、港に行きなさい。そして、一番早くプルーシャ公国に着く船に乗るのです。
貨物船でも何でも、とにかく一番早く着く船です。
そして、私の命じたことをすぐに実行するのです。
繰り返し命じます。今後一切、人々を煽動することを禁じます。革命運動に関わることを禁じます。』
そう命じたとたん、足早に部屋を出て行きました。ちゃんと魔法は聞いているようですね。
**********
ちなみに、もう一人の男ですが、この王都でさっきの男の連絡員をしていたようです。
この部屋の中にある隠し金庫の場所を吐かせた後、眠らせておきました。
メルクスさんの相方が去った後で、部屋にあったロープで拘束しておきました。
後で、官憲に引き取ってもらわないといけませんね。
もちろん、隠し金庫の中のお金は全て頂戴しましたよ。
こんな連中に持たせておくと、ロクな事に使いませんから。
けっこうな金額があったので、何処から調達したのか問い質したところ。
こいつらが扇動してる労働者から、カンパと言う名目で巻き上げたモノらしいです。
カンパなどとは聞きなれない言葉ですが、アジトと同じでならず者共が使っているムラ言葉のようです。
革命のための活動資金の寄付を募るモノだそうですが、実態は強制的に巻き上げたようです。
ともあれ、労働者を欺いて労働者の王となろうとした愚か者は、真の労働者の味方になったのです。
きっと、慈善活動に生涯を捧げた人として、後世に名を残すことになるでしょう。
なんて言いましたっけ、家計に占める食費の割合みたいな名前の人。
さてと、次に参りますか。
こちらの行動が気付かれる前にやってしまわないといけません。
それよりも、私は後片付けをしないといけませんからね。
私は、アルビオン王国の王都、その中でも猥雑な雰囲気が漂う繁華街に来ています。
とても、不快なにおいが漂い、一時たりとも留まりたいとは思わないのですが。
これも事後処理のためで、仕方が無いのです。
私の目の前に立つ薄汚い雑居ビル、その地下に革命運動を煽動するならず者共のアジトがあるそうです。
後片付けをするために、メルクさんからならず者共の潜伏場所を全て聞いておいたのです。
すっかりノノちゃんの薫陶を受けたメルクスさん。
帝都大学の教授のポストを得る頃には、きっぱりと革命運動から足を洗うことを決めていました。
ですが、革命家を名乗るならず者たちは、裏切り者を許しません。
真っ当な道に戻ろうとする人を『転向者』と蔑み、粛清の対象とするのです。
本当に質が悪いですね、一度関わると更生するのを妨害するのですから。
メルクスさんも、それを心配していたので愚か者共の潜伏先を洗い浚い教えてくれたのです。
革命家を自称するならず者たちは、潜伏先のことをアジトなどと聞きなれない言葉で呼んでましたが。
語源を聞いて、言い得て妙なので笑ってしまいました。
アジトとは『アジテート(煽動)・ポイント(拠点)』の略称だそうで、民衆を煽るために存在する場所のようです。
要は、おためごかしを言っておいて、民衆を煽る対象としか見ていないのですね。
それはともかく、今日、このアジトにメルクスさんと組んで革命運動を主導している人物が滞在しているそうなのです。
家計に占める食費の割合みたいな名前のこの人物、普段はプルーシャ公国にいるのですが。
今度、この王都で労働者を集めた大決起集会を開くためにやって来たそうです。
何でも、『起て!万国の労働者』というメルクスさんの口癖をスローガンに労働者の国際的な団結を図るそうです。
支配階級と暴力による対決も辞さないのですって、なんですかその迷惑な団体は。
ですが、決起集会には、労働者や農民を煽動しているならず者の幹部が勢揃いするそうで。
私は、ならず者たちを一網打尽にする千載一遇のチャンスと踏んだのです。
薄汚い雑居ビルの暗い階段を降りた先にある扉の向こうで声がしました。
「おい、メルクスの野郎、何処へ行きやがった。
王都から出た様子は無いのに、何処にも見当たらないのだ。」
最初に聞こえたのは、そんな怒鳴り声でした。
扉を挟んでも大きな声で聞こえるので、そうとう苛立っているようです。
「へえ、それがここ数日、家に帰っていないようなのです。
例によって、大図書館で書き物をしているところは監視していたんですが…。
最近、妙ちくりんな小娘と一緒にいる事が増えたと思ったら。
トレードマークだと言って自慢していたむさ苦しいヒゲを剃っちまいまして。
遠目には、奴のことが判別付き難くなっちまいました。
あんまり、近寄るとこっちが監視していることに気付かれちまいますんで。
遠巻きに監視していたら、いつの間にか消えていて。
このところ、大図書館にも姿を現さないんでさぁ。」
「何、あのヒゲを剃っちまっただって。
バカ野郎、あのヒゲが如何にも革命家って雰囲気で、バカな民衆を煽るのに良いんじゃねえか。
あの偏屈野郎、他人を煙に巻くような小難しいことを言って、バカ共を煽るのは巧いからな。
これからも、俺達の利益のために、どんどん働いてもらわねえといけねえんだ。
あいつはおだてておけば幾らでもこっちの手のひらの上で踊ってくれるからな。
しかも、口だけじゃなくて、民衆を煽るような文を書くのも巧いから。
革命の思想的指導者として祭り上げるのはちょうど良いんだ。
革命が上手く言ったら、さっさと退場願うつもりだが…。
今いなくなられたら困るんだよ。」
どうやら、この勝手な事を言っている声の主が、メルクスさんの相方のようです。
**********
私はノックもせずに、その扉を開き中に入りました。
鍵は壊れているようです、不用心ですね。
「こんばんは。
お話をするのであれば、もう少し声を潜めた方が良いですよ。
外まで声が筒抜けでしたよ。
ここ、一応、潜伏場所なのでしょう。」
「誰だ、貴様は!
こんな所に、女一人で入ってくるとは怪しい奴め!」
声が大きいですよと注意すると、部屋にいた二人の男の一人からそんな言葉が返ってきました。
いえ、怪しいのはこんな所に潜んでいるあなた達ですから。
「あら、失礼。
私は、シャルロッテ・フォン・アルムハイム。
アルムハイム公国で大公をしていますの。」
「嘘も、休み休み言え。
お偉い大公様が、護衛も付けずにこんな歓楽街に来る訳なかろうが。」
おや、至極真っ当な言葉が返って来ました。
確かに普通大公の身分の方はこんなことはしませんよね、でも私はなんちゃってですから。
「仕方ないのですよ。
私、あなたに用があって来たものですから。
あっ、あなた方が探しているメルクスさんですが、もうこの町にはいませんよ。
メルクスさんは、先日アスターライヒ王国にある帝都大学の教授に就任しましたので。」
「アスターライヒの帝都大学だ?
バカ言え、メルクスは一週間前まで王都にいたんだぞ。
アスターライヒまではどんなに急いでも十日は掛かるだろうが。」
「信じなければ、信じないでも結構です。
でも、私、メルクスさんからあなたがここにいると伺ってやって来たのですよ。
一応、ここ、秘密の隠れ家なのでしょう。」
一々、こんなならず者に説明している暇はありません。
「ちくしょう、メルクスの野郎、転向しやがったのか。
さては、権力者の狗になって俺達を売ったな。
あいつは民衆の敵として粛清してやらないといかんみたいだな。」
「民衆の敵はあなた方でしょう。
できもしない、『協産主義』などと言うものを声高に叫んで。
自分達が王になり代わって、『民衆』の『王』になろうとしているだけではないですか。
扇動された民衆が可哀想です。
聞こえましたよ、『バカな民衆』と大きな声で言っているのを。」
思わずツッコんじゃいましたよ、民衆の敵はどっちだって。
「何だと、我々を愚弄するのか。
我々は、権力者に虐げられた、労働者の国を打ち立てようとする志士の集まり。
万国の労働者が一致団結して、古い体制を打ち破り労働者が支配する国を築くのだ。」
「えええええ、そんなの無理ですよ。
だって、世界一の先進国と言われるこの国だって識字率三割程度なのですよ。
労働者階級に至っては一割程度です。
そんな労働者が国を樹立してどうやって国を治めるのですか?
法を定めるのには文章を書けないといけないんですよ。
法を守るのには、文章が読めないといけないんですよ。
結局、知識階級のあなた方『協産党』党員の好き勝手が出来るじゃないですか。
しかも、都合が良いことに、一党独裁で他の政党を容認しないのでしょう。
結局、民衆を『バカな民衆』などと見下す、『協産党』の独裁国家が出来るだけ。
それを考えるとゾッとしますわ。」
私が目の前にいる自称労働者の味方のならず者に指摘すると。
「何を抜かすか。
無知蒙昧な労働者、無知蒙昧な民衆を正しく導くのが我々『協産党』の役割ではないか。
無知蒙昧な労働者たちが、ほかの雑音に惑わされることが無いように他の政党を認めないのは当然ではないか。」
正しく導くって、それ洗脳ですよね。
「ええと、私、別にあなたと議論しに来た訳では無いのです。
あなた、プルーシャ公国で手広く事業を営んでいるのですよね。
ですから、あなたを真の労働者の味方にして差し上げようと思って参りました。」
「小娘、おまえ、何を言っているのだ。」
『これから、私の命じることに従いないなさい。たとえ、死んでもです。』
この力を使うのは夏にプルーシャ王に使って以来ですか。
あまり使いたくないのですが、『言霊』の魔法。
他人の意思を強制的に曲げるのは、余り気分が良いものではありません。
「何を藪から棒に言い出すかと思えば。
なんで、俺が小娘の命令など聞かねばならないのだ。」
そんなことを言っていますが、無視して私は続けました。
『今日以降、あなたの事業から生み出される利益は事業の継続に必要な再投資に充てる分を除いて、全てあなたが雇用する労働者に配分しなさい。
あなた及び他の出資者が、給与、報酬、配当などいかなる名目を以てしてもあなたの事業から受取る金品はゼロにすることを命じます。」
「バカなことを言うんじゃねえ、それじゃ商売をしている意味がねえじゃねえか。
資本家って言うのは、労働者から搾取してなんぼだろうが。」
メルクスさんの相方が醜悪な顔をして言いました。何が労働者の味方ですか、それが本音じゃないですか。
結局、この人の財産は全て慈善活動に使うことや革命運動から手を引くこと。
更には、今までの出版物やビラ等が偏見に満ちた誤りであることを認め、主要な新聞に謝罪広告を入れることを命じました。
もちろん、私財を叩いてそれらの出版物を回収することも命じましたとも。
終始悪態をついていましたが、そのうち、私の言うことに逆らえないことに気付いた様子でした。
最後は、項垂れてしまいました。
そして、
『今すぐここを出て、港に行きなさい。そして、一番早くプルーシャ公国に着く船に乗るのです。
貨物船でも何でも、とにかく一番早く着く船です。
そして、私の命じたことをすぐに実行するのです。
繰り返し命じます。今後一切、人々を煽動することを禁じます。革命運動に関わることを禁じます。』
そう命じたとたん、足早に部屋を出て行きました。ちゃんと魔法は聞いているようですね。
**********
ちなみに、もう一人の男ですが、この王都でさっきの男の連絡員をしていたようです。
この部屋の中にある隠し金庫の場所を吐かせた後、眠らせておきました。
メルクスさんの相方が去った後で、部屋にあったロープで拘束しておきました。
後で、官憲に引き取ってもらわないといけませんね。
もちろん、隠し金庫の中のお金は全て頂戴しましたよ。
こんな連中に持たせておくと、ロクな事に使いませんから。
けっこうな金額があったので、何処から調達したのか問い質したところ。
こいつらが扇動してる労働者から、カンパと言う名目で巻き上げたモノらしいです。
カンパなどとは聞きなれない言葉ですが、アジトと同じでならず者共が使っているムラ言葉のようです。
革命のための活動資金の寄付を募るモノだそうですが、実態は強制的に巻き上げたようです。
ともあれ、労働者を欺いて労働者の王となろうとした愚か者は、真の労働者の味方になったのです。
きっと、慈善活動に生涯を捧げた人として、後世に名を残すことになるでしょう。
なんて言いましたっけ、家計に占める食費の割合みたいな名前の人。
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