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第18章 冬、繫栄する島国で遭遇したのは
第503話 多くの方に真実を知ってもらうのが大切です
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さて、ここは王都の中心街にある大きなイベント施設です。
四千人を収容できる劇場を中心に、収容人数三千人の大会議場や五百人収容の講演会場などもあります。
今いるのは、メインホールと呼ばれる三千人を収容できる大会議場です。
会議場の前方に設えた壇上には、『モー・タクサン』、『裏染流 黎仁』、『廃林村の吉夫』を始めとする『協産党』の幹部二十人が並びます。
そして、会議場を埋め尽くした三千人の労働者たち。
この日、集まった労働者たちは会議場に入り切れず、施設の正面広場にもあふれています。
そう、黎仁達の呼びかけにより開催されることになった大決起集会の日です。
捕縛した黎仁達ですが、予定通りに大決起集会を開催させました。
開催にあたっては、施設から逃亡しない事、自分達が官憲に捕縛された身であることは漏らさない事を命じてあります。
また、議事進行にあたっては、予め計画した式次第に基づいて行うこと、予定された自分の発言機会以外は席を立たないこと命じました。
そしてこれがキモですが、会議での発言は全て本音を隠し立てせずに話すことを命じてあります。
捕縛の際に、自分の真意に反することを口にする事が出来ないようにしてありますが、念のため重ねて命じました。
定刻になり、会議の開始が告げられると、黎仁が開会の挨拶のため壇上に立ちます。
「よお、愚民共よ、踊らされているとも知らずに良く集まったな。
今日は、俺達『協産党』の世の中を創るための記念すべき日だ。
おまえら、無知な労働者共を団結させることにより一大集金組織を築き上げるのだからな。
俺達に都合の良い世の中を創るためには金が要るんでな。
おまえらを組織化して、カンパを集めて、機関紙を売って、金を巻き上げようと思ったんだ。
資本家に抵抗して、労働者の権利を勝ち取るために必要なんだと言えば、おまえら幾らでもカンパしてくれるだろうからな。
機関紙だって、有り難がって買ってくれるだろう、ロクに文字も読めねえくせによ。
今日これから結成される労働者の組織で精々俺達に金を貢いでくれや。」
何時もは、労働者の味方面、正義の味方面して、労働者を煽動する黎仁が、醜悪な顔を晒し、本音を語り掛けました。
期待していた、労働者の前途に希望を抱かせる挨拶ではなかったことに、会場に集まった人々は呆然としてしまいました。
シーンとしてしまった会場に、司会進行役の声が響き、今回の会議の趣旨説明がなされることが告げられます。
「ハイ、みなさん、よく来たアルネ。
書記局のモー、アルヨ。
この会議、無知なみなさん、組織化すること、目的アル。
無知な人、操り易くて良いアルネ。
この組織の大原則を伝えるアル。
大事な事よ、よく聞くヨロシ。
この組織はノルマ絶対主義アル。
ノルマ未達は許さないアルヨ。
カンパのノルマ、機関紙の販売ノルマ、お金集めるノルマいっぱいアル。
みなさん、余計なこと考えず、お金貢ぐヨロシ。
ワタシたち、無知なみなさん、教育もするアル。
これ、『モー・タクサン語録』アル。
みなさん、コレ買うアルヨ。
コレ、暗記するまで読むヨロシ。
文字読めない人、これ使って、読み書き覚えるヨロシ。
人生、これだけで十分アル。
愚民、余計なこと知る必要ないアルネ。」
いきなり自分の書いたヨタ本を売りつけようとするモーに、会議に参加した人達は目が点になっていました。
労働者の地位向上を図るために労働者の一大組織を作ると聞いて来てみれば、怪しい詐欺商法に誘い込むようなことを言われるのですから。
因みに、この『モー・タクサン語録』、事前にパラパラと目を通して頭痛がしてきました。
とても悪質な洗脳書です。
何が書いてあるのかと言うと、指導部から見て都合のよい人民像を模範的な人間のあるべき姿として書かれているのです。
例えば、『協産党』の指示は全て正しいので疑うことなく従うべしとか、ノルマは必ず達成しないといけないとか。
更には、『協産党』のやり方に不満を持つ者を見かけたら通報しないといけないと、密告を義務付けるモノまでありました。
奴ら、この本の内容を暗記するまで刷り込みする計画のようでした。無茶苦茶です。
その後も、壇上に並んだ『協産党』の幹部から、『協産党』に都合の良いことや労働者を小バカにしたようなことが話されます。
更には、モスコー帝国の転覆のために、今日集まった労働者の組織から巻き上げたお金で私兵の強化をする計画であることまで暴露されました。
「バカ野郎! 俺達をバカにするのもいい加減にしろ!」
そこまで、知らされて、やっと自分達が騙されて、踊らされていたことに集まった労働者の方々も気付いたようです。
そんな叫び声を上げると一人の参加者が手にしたカバンを、壇上に向かって放り投げました。
それは一人に留まらず会場のあちこちで罵声が飛び、壇上の幹部に向かって物が投げつけられました。
幹部たちは私の命令に従って席を立つことが出来ないので、完全に的と化していました。
カバンだったら良いのですが、何でこんなものを持ち込んだのだろうと疑問に思うモノもあり。
その最たるものは、酒瓶です。会議中に真昼間から酒を飲もうと思ったのでしょうか。
酒瓶が額に直撃した『廃林村の吉夫』は、額からダラダラと血を流していました。
もうそろそろ、ガス抜きも良いでしょう。
**********
『鎮まりなさい。
落ち着いて気を静めるのです。
そして、ご自分の席に戻るのです。』
風の精霊ブリーゼちゃんの風に乗って、私の力ある言葉が会場全体に伝わっていきます。
それと共に暴徒と化す寸前の労働者の方々に冷静さが戻り、会場を沈黙が支配しました。
「突然、部外者が発言することをお許しください。
私は、シャルロッテ・フォン・アルムハイムと申します。
たまたまこの会議のことを知り、拝聴させて頂きました。
皆さん、ここにいる稀代の詐欺師共の本音を聞いてどう思いましたか。
この詐欺師共は、『協産主義』などと言う耳に心地よい幻想を吹き込んで皆さんを利用しようと考えました。
聞く人にとって都合の良い事をいって近づいてくるのは詐欺師の常套手段です。
さて、皆さん、この悪質な詐欺師共ですが、一つの真理も言っていました。
この詐欺師共は皆さんの『無知』を利用しました。
知識があれば、『協産主義』なんてのモノは実現不可能であることが分かるのですが。
残念ながら、『無知』な皆さんは騙されてしまいました。
『無知な事は罪』なのです、ですが『無知』であることを恥じる必要はありません。
一方で、『無知の知』と言う言葉もあります。
己が無知であることを認識し、それを正そうする事は一歩前進なのです。
皆さんは、今日、自分達の『無知』が利用されたことに気付いたはずです。
『無知』が罪なのではなく、『無知』を正そうとしないことが罪なのです。
私は皆さんに、これから幅広い知識を身に付けて頂くことを期待します。
一部の偏った意見に簡単に騙されることが無いように幅広い見識を持つことが大切なのです。
さて、本日は遠い所から、多くの時間とお金をかけて来られた方がいらっしゃると耳にしました。
騙されただけで、お帰りになるのは悔しいでしょうから。
一つ、とても良いお知らせがあります。それをお土産にしてお帰り下さい。
では、ミリアム首相、よろしくお願いします。」
私は、『協産党』の連中が労働者の無知に付け込んだ悪質な詐欺師の集団であることを説明した後、ミリアム首相にバトンタッチしました。
「皆さん、こんにちは。
この国の首相を拝命しておりますミリアムと申します。
皆さんを騙して煽動していたここに並ぶ大罪人は、全員捕縛し公正な裁判で裁くことをお約束します。
裁判の経過及び判決内容については主要な新聞に公表することもここでお約束いたします。
さて、シャルロッテ嬢からご紹介があった皆さんに対するお土産ですが。
ただいま、議会に於いて『工場法』と言う名称の法律の制定を審議しております。
『工場法』と申しますのは、皆さん達、労働者の権利と地位の改善を図るための法律です。
具体的は、最低賃金制の導入や就労時間の制限、児童労働の禁止やご婦人の深夜労働の禁止などが盛り込まれています。
更には、労働者側から経営者側に対して団体交渉を申し入れる権利なども盛り込んでおります。
これによって、搾取と見做されるような劣悪な労働条件の多くは規制の対象となるものと考えております。
わが国としましても、労働者の待遇改善を順次図っていく所存ですので。
皆さんにも、シャルロッテ嬢の言う通り幅広い見識を身に付け、適切な判断をしていただきたいと期待します。」
ミリアム首相の説明を聞いた労働者の一人から拍手が起こると、それをきっかけに三千人を収容する会議場が拍手喝采に包まれました。
労働者を煽動して悪しき大団結を行おうとした決起集会は、一転して労働者の権利と地位を高める記念すべき日となったのです。
わざわざ、大決起集会をそのまま実施させて、煽動者達の本音を聞いてもらった甲斐はありました。
この日以降、『協産主義』に被れた愚か者は世の中から姿を消していくこととなります。
そして、二ヶ月後、『モー・タクサン』、『裏染流 黎仁』、『廃林村の吉夫』を始めとする『協産党』の幹部二十人は全員死刑判決が申し渡されました。
わずか二ヶ月のスピード結審ですが、権力者側が邪魔者を消した訳ではありませんよ。
公開の場における公正な裁判の結果です。
だって、奴らの自白に基づいて王都の郊外の森の中を掘ったら死体がゴロゴロ出てくるんですもの。
『粛清』の名のもとに命を奪った同志の死体が…。
ここアルビオン王国では殺人罪は、余程の情状酌量の余地が無いと死刑と法で定められています。
何人も殺していれば、情状酌量の余地などありませんよ。三審ともあっという間です。
そして、結審後すぐに、公開の場で処刑が執行されました。
『モー・タクサン』、『裏染流 黎仁』、『廃林村の吉夫』を始めとする稀代の詐欺師にして、テロリストの集団『協産党』は露と消えたのです。
もう、人騒がせな迷惑な人は出て来ないで欲しいです。
私は静かに暮らしたいのです。
四千人を収容できる劇場を中心に、収容人数三千人の大会議場や五百人収容の講演会場などもあります。
今いるのは、メインホールと呼ばれる三千人を収容できる大会議場です。
会議場の前方に設えた壇上には、『モー・タクサン』、『裏染流 黎仁』、『廃林村の吉夫』を始めとする『協産党』の幹部二十人が並びます。
そして、会議場を埋め尽くした三千人の労働者たち。
この日、集まった労働者たちは会議場に入り切れず、施設の正面広場にもあふれています。
そう、黎仁達の呼びかけにより開催されることになった大決起集会の日です。
捕縛した黎仁達ですが、予定通りに大決起集会を開催させました。
開催にあたっては、施設から逃亡しない事、自分達が官憲に捕縛された身であることは漏らさない事を命じてあります。
また、議事進行にあたっては、予め計画した式次第に基づいて行うこと、予定された自分の発言機会以外は席を立たないこと命じました。
そしてこれがキモですが、会議での発言は全て本音を隠し立てせずに話すことを命じてあります。
捕縛の際に、自分の真意に反することを口にする事が出来ないようにしてありますが、念のため重ねて命じました。
定刻になり、会議の開始が告げられると、黎仁が開会の挨拶のため壇上に立ちます。
「よお、愚民共よ、踊らされているとも知らずに良く集まったな。
今日は、俺達『協産党』の世の中を創るための記念すべき日だ。
おまえら、無知な労働者共を団結させることにより一大集金組織を築き上げるのだからな。
俺達に都合の良い世の中を創るためには金が要るんでな。
おまえらを組織化して、カンパを集めて、機関紙を売って、金を巻き上げようと思ったんだ。
資本家に抵抗して、労働者の権利を勝ち取るために必要なんだと言えば、おまえら幾らでもカンパしてくれるだろうからな。
機関紙だって、有り難がって買ってくれるだろう、ロクに文字も読めねえくせによ。
今日これから結成される労働者の組織で精々俺達に金を貢いでくれや。」
何時もは、労働者の味方面、正義の味方面して、労働者を煽動する黎仁が、醜悪な顔を晒し、本音を語り掛けました。
期待していた、労働者の前途に希望を抱かせる挨拶ではなかったことに、会場に集まった人々は呆然としてしまいました。
シーンとしてしまった会場に、司会進行役の声が響き、今回の会議の趣旨説明がなされることが告げられます。
「ハイ、みなさん、よく来たアルネ。
書記局のモー、アルヨ。
この会議、無知なみなさん、組織化すること、目的アル。
無知な人、操り易くて良いアルネ。
この組織の大原則を伝えるアル。
大事な事よ、よく聞くヨロシ。
この組織はノルマ絶対主義アル。
ノルマ未達は許さないアルヨ。
カンパのノルマ、機関紙の販売ノルマ、お金集めるノルマいっぱいアル。
みなさん、余計なこと考えず、お金貢ぐヨロシ。
ワタシたち、無知なみなさん、教育もするアル。
これ、『モー・タクサン語録』アル。
みなさん、コレ買うアルヨ。
コレ、暗記するまで読むヨロシ。
文字読めない人、これ使って、読み書き覚えるヨロシ。
人生、これだけで十分アル。
愚民、余計なこと知る必要ないアルネ。」
いきなり自分の書いたヨタ本を売りつけようとするモーに、会議に参加した人達は目が点になっていました。
労働者の地位向上を図るために労働者の一大組織を作ると聞いて来てみれば、怪しい詐欺商法に誘い込むようなことを言われるのですから。
因みに、この『モー・タクサン語録』、事前にパラパラと目を通して頭痛がしてきました。
とても悪質な洗脳書です。
何が書いてあるのかと言うと、指導部から見て都合のよい人民像を模範的な人間のあるべき姿として書かれているのです。
例えば、『協産党』の指示は全て正しいので疑うことなく従うべしとか、ノルマは必ず達成しないといけないとか。
更には、『協産党』のやり方に不満を持つ者を見かけたら通報しないといけないと、密告を義務付けるモノまでありました。
奴ら、この本の内容を暗記するまで刷り込みする計画のようでした。無茶苦茶です。
その後も、壇上に並んだ『協産党』の幹部から、『協産党』に都合の良いことや労働者を小バカにしたようなことが話されます。
更には、モスコー帝国の転覆のために、今日集まった労働者の組織から巻き上げたお金で私兵の強化をする計画であることまで暴露されました。
「バカ野郎! 俺達をバカにするのもいい加減にしろ!」
そこまで、知らされて、やっと自分達が騙されて、踊らされていたことに集まった労働者の方々も気付いたようです。
そんな叫び声を上げると一人の参加者が手にしたカバンを、壇上に向かって放り投げました。
それは一人に留まらず会場のあちこちで罵声が飛び、壇上の幹部に向かって物が投げつけられました。
幹部たちは私の命令に従って席を立つことが出来ないので、完全に的と化していました。
カバンだったら良いのですが、何でこんなものを持ち込んだのだろうと疑問に思うモノもあり。
その最たるものは、酒瓶です。会議中に真昼間から酒を飲もうと思ったのでしょうか。
酒瓶が額に直撃した『廃林村の吉夫』は、額からダラダラと血を流していました。
もうそろそろ、ガス抜きも良いでしょう。
**********
『鎮まりなさい。
落ち着いて気を静めるのです。
そして、ご自分の席に戻るのです。』
風の精霊ブリーゼちゃんの風に乗って、私の力ある言葉が会場全体に伝わっていきます。
それと共に暴徒と化す寸前の労働者の方々に冷静さが戻り、会場を沈黙が支配しました。
「突然、部外者が発言することをお許しください。
私は、シャルロッテ・フォン・アルムハイムと申します。
たまたまこの会議のことを知り、拝聴させて頂きました。
皆さん、ここにいる稀代の詐欺師共の本音を聞いてどう思いましたか。
この詐欺師共は、『協産主義』などと言う耳に心地よい幻想を吹き込んで皆さんを利用しようと考えました。
聞く人にとって都合の良い事をいって近づいてくるのは詐欺師の常套手段です。
さて、皆さん、この悪質な詐欺師共ですが、一つの真理も言っていました。
この詐欺師共は皆さんの『無知』を利用しました。
知識があれば、『協産主義』なんてのモノは実現不可能であることが分かるのですが。
残念ながら、『無知』な皆さんは騙されてしまいました。
『無知な事は罪』なのです、ですが『無知』であることを恥じる必要はありません。
一方で、『無知の知』と言う言葉もあります。
己が無知であることを認識し、それを正そうする事は一歩前進なのです。
皆さんは、今日、自分達の『無知』が利用されたことに気付いたはずです。
『無知』が罪なのではなく、『無知』を正そうとしないことが罪なのです。
私は皆さんに、これから幅広い知識を身に付けて頂くことを期待します。
一部の偏った意見に簡単に騙されることが無いように幅広い見識を持つことが大切なのです。
さて、本日は遠い所から、多くの時間とお金をかけて来られた方がいらっしゃると耳にしました。
騙されただけで、お帰りになるのは悔しいでしょうから。
一つ、とても良いお知らせがあります。それをお土産にしてお帰り下さい。
では、ミリアム首相、よろしくお願いします。」
私は、『協産党』の連中が労働者の無知に付け込んだ悪質な詐欺師の集団であることを説明した後、ミリアム首相にバトンタッチしました。
「皆さん、こんにちは。
この国の首相を拝命しておりますミリアムと申します。
皆さんを騙して煽動していたここに並ぶ大罪人は、全員捕縛し公正な裁判で裁くことをお約束します。
裁判の経過及び判決内容については主要な新聞に公表することもここでお約束いたします。
さて、シャルロッテ嬢からご紹介があった皆さんに対するお土産ですが。
ただいま、議会に於いて『工場法』と言う名称の法律の制定を審議しております。
『工場法』と申しますのは、皆さん達、労働者の権利と地位の改善を図るための法律です。
具体的は、最低賃金制の導入や就労時間の制限、児童労働の禁止やご婦人の深夜労働の禁止などが盛り込まれています。
更には、労働者側から経営者側に対して団体交渉を申し入れる権利なども盛り込んでおります。
これによって、搾取と見做されるような劣悪な労働条件の多くは規制の対象となるものと考えております。
わが国としましても、労働者の待遇改善を順次図っていく所存ですので。
皆さんにも、シャルロッテ嬢の言う通り幅広い見識を身に付け、適切な判断をしていただきたいと期待します。」
ミリアム首相の説明を聞いた労働者の一人から拍手が起こると、それをきっかけに三千人を収容する会議場が拍手喝采に包まれました。
労働者を煽動して悪しき大団結を行おうとした決起集会は、一転して労働者の権利と地位を高める記念すべき日となったのです。
わざわざ、大決起集会をそのまま実施させて、煽動者達の本音を聞いてもらった甲斐はありました。
この日以降、『協産主義』に被れた愚か者は世の中から姿を消していくこととなります。
そして、二ヶ月後、『モー・タクサン』、『裏染流 黎仁』、『廃林村の吉夫』を始めとする『協産党』の幹部二十人は全員死刑判決が申し渡されました。
わずか二ヶ月のスピード結審ですが、権力者側が邪魔者を消した訳ではありませんよ。
公開の場における公正な裁判の結果です。
だって、奴らの自白に基づいて王都の郊外の森の中を掘ったら死体がゴロゴロ出てくるんですもの。
『粛清』の名のもとに命を奪った同志の死体が…。
ここアルビオン王国では殺人罪は、余程の情状酌量の余地が無いと死刑と法で定められています。
何人も殺していれば、情状酌量の余地などありませんよ。三審ともあっという間です。
そして、結審後すぐに、公開の場で処刑が執行されました。
『モー・タクサン』、『裏染流 黎仁』、『廃林村の吉夫』を始めとする稀代の詐欺師にして、テロリストの集団『協産党』は露と消えたのです。
もう、人騒がせな迷惑な人は出て来ないで欲しいです。
私は静かに暮らしたいのです。
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