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第9章 王都の冬
第247話 破綻寸前の貴族と暗躍する商人 ⑤
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「でも、その自称帝国の商人ってプッペたちとは別に動いていたのかな?」
「そこがはっきりしないのよ。
プッペたちが捕まって資金繰りに詰まった貴族たちにタイムリーに北部地方の貴族の情報を提供しているからね。
プッペと繋がっている気はするのだけど…。
ただね、その男はドゥム伯爵の許にも例の資料を渡しているのよね。ドゥム伯爵は今のところプッペと関係が有った形跡はないの。
それに、昨年の秋口には王都の商人の間では今問題になっている貴族たちの資金繰りが厳しいと言う噂は流れていたようなので、プッペと直接か繋がっていなくてもその男が情報を掴んでいたとしてもおかしくはないわ。
もしかしたら、その男が独自に金に困っている貴族を探っていたのかもしれないわ。
だから、同じ『黒の使徒』の人間だとしても、全く別に行動していたということもありうるわ。
『黒の使徒』としても、別口で送り込んでおけば何かあったときに一網打尽になる心配がないからね。グループ間の連携は取れなくなるけど。 」
ミルトさんは、自称帝国の商人は北部地方の貴族に食い込むことを目的にこの国にきていた可能性もあるという。
この国の北部地方は豊かな森が広がる地として帝国にも知られており、『黒の使徒』としては何とか北部地方の森を減らしたいと考えていたのではないかと。
王都の宮廷貴族及び西部地方の貴族に取り入ろうとしていたプッペ達と担当区域を分けて独自に動いていたのしかもしれないという。
そして、自称帝国の商人はこの国に来て知る、北部地方の森は観光資源としてその地方の領主た達に大切に保護されていることを。
北部地方の森を伐り開くことは一筋縄ではいかないと考えたその男は王都に留まり糸口を探っていたのではないかとミルトさんは言う。
そして、その糸口として目を付けたのが、元手代の大規模店舗開設のための森林開発であり、自分の息のかかった貴族の子弟を北部地方の領主の子女と縁組させることなんであろうと。
なんにしろ、自称帝国の商人がどのような背後関係を持っており、どのような意図で動いていたかは、結局本人に話しを聞いて見なければ分かれないことだとミルトさんは言う。
**********
だとすると・・・。
「ミルトさん、どうやってその男の話を聞く気なの?」
「ええ、どういうこと?」
「だって、今までの話を聞く限りでは、その男は何も悪いことはしていないよね。
捕縛して話しを聞くことは出来ないじゃない。
今聞く限りでは、その男のしたことって、才気溢れる優秀な商人に投資をした事と破綻寸前の貴族に対する貸し金を安く買い漁っている事くらいでしょう。
どちらも、少なくとも表面上は法に反することではないよね。
元手代の今の商売って凄く真っ当なものだし、ブルーメンの中心部の森を開発したとしてもそれも法には触れないよね。
貴族の借金を買い漁っていることだって、どういう企みを持っているにしろ現状では悪いことではないのでしょう。」
「あらあ、ターニャちゃん、よく気が付いたわね、偉いわ。
フローラにもそういう冷静な思考力を見習わさせないと。
そう、いかにも『黒の使徒』らしい企みが透けて見えるのだけど、今のところ何も違法なことは表に出ていないのよね。裏で何をやっているかまではわからないけど。
ターニャちゃんの言う通り現状では捕縛することは叶わないわ。」
ミルトさんは今回ヒカリ達の力を借りようと思うと言った。
昨年の冬わたしがポルトでやったように、おチビちゃん達に御用商人の店を監視してもらうそうだ。
自称帝国の商人が来たらその男の会話の内容を報告してもらい、更に拠点まで付いて行かせ拠点での会話の内容を報告させるのだね。
ミルトさんは扱えるマナの量が多くないので干渉できる精霊が少ないため常時監視などは出来なかったの。
しかし、上位精霊たるヒカリ、ミドリ、スイの三人娘を間に挟むことでで多数の中位精霊にお願いが出るようになったの。今回はこれで王都に監視網を敷こうという。
「でも、精霊を通して聞いた話では今一つなのよね。
やっぱりその男が何を考えているのかを自分の耳で聞いてみたいわ。
それでね……。」
ミルトさんは子供が悪戯を持ちかけるように、わたしの耳元に近付いてこそっと言った。
「えええ!ミルトさん、それをやるの?
王様に叱られても知らないよ。わたしは手伝わないからね!
だいたい、それなら他の人にやらせればいいじゃない。そういう専門の人がいるでしょう。」
ミルトさんのやろうとしている事を聞いたわたしは思わず大きな声を出してしまった。
「大丈夫よ。ヒカリちゃん達にも付いてきてもらうから。
それにね、これは自分の耳で聞いておかないとだめなの。
後になって、言った言わないの水掛け論になるのは不毛だもの。
あの時、はっきりと私の耳で聞きましたよと言えないと。」
ミルトさんの意志は固いみたいだ、まああの三人娘が付いていれば危ないことはないと思うけど。
本当に知らないよ、王様達に怒られても…。
「そこがはっきりしないのよ。
プッペたちが捕まって資金繰りに詰まった貴族たちにタイムリーに北部地方の貴族の情報を提供しているからね。
プッペと繋がっている気はするのだけど…。
ただね、その男はドゥム伯爵の許にも例の資料を渡しているのよね。ドゥム伯爵は今のところプッペと関係が有った形跡はないの。
それに、昨年の秋口には王都の商人の間では今問題になっている貴族たちの資金繰りが厳しいと言う噂は流れていたようなので、プッペと直接か繋がっていなくてもその男が情報を掴んでいたとしてもおかしくはないわ。
もしかしたら、その男が独自に金に困っている貴族を探っていたのかもしれないわ。
だから、同じ『黒の使徒』の人間だとしても、全く別に行動していたということもありうるわ。
『黒の使徒』としても、別口で送り込んでおけば何かあったときに一網打尽になる心配がないからね。グループ間の連携は取れなくなるけど。 」
ミルトさんは、自称帝国の商人は北部地方の貴族に食い込むことを目的にこの国にきていた可能性もあるという。
この国の北部地方は豊かな森が広がる地として帝国にも知られており、『黒の使徒』としては何とか北部地方の森を減らしたいと考えていたのではないかと。
王都の宮廷貴族及び西部地方の貴族に取り入ろうとしていたプッペ達と担当区域を分けて独自に動いていたのしかもしれないという。
そして、自称帝国の商人はこの国に来て知る、北部地方の森は観光資源としてその地方の領主た達に大切に保護されていることを。
北部地方の森を伐り開くことは一筋縄ではいかないと考えたその男は王都に留まり糸口を探っていたのではないかとミルトさんは言う。
そして、その糸口として目を付けたのが、元手代の大規模店舗開設のための森林開発であり、自分の息のかかった貴族の子弟を北部地方の領主の子女と縁組させることなんであろうと。
なんにしろ、自称帝国の商人がどのような背後関係を持っており、どのような意図で動いていたかは、結局本人に話しを聞いて見なければ分かれないことだとミルトさんは言う。
**********
だとすると・・・。
「ミルトさん、どうやってその男の話を聞く気なの?」
「ええ、どういうこと?」
「だって、今までの話を聞く限りでは、その男は何も悪いことはしていないよね。
捕縛して話しを聞くことは出来ないじゃない。
今聞く限りでは、その男のしたことって、才気溢れる優秀な商人に投資をした事と破綻寸前の貴族に対する貸し金を安く買い漁っている事くらいでしょう。
どちらも、少なくとも表面上は法に反することではないよね。
元手代の今の商売って凄く真っ当なものだし、ブルーメンの中心部の森を開発したとしてもそれも法には触れないよね。
貴族の借金を買い漁っていることだって、どういう企みを持っているにしろ現状では悪いことではないのでしょう。」
「あらあ、ターニャちゃん、よく気が付いたわね、偉いわ。
フローラにもそういう冷静な思考力を見習わさせないと。
そう、いかにも『黒の使徒』らしい企みが透けて見えるのだけど、今のところ何も違法なことは表に出ていないのよね。裏で何をやっているかまではわからないけど。
ターニャちゃんの言う通り現状では捕縛することは叶わないわ。」
ミルトさんは今回ヒカリ達の力を借りようと思うと言った。
昨年の冬わたしがポルトでやったように、おチビちゃん達に御用商人の店を監視してもらうそうだ。
自称帝国の商人が来たらその男の会話の内容を報告してもらい、更に拠点まで付いて行かせ拠点での会話の内容を報告させるのだね。
ミルトさんは扱えるマナの量が多くないので干渉できる精霊が少ないため常時監視などは出来なかったの。
しかし、上位精霊たるヒカリ、ミドリ、スイの三人娘を間に挟むことでで多数の中位精霊にお願いが出るようになったの。今回はこれで王都に監視網を敷こうという。
「でも、精霊を通して聞いた話では今一つなのよね。
やっぱりその男が何を考えているのかを自分の耳で聞いてみたいわ。
それでね……。」
ミルトさんは子供が悪戯を持ちかけるように、わたしの耳元に近付いてこそっと言った。
「えええ!ミルトさん、それをやるの?
王様に叱られても知らないよ。わたしは手伝わないからね!
だいたい、それなら他の人にやらせればいいじゃない。そういう専門の人がいるでしょう。」
ミルトさんのやろうとしている事を聞いたわたしは思わず大きな声を出してしまった。
「大丈夫よ。ヒカリちゃん達にも付いてきてもらうから。
それにね、これは自分の耳で聞いておかないとだめなの。
後になって、言った言わないの水掛け論になるのは不毛だもの。
あの時、はっきりと私の耳で聞きましたよと言えないと。」
ミルトさんの意志は固いみたいだ、まああの三人娘が付いていれば危ないことはないと思うけど。
本当に知らないよ、王様達に怒られても…。
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