絶対令嬢の私が浮気されたから婚約破棄を突きつけたら、イケメン王子が婿になりました

第7話

「ルスタリフ様と結婚ですか。。。?」

唐突な王の言葉に、私は無礼にも思わず聞き返してしまった。

「そうだ。不満か?」

「滅相もございません。」

ルスタリフ。

デジカ王の第二子王子だ。
実際にお会いしたことはないが、
噂は聞いたことがある。

その素行は悪。

父上の命令を無視して困らせる。
王族専用の学びの会はサボる。
兵士団の悪童とつるみ、夜の街で遊び呆ける。

あまり良い噂を聞くことがない。
本来なら、王族と結ばれることは約束された将来を手に入れられるまたとないチャンスである。

しかし、相手がだらしないのでは、身が持たないのではないかと不安がよぎる。

「なら決まりだな。近日中に挙式をあげる。」

断れる訳がない。
王の命令に逆らうかとは、すなわち死を意味する。
もちろん、物理的な死ではないが、シャルドネーク家の将来に暗い影を落とすことは間違いない。

しかし、私には一つの心残りがあった。

エリオットのことだ。

彼からは口だけの話で縁を切られたが、
正式な家の書状で婚約解消の文を渡された訳ではない。

「恐れ多くも申し上げます。
私には、婚約者がいます。
ルスタリフ様と婚約するためには彼との関係を断ちきる必要があります。」

勇気を持って現状を伝えた。

「先約があったか。聞いてないな。
最終的な判断は任せるが、目通ししてから決めてくれ。」

見たことが無い相手と結婚の話を進めるほど、早急ではなかったようだ。
まずは面識を得るチャンスを手に入れ、胸を撫で下ろした。

ルスタリフ。
私は彼が、噂通りの男ではないことを心から願うばかりだった。