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第8話
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噂とは、とても怖い言葉の集合体ですね。
真実を隠す、まやかしの言葉。
本当のことなど、誰にも分かって貰えない。
でも人々は、その虚飾された甘美に惹かれる。
最高の退屈しのぎであり、自身の心の安らぎをも得られる魅力を持ち合わせている。
虚構だけでは信じて貰えない。だからもっともらしい真実も混ざることで、人々の間に広がっていく。
脚色されたおとぎ話でも、皆の心に浸透してしまえば、事実となり虚実となるのだ。
これから運命の人になるかもしれない。
そうであれば、せめて誠実であって欲しい。
王族であるならば、高い教養を備えており、他者との関係を良好にするよう教え込まれているはずなのだ。
一抹の不安を払拭するために、私はルスタリフ様の噂を改めてララに尋ねてみた。
「ルスタリフ様はあまり良い噂を聞かないのだけど、一体どんな殿方なのかしら?」
「お会いしたことが無いのでなんとも言えませんが、私は過度な噂だと考えております。」
このモフモフから、意外な言葉が返ってきて少し心のざわつきが治まる。
「どうしてそう思うの?気を使ってくれてるのなら嬉しいけど、本当のことを知りたいわ?」
「気を使っている訳ではありませんが、兵士達から悪い話は聞きませんね。むしろ、好意的な声も聞かれますよ。
ただ、その風貌や話し方から、よく思わない人々がいるのも事実と聞きます。」
語り手によって、噂の中身が異なるのだ。
「いわく、万の大軍相手に一歩も引かずに立ち向かい、仲間を鼓舞したおかげで先の大戦を勝利に導いたとか」
随分話が飛躍しているように聞こえる。
そんな人物なら、称賛の嵐なはずなのだが。
素行が悪いという噂はいったい何なのだろう。
「それならば、良い噂しか流れないし、ましてや大々的に伝えられるはずだわ。」
王族は評判を大切にする。
幻想を持たせるためにも、多少の脚色をしてでも良い話を話術士に広めさせる。
でも、それをしなかった。
「正室様が、ルスタリフ様のことを認めていないことが原因なのではないでしょうか。」
・・・なるほど。そういうことなのか。
第二王妃様との間に産まれたルスタリフ様。
流行病で一族が滅亡し、滅びてしまった国もある。
一族繁栄のためには、子を沢山なすことが大切である。
王族では一般的なことで、王妃も教え込まれている。
ただ、頭では分かっていても、心の底まで納得できるかは、別物なのだ。
「悪い噂を広めて、自分の子供に継承権を確実なものにしたい。ということなのかしらね。」
「そんなことしなくても、どちらも良い殿方なはずなのですが、念のためなのかもしれません。」
勇気を出してララに話を聞いてみたことは、正解だったのかもしれない。
大好きだったエリオット。
本当に心が許せる、最愛の人だったからこそ、今は強い呪縛になっている。
その呪縛から解放されるために、私はルスタリフ様に会う決心を固めたのだった。
真実を隠す、まやかしの言葉。
本当のことなど、誰にも分かって貰えない。
でも人々は、その虚飾された甘美に惹かれる。
最高の退屈しのぎであり、自身の心の安らぎをも得られる魅力を持ち合わせている。
虚構だけでは信じて貰えない。だからもっともらしい真実も混ざることで、人々の間に広がっていく。
脚色されたおとぎ話でも、皆の心に浸透してしまえば、事実となり虚実となるのだ。
これから運命の人になるかもしれない。
そうであれば、せめて誠実であって欲しい。
王族であるならば、高い教養を備えており、他者との関係を良好にするよう教え込まれているはずなのだ。
一抹の不安を払拭するために、私はルスタリフ様の噂を改めてララに尋ねてみた。
「ルスタリフ様はあまり良い噂を聞かないのだけど、一体どんな殿方なのかしら?」
「お会いしたことが無いのでなんとも言えませんが、私は過度な噂だと考えております。」
このモフモフから、意外な言葉が返ってきて少し心のざわつきが治まる。
「どうしてそう思うの?気を使ってくれてるのなら嬉しいけど、本当のことを知りたいわ?」
「気を使っている訳ではありませんが、兵士達から悪い話は聞きませんね。むしろ、好意的な声も聞かれますよ。
ただ、その風貌や話し方から、よく思わない人々がいるのも事実と聞きます。」
語り手によって、噂の中身が異なるのだ。
「いわく、万の大軍相手に一歩も引かずに立ち向かい、仲間を鼓舞したおかげで先の大戦を勝利に導いたとか」
随分話が飛躍しているように聞こえる。
そんな人物なら、称賛の嵐なはずなのだが。
素行が悪いという噂はいったい何なのだろう。
「それならば、良い噂しか流れないし、ましてや大々的に伝えられるはずだわ。」
王族は評判を大切にする。
幻想を持たせるためにも、多少の脚色をしてでも良い話を話術士に広めさせる。
でも、それをしなかった。
「正室様が、ルスタリフ様のことを認めていないことが原因なのではないでしょうか。」
・・・なるほど。そういうことなのか。
第二王妃様との間に産まれたルスタリフ様。
流行病で一族が滅亡し、滅びてしまった国もある。
一族繁栄のためには、子を沢山なすことが大切である。
王族では一般的なことで、王妃も教え込まれている。
ただ、頭では分かっていても、心の底まで納得できるかは、別物なのだ。
「悪い噂を広めて、自分の子供に継承権を確実なものにしたい。ということなのかしらね。」
「そんなことしなくても、どちらも良い殿方なはずなのですが、念のためなのかもしれません。」
勇気を出してララに話を聞いてみたことは、正解だったのかもしれない。
大好きだったエリオット。
本当に心が許せる、最愛の人だったからこそ、今は強い呪縛になっている。
その呪縛から解放されるために、私はルスタリフ様に会う決心を固めたのだった。
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