私を勝手に皇后にしないでください

上野佐栁

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もう一度最初から

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 「イブすまん。俺はお前を信じる事ができない」
 「......」  
 「本気で信じていないんだろ?だって、目の色変わってないじゃん」
 「......」
 その言葉を聞いた瞬間、何も聞こえなくなった。冷たい。体温が感じない。怖い。プロキオンに嫌われたくない。私は何も言わずに、プロキオンの部屋を後にした。
 「うっゔっ」
 しばらく考えてこの街を出て行く事にした。此処にはもう、私の居場所は無い。さようならプロキオン。あんたは、ユーアと幸せになるべきなのよ。本来の目的は死なない事。少しこの甘い世界に酔っていたのね。もう未来なんか見ない。これからは自分の力で生きて行こう。そう思った。最後に手紙を置いて、私は学園を出て行った。
 翌日
 ゴンッ
 「ミルカルド‼︎」
 「お前‼︎どれだけ、イブを悲しませたら気が済むんだよ‼︎」
 「......」
 「イブを信じられない⁇その言葉は、イブが言う台詞だろ⁇お前が言っていい台詞じゃねぇよ‼︎そもそも、プロキオンが変な誤解をしなければこんな事にならなかったんだよ‼︎お前のせいで......イブが出て行ったんだ‼︎お前の顔が見るのが辛くて居なくなったんだよ‼︎わかんねぇのかよ⁇あぁん‼︎」
 「んな事最初からわかっている」
 「探さないのかよ⁇」
 「イブに嫌われたくない」
 「お前のその身勝手な気持ちが、イブを縛り付ける事を知れよ‼︎この大馬鹿野郎‼︎」
 「ミルカルド‼︎それは言い過ぎだ‼︎殿下も傷ついていらっしゃる‼︎言葉を選べ!」
 「関係ない。俺は、イブを追う事にする。テメェはその性根が腐った自分に酔いしれていればいいんだよ‼︎」
 「ミルカルド‼︎お前本気か⁇ティを追うのか⁇」
 「もちろんだ‼︎」
 「私も行こう。ティを一人にしたく無い」
 「了解っす」
 「頭でも冷やせ」
 ゴンッ
 「くそおおおお。俺だって、イブを信じたい。でもあんな言葉を言われちゃ......信じられるわけねぇだろがよ‼︎くそっ‼︎」
 プロキオンは何度も何度も何度も何度も壁に穴が開くまで殴り続けた。手は血塗れだ。
 「うーん。出て行こうって決めたのはいいけど......行く場所無いんだよね。あ、あはは」
 「イブ‼︎」
 「ティ‼︎」
 「こ、コンラン!?それに......フェリス!?どうして此処に⁇」
 「追いかけて来たんだよ」
 「ティを一人にしたく無いから」
 「二人ともありがとう‼︎此処からもう一度最初からだね」
 「うん」
 「行きたい所があるの‼︎ついて来てくれる⁇」
 「もちろん‼︎」
 牢屋
 ガチャン
 「い、イブ!?イブなのか⁇」
 コク
 「す、すまなかった‼︎ゆ、許してくれ‼︎此処から出してくれ!」
 「無理よ」
 「どうして⁇」
 「鍵なんて持ってない。それにお別れを言いに来たのよ」
 「お、お別れ⁇」
 「私は、あんたらを絶対に許さない‼︎でも産んでもらった事だけは感謝しているわ。さような」
 「ま、待ってくれえええ!」
 「平気か?」
 「うん」
 「ティ、どこに行くの⁇」
 「南のサレンドレス国に行こうと思う。そこはお母様の生まれ故郷だから‼︎」
 「どこまでも付いて行くぜ‼︎」
 「ティを守るわ‼︎」
 「ありがとう‼︎」
 ここからまた、私の新たな物語が始まる。プロキオンきっと......これでよかったっと胸を撫で下ろしている所かなぁ⁇もう振り返らない。私の道を突き進むだけ。プロキオン......あんたは私の人生から捨てるわ‼︎今までありがとう。そしてさようならプロキオン。
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