前世では冷酷なお父様がなぜか、親ばかになった件について

4話

　私は今まで父のことをよくわかってないなかった。なぜなら父は今、書斎で大暴れをしているからだ。
　　
　「……」

　私は驚きのあまり手に持っていたポットとティーカップをその場に落としてしまった。

　ガシャーン(ポットとティーカップが割れる音)

　その音に父様は驚き部屋の扉を開けて、私が部屋の前に立っていることを知ると顔を真っ赤にして話しかけてきた。
　
　「も、もしかして今の聴いてたのか?」
　　
　私は黙ったまま頷き父様が私の方へと歩き出したと思ったらいきなり私を持ち上げ抱きしめる。

　ギャウウウ(ペリディアを抱きしめた音)

　私は訳がわからずに固まっていると、お父様は私の頭を優しく撫でる。

　「……」

　前世ではお父様に抱きしめてもらった記憶も頭を撫でてもらった記憶もない。でも家族に頭を撫でられるのってこんなにも心地いいんだ。

　しばらくの間私を撫でていたお父様だったが、そっと私をおろし私と同じ目線で話しかけてきた。

　「ペリディア。今まですまなかった。おまえに寂しい思いをさせてすまない。これからは僕がそばにいる」

　そう言ってくれた。その時、私の何かが埋める音がした。多分、心のどこかが埋まったのだ。そうしたら涙がポロポロとこぼれ落ちる。

　「うぅっ。ヒック」
　　
　「ぺ、ペリディア⁉︎」

　私が泣きだすとお父様は驚きまた抱きしめてくれる。

　「本当にすまない」

　その言葉だけでも嬉しかった。今まではお互いにすれ違った生活をしていた。お互いに干渉しない生活をしてきたからどう反応すればいいのかわからない。

　お父様は泣きじゃくる私をしばらく抱きしめた後、一言こう言った。

　「ペリディア愛しているよ」

　心が暖かい。今までこんなこと感じなことがないからちょっぴり恥ずかしいよ。そう思いながらも私もお父様の目を真っ直ぐに見て素直な気持ちを伝えた。

　「私もお父様のことが大好きです」

　私のその答えにパァッと顔を明るくさせて再び抱きしめる。

　「ペリディア！！！！！！！」

　力いっぱい抱きしめてくれる。でも少し痛いよ。

　そう思ったペリディアなのであった。

　お父様と和解してしばらく経ったある日のこと。

　「えっ?今なんて言いました?」

　私はあまりにも衝撃すぎる言葉に同じことをお父様に何回も聞き返してしまった。

　「ペリディア。すまないが、国王陛下がお前に会いたがっている。だから近々王宮へと行くことになった」

　嫌だと言いたかった。現時点では国王陛下とは面識はない。前世ではまだ会うのは数年後のはずなのに、もしかして国王陛下も前世持ちだとしたらまた私はルーンのために人柱にされるの?そんなの嫌だ。

　「国王陛下がその、皇女様のお友達相手を探していてなぁ。ちょうどお前の一個上の方なんだよ」

　お父様は私を宥めるようにそう言い、私の手を取りまるで捨てられた子犬のような顔をしてきた。

　「うぐっ！」

　今まではお父様の話す機会がなかったけど、この人不器用で甘えん坊だ！

　そう思わずにはいられなかった。そして、ペリディアは結局は押し負けて、国王陛下の娘のアイリーン皇女様に会いに行くことになったのであった。