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神獣の森

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 ラクスが仲間に加わり、さらに北へと旅を続ける私達であったが、途中で変な森に迷い込んだ。
 「ねぇ?此処ってどの辺?」
 「俺に言われてもなぁ......」
 「あの......白うさぎは?」
 「マロンのこと?マロンなら鞄の中で寝て......居ない!?」
 「はあ!?お前なぁ、神獣の面倒ぐらい見ろよな!」
 「さっきまで居たんだもん」
 「キュ!」
 「この声って、マロン!?何処に居るの?」
 「キュキュキュ‼︎」
 「......あ!マロン‼︎戻っておいで!」
 マロンはそんな私達を無視して、更に奥へと進んだ。
 「マロン‼︎」
 「ラティスのことが嫌いなったの?」  
 グサッ
 「うっ......」
 「ラクス......お前なぁ?心を抉って楽しいか?」  
 「僕変なこと言った?」
 「......マロン」
 「落ち込むな。マロンはお前が好きだぜ」
 「ほんとに?」
 「ああ。俺が保証してやる」
 「クスクス。ありがとうね。ノワール」
 「......おう」
 ノワールは優しい。最初は変人だと思っていたけど、ずっと一緒に居るうちにわかった事がある。ノワールは感情を表に出すのが苦手なのだ。
 「......なにニヤニヤしてるの?」
 「なんでもないよ」
 「ん?」
 「キュッ!キュッ!キュッ!キュッ!」
 森の奥
 「うわー。何これ?」
 「神獣の森か......」
 「知ってるの?」
 「あ?ああ、一応な。俺は大魔法使いだぞ。神獣の森ぐらいは知ってる。だが、こんな所にはあるはずないんだけどなぁ?」    
 「キュゥキュウキュウ」
 「マロン楽しいそう」
 「仲間と出会えれば楽しいだろ?」
 「そうだね」
 「がううう!」
 「げぎいいい!」
 「あれ?何今の魔法?」
 「は?魔法?あいつらは魔法なんて使ってねぇぞ?」
 「そうなの⁇」
 「僕には何も感じないけど?」
 「でも何か......強い魔法を感じたような......」
 ズキッ
 「......っ‼︎」
 「おい......ラティス⁇お前本当にどうした?」
 「な、なんでもない」
 なんだろう⁇さっきから変な魔力を感じる。これって......。
 「マロンの魔力?」
 私とマロンの魔力は同じのはず。でもおかしな魔力を感じる。
 「いひひ。まさか、神獣の森にニーアスが居るなんて思ってなかったわ」
 「この声って......」
 「おう。間違えねぇな」
 「え?誰のこと言ってるの?」
 「アリアス‼︎」
 「いひひひひひ!私ね、あれから更にセリファを取り込んだんだよ。見てよこの強さ‼︎」
 ドン
 「きゃっ!?」
 「ラティス!?」
 ズキッ
 まただ。さっきよりもずっと痛い。
 「うっ......」
 「神獣を洗脳しちゃえば、主人もそうなるのね?」
 マロンが洗脳⁇嘘でしょ⁇ああ......やばい。意識が......何を考えているのかもわからない。ただ聞こえるのは......。
 「ラティス‼︎おい!ラティス‼︎ ......ろよ!ラティス‼︎」
 ラティスと呼ぶ、ノワールの声だけ。私は、アリアスに洗脳された。アリアスが死ねと命令すればきっと、従うだろう。今の私はただの無力な小娘なのだから。
 
 
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