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初代大魔法使い

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 ノルのお陰で少し元気になった私。でも此処最近ノルの姿がない。あの時は慰めてくれたけど、やっぱり私は残酷な神様なんだって思われたのかなぁ?
 「......ノル」
 ノルが来ない日はとても憂鬱で寂しい。私はノルが居なきゃ駄目なんだ。心からそう思うほどに、もう私はノルに恋をしている。初めて会った時から何処か惹かれるところがあった。こんな私に対等に接してくれた大切な人。私だけの光。
 「今日も来ないのかなぁ?」
 いつまで待てばいいの?私もノルの役に立ちたい。でも此処からは出れない。出る資格なんてない。大勢の人を殺した私に自由なんてないのだから。
 「......」
 ノルが来なくなって数年が経過した。その間にも私は罪を重ね続けた。もう殺した人の数なんてわからない。多分一千万人は超えている。こんな事をしなきゃ生きていけない私なんていらない。 
 「ルーク様。神の間をもっと立派に......そして今よりも広くしましょう」
 「......そうですね」
 私の否定する義理なんてない。私は神様なんだから。神の勤めをしなきゃ。
 更に数年後
 「......」
 もうノルは私のことなんて忘れて生きている。きっと幸せに暮らしている。好きな人が出来てその人に夢中なんだろう。
 ズキッ
 「あれ?なんでこんなにも胸が痛いの?なんでこんなにも胸が苦しいの?ノル。会いたいよ......」
 少ししか居なかったけど、私にとってノルは自分の命を捧げてもいいほどに大切なんだよ?
 「......ノル」
 「前よりも神の間が広くなったな?ルーク」
 「の、ノル!?」
 「よおっ!久しぶりだな」
 「い、今まで何処に?てっきり私、君が結婚とかして居なくなったのかと......」
 「勝手に決めるな!俺が好きなのは......その......お前だけというか......その......ごにょごにょ」
 「え?なんて⁇」
 「そのお前が好きなんだ!」
 ドキッ
 「はあ!?」
 「マジで知らなかったって顔だな?」
 「好きならなんでもっと会いに来てくれなかったの?私ずっと待ってたんだから‼︎」
 「ご、ごめん。俺その昨日、大魔法使いになったから」
 「大魔法使い!?え?誰もなったことがないあの大魔法使い!?すごい!初代大魔法使いだね」
 「さ、サンキュー」
 「でも大魔法使いって確か......」
 「大魔法使いになるには千人の命を必要とするんだ」
 「え?じゃあノルも大勢の人の命を⁇」
 「ああ。お前を守りたかったから」
 「......ない」
 「は?」
 「いらない。私を守りたい?だからなんの関係のない人を......罪なき人を殺したの?」
 「そ、それは......」
 「私も人のことは言えないけど......人の命をなんだと思っているの?私なんかのために大勢の人の命を奪わないでよ‼︎馬鹿!あほ!おたんこなす‼︎」
 「す、すまん」
 「私のせいで君が罪を犯したというなら......君は私と一緒に居るべき人間じゃないんだね」
 「な、なんでだよ!」
 「私と一緒に居たらまた君は罪を犯すことになる。だから一旦距離を置かない?」
 「嫌だね」
 「わかって?」
 「わかるかよ。俺はお前の側を離れない‼︎もう二度とな!」
 「......」
 こんなにも私を想ってくれる人に罪を犯させてしまった。神様なら止めなきゃいけなかったのに止められなかった。ごめん。ごめんねノル。
 そう思うほどに私は自分を責めた。だって、自分を責めるしか出来ないのだから。仕方ない。
 何も出来ない自分が情け無い‼︎今度は絶対にノルを守ってみせる!
 そう心に誓ったのであった。
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