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運命に逆らう者達その5

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 「アリアス。悪いけど最初から本気で行くよ!」
 「へぇー。アリアスに勝つ気なんだ?でも残念ね?アリアスとラティスの今の差は明白ね。だから君が負ける。その運命からは逃れられない」
 「ラティス。マロンがサポートする。アリアスを助ける」
 「うん。そうだね。アリアスを助けて勝つ!」
 「いひ、いひひ、いひひひ......」
 「さぁ殺せ」
 シュッ
 速い!?でも動きがわかる。
 スッ
 「アリアス.イン.ユーネス‼︎」
 カキーン
 「......」
 「アリアス。貴方はもう本当に戻って来ないの?戻って来るよね?まだやりたいことややらなきゃいけないことがたくさんあるんだから」
 「......」
 ガッガッ
 「アリアスはまだ自分の罪と向き合えてない。ううん。向き合うのが怖いんだよ」
 「......」
 「でも大丈夫だよ。私が一緒に罪を背負ってあげる。だからアリアスが殺してしまった人の分だけ......ううん。それ以上に助けよう‼︎」
 「......」
 言っている意味がわからないのに何故こんなにも胸に突き刺さるの?
 「なにをしているの?早くラティスを殺しなさい‼︎」
 「......っ」
 ガンッ
 「ぐっ......」
 強い。魔法で足りない力を補っているんだ。負けそう。でもアリアスは魔法の使い方がなっていない。この動きはまるで何かを気にしているような気がする。
 グラッ
 「......っ‼︎」
 やばい。熱が上がってきた。でもこのままでは終われない。終わりたくない。まだ戦える。アリアスを元に戻してちゃんと罪と向き合わせる。
 カキーン
 「......」
 「なんなの?あのアリアスと同等な力?ありえない。ラティスは魔法すら使っていないのよ。なのにアリアスが押されるなんて......」
 そんなの認めてしまう。ラティスは誰よりも強く神様にふさわしい。やっぱり自分の目に狂いはなかった。だけど、ラティスはおとなしくこっち側に来るとは思わない。だったらいっそのこと殺すしか方法がない。
 「いひ、いひひ、いひひ、いひひひひ」
 「......アリアス」
 この世界をリセットとすれば確かに罪は消えるかもしれない。でも書き換えようがなんだろうが一度犯してしまった罪は消えたりしない。たとえ無かったことになったとしてもアリアスの心の傷や罪悪感は永遠に消えることがない。そんな気がする。
 「ねぇ、アリアス。いっそのこともうこの世界を壊しちゃおう」
 「は?」
 「え?」
 「ラティス?なに言ってるの?マロン。意味がわからないよ」
 「そのままの意味だよ。世界を壊して作り変えるの。誰も不幸にならない道を進もう」
 「......」
 ラティスは一体なにを言っているんだ?
 そう思ったノワールだった。
 
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