テンペスト

上野佐栁

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鎖 茨城

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 「あなた誰?」

 「わたくしは上級クラスのテンペスト鎖 茨城ですわ。よろしくですわ」

 「……」

 殺気の圧が強い。

 約一時間前

 「雨晴 風華!」

 テンペストが一斉に襲いかかる。

 確かに強いけど、前に比べるとなんだか弱い?なんで?

 「ここで貴様を確保する!」

 ひとりのテンペストが私の肩に触れそうになるが私はそれを避けて核を壊す。

 よくわからないけど、前よりはあの日の私の中での敗北から確実に強くなっている。

 「ここでくたばれ!」

 上から鉛のような剣を私の頭部めがけて刺そうとしてくる。

 私は刀で受け止めそのまま右へと吹き飛ばした。

 「ぐっ!」

 背後から気配を消しながらテンペストが近づいて来たが、その前に反射的に私が動き核を壊す。

 テンペストが崩れ落ちまたテンペストストーンを落とす。これで何個目だろ⁇ずっと攻撃を仕掛けられていたので何人目かわからなくなってしまった。

 「はぁはぁ!流石にここまで多いと疲れる」

 体力を回復されつつテンペストを倒す。今私にできるのはそれぐらいだ。

 「雨晴⁉︎」

 後ろから聞き覚えのある声がした。

 「えっ?龍春さん⁇」

 なんで彼がそこにいるの?私にはわからない。だけど、これだけ派手にテンペストとドンバチしていたらテンペスト学園の人たちがやって来てもおかしくない。

 だけどその考えは今は思いつかなかった。

 「雨晴。ここは中級クラスのテンペストがたくさんいる。お前はまだ下級の四なんだから単独で動くな」

 「ご、ごめんなさい」

 そう。私はあれから階級が上がっていたのだ。

 だけどまだ下級。だから単独行動は本来できない。だけど、私はこの学園を出たからもうそんなの関係ない。

 「あらあら?風華様にもお仲間がこんなにたくさんおられたのですね?うふふ」

 背後からとてつもない殺気を感じた。今の今まで全く気づかなかった。まるで今ここに来たかのように私たちの後ろに立っていた。

 そのテンペストは私に手を差し伸べてこう言った。

 「早く帰りましょう⁇風華様」

 にっこりと笑うテンペストは不気味だった。

 見た目は私と同じ人間の姿だが、気配はもう人間じゃない。殺気が凄まじく見つめられるだけでも凍りつきそうな感じだ。

 「風華様。あなた様を迎えに来たのですの。こんなやつらといる必要はないですわ。早く帰りましょう」

 そう微笑んだが、彼女の笑顔は本当に怖い。なぜそう思うのかわからない。だけど、怖くてジメジメとした違和感。
 
 「雨晴⁇テンペストの元に帰るってどうゆーことだ⁇」

 ずっと黙っていた龍春さんがポツリとそう言った。他の人たちもそう思っている。

 「私、私は……」

 私は自分がテンペストであることを打ち明けようした。だけど喉まで出かかった言葉が詰まる。言いたくない。知られなくない。そんな気持ちが胸の奥底から溢れてくる。

 「……」

 鎖は私に近づき「もういいですわよ?」と言った。

 気がついたら両手両足が鎖で繋がれていた。

 「えっ……」

 何にも見えなかった?

 「雨晴!!!!!!!」

 壁につい込んだ鎖は硬く解けない。手足をもぎ取ってでも動かなきゃ。だけどそれをすると私は動けなくなる。あの時どうして回復したのかはわからないくらい不思議だ。

 「離して⁉︎」

 私はそう叫んだけど、鎖はクスクスと笑うばかりで無視をする。

 「風華様は人間になりたいのですの?こんな脆くてなんの役にも立たない。餌でしかない下等生物なのに?」

 その言葉を聞くと頭に血が上る。前みたいな怒りでないけど、ひとりばかりするのは大概にしろ。そんな気持ちが沸々と湧き出てくる。

 「あなたは人の心を置いてきたのね?」

 私がそう低い声で言うとケラケラと笑いながらこう答えた。

 「わたくしはもうテンペスト。人でありませんのよ?もう人のことなんて忘れた。だからこそわたくしは輝けるのですのよ!」
  
 そう両手を挙げて笑顔のまま自分は恵まれていると言った。

 「わたくしはテンペストになり上級クラスになり天へと昇るぐらい強くなったですのよ」

 彼女の言葉が笑みがこんなにも気持ち悪さを覚えるなんて思わなかった。

 「今からひとりづつ殺して差し上げますわ」

 そう言って龍春さんに近づく鎖なのであった。

 

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