テンペスト

上野佐栁

文字の大きさ
23 / 29

亀裂

しおりを挟む
 この日記帳に書かれていることが本当のことだろうか?もし本当なら私はここにいるべきにテンペストではない。最初から人間ではなかった私が、テンペスト学園に居続ける理由はない。

 「ここを出よう」

 もしあの日記帳が書いてあることが本当なら私はただの人殺しの娘だ。

 「砥部さんに迷惑をかけたくない」

 髪飾りも置いて行こうと思った。だけどそれはどうしてもできなかった。心のどこかで何かを期待している。

 「砥部さん。みなさんさようなら。夢さんごめんなさい」

 夢さんはいまだに目を覚まさない。夢さんが怪我をしてもう数週間は経つ。なかなか決意ができずにここに留まってしまっていたけど、もうやめにしよう。

 「砥部さん。テンペストは私が倒しますから。だからどうか生きてください」

 そう言って私はテンペスト学園を出た。

 翌日

 「団長!!!!!!!」

 ドアを蹴破り会議室へと勢いよく入っていく砥部。

 「何事?」

 アディは少し怪訝な顔をしながら砥部の話を聞いた。

 昨日の夜は確かにいた風華がいなくなったこと。書き置きがあったこと、自分はテンペストの娘であったことを話した。

 「それが本当だとしてなぜ雨晴は出て行ったんだ⁇」

 「わからない」

 砥部は日記帳の存在を知らないためなぜ風華が出て行ったのかわからないのだ。

 「風華どこにいるんだよ」

 その頃風華は

 「いたぞ!」

 「絶対に逃すな」

 「捕まえろ」

 ほぼ毎日テンペストに狙われている。テンペスト学園を出たことでテンペストたちが一斉に襲いかかり昨日からまともに寝ていない。

 「雨晴 風華を捕えよ!」

 テンペストが背後からなにかしらの攻撃をしてもろにあたる。

 「ぐっ!」

 前に上級クラスのテンペストと戦った時を思い出せ。

 「やあああ!!!!!!!」

 私は刀でテンペストの核を一気に壊した。

 「グギギギ!!!!!!!」

 「ぎゃあああ!!!!!!!」

 「死にたくない!!!!!!!」

 いろいろのテンペストの声が混じり合う。だけど、私たちはもう死んでいるから無に帰るだけ。

 「ゲホゲホ!ぐっ……」

 力を使いすぎた。眠い。どこかで休みたい。私があっちに戻ればもう頑張らなくていいの?

 「「そんなのだめ!!!!!!!」」

 「えっ……」

 今まで聞いた声とは全く違う声が私に叱った。

 「「なんのための力だと思っているの?こんなところで諦めるぐらいなら核を壊しなさい。テンペスト学園の脅威になるように輩はいらないの」」

 声は私を叱り少し低い声で続けた。

 「「テンペストの弱点であるあなたが死んだらもうだめ。勝つ見込みがなくなる。死なせたいの?学園のみんなをお兄ちゃんを死なせたいの?」」

 「お兄ちゃん⁇」
 
 その言葉を聞いた瞬間なぜか砥部さんの顔が浮かんだ。

 「砥部!落ち着け。今闇雲に探しても意味ないぞ」

 松本がそう諭すが砥部にはもうその声すら聞こえないぐらいに焦っている。
 
 「風華……風華……風華!」

 「だめだ。声が届いてない」

 松本が半ば諦めてそう言う。

 「砥部を絶対にこの会議室から出すな!人を殺す可能性がある。絶対に出すな!!!!!!!」

 「はぁはぁ……」

 「風華はどこだ!」

 砥部はもう発狂寸前だ。

 ガチャ

 「ふ、風華、さんの居場所なら……わかるかも、です」

 「夢⁉︎」

 「姫乃⁉︎」

 「なんでお前が?」

 この場にいたのは砥部、松本、アディの三人。他の人たちはちがう任務に出ているよ。

 「風華さんの狐のお面にGPSを仕込んでいます。なのでそれを使って彼女の居場所を見つけるんです」

 夢は苦しそうに歩きながらパソコンに向かった。

 カタカタカタッ

 夢はものすごい早さでキーボードを打ち一瞬のうちに風華の居場所を突き止めた。

 「ここから南南東の王都区。廃墟した元映画館にいます!!!!!!!」

 「す、すごい」

 「一瞬で突き止めやがった」

 「ってあれ?」

 ふとアディがあたりを見渡し砥部がいないことに気づく。
  
 「あのやろう。話も聞かずに場所だけ聞いて行きやがったな」

 そう怒った口調で言った。

 「私もすぐにそちらに向かいます」

 夢は立ち上がり戦闘準備を始めた。

 「待て待て待て⁉︎」

 松本が慌てて止める。

 「その怪我で行くつもりか?」

 その質問に夢は即答した。

 「行きます」

 「無理だって‼︎」

 松本もアディも反対したが、夢はテンペストストーンを出しテンペストストーンの力を使った。

 「テンペストストーン:ヒール!!!!!!!」

 その声かけと共に夢の傷は治っていく。

 「嘘だろ?」

 信じられないって顔で夢を見る。

 「テンペストストーンの力に名付けるなら魔法ですね」

 そうおかしそうに笑った。

 「テンペストストーンの力の使い方は移動中に伝えます。ここからだと早くて十五分。遅くて一時間程度で着きます」

 夢はそう説明し会議室を出た。

 「はぁはぁ!」

 「きゃあ!」

 真後ろから悲鳴が上がり後ろを振り向くと一般人がテンペストに襲われていた。

 「死ね!」

 「させない!!!!!!!」

 私は足でテンペストの腹をぶち破りそのまま核を割った。

 「ゴホゴホッ!は、早く逃げてください」

 今にも息が切れそうになりながらも一般人を逃す。

 「負けない。負けなれない」

 あの声が叱ってくれたおかげでまた戦う意志が持てた。

 でも感謝はしない。なぜなら私たちの関係に亀裂を入れたのは紛れもなく髪飾りに残った想いなのだから。

 「まだ雨晴 風華は捕まっていないのか?」

 「はい。他の中級クラスのテンペストを五十人ほど行かせましたが捕えたという連絡は来ていません。それどころか生命反応が消えています」

 「風華ちゃん。めっちゃ強くなってるんじゃん!!!!!!!」

 「少し困った事態だ」

 「鎖 茨城。お前が雨晴 風華を連れ戻せ」

 「うふふ。わかりましたわ。わたくしにお任せあれ」

 「ああ。頼んたぞ」

 「えぇ。あーあーあー!雨晴 風華様。あのお方にお会いできる日が来るだなんて!テンペストになってよかったですわ。喜びで体が震えそうですわ!!!!!!!」

 さらなる脅威が私を襲う。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「美少女157人も召喚できるだと!?」社畜の俺、尖ったトラウマを全部『まあるく』収めて大賢者になる。── やっぱりせかいはまあるいほうがいい

あとりえむ
ファンタジー
『ヒロイン全員 挿絵付き』の異世界セラピーファンタジー。あなたの推しのヒロインは誰ですか? 「やはり、世界は丸いほうがいい……」 過労死した元データアナリスト参 一肆(まいる かずし)が女神様から授かったのは、アホみたいな数式から導き出された究極のハーレム召喚だった。 157人のヒロインたちに埋もれて、尖った世界を『まあるく』浄化しくしていく…… Dカップの村娘からIカップの竜の姫君まで、あらゆる属性のヒロイン達と一緒に、襲い来る「社畜のトラウマ」に立ち向かう。 全人類の半分の夢が詰め込まれた、極上のスキンシップの冒険譚が今開幕する!

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。

処理中です...