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主人の居ないアンドロイド

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 「ティーナって言ったか?」
 「可愛いよな?」
 「クールな感じでいい‼︎」
 「マスターになりてぇー‼︎」
 「でも、なんであの地味陰きゃの側に居るんだよ‼︎」
 「ティーナ、人気者ね」
 「フンッ‼︎あんな奴ら興味すら湧かないわ」
 「俺は余計に惨めな思いをするけどな」
 「え?」
 「二人ともクソ可愛いんだよ!」
 ドキ
 「ひぁい!?」
 「はあ?」
 「いきなりあんな事言うなんて、あんたキモいわ‼︎」
 グサッ
 「がぁ‼︎わかっているさ‼︎俺はきもい陰きゃさ」
 「ツムグ......ファイト?」
 「疑問形でファイトって言われたの初めてなんだけど‼︎」
 「まぁいいじゃ無い‼︎クルル今暇⁇」  
 「暇だよ」
 「ちょっと付いて来なさい‼︎」
 「じゃ、俺も行くよ」
 「ゴミは付いて来るじゃないわよ‼︎」
 「ゴミって初めて言われた‼︎」
 校舎裏
 「あんた、ツムグが了承してマスター登録をしたの?」
 「多分そうだと思う。その時の記憶は曖昧だから」
 「そう。ツムグは人工的に造られた人間かもしれないわ」
 「え......」
 「よく考えてみなさい‼︎普通の人間が、不正に造られた私達とマスター登録が出来ると思う⁇」
 「思わない」
 「そうでしょ⁇でも、ツムグは出来た。可能性は低いけど、ツムグは人工的に造られた人間かもしれない。その事実を知って、どうするかは、クルルあんた次第よ」
 「私は、変わらない。ツムグはマスターで、その事実は変わる事はない」
 「そう。あんたがそう言うなら別にいいわ」
 「おーい!クルル‼︎バイトの時間だぞ‼︎」
 「もうそんな時間」
 「バイトって何?面白いの⁇」
 「私は面白いって思うよ」
 「私もやってみようかなぁ?」
 コンビニ
 「いやあー。こんなに可愛い子が、同じ時期に入ってくれるなんて嬉しいよ」
 「会った瞬間に採用ってアンドロイドに甘いですね」
 「だってどっちも可愛んだもん。ゼェゼェ」
 ドン引き
 「鼻息荒くこっちを見ているわよ」
 「私達なら平気」
 「だろうな」
 「いらっしゃいませ‼︎」
 「はいはい。おでんとフライドポテトですね。かしこまりました」
 「なんで俺の所には誰も来ないの?」
 「いやあー。二人が可愛いって理由でお客さんが来るから鰻登りだよ‼︎」
 「は、はぁ」
 夜帰宅
 「つーかれた‼︎こんなに大変ならやらなきゃ良かったわ!」
 「でも楽しいそうだった」
 「うっさいわね‼︎」
 「今日のご飯はカレー」
 「おー‼︎早く食べようぜ‼︎」
 「うん。今盛る」
 「はーやーく‼︎お腹空いた‼︎」
 「アンドロイドってよくわからん」
 「カレーって美味しいわね」
 「おかわりも沢山あるよ」
 「やったー」
 「ツムグ、ほっぺにルーが付いていくわ」
 フキフキ
 「んん!サンキューな」
 「あんたら新婚の夫婦⁇」
 「違うわ‼︎」
 「ティーナ、米粒付いている」
 「あっありがとう」
 「クルルが母さんみたいになった」
 「ツムグって小さい頃どんな感じだったの?」
 「うーん。博士に育てられたからな」
 「は?」
 「え?」
 「何この変な雰囲気」
 「なんかごめん」
 「いや謝らないでくれよ‼︎罪悪感が半端ないんだけど‼︎」
 「......」
 「クルルは、クルルで黙んないでくれる⁇」
 「はい」
 「目を逸らすなよ‼︎」
 変な雰囲気のまま、ご飯を食べ続けたツムグ達であった。
 
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