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炎の精霊イフリートその1

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 ユナと、ルーアーが来てからしばらく経ち平和な日々を送っていた。いや平和ではないな。
 「ツムグよ。わしらとデートせんか⁇」
 「は?」
 「要求。デートをしてください‼︎」
 「ツムグは、私とデートをするべき‼︎」
 「ちょっと待ちなさいよ‼︎ツムグは私とデートをするのよ‼︎あんた達は引っ込んでなさい‼︎」
 「え、えーと......」
 「あの......デートとはなんですか⁇」
 しーん
 「あ、あんたデートを知らないの!?」
 「そんな事はありえない。一度は聞いた事があるデートを知らないなんて、無知過ぎる」
 「疑問。師匠はデートをした事がないのですか⁇ユナもありませんが......知ってはいます」
 「うむ。ここまで、無知と言うか天然な奴に出会ったのは初めてじゃのう」
 「デートとはつまり、恋人同士が愛を確認するための儀式」
 「いや違うから‼︎デートは好きな子と一緒に街を歩いたり、遊んだり、その、き、キスをしたりするのよ‼︎」
 「肯定。その通りです」
 「き、キス!?」
 「ほぉうん⁇この言葉だけに反応するとは、貴様もしや、ツムグと接吻をしたのではあるまいな⁇」
 ポンッ
 「あ、えっとその......」
 あの、クルルが顔を真っ赤にしてうずくまった!?クソ可愛い‼︎じゃねぇよ‼︎俺は何を考えているんだ‼︎
 「提案。師匠だけずるいです。なので、順番にキスをしてもらいましょう‼︎」
 「はあ!?」
 「それ、いいアイディアね‼︎私は賛成よ」
 「みんな平等にすれば問題ない」
 「わしらに接吻を交わせる事を感謝するのじゃ」
 「要求。ユナ達とキスをしてください」
 「それは無理だああああ‼︎」
 「あっ!?また逃げた‼︎」
 「追跡。今度は絶対、捕まえます‼︎」
 「ツムグ‼︎逃がさない」
 「わしらから逃げ切れるのは五億万年後じゃな‼︎」
 ぽつん
 「行っちゃった」
 「あっ‼︎クルルちゃんじゃん‼︎」
 「空さん‼︎お話しするのは久しぶりですね」
 「確かにそうだね」
 「最近は物騒な事も起きているみたいです」
 「ああ。確か、街が全焼したって話っしょ⁇」
 「はい」
 「その犯人誰だと思う⁇」
 「アンドロイドですかね⁇」
 「その答えは今からわかるっしょ‼︎」
 「......え⁇」
 ゴォー
 「そ、空さん!?」
 「うちもね、アンドロイドなんだよ!」
 「う、嘘!?」
 「クスクス。クルルちゃんを燃やしてあげる‼︎」
 ゴォー
 「いひひ。危ない所でしたわね⁇クルル」
 「あ、アナステラ⁇」
 「チッ‼︎邪魔が入るなんて聞いてないし‼︎」
 「炎の精霊イフリートさん。貴方の性格は気性荒いですわね」
 「それが何だし‼︎」
 「面白いですわ‼︎壊し甲斐がありそうですわよ‼︎いひひ」
 「アナステラ‼︎空さんを壊すのは駄目よ‼︎」
 「壊されかけた方が言う台詞ではありませんことよ‼︎いひひ」
 「フレイム‼︎」
 「この街が燃えちゃう‼︎」
 「一気に行かせてもらいますわよ」
 バンバン
 「うっ!?」
 アナステラの銃弾は、空さんの頭部に命中した。
 「空さん!?」
 「この程度で死んだと思わないほうが良くてよ。いひひ」
 「そう言う事っしょ‼︎うちにはね、超回復能力があるんだし‼︎何もかも全部、燃やす‼︎」
 今までの、空さんとは何か違うような気がした。ううん。違う。空さんはもっと優しい。今は、アナステラと一緒に食い止めるしか方法は無かった。
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