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マスター

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 「おい!リーフ、しっかりしろ!」
 「ツムグ。この怪我だと助からないかもしれない」
 「そ、そんな……」
 「提案。可能性は低いですが、博士に見てもらえればもしかしたら……」
 「行くぞ!」
 リーフを連れて、博士の元に慌てて向かった。
 「うーん。なかり深い傷だね?」
 「治るんだよなぁ?」
 「もう少し遅かったら無理だったけどまだ間に合うよ」
 ほっ
 「良かった」
 「リーフさん。早く元気になって欲しい」
 「同感。ユナも師匠と同じ気持ちです」
 「死んでしまうのはか弱い生物だけだ」
 「立腹。ルーアーそんな言い方は無いと思います」
 「冗談だってば!本当に助かって欲しいもん!」
 「疑念。ユナはルーアーを今は信用出来ません」
 「そんなぁ‼︎」
 「博士!うちらかもお願い!リーフちゃんを助けて!」
 「わかったよ。少し待っているんだね」
 数時間後
 「……っ」
 「起きたかい?」
 「はっ!?クィーンズブラックの最強最悪の科学者山吹博士‼︎」
 「そう警戒しなくても大丈夫だよ」
 「信用出来ません!」
 「そうか」
 「貴方は数年前、あの方の元を去りました。その理由はなんですか?」
 「きっと君と同じで嫌になったからだよ」
 「……」
 「もう博士としての人生は君達アンドロイドの為に……償いのために続けるよ」
 「……一応はわかりました。ですが、妙な真似をすれば……」
 「殺すってことかなぁ?」
 「最悪の場合はですけど……」
 「そうだね。それがいいね」
 「……」
 「皆んな。リーフ君は無事だよ」
 「リーフ‼︎」
 「リーフちゃん!」
 「リーフさん‼︎」
 「ご心配おかけしました」
 「もう平気か?」
 「少し痛みますが平気です」
 「良かった」
 「……アラム」
 「え?」
 「アラムが心配なんです」
 「……」
 「あのツムグさん……私のマスターになってくれますか?」
 「もちろんだ」
 ニコッ
 「マスター登録開始」
 「アリス.クィーンズ」
 「マスター登録完了」
 「あの人は何者なの?私達と同じアンドロイドなのはわかった。でもあの力は尋常じゃない」
 「……人を殺しその人の血を吸う事で強くなっているんです」
 「……」
 その場の全員が何も言えなかった。血で強くなる?吸血鬼かよ?
 「アリスは私達の中でも一番強いです。マスター登録をすれば力が落ちます」
 「……え」
 「知らなかったんですか?」
 「あ、ああ」
 「マスター登録をするとマスターの器に合わせて力が変わります。ツムグさんの場合は相当強いみたいですね」
 「え?」
 「あそこまで力を引き出せるのは凄い事ですよ」
 「そうなのか?」
 「はい」
 「そうか」
 リーフに褒められて少し嬉しかった。俺ももっと強くならば、アンドロイド達は強くなる?なら頑張りたいと思った。
 いつか訪れる最悪に立ち向かうために頑張ると心に決めたのであった。
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