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王女様の頼みごと

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 「君は魔獣と交渉出来るのかもしれない。君に頼みたいことがある!」
 「頼みたいことですか?」
 「ああ。それは魔王と条約を結ぶ手伝いをして欲しい」
 「え......⁇」
 「君なら魔王を説得出来ると思う。これは君にしか頼めない」
 「わ、私が魔王様を説得し......条約を結ぶのですか⁉︎」
 「ああ。無理にとは言わない。だが、君は魔獣と心を通わせた。だからもし君さえ良ければ魔王も君の話なら聞いてくれると思ったんだ」
 「私は......」
 「グランデー⁇」
 「......」
 確かに私は昔から動物や魔獣に好かれてきました。ですが、魔王様と心を通わせ平和のための条約を結べるとは思いません。私には魔法がないですし魔王様みたいな方が私の話を聞いてくれるとも思いません。
 「グランデー」
 「この子を......魔王様の元に帰したいです。それで......その......説得が私ににも出来るならやってみたい......です」
 「本当か?君に任せていいのか?」
 「は、はい。王女様のため......この国のためにも私もお役に立ちたいです」
 「よく言った!君なら魔王と交渉どころか魔王と協力出来るかもしなれない。君にはとても期待しているよ」
 あ、圧がすごいです。もし失敗でもしたら王女様が失神しそうですね。
 自宅
 「マリー‼︎お前は正気か⁉︎」
 「え?はっ?えっ?何がですか?」
 「魔王が居る森にわざわざ足を運ぶ奴があるか!」
 「ま、まだ運んでいません」
 「運ぼうとする奴があるか‼︎」
 「お、お父様⁇落ち着いてください」
 「落ち着けるか‼︎それに公爵がお前に付き纏いをしているとアイナ様から聞いているんだぞ‼︎」
 「え、えーと......」
 アイナ様。お父様に話してしまったのですね。
 「ジェンダー嬢‼︎本当にごめんなさい‼︎」
 「......」
 なんだか、アイナ様が今そう言っている声が聞こえた気がします。
 ガチャ
 「マリー⁇父上?なんですかこの状況......」
 「ん?リックか‼︎ちょうどよかった。お前もマリーを説得しろ」
 「は......⁇」
 二分後
 「馬鹿なのか!」
 「お、お兄様......私は平気ですよ?」
 「馬鹿だ!魔王が居る森がとても危険だとお前も知っているだろ?なのに何故行く?死にたいのか⁉︎」
 「そ、そんなつもりでは......」
 「じゃあなんだ!」
 「ひいっ⁉︎お、お兄様もお父様も落ち着いてください」
 「落ち着けるか!」
 「......」
 ど、どうしましょう。この二人を説得するのは無理な気がします。
 「大体マリーは......」
 三時間後
 「明日は家から出るんじゃないぞ‼︎」
 「あっはい」
 「絶対だぞ!お前を守るために王女様に直談判して来る」
 「父上!俺も行きます」
 「あの......王女様は大の男嫌いなので行かない方が......」
 「そうだった⁉︎」
 「わ、忘れてたんですか⁉︎」
 「マリー行くなよ?絶対に行くなよ?」
 「......行きます」
 ガーン
 「あの可愛かったマリーが......純粋無垢なマリーが私に逆らった」
 「お、お父様⁇」
 「私はそんな子に育てた覚えはないぞ!今亡き母に申し訳ないと思わんのか⁉︎えっ?」
 「......」
 「こんなか弱いマリーに魔王と戦わせるなんて俺は嫌だ!」
 「......」
 「私はいつから魔王様と戦うことになったんです?」
 「交渉は戦なのだぞ!」
 「ごめんなさい。言っている意味が理解出来ません」
 「父上の言う通りだ!行くな!」
 「お兄様も落ち着いてください。私はただ、この子を主人の元に帰すだけますよ⁇」
 「この子?」
 「グランデー」
 「ま、魔獣だ⁉︎」
 「ですからお二人とも落ち着いてください‼︎」
 この言い争いは夜中まで続いたのであった。
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